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お疲れっす
何から話すべきか。私はとりあえず、少女たちの名前すら知らない。まずは、名乗るところからだろう。
「改めまして、まずはご挨拶からさせてもらおうかな。そちらの影ぼうしさんは、私のことを知っている様だが。私はタシリモ。この街の冒険者ギルドのギルド長をしている。」
私の挨拶に対して、少女は顎を上げ、見下ろす様な目線で、その赤い瞳を細めた。
「俺はアリス。見ての通り、無職だ。」
威風堂々とした佇まいで、何故か無職だと伝えて来る麗しの少女。メイドではないのか?
そして、もう一方は影ぼうし。
「拙者、服部あずみと申す。残念ながら、無職でござる…。」
しょんぼりと、元気がない。魔物であるのに、無職に後ろめたさを感じているのか?
「アリスちゃんに、ハットリさんか。よろしく。」
「おうよ、ぶどう水と出会いに乾杯だわ。お疲れっす。」
アリスと自己紹介したメイド少女が、私の持つぶどう水の瓶に、自分の持つぶどう水の瓶をぶつける。チン、といい音がした。ハットリも、無言で瓶を軽く掲げた。
やったぞ。自己紹介し合い、名乗り合うことが出来た。しかも、ぶどう水というアイテムも功を奏し、親愛の証である乾杯の意と、労いの言葉をかけられた。もし彼女らが魔王ならば、この様な友好的な態度に出てはいないのではないだろうか?




