双剣のもたらすもの
「なああああ、売ってくれよおおおお。」
エディは、ジャン・ジャックの診療所に来ていた。
神殿に破門されたジャン・ジャックは闇医者だ。
正規の医者ではやらない治療や、薬の製造販売をしている。
危険薬物も、当然の様に作っていた。
それをエディに卸していた時期もあったが、こいつは、自分で使ってしまう。
だから、もう卸値では渡さなくなっていた。
「…金貨二枚だ。」
溜め息混じりに売値を言うと、エディが金貨を出し、ウヒャヒャ、と笑った。
ジャン・ジャックは少し非難めいた気持ちになり、兄弟分の名前を出してやるか、と思い立つ。
「ヴァリッジがいなくなると、お前はすぐこれだ。…でも、しょうがないな、金貨二枚あるなら。」
兄弟分のヴァリッジがいなければ、エディは自制心のたがが外れてしまうが、ヴァリッジの名前を出せば、エディはどんなに薬物中毒でも自制心が強烈に働く。
「やっぱりいらねえよお。兄貴に怒られちまうのは嫌だぜえ。」
「…ああ。てめえがずっと薬物中毒者のままなら、俺は怒るぜ。」
見ると、衝立の向こうの簡易ベッドに、足を組んで座っているヴァリッジがいた。
「兄貴!?」「ヴァリッジ!?」
「荷物まとめろ、てめえら。ブレブロに向かうぞ。てめえらの力が必要だ。」
「マジかよ兄貴!やったぜ!〝悪童〟復活だ!」「三分時間をくれ。」
「一分でやれ。すぐに発つぞ。」
本当は、いつだって再結成の準備は出来ている。
ジャン・ジャックは、自分と兄弟分たちのあるべき正常な姿の復活を、一分の間、目一杯噛み締めた。




