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出来過ぎた善意は疑念を生む

ヴァリッジは困惑の表情を隠せない。それに気付いたタシリモが掌をかざし、話はまだ続く、という意を伝え、言葉を続けた。

「真祖のヴァンパイアは影ぼうしが、その他のヴァンパイアは全て少女が倒したということだ。」

「待て、影ぼうしがヴァンパイアを?そんなことがあり得るのかよ?」

「目撃者たちの話ではそうだ。むしろヴァンパイアが相手にならない程だったそうだ。だが、そんなことはどうでもいい。問題は、死者が出たのに、死んだままの者が一人もいないということだ。」

「…どういうことだ?」

「生き返ったのだ。」

「何っ!?アンデッド化か!」

「違う。生身だ。」

「そんなバカな!そんなことが…!」

「あり得るのだ。昨年病死した私の息子も生き返った。三歳という可愛い盛りの息子を失った家内は心を病んでいて、普段から遺骨を持ち歩いていた。そしてヴァンパイアの襲撃に巻き込まれてケガをした。そこに少女が来て治療してくれて、家族は死んでないか?と聞いてきたそうだ。家内が、息子が、と言うと、もう息子が目の前にいたと言っていた。」

「…何だそれは!?」

「わからん。少女は死霊魔法だと言っているそうだが…。」

「死霊魔法ならアンデッドだろうよ」

「それが違うのだ。神殿で鑑定もした結果、生身でしかないとわかった。むしろ、『称号:女神の祝福を受けし者』を授かり、息子から病気がなくなってしまい、嘘の様に健康になった。家内もすっかり元気になってしまって、何が何だかわからない。」

「出来すぎだな…!」

「私もそう思う。今やこの街は、彼女の街だ。誰もが、彼女に心を掴まれてしまっている。絶対に何か裏があるに違いない。」

「それはそうだろうな」

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