ブレブロに根を張る
オッス、俺アリス!大通りに面したところにある薬店の脇の細路地に入った所にあるオンボロ長屋に、俺は居を構えたわ。鍵もない障子造りなんだが、観音開きの扉という不可解な和洋折衷の造りで、室内には畳が敷き詰められているが、イスやテーブルを普通に置いているという、これまた不可解な和洋折衷テイストで、この建物の大家の防犯意識と趣味にえもいわれぬ不安を覚えるが、いざ大家を見ると、納得の気持ちが湧いて仕方がないわ。ちなみに鍵は付けた。当たり前だわ。
大家は、薬店の店主、ゴードンさんなんだが、この親父、ピンクや金を基調としたカラフルな着物にエリザベスカラーという出で立ちの傾奇者で、この目立つ風貌でいつも店の前に小さなイスとテーブルを出して、早朝から飲んだくれていやがるダメ人間なんだわ。レンガを積んだだけの簡単なかまどの上に鍋を置いて作られる肉の煮込みは絶品で、毎朝漂ってくるたまらん香りは俺の目覚ましであり、定番の朝食にありつく予告でもある。腹の虫がぐうぐうなるのも仕方ないんだわ。
俺が起きて、よくわからん扉を開け、細路地を通って、薬店の窓越しに、店内カウンターにいるゴードンさんの奥さんに挨拶をする。店を切り盛りしている奥さんは、勝手口から出て来て、水割りが入った酒瓶と、金貨一枚の小遣いを俺に渡してくる。ブレブロに一店しかない薬店はなかなか儲かるらしいので、俺は金貨を遠慮なく頂戴して、酒瓶を持って表まで歩いていく。




