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枷となる美姫
あれが魔王であった場合、やりづらい気がする、とビクトーは考える。あの強さ、こちらとの戦闘力の差を鑑みるに、あの少女が魔王である可能性は高い。しかも、戦う理由が、街を気に入っているから。そんなことを言い出すくらいだ、他の街だって同じ理由で攻めるなと言い出し、ことごとくビクトーたちの枷になるだろう。
街を襲わないという選択肢はビクトーたちにはない。人間を、恐慌と絶望がないまぜになった混沌の魂を持つ家畜とし、体を引き裂いて取り出したその魂を魔王に喰わせねば魔王の真の覚醒はならないだろう。だが、彼女が魔王であった場合、彼女の意向を汲んだ形での平和的な行動を余儀なくされるはずだ。力づくで平和を強制し、身勝手な正義を振りかざして邪魔しかしない存在が一番厄介だ。本当ならば滅ぼしてしまいたい。しかし、最大戦力をいとも簡単に全滅させたあの強さの前では、ビクトーたちに出来ることは何もない。




