ビビってたじろぐがいいわ
「マシアス!イゴール!シャノン!アラン!」
フォンテスの声と同時に、四人はフォンテスの周りに即座に移動していた。フォンテスが喜色満面で四人を迎える。俺は鑑定でステータスを見る。
「フォンテス様、無茶しますなあ。」
緑髪のマシアス。茶色の布の服の上下に腰帯。その左腰には、短剣を四本差している。軽薄そうな男だが、どことなくゾクリとする凄味がある。
「無事だったからいいが。命は一つしかない。」
黒髪のイゴール。巨躯で巨大な斧を肩に担いでいる。上半身は裸、筋骨隆々で、黒い厚手のズボンに鉛色のサバトン。殺気を抑えているが、激烈にヤバいのがビンビン伝わってくる。
「早く殺しましょう、その影ぼうし。」
ピンク色の髪の紅一点シャノン。禍々しい杖を持っている。黒いワンピースに、美しいが造りものの様な顔に、狂気を宿した眼光の強さが目立つ。
「…。」
青髪のアラン。刀を持っている。濃紺の着物に、後ろで束ねた長髪が印象的だ。貴公子然とした眉目秀麗な男で、静かな殺気を常に服部と俺に対して突き刺している。目が合った瞬間、氷で体を貫かれた様な寒気がした。こいつら全員、眼がアリスみたいに赤い。しかも、服部よりもかなり強い。その中でもアランは一際強い。
「なーんか気に食わねーなー、お前。」
マシアスが、いつの間にか俺の背後にいた。俺は急いで転がって逃げるが、短剣を刺され、地面に釘付けにされる。
「はい、死んだ。」
「おのれ!」
服部が駆ける。バカ、俺なんか助けようとするなよ。逃げてくれよ。何でなのかわからないけど、何とか生きてるからよ。
「ザコはお前だよ、影ぼうし。フォンテス様をザコ呼ばわりしやがって。下等な魔物のくせしやがってよお。」
マシアスの短剣が二つ、服部の足の甲に打ち込まれる。
「秘技、影縛り♪なーんちゃって。はい、死んだ。」
残りの短剣一本が、服部の喉に突き刺された。辛うじて死んではいないが、服部も瀕死だ。
フォンテスが嗤いながら舌なめずりをする。
「全員逃がすなよォォ、俺が血をじゅるじゅる吸ってやるからよォォ!」
フォンテスが全身から蝙蝠を放った。その時だった。
『ピアノ売ってちょお~ぉだい♪』
頭の中に、少女の声が響く。
「何だ?」「何者?」「何なの?」「…?」「何ですかこれは?」「何だァァ?」
…遅えよバカ!このバカ!早く来いバカ!
やっと来やがった!
『ウォッホン!ゲホッ、ゲホッ、んっんんっ!時計台の上、時計台の上。』
この街にいる全員が、時計台の上のメイド服の少女を見る。アリス!
『俺の可愛さにビビってたじろぐがいいわ、ゴミども。ぱんつも穿いてるから、サービスショット!』
アリスのスカートが風でめくれあがった。白だった。




