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02.ケンカを売られました

 帝国のお姫様だけど突然の訪問だったので、とりあえず、一番近い応接室へと案内することにした。

 ソフィア姫の手を引いて歩いていると背後にぞろぞろと従者がついてくる。

 ちらっと後ろを向いて鑑定してみると、その従者の集団の先頭にバートという名前の男がいた。

 バートって……『領主を取り巻く空気』の作成者であり、帝国の姫を崇拝してる転移者か転生者……だったよねぇ。

 もう一度後ろを振り返り、今度はしっかりと鑑定する。

 名前はバート。職業は商人、   。スキルはあれ? ほとんど隠蔽せずに表示してるように見えるよ。腹黒いものがいっぱいだ。

 職業欄の空白から、転移者か転生者というのは確定した。


 なんとか応接室に案内し、ソファに姫を座らせる。

 侍女や近衛騎士に父や重臣たちに伝えるように頼み、ボクは向かいのソファに座る。

 ソフィア姫の背後には、バートや他にも数名の従者が立っている。

 しまった……ボクの背後にもヘキサとテトラを立たせておくべきだったかも。


「先ほどの話を伺ってもよろしいですか?」


 侍女が紅茶を持ってきたタイミングでそう話しかけるとソフィア姫は少し頬を赤くしてニコニコしだした。


「どうしてもジルクス殿下にお願いしたいことがございまして……」


 さっき聞いたくだりでまたもソフィア姫は黙り始めた。

 沈黙が流れていると、ソフィア姫の背後……つまり、バートが話し始めた。


「失礼とは思いますが、私のほうから説明させていただきます」


 バートはボクの顔を睨み付けるように見ている。まるでボクに恨みがあるかのようだ。

 転移者か転生者かわからないけど、用心したほうがいいだろう。


「ソフィア姫が帝国唯一無二の後継者であることはご存知でしょう。その後継者であらせられるソフィア姫がジルクス殿下を婿としてもらい受けたいと願っておりまして」

「……」


 変な声を上げなかったボクを誰か褒めてほしい。

 こいつ何を言ってるんだ? ボクにはミアっていう大事な婚約者がいる。そんな男に向かって婿に来い? 意味わかって言ってるんだろうか。

 

「やだぁ、バートったら~。そのように伝えたらジルクス殿下も驚いてしまいますわ」


 どのような伝え方でも意味が変わらないなら、驚くよ!

 ソフィア姫の物言いからすると、あえてバートの口から話させたってとこだろうか。

 うわぁ……あざとい!

 ボクは大きく深呼吸をした後に言った。


「ボクにはすでに婚約者がおります。そのような状況を把握した上で申しているのですか?」


 ボクのそんな言葉にソフィア姫はきょとんとした表情を浮かべた後、すぐにニコニコと笑い出した。


「……あたくしのお願いは聞いてもらえないのですね……」

「帝国唯一の後継者に対して、袖を振るとは……セリーヌ王国としてはどうなんでしょうね」


 ソフィア姫の発言の後に、バートのこの言い方。 

 つまりは、ボクがソフィア姫の願いを叶えないと両国の間にひびが……というより戦争吹っかけるよ~って意味かなぁ。

 ボクとミアとの間に割ってはいるとかいい度胸してるじゃないか……。


「ジルクス殿下の婚約者には、しかるべき身分の方を紹介しましょう。私の伝を使えば、他国の王子を紹介することだって可能でございます!」


 ボクはだんだんと自分の笑顔が凍りついて、イラっとした表情に変わっていくことに気がついた。

 こいつだけは許さない!

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