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バッド選択・接点 ~晴山華絵~

※教えて下さい

プロローグで男が寝取ったと叫んでいますが、肉体的にという意味ではありません、精神的なつもりで書いてしまいました


精神的な意味合いでは寝取りと言わないのであれば、私の間違いなのでご指摘下さい

寝取った→取った、奪った辺りに修正します


深く考えずに寝取りと書いてしまいました

もし、寝取られ要素があるなら我慢して見てみるか…なんて方がいたら大変な事に






 地道が開催したという勉強会には参加せず、俺は図書室にやってきていた。


 本当は部活にでも行くつもりだったのだが、俺に着いて来た華絵に勉強を教えてと懇願されたからだ。



「――――違う」

「えっと……こう?」


「だから違う」

「じゃあ……こう?」


 違う。何度言えば分かるのか、どうして分からないのかが分からない。


 華絵に対しては何度も思ってきた事だが、やはり俺は教えるのは苦手だ。



「……なぁ、このままじゃさ」

「う、うん……」


「先生に頼んだらどうだ? 俺より全然いいと思うけど」

「で、でも……」


 頭を過った、地道の勉強会。それに行けとは言いたくなかった。


 だから苦し紛れにそう言うも、忙しい先生達が個人のために勉強を教えてくれるかは微妙だろう。


 しかしこのまま勉強を行っても、成果が出ないのは明らかだ。



「わたしは、進くんがいいな……」

「そう言われても」


 伏し目がちにそう言う華絵。その仕草は幼い頃から何度も見てきた。


 幼い頃からずっと一緒にいる華絵。気が付けば隣にいて、なぜか俺にくっついて来る。


 しかし思い返してみれば、俺にくっついて来るようになったのは中学からかもしれない。


 幼馴染みで仲がいいというのはあるが、何かにつけて俺を優先するようになった気がする。


 単純に、俺に好意があるのではないか? と自惚れた事もあったのだが、どうにもそれは微妙な気がする。


 なんにしろ、いま華絵が俺を選んでここにいるのは事実なんだ。


 なら華絵のために、俺も選ばないと。


 ――――部活に行く――――


「やっぱさ、他の人に教えてもらった方がいいよ」


 俺が教えても華絵は赤点を回避できないだろう。華絵のために、ここは敢えて俺から突き放す。


「ほ、他の人って言われても……」

「先生とか、友達とかさ。俺は多分、力になれないと思う」


「で、でも進くんに教えてもらって、大丈夫だった時もあるし……」

「今回は俺じゃ厳しいって事だよ、悪いな」


「あっ……」


 表情を暗くしてしまった華絵から目を反らし、椅子から立ち上がった。


 華絵は小さく声を漏らしたものの、それ以降は何も言ってくる事はなく、追いかけて来る事もなかった。


 あそこまで突き放せば、華絵は俺以外に頼らざるを得ないだろう。


 少し心苦しいが、俺が教えても厳しいし。この方が華絵のためだ。


 俺は図書室を出たあと、クラスには戻らず部活に参加した。



 ――――

 ――

 ―



 勉強する気がなくなった俺は、いつもより参加人数が少ない部活に参加していた。


 海の姿もマネージャーの姿もない。海は勉強会だし、聞けばマネージャーは顧問に別の作業をお願いしされたらしく、不在らしい。


 可愛いマネージャーの時雨に会えないのは残念だったが、頭を切り替えて部活動を行った。




 数時間サッカーで汗を流したが、切り上げて帰り支度をする部員が増えてきた。


 彼らも勉強するのだろうか? どちらにしろ、ここまで人数が減ってしまえば、俺も切り上げざるを得ない。


 俺はどうしよう? 帰って勉強するか、華絵か時雨の様子でも見に行ってみようか?


 ――――図書室に戻る――――


 図書室に戻ってみるか。やっぱり、ちょっと華絵の様子が気になる。


 自分で突き放しておいて、今さら何を言ってんだかと思うが。


 実は部活中も気になってあまり集中出来なかった。ちょっとだけ、様子を見に行ってみよう。




 図書室に戻り、元いた場所に向かってみたが、そこに華絵の姿はなかった。


 念のため図書室を回ってみたが、やはり華絵の姿はない。


 華絵には門限があったはずだし、もう帰ったのだろうと思い、俺は図書室を出た。



 図書室を出た足で、1年生のフロアに足を運んでみた。


 様子が気になったもう一人、時雨の様子を見るためだ。


 しかし時雨が自分のクラスで作業をしているとは聞いていたが、肝心な時雨のクラスが分からない。


 ダメ元で近くにいた後輩に時雨のクラスを訪ねると、すんなり時雨のクラスが分かった。


 どうやら時雨は人気者らしい。そんな彼女がサッカー部のマネージャーをしてくれているのが誇らしく、嬉しかった。



 しかし時雨のクラスを覗いてみるも、彼女はいなかった。


 残っていた時雨のクラスメイトに聞いてみると、さっきまでここにいたらしいが、作業が終わって出ていったらしい。


 どうやら入れ違いになったようだ。しかし時雨は、生徒会室に行くと言い出ていったという情報を得た。


 時雨はどうやら、生徒会に提出するサッカー部の書類などを作成してくれていたようだ。


 生徒会室……か。行けば時雨に会えるかもしれないが、雪永先輩がいる可能性もある。


 ――――生徒会室に行く――――


 ……行ってみるか。雪永先輩がいたらいたで、昨日の事をちゃんと謝ろう。


 昨日はつい断ってしまったが、今まで何だかんだ楽しかったんだ。


 先輩と知り合って1、2ヶ月。先輩と一緒にいるのは楽しかったし、頼られるのは嬉しかった。


 昨日はどうかしていたんだと、足を生徒会室に運んだ。




 生徒会室にやって来たが、時雨はおろか雪永先輩の姿もなかった。


 生徒会の人に二人の事を聞けば、時雨は書類を提出したらすぐ出ていったらしく、雪永先輩は今しがた生徒会室を出ていったらしい。


 雪永先輩の鞄は残されているため、戻ってくるだろうと生徒会の人は言っていた。


 時雨は部活に顔を出すだろうか? ここで待っていれば雪永先輩と会えるだろうか?


 ――――もう帰ろう――――


 もう、帰ろうかな?


 もう部活にはほとんど人が残ってないだろうから、時雨が参加するとは思えない。


 雪永先輩を待っていても、どれほど時間が掛かるか分からないし、待たれても迷惑かもしれない。


 それに何だかんだ今日は、すれ違ってばかりだ。


 ここまでくると、どんな行動を取ってもダメなんじゃないかとすら思ってしまう。


 という事でもう帰ろう。みんなには、また明日にでも会えばいいだけだし。


 俺はアチコチ歩き回る事をやめ、家に帰ろうと昇降口に向け歩きだした。




 生徒会室を出て昇降口まで来ると、反対側から歩いてくる地道行人の姿が見えた。


 もう勉強会は終わったのだろうか? なんて思ったが、特に何も言う事なく下駄箱へ向かった。


 地道も近くで靴を履いているようだが、俺も向こうも何も言わない。


 クラスメイトだが互いに興味は無し。初めて間近で地道の顔を見たが、こんなに整っていたのかコノヤロッという印象しか抱かなかった。


 そのまま俺達は、また明日なという一言すらなく、ほぼ横並びの状態で昇降口を出た。



 俺は地道から頭を切り離し、最近の事を思い返していた。


 どうにも最近、上手くいっていないような気がする。


 そう思った時に頭に浮かんだのは、四人の女子生徒の顔。


 最近は連続で、彼女達に不快感を与えてしまった。今日もすれ違いばかりで、図書室を出てから誰とも会えなかった。


 現時点で彼女達との関係は、特に大きく変わってはいない。


 環境が変わった訳でも、関係が変わった訳でもない。


 なら何が変わったのか?


 変わったのは自分自身。俺自身の選択が、何か間違っている……? そんな気がしてならない。



 あぁ、変わったと言えばもう一人いたな。


 それは俺の後ろを歩いている地道行人。横並びで歩くのが嫌になったのか、地道は足を止めたようだ。


 昔の地道をよく覚えていないから、何が変わったのかなんてハッキリとは分からない。


 性格や容姿が変わった、行動が変わったとかクラスメイトは騒いでいた気はがするが、気になる女子でも出来たのだろうか?


 まぁ、それも俺には関係ない――――



「――――天道」


 まさか、声を掛けられるとは思わなかった。


 このまま何も話さずに別れて、地道の姿を見るのは明日だと思っていたのに。


 そんな地道は無表情で……いいや、無機質な表情と言った方が正しいかもしれない。


 そんな、なんの感情も持っていなさそうな表情で。


 地道行人は、意味不明な事を言い出した。


「一つ、道が消えたぞ」


お読み頂き、ありがとうございます


次回

→【ルート消滅】


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― 新着の感想 ―
[良い点] ハーレム消滅どころか、ヒロイン全員の好感度が 「ゼロorマイナス」に……。 輝ける道(ルート)は消滅し、天の道は堕ちた……。 [一言] 「寝取った」の部分は 変更しなくても違和感無いと思…
[良い点]  よにーん。  ひとつルート消失?  ハーレムルートかな。  天道主人公ならいわゆる「トゥルーエンド」というやつ?  なんだろね。
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