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軍の少将になって帰国したら今さら学園に通えと言われました  作者: マイヨ@電車王子様【11/25発売】


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第96話 モコモコクマさんホールドの刑に処す!

(カチャリッ)


 玄関で鍵が回ったような音がした気がした。


 戦場で寝起きしていた期間が長かった俺は、変わった物音がした時に、つい目が覚めてしまう。


 これは戦場に居た人なら、殊更珍しい癖ではない。

 闇夜に乗じて敵が襲ってくることは想定される事態だからだ。


 神経質な人は、見張りが信用できなくて、毎度、音の発生源を確かめないと気が済まないようになって、不眠症になってしまうといったケースも見られた。


 その点、俺は本当に危機が迫っている時にはコンが知らせてくれるので、コンからの語り掛けが無ければ即二度寝という風に、気持ちが切り替えられるので、随分と恵まれていると言えた。


 という訳で寝よう。


 だが、一度は覚醒してしまった意識。


 目をつぶっても、これが現実なのか、それとも浅い眠りが見せる夢なのか解らない微睡みにはまる。



「ユウ君……起きてない……よね?」


 寝室に、今頃は呉にいるはずのミーナの声が聞こえた。


 ああ……やはり、これは夢だな。



「寝顔だけ見に……って、キャワワワ!」



 ヒッソリと入って来て小声だったミーナの声のトーンが上がる。



「え⁉ なんで、ユウ君こんな可愛い格好で寝てるの? 不意打ち心臓に悪すぎ」


 ああ、俺のクマさんナイトウエア姿にビックリしたのか。

 現在進行形の服装が反映されてるなんて、リアル寄りな夢だな。


「寝顔だけでも見て帰ろうかと思ったけど……」


 ミーナが一瞬逡巡するように間を空けた後に、俺の頭がポフポフと撫でられる。


「フフッ……気持ち良い」


 滑らかな肌触りがお気に召したのか、ミーナはそのまましばらく撫で続ける。


「あ……ヤバいな……色々と溜まってるからかな。これ以上、触ってるとユウ君を襲っちゃいそう」


 何やら、俺の頭を撫でながらミーナが葛藤をしだす。


「大丈夫……これは、疲れすぎて身体が危機感をおぼえて、子孫を残せと本能が指令を出しているだけ……私はネコちゃんだけど獣じゃない」


 お、理性的な自己分析で冷静さを取り戻そうとしているのか。

 しかし、やっぱり歌姫の活動はかなりハードなんだな。


「私は今、全国ツアーも決まって一番大事な時。こんな時にスキャンダルは……」


 ミーナが、俺を襲わないための理性的な理由を次々と並べ立てる。


 それにしても、早くも全国ツアーが決まったんだ。


 なんせ、事務所が最強の権力者たる軍だからな。どんな無理も叶うか

しかし、これは周囲も完全に舞い上がっちゃってないか?


「……っていうか、なんで私こんなことしてるんだろ? 別に私はアイドルになんてなりたいなんて、夢見た事なんて一度もないのに」


 ミーナは突如我に返ったように呟く。


「私はそもそも、軍の上層部からユウ君を奪還することが目的で軍にいて……けど、ユウ君が無事に私の元に戻って来てくれたから、今度は大目標を、当時の軍の上層部の奴等へ詰め腹を切らせることへ変わったんだった……」


 この物騒な独り言の間、ミーナは俺の頭のフードのクマさんを撫で続けている。


「なのに、何で私がこんなに忙しくして、おまけにユウ君との仲まで制限されて、軍の上層部の豚どもを肥え太らせなきゃいけないの?」


 段々と語りがヒンヤリとしてきた。


 はい。

 このヒエヒエな感じ。


 これ夢じゃねぇなって、俺も完全に気付いて目が覚めました。


「そうよ……どうせ歌姫を辞めるなら、いっそのことユウ君と一夜のあやま」


「う~~ん、むにゃむにゃ~」

「にゅや⁉」


 ミーナが理性を飛ばす前に、俺は先手を打った。

 寝ぼけたふりをして、頭を撫でていたミーナの手をつかんで布団の中に引き込む。


「にゃ……にゃ……」

「うーん……」


 ミーナの破滅的な行動を阻止するための咄嗟の対応なため、この先はノープランだ。

 さて、今、布団の中に同衾の形になったミーナをどうしようか?


 暗い寝室の中なのでミーナの様子はわからないが、手元から伝わる柔らかな感触が熱を帯びているのは分かる。


 今は、俺に急に布団に引きずり込まれた驚きでドギマギしているのだろう。


 だが、このままただ時間が経過すれば、ミーナも黙っていないだろう。

 異性に抱きしめられているという現況が、先ほどの、破滅的な行動の実行の最後のタガを外させることは容易に想像がつく。


 だからこそ、ここは俺が動かなくてはならない。


「むにゃ……ミーナは頑張り屋さん……いい子、いい子」


 まだ寝ぼけているていで、俺はミーナの頭を撫でながら、ミーナを抱き枕にする。


「ふへぇ……」


 手から伝わる感触と気の抜けた声で、ミーナが身体を弛緩させたのが分かる。


「ありがとう……ミーナ……」


 寝ぼけているという体なので、脈絡のない感謝をしつつ、ミーナの頭を抱え込む。


「ほむふっ!」


 唐突な感謝の言葉と合わせて、物理的にも抑え込まれたミーナは抵抗する力を失った。


 そして、布団に加えて、暖かいモコモコナイトウェアの俺に抱き込まれた、歌姫の仕事で疲れて深夜帰宅のミーナがどうなるのか?


 結果は……


「すー、すー」


 無事にミーナの寝かしつけに成功した俺は、己の貞操と、せっかく生まれた歌姫プロジェクトが守られて安堵しつつ、ミーナと一緒に眠りについた。

女の人も、疲れた日こそ、きっとムラムラするんだ!(願望)

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先日より新連載始めました。


『私が名人になったら結婚しよ?師匠』


将棋の女子中学生棋士の弟子と師匠のラブコメです。

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