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ログアウトして那月はお風呂の準備に行く。
母さんが昨日まで仕事だったのもあり、お風呂の準備はログアウトしてから那月の仕事になっていた。
私はその間にメールを確認する。
多くはないけど送られてくるメールを眺め返事を返していく。
最近は恭助や美花先輩とゲームの事をメールでやり取りする事がある。
けどその度にSNSでやり取りした方が楽だからアプリを使って欲しいと送られてくる。
メールでのやり取りでも困らないと思うから未だに使ってないんだよね。
戻ってきた那月に連れられてリビングに行くとテーブルにはホットプレートが用意されていた。
「母さん今日の夕食は?」
「お好み焼きの予定だけど…。雪菜が焼く?」
「焼きたい」
私がそう言って見ると母さんは手早く材料を切ったりして準備をしているようだった。
多分母さんの事だからお好み焼き以外にもおかずはあるんだろう。
お店みたいに1枚分ずつ材料を用意してくれてるみたいでボールに入った材料が4つ用意してあった。
私はご飯は食べないけど母さんと那月はご飯も食べてたはずだから4枚も焼いたら残るかな?
そんな事を考えて唸っていると母さんが話しかけてくる。
「それでゲームの方は何か進展あったの?」
「あったよ!夜のログインでチーム結成する予定」
那月がそう言うと母さんは一瞬こちらを見た。
「へー、チーム名は決まってるの?」
「うん。雪月風花にするよ」
「なるほど。雪菜と那月による私のためのチームになるのね」
「ないない」
私がチーム名を言うと母さんの表情が嬉しそうになる。
やっぱり好きな言葉だったからかな。
言ってる事は違うから那月に否定されてるけどね。
「リーダーは那月?それともよく話してるシュティナって子?」
「どっちでもないよ!」「私になる予定」
「そういえば2人とも雪菜信仰だったわね」
「待って母さん。変な宗教作らないで…」
私がチームのリーダーになると知った母さんは那月を見ながらそんな事を言った。
ちょっと気になるときがあるだけに実際そう言われると否定したくなる。
何かスノウさんが仲間入りしそうな…。
うん、考えるのはやめよう。
私信仰と言われて顔をしかめていたのが可笑しかったみたいで母さんは笑っていた。
「雪菜が楽しいのなら良いのよ。那月も担ぎ上げるならちゃんと助けてあげなさいよ」
「わかってる」
やりたい事も多いし楽しいのは否定できないな。
それから那月とくだらない話をしながらも母さんは手を動かしている。
私は加われる話題じゃなかったから2人の様子を見ている。
母さんはスープは簡単に作れるものをネットで調べたのを覚えてるって言ってた。
以前聞いた時に思ったのはスープの素が色々使えて便利だって事かな。
今は皮をむいたジャガイモを茹でるところだっだ。
聞くとポテトサラダを作るみたい。
普段はお総菜で買ってくる事の方が多いけど、気分的に作ろうと思ったのだそうだ。
具はキュウリとにんじん、ハムとポピュラーな物みたい。
那月は先に作ってあったらしい冷や奴を取りだして並らべている。
時々話に加わりながら母さんを見ていたけど、時計を見ると良い時間だしそろそろ焼いていこうかな。
そう思ってテーブルの上にあるホットプレートの準備をして焼いていく。
こういう時じゃないとなかなか作ってあげれないからね。
遊び心で1枚目はハート型に形成していく。
ひっくり返し両面焼けたところで那月がポテトサラダを運んでくるところだったみたい。
ハート型に焼いてるお好み焼きを見て私の!っと主張している。
ちょっと意地悪な事を思って半分に切る。
そこに一切の躊躇はない。
「あぁぁぁぁ、お姉ちゃん何てことを!」
私の行動が不満だったようで大声で抗議してくる。
それを見て母さんは那月を指さし笑っている。
那月は膨れてしまっているけど私と半分ずつ分けるとちょっとだけ嬉しそうな表情になる。
母さんは私と那月のやり取りを見ているのが面白いようで楽しそうにしているがちょっと不安だ。
しばらくこのネタで、からかわれるかもしれない。
2人がスープやご飯を運んできて席に着く。
「「「いただきます」」」
取りあえず2枚分の材料を焼き終えて今は3枚目だ。
と言っても大きいのを1枚焼くのはやめて小さいのをいくつか焼いていく事にする。
具材が偏るかもしれないけどお店じゃないし気にしない。
那月にせがまれて小さめにハート型にしようとするけど最初ほどは上手くいかなかった。
それでも普段は作ってあげれない私が作ってるからか那月は嬉しそうにしていた。
ソース、マヨネーズ、けずりぶし、青のりは好みでかけて食べていく。
家族の会話は大体ゲームの話になってる。
元々母さんもゲームが好きだったのが影響しているみたい。
聞いた話だと働き始めてからはやる時間が取れなくなってやってなかったみたいだけど。
VRではなかったけど好きだったのはスローライフ系のゲームみたいで、私が拠点を持ってからの写真は特に惹かれてるみたい。
夕食を食べ終わってお風呂も済ませてからリビングで休憩する。
「そういえばお母さんはいつ始めれそうなの?」
「年が明けてからじゃないかしら。機器が今品薄みたいでね」
「そうなんだー。あ、有名なメーカーのRPGもサービス開始してたっけ」
那月は母さんと一緒に遊ぶのは楽しみなのか気にしてたもんね。
私も楽しみだけど母さんとは呼んだらまずいだろうね。
その辺の話も今度してみた方が良いのかな?
「それよりアンタ達、約束の時間は大丈夫なの?」
そう言われて時間を見ると20時過ぎている。
向こうだと朝の8時は過ぎてて、もうちょっと経つと9時になるかな?
「私は大丈夫だと思うけど…」
そう言って那月を見る。
「もう朝になってるしそろそろ行ってくる!」
もうチームの事を考えているのか待ちきれない様子で母さんにそう言うと車椅子を押して部屋に戻る。
手伝って貰いベッドに腰掛けると那月は自分の機器を取りに行った。
私の部屋で一緒にやるようになって機器はお姉ちゃんの部屋に置いておこうかなーって言ってたけど、止めて自分の部屋に片付けて貰っている。
色も同じだし間違って手にとってメール見ちゃったら申し訳ないからね。
那月が部屋に戻ってる間に私はベッドに寝転んで自分の機器を身につけていく。
携帯は確認したけどこっちの端末はしてなかったのを思い出しメールを確認しておく。
特に新着のメールはないようだ。
殆ど間を置かずに那月が戻ってくる。
私が寝ている横に寝転がると持ってきた機器をつけていく。
「お姉ちゃんゲームで!」
「うん、ゲームで」
那月に返事を返してからゲームを立ち上げログインした。
ログインして目を覚ますとすでにログインしてる人達がいた。
スノウさんとプリメラさんだ。
ルナは私よりちょっと早くログインしたみたいで身体を起こし伸びをしていた。
「おはようございます」「おはようユキちゃん、ルナちゃん」
「「おはよう」」
挨拶はこっちの時間でするようになってる。
その理由は住人には現実の時間で挨拶するとあわない方が多いのだ。
他のメンバーはと思って見渡すとシュティが寝ているだけで他のメンバーはいないようだった。
「そういえばユキちゃん、女性の寝てる部屋に入るのは気が引けるってラギが言うんだけど何とかならないかしら?」
そう言われるとここに来たときラギさんが入り口から一番遠い奥の席に座っていたのは寝てるシュティの方を見ないようにする為だったのかな。
座っていると自然と背を向ける事になるしね。
そう考えるとシュティが寝てるのにここに入れてしまったのは申し訳ない気持ちがでてくる。
「そうですね。でもどうしましょうか…」
「一応ボルグからの提案は会議室を早めに作るか、噴水のある広場にもテーブルとイスなど設置しておくかした方が良いんじゃないかって。ちなみにメールできたわ」
プリメラさんに言われて考える。
部屋は手伝ってくれた妖精に頼めばすぐにできそうだけど石造りの部屋になっちゃうんだよなぁ。
会議室だからそれでも良いのかな?
とりあえず広場にイスやテーブルがあればしばらくは誤魔化せそう。
それにしてもボルグさんってPT組んでるのにチャットじゃなくてメールなんだね…。
「ルナ、テーブルとかってまだ予備ある?」
「テーブルはあるけど…。あぁ、イスは丸太でいっか」
丸太はちょっと思うところがあるけど他に案がないので頷いておく。
「寝る所分けてても話し合う場所がここだと一緒ですもんね」
「そうね~、宿だとそれしかないから仕方ないけど拠点だものね」
「今すぐじゃなくても防犯も何か考えないとね~。人が増えるとアホなのが入る可能性あるし」
考えなしで男性を拠点に入れちゃったけど失敗だったかなぁ。
何かしら対策してからの方がよかったかも?
うっ、こんなだからルナ達に考えなしで行動する可能性があるなんて言われちゃうのかな…。
き、気をつけないとね。
「おはようございます」
「「「おはよう」」」「おはようございます」
そんな事を考えているとシュティもログインしたみたいだ。
フレンドリストを見るとログインしてないのはアエローちゃんとボルグさんかな。
あ、ボルグさんがメールだったのはまだログインしてないから…じゃないかもしれないなぁ。
気にしないでいよう。
「シュティナさんこれから私達もユキちゃんの拠点でお世話になるからよろしくね。ぁ、ちゃん付けで呼んでも良いかな?」
「よろしくお願いします。はい、構いませんよ」
プリメラさんはちょっと緊張しながらもシュティに話しかけてる。
多分今まで対人でのイメージが強かったんだろう。
少し話して共通の話題で今は盛り上がっていた。
私の名前が聞こえるのは気のせいだと思いたい。
と言うかスノウさんとルナも普通に参加して盛り上がってる。
「シューティーナー」
叫びながら部屋に飛び込んでくる妖精がいた。
ファエリだ。
シュティは現実で忙しいようでログインできない事が増えてたから寂しかったのかもしれない。
何だかんだ昨日もスノウさん迎えに行ったらすぐ落ちちゃったしね。
「ファエリ。おはようございます」
「おはー」
ファエリはシュティの胸元に飛びつくと顔をグリグリと押しつけている。
シュティは嬉しそうにファエリの頭を指で撫でたりしている。
私達は二人の仲よさそうな光景を見守る。
しばらくしてファエリは落ち着いたのか周りから見られてる状況に気づくと真っ赤になってシュティの髪に隠れてしまった。
それを見て私達は微笑みあう。
シュティに現状をある程度説明してから部屋を出て歩き出す。
「そういえばごめん。シュティが寝てるのに男性を部屋に上げちゃった」
私はそう言うとシュティは目を瞬かせ考える仕草をする。
「妖精さん、気にしてないので大丈夫ですよ。他のVRゲームで異性と同じテントで寝た事もありますし」
「そうなんだ、イヤじゃなかったの?」
「このゲームと違って接触に制限がありましたからね。触れるのが手足だけでしたし」
そういえばこのゲームって接触制限とかあるのかな?
普通に私はルナの顔とか触ってたけど。
「このゲームはほぼ制限がないみたいですね」
「そうなの?ほぼって言うのは全くないわけじゃないんだね」
「そうですね。悪意等があると触れられないようです」
「ラッキースケベはあるみたいだから気をつけないとね」
痴漢みたいな行為はダメで、偶然触れてしまう事はあるって事かな。
この場合多分偶然を装ってもダメなんだろう。
でもどうやって防ぐんだろう。
「ログアウト中みたいな謎バリアが出るみたいよ」
私が考えてる事を読んだのかプリメラさんがそう言って教えてくれる。
どこまで防げるのかわからないけど、できればお世話にはなりたくないね。
話ながら移動していると転移装置のある広場に出る。
そこにはすでにボルグさんを除く男性3人がいた。
「「おはよう」」「よう」
「「「おはよう」」」「「おはようございます」」「おはー」
合流してから少し壁の方に歩いて行きルナがテーブルと丸太をだしていく。
休憩所みたいな物だろうか。
会議するには向かないけどちょっと休むだけならこれでも十分かも。
イス代わりの丸太が9つ置かれた。
私とファエリが机に座り7人が椅子に着く。
「しばらくはここで話し合ったりしようと思います」
私がそう言うと皆が頷く。
「アエローちゃんとボルグさんがログインしたらだけど、ギルドに行ってチームを結成する予定です」
「ようやくだねー」「楽しみですね」
ルナとシュティが嬉しそうに反応する。
「忘れないように先に渡しておく」
リグさんがそう言うと目の前に取引用のウインドウが表示される。
そこには3,000,000Gのお金が表示された。
チーム結成に必要な金額だ。
私は何も選択しないで確定する事でそのお金を受け取った。
「ありがたく使わせて頂きます」
リグさんにそう言って頭を下げる。
「ユキさんが気にする事じゃない。スノウの事感謝してるんだ。落ちてからも街で買い物したとかあれこれを食べたって凄く楽しそうで…」
「お兄様」
リグさんがスノウさんに呼ばれてそちらを向き固まった。
きっと無言の威圧感でも感じたたんじゃないかな。
いくら楽しそうだったからとしても人前では言わない方が良い場合はあるよね。
口は災いの元って言うしね。
リグさんは思ったよりもそういうプレッシャーに弱い感じがするなぁ。
前回も固まってたしね。
「それよりもチーム結成したらどうするんだ?」
話題を変えるようにガイさんがそんな事を言う。
「今のところ予定はないですね。拠点で使う物の買い出しはしておいた方が良いかなと思いますけど」
「確かにそうだな戦闘とかは今度でも良いか?」
「何かあるんですか?」
「あぁ、俺は年末年始は実家に帰るから準備がな。後ログインできないと思う」
と言う事はガイさんはイベントに参加できないのか。
みんな揃う日があればって勝手に思ってたからちょっと残念かも。
「わかりました。ギルドで私は用事があるのでチーム結成したら解散の方が良いかもしれませんね」
「すまんな」
「気にしないでください。また今度一緒に遊びましょう」
私がそう言うと何か気にした様子だったルナが手を上げている。
名前を呼んであげると立ち上がって質問してきた。
学生か!
学生だったね。
「ギルドで用事って?」
「とりあえずこの拠点の上からの写真を、ギルドの人に見せようかと思うんだけど…」
「共有なんてできないのはどうするんだ?」
「あはは…、考えてなかったです。どうすれば良いかな…?」
私がそう言うと期待していたのか皆がくりと肩を落とす。
「まぁ、なんだ。とりあえず朝飯にしようか」
「簡単にだけどある物で作ってみた」
ガイさんが提案するとリグさんがアイテムボックスから料理を並べていく。
肉と野菜の炒め物に野菜のスープ、フルーツの盛り合わせが並ぶ。
食事をしているとアエローちゃんもログインして合流した。
食事を取り終えてしばらくしたところでボルグさんもログインしてきた。
「ユキ様~、前使った幻魔法でその写真?…を再現はできないの?」
ファエリにそう言われてハッとする。
どうなんだろう。
あれから使った事無かったし試してみるのは良いかもしれない。
カメラの原理は調べればわかるんだろうけどね。
せっかく魔法があるんだし使ってみたいと言う思いもある。
ルナと一緒に作ったとんぼ玉の予備がいくつか残っていたので取り出す。
と言っても現状刻印する魔法がないから考えないといけないのか。
うーん。
とりあえず。
「すぐ出れる準備してもう一度集合で」
「りょうーかい」
とりあえずみんなに出れる準備をして貰ってる間に幻魔法を見る。
他の魔法は組み合わせで組んだ魔法は生成系の上にある組み合わせを選んで新規か保存したのを選ぶ。
幻魔法は生成がなくて組み合わせの下に以前使った《イリュージョンベール》がある。
実際使おうと思うと姿をイメージしないと使えなかった。
他にも使いにくい点がいくつもあったんだけどこれは今じゃなくても良いかな。
とりあえず幻魔法の場合は使う度にイメージをきちんと持ってないとダメだと言う事。
今回イメージに関しては写真があるので問題はないとして、幻を映す事ができるかどうか。
組み合わせで組むのは良いけど[種類]にあるのは攻撃、回復、強化、弱体、防御、拘束の6種類。
どれも求めた効果は得られそうにない気がする。
アレ…。
でも《イリュージョンベール》は私に幻の自分とは別の姿を被せる事ができた。
例えば。
壁に幻を映す事が強化でできたら、目的が達成できるんじゃないかな?
早速組んである《イリュージョンベール》で試してみる。
対象はテーブルで試すために強くイメージする。
スノウさんから貰った写真の一枚を見ながらテーブルの天板にその風景が映っているのを。
魔力の消費は意外と多くMPを200消費していた。
それでも上手くいったようでテーブルに世界樹の上から撮った風景が映されていた。
「おぉー」「流石妖精さんです」「ユキ様凄いですわ」
真っ先に3人が反応した。
それを聞いて他のメンバーも集まってきて成功した事を喜んでくれる。
「なら私遠くの風景全方位撮ってくるね」
そう言って出て行こうとするアエローちゃんをルナが襟を掴んで止める。
「ぐぇっ」
勢いよく出て行こうとしてたから首が絞まったであろうアエローちゃん。
HPを見るとダメージが入っている。
「な、何するの。殺す気!?」
「全方位撮ったら場所がわかっちゃう可能性があるから北と東だけでお願いねー」
「それ直接じゃなくてもPT組んでチャットでも良かったよね!?」
「確かにごめんごめん。それよりもいてらー」
ぶつぶつと文句を言いながら飛んでいくアエローちゃん。
一応私の方からルナには注意をしておこう。
メールでこっそり伝えておいてっと…。
メールを見たのかルナはこちらに振り向き頷く。
ちょっと表情が暗いのはやり過ぎちゃったのを自覚したからかな。
それからぱらぱらとメンバーが戻ってくる。
戦闘の予定はしてないと伝えたからか比較的軽装だけど武器は携帯していた。
防具は多分アイテムボックスかな。
「街に行くのに必要なくて痛んだりしない物を置いていけるのは助かるな」
ガイさんがそんな事を言う。
それぞれ思うところがあったのか頷いている。
プリメラさんは結構大きめのタンスを買ってきてたので一際思いが強いんじゃないかな。
ん、アエローちゃんからメールで写真が送られてきた。
確認すると本文にはこう書かれていた。
お客様が来てるから連れて行くね。
しばらくするとアエローちゃんがこちらに飛んできた。
その後ろには…。
「うむ、妾が出向いてやったぞ」
メギーアー女王様がいた。
「えっと、何のようでしたか?」
「下の娘にな…」
「ケーキですか」
「うむ、よろしく頼む」
蜂蜜を分けて貰いに行ったら断られたから娘の欲しがるケーキを買って来てって事だね。
私はスッとメギーアー女王様の方へ手を向ける。
「む、何じゃ?」
「残念ながらケーキはただじゃないんです…」
私がそう言うと納得できたのか頷かれる。
「その通りじゃな。ツケで頼む」
「貸し1で」
「うむ、連絡用にガードを1体待機させておく」
用件は済んだのか飛んでいくメギーアー女王様。
昨日も来てたし実は暇なのかもしれない。
そういえば静かだなっと思って周りを見るとガイさん達とリグさんは若干引き気味。
ルナとシュティは時々会ってるから普段通りでスノウさんは熱い視線を向けてきている。
スノウさんに関しては母さんが言ってた事が頭に浮かぶ。
多分違うよね…?
アエローちゃんはちょっと疲れた様子?
ここに来るまでメギーアー女王様の相手をしていたからかな。
偉い人の相手だもんねー。
「ぁ、そういえば」
偉い人と言えば私が一人で拠点をいじってたときにメールをしてみたんだよね。
私の声にみんながこっちを見る。
「世界樹について偉い人に聞いてみたんだよ」
「偉い人ってあの胡散臭い名前の?」
「胡散臭いって…。天造創使さんだね」
「胡散臭いな」「怪しすぎるだろ」「ユキちゃん、あまり変な人は信用しない方が良いわよ」
ルナに続いてガイさん達にも酷く言われている自称プロデューサー兼ディレクター。
確認しようと思ったんだけど公式サイトのどこにも載ってなかったんだよね。
「胡散臭いのはこの際目を瞑って何て言ってたんですか?」
「えっとね。私が聞いたのは世界樹ができた理由かな。答えは条件を満たしたからだって」
「条件って何だったの?」
「拠点とする場所の広さに元々の魔力濃度、それを満たした場所で資格がある妖精系統のプレイヤーが大樹を選択したときって言ってたよ」
「資格って何かしらね」
「それは教えて貰えなかった」
でも妖精系統限定だったと言うのが驚いたところだ。
一応エルフやドワーフも妖精に含まれるらしいけど、ドワーフは対象外で妖精でも火に関係してるとダメみたい。
「なので世界樹が公式には認められてるって言うのを伝えておくの忘れてたの」
それぞれ気になる事はあるんだろうけど私も教えて貰えなかったし推測しかできない。
なので口に出すつもりはないみたいだ。
「そろそろギルドの方行こうか」
時間を見るとゲーム内で10時頃になっていた。
ぞろぞろと転移装置の方へ移動する。
PTは私、ルナ、シュティ、アエローちゃん、スノウさん、リグさんの6人とガイさん達4人で別れている。
チーム結成の条件にフルPTがあったから念のためだ。
私とガイさんが操作して転移装置を起動させた。




