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 ログアウトすると先に起きていた那月が手伝ってくれてリビングへ。

 約束の時間は20時だったので2時間ないぐらいかな。

 リビングに着くと那月は冷蔵庫にあるものを確認に行く。

 私ができることと言えば何だろう。

 うーん。

 ゲームだったらできることがあるのに。

 こんな事考えるなんてたった一日で私もゲームに染まってきてるね。

 一応ゲーム中に連絡がなかったか携帯を確認しておく。

 私のメールへの返事がいくつか来ていたのでそれに返事を返す。

 キッチンには車椅子じゃ入りづらいし運ぶ事はできるかもしれないけど那月の邪魔になっちゃう。

 考え事をしながら携帯を眺めていたら電子レンジでチンするのが終わったようだ。

 簡単に冷凍のチャーハンにインスタントのスープとサラダ。

 ちなみにサラダのドレッシングは母さんのお手製らしい。

 私は知らなかったけど色々作ってるんだね。


「「いただきます」」


 食事時会話の内容はもちろんゲーム。


「そういえばお姉ちゃんの言ってた事試した人が結構いたみたいだよ」


「私が言ったこと?」


 何のことだかわからなかったから首を傾げる。


「住民に教えを請うって話だよ」


 何のことかようやく理解して続きを促す。


「お姉ちゃんの言う通り素材が流通した状態で職人さんに頼むと教えて貰えるみたい。流通して無くても持ち込みで良いみたいだけどね」


「そうなんだ」


 と言うことは私は宿の女将さんに扱い方を習った方が良いんだろう。

 リアルにいない生き物の素材だしもしかしたら特殊な処理があったのかもしれないもんね。

 まぁ、そもそもスーパーにあるような材料しか触ったことなかったしきちんと処理できてなかったんだと思うけどね。


「そういえば素材をあんな風に集めてる人もいるんだね」


「あー、そうだね。アレもある意味で運営が原因なんだよね」


「そうなの?」


「私やシュティもだけどβ勢の引き継ぎがおかしいんだよ。素材はなくなってたけどスキルや装備、お金を全部引き継いでる」


 そっか、βテストの参加者は装備やスキルだけじゃなくてお金を持ってるのか。


「だから買取額が高くないギルドよりプレイヤーに売った方が儲けになる?」


「うん。それ自体は別に悪いことじゃないんだろうけど他のプレイヤーのために高く買い取ってやってるって増長してる変なのが増えてきてるみたい」


「買い取った素材はどうしてるんだろ」


「人にもよるらしいけど悪質な奴は高値で転売してるって話だよ。価格の基準なんて私達じゃわからないのにギルドは安く買いたたくって言うのもおかしな話だよねー」


 変なのって言うのはどうかと思うけど…。

 そういえばルガードさんが確か実際はもっと高いような言い方をしてたっけ。

 うーん、何でそんな事になってるんだろう。


「レオンさんみたいにキャラ作り直した人はどうなったの?」


「種族変えた人達は引き継ぎはお金だけだったみたいだよ。ぁ、でも引き継ぎってメリットだけじゃなかったみたいでねー」


 那月がぱくついてる間に私も食事を進めつつ考え事をする。

 そもそも通貨って足りてるのかな?

 もしかして買い取りが低くなってるのはギルドに資金がないから?

 それとも島全体でそこまでお金がないとか。


「それで引き継ぎのデメリットだけど犯罪歴が残るんだよ」


「犯罪歴?」


「そうそう、βでPKとかして犯罪者プレイヤーになってるとキャラの種族変えて作り直しても残ってたみたい。これがあると住人に警戒されたり信用されなかったり疑われやすくなるみたい」


 思った以上に厳しそうだった。

 住人との繋がりって個人クエストの受注や情報を教えてくれたりするのに関わってる気がする。


「何でデメリットを残したのかはわからないけど一応救済もあるらしいし状況は人によると思うよー。素材に関しては今回の件で多くのプレイヤーが気にしてるって話だからその内解決すると思う」


 いつ素材に関しての話を知ったのかはわからないけど那月が言うんだから多分そうなんだろう。

 多分だけど熟練度上げ中か向こうの夕食時に掲示板を見てだとは思うけど。

 気にしている人の中には生産職もいるだろうし、実際に教わってその結果を掲示板に書いた人もいたんじゃないかな?

 もしそうなら役に立てたのかもしれないから嬉しいね。

 そんな事を話しながら食事をしていると玄関で物音がした。

 あ母さんが帰ってきたみたい?


「ただいま」


「おかえり」


「おかえりー、今日は早かったね」


 那月が玄関まで迎えに行っている。

 ラフな恰好に着替えてリビングに来た母さんは私達の夕食を見て渋い顔をするも自分の分を用意する。

 私達の食事には気を遣ってくれていてうるさく言うけど自分のはかなりいい加減なとこがある。

 今日はカップ麺だけで済ますみたいだ。

 ゲームをやると決めた母さんは早速機器を買おうと考えてるみたいで那月に話を聞いている。

 那月はお昼にも説明してたからかわかる範囲で説明しているようだ。

 ただゲームをやるとして問題がないわけじゃないみたいで迷ってる部分もあるとか。

 気になっているのはゲームを始めることで誰か来客が来た時に対応出来る人がいなくなる事。

 みんな寝てる夜なら一緒じゃないかなって思うけどね。

 でも確かに今は年末で休みの人がそれなりにいて近所の人も家にいたりするから良いけど年が明けて仕事や学校で人がいないお昼は危ないのかな?


「そういえば那月の機器はまだ動くのよね?」


「ん~?まぁ、2年ぐらいは経ってるけど現役だよ~」


「新しく買うのを那月が使ってお古を私が使う事ってできるの?」


「もちろんできるよ~。ちょっと設定するだけだから時間もそんなに掛からないかな?」


「ならゲームをやる時間は那月の方が多いだろうし新品はあげるからお古を貰うわ」


「ほんと!?やった」


 那月にしてみれば嬉しい提案だったみたいで喜んでる。

 母さんはやっぱり戦闘をメインにはしないみたいだから良いのかな。

 機器の性能の違いで何か変わってくるのかな?

 気になって那月に聞いてみる。


「ゲーム自体には影響ないみたいだよ。動画とか写真撮るのには影響あるみたいだけど」


 と言うことだった。

 それを聞いた母さんの反応は那月より私の方が良いんじゃないかという。

 理由を聞いたら那月は私しか撮らないでしょっと言うことだった。

 ちょっと否定できなかったから笑って誤魔化しておいた。

 そんな話をしながらも食事を済ませると私と那月は少しテレビを見たり各々で休憩する。

 母さんは片付けをするみたい。


「そういえばお姉ちゃん、買ってきて貰ったケーキ食べる?」


 那月に言われてあったのを思いだした。

 残っているケーキは5個。


「うん」


「私も食べても良い?」


「良いよ」


「駅前のお店のよね?私も頂いておこうかしら」


 母さんと那月も食べるみたいだ。

 残ってるのから1つずつ皿に移して持って行く。

 私も1個取って残った2個は皿に移してラップをかけて冷蔵庫に入れておいてくれた。

 那月が食べ終わってからお風呂を済ませておく。

 色々やっておくことを済ませると20時まで後10分ぐらいになった。


「今日も一緒に良い?」


「いいよ、一緒でもこの時期はイヤじゃないし」


 昨日一緒に寝た時は思った以上に安心出来たというか。

 ぐっすり寝れた気がするし寝起きも何となく心地よかった気がするんだよね。

 思っても那月には言わないけどね。

 そもそも寝るんじゃなくて一緒のベッドでゲームをやりたいって事だろうからね。


「やった。けど時期って何で?」


「夏は暑そう」


「あっ…、うん。そうだね……」


 納得した様でしてないのか何やら考えて唸ってる。

 ちなみに私の部屋にはエアコンは付いてない。

 それよりもさっき思ったことがあったから聞いてみる。


「そんな事考えたことなかったなぁ…。でも確かにその可能性はあるね」


 可能性があるなら確認しても良いかもね。

 そんな事を考えながらゲームを立ち上げた。

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