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 北門に付くと周りを見てつけられていないか確認する。

 つけられてはいない様だ。

 ホッと安堵して速度を緩める。

 見張りをしている警備の方に挨拶をして森に入っていく。

 夜間も門を閉じる事はなく敵が来ても警備の方が倒してしまうらしい。

 数が多かったり対処できない場合に門は閉じるそうだ。

 警備は6時間毎の交代制の仕事で夜勤もあるけど意外と人気だとか。

 門を普段閉めてないのはいざ海側から敵がなだれてきたときに逃げ道があるようにって事みたい。

 私は森に入ってしばらく進んで分かれ道の前に道をそれて道なき道を進む。

 シュティとルナが分かれ道の先がそれぞれの森の戦闘エリアになっているのでここはまだ戦闘区域じゃないと言っていた。

 希に敵は来るみたいだけどね。

 マップを見ると今の位置から北に向かうと北東の獣エリアに出るのが確認出来た。

 とりあえずこの辺なら良いかと思いちょっと大きめの岩の上に下りる。

 何をするにもまず試しておいた方が良いことがある。

 私のメイン武器で魔改造されてしまった祝福を受けた初心者の指輪の効果だ。

 一応鑑定してみる。


 ・祝福を受けた初心者の指輪

 レアリティー:ユニーク

 INT+1 特殊スキル:早熟の祝福

 特別な祝福が付与された指輪。

 魔法を使う補助具でもある。


 二人が言ってた通りユニーク装備だ。

 ユニークの特徴は死んでもペナルティーで落ちたりしない、耐久値が無く破壊されないのが一番の特徴みたいだ。

 早いうちに知っておいた方が良いのは早熟の祝福のどれだけ使うとどれだけ上がるのかと言う事だと思う。

 ついでに火属性魔法を使った時のデメリットも知っておきたかった。

 と言うわけでまずは使ったこと無かった水属性で指輪の効果を確認していこう。

 水生成を使ってみる。

 どこからどの向きで出すかも決めれる様だ。

 これは魔力操作の恩恵かな?

 とりあえず目の前で地面に向かって出してみる。

 使用するMPは1にしてみたが魔法陣が宙に出てそこからチョロチョロと水が出てくる。

 しょぼい!

 5秒ほど出て消えた。

 熟練度を確認してみると0から1になっている。

 一度の使用で1増えるのかな?

 試しに光属性魔法の光生成を消費MP5で使用してみる。

 指定した場所に一瞬魔法陣が出て光の球が生まれ辺りを照らす。

 少し眩しいなと思うとちょっと光量が下がった。

 この灯りは私の意志で発生後でも調整できるようだ。

 肝心の熟練度を見ると先ほどと同じように1増えてから一定時間毎に増えて5になった。

 これは生成を使うと熟練度が1増えるのは確定だけど消費MPに応じて時間が延び熟練度が貰えるのかな。

 と言うわけで早熟の祝福の効果を検証していきますか。

 まずは光属性で消費MPは10で。

 光の球が出てる間はどんなことができるか試してみる。

 移動もさせる事ができたのでどれだけ明るくなるか試してみる。

 すると一定を超えたところで操作が効かなくなってしまう。

 慌てていると光の球が凄い光を発して弾けた。

 それをもろに見てしまったため眩しくて目が開けなくなる。

 これはアレだ…。


「目が、目が~!」


 現在ステータス異常は盲目だと思われます。

 これってしばらくしたら治るのかな…。

 メニューも見えないかと思ったら直接視界に写っているわけではない様で認識出来た。

 いつもは指で触れて選択していたがこれも考えるだけでできることがわかった。

 事故だったけど思わぬ収穫だったかもしれない。

 と言うわけで光属性魔法を新しく組むことに。


[光属性魔法][無][盲目][回復]→[保存][使用]


 これで行けるかな?

 一応保存してから使用。

 温かい光に包まれる様な感じがして目を開く。

 問題なく治療出来たみたいだ。

 とここであることに気づいて熟練度を確認する。

 光属性は5だったが今は24になっている。

 間違いなく盲目状態を回復した魔法の分が入ってる!

 失敗したなぁ。

 気を取り直して水属性でMP10消費してみる。

 MP10消費すると蛇口を捻って手を洗うぐらいの水が魔法陣から出る。

 水が止まると熟練度は12になってるから11増えてる。

 MP5消費した時は5増えてもう一度MP10消費したら11増えていた。

 しばらく水属性で色々試してみた結果消費MPの1割が早熟の祝福の効果と思われる。

 何度か試してみたけど小数点以下の数字は切り捨てみたい。

 さて次は火属性魔法だ。

 試しに消費は10から。

 コンロの弱位の火力くらいの火が一瞬でた。

 ぇ、これだけ?

 HPを見ると95/100になっている。

 アレだけで5も無くなるの!?

 多分デメリットの消費MPが増加し効果が減少が原因だろうけどさ。

 これ戦闘じゃ使えなさそうだなぁ。

 今度は消費を20にして使ってみると一瞬から2秒ほど持続した。

 うん、使い物にならない。

 ちなみにHPは85/100になっているから10減ったようだ。

 と言うことは消費MPの半分HPが減って効果は2分の1よりも下と言うことだ。

 もしかしてルナが火属性弱くなってがっかりしてたのは私と関係してるのかな?

 原因はわかんないけど、指輪の効果と火属性の使い勝手はわかったしどうしようかな…。

 んー、とりあえず熟練度を上げてから狩りに行こう。

 その為にはMPがいくらあっても困らないよね。

 ステータスにポイントを振ることに決めた。

 HPとSPは5ポイント消費して10しか上がらないのに対してMPは1ポイントの消費で50も増える。

 他のステータスは上昇値は普通と言って良いのか3ポイント使って3増える。

 これって地味に3ポイント貯まらないと1も増やせないから消費1で1上がるより微妙だよね。

 STR1上げるのに5ポイント必要とか言われても驚かなかったけどね。

 見た感じやっぱりMP特化になるみたいだ。

 と言うわけで19ポイントあったボーナスポイントのうち5ポイントをMPに使用。

 よし、これでMPが初期の倍になりました!

 とりあえず自動MP回復は指輪と合わせて5分で2%ぐらいかな?

 今みたいにグダグダしながら消費してる分には回復は自動で何とかなるけど一気に使うと回復手段がいるね。

 初心者ポーションは回復量が少ないけど昨日ログイン報酬で入ってたポーションの詰め合わせは…。

 初心者の文字が取れている普通のポーション。

 回復量を見ると初心者は固定値だったのに対して割合回復になってる。

 配られて手持ちにあったのは30%回復するみたいだ。

 メールを確認すると今日もログイン報酬で詰め合わせが貰えている。

 リアル1日毎にログインボーナスは貰えるみたい。

 初心者じゃないMP回復ポーションが20本か…。

 とりあえずポーションを使用しつつ自動回復分で熟練度上げよう。


 ・


 ・・


 ・・・


 MPが空にならない様に注意しつつ魔法を使い続けることゲーム内で2時間ほど。

 私の周りには石が山のように積まれて風で傷つき中心は小さな泉の様になっている。

 土生成で遊んでたらMPは結構消費したけど石にすることができたんだよね。

 ちなみに光と闇は環境に影響が出ることは無かった。

 闇生成は光を消している感じで、指定した範囲の灯りを消すみたいなイメージかな。

 火はお察しです。

 途中から取得熟練度が減ったのはちょっと驚いた。

 一定の熟練度に達すると簡単には上がらなくなってるみたい。

 生成で熟練度が増えるのは30まででそこからは指輪の効果で強引に上げていった感じになるかな。

 それで何とか6種熟練度が100に到達。

 ちなみにMP回復ポーションは使い切った。

 使い方は木製のお椀に入れてそこに浸かると言う方法。

 火属性の時はHPポーションも混ぜた。

 特に問題は無さそうだった。

 でもその様子は人から見れば有名妖怪漫画の父さん的な感じだったと思う。

 モノマネをしたくなったけど我慢したよ。

 黙々とやってたけど一度だけ他の人が見に来た。

 お椀に液体を入れて浸かっている私を見て固まってたけどね。

 氷像に看板を持たせて特訓中と書いておいたので納得はしてくれた様だった。

 多分。

 固まってたのは光魔法でミラーボールの様な物を作って浮かせて地面が隆起してそこから滝の様に水が流れ落ちてるところに風が吹いて辺りをひんやりさせてくれる状況を見たからじゃ無いはず。

 違うよね?

 まぁ、そんな感じでのんびりと熟練度上げをした。

 結果魔法の統合にいくつか種類が表示されている。

 木属性魔法、雷属性魔法、時空魔法、無属性魔法の四つだ。

 統合すると元になった属性は習得済みスキルから失われ換わりに新しく習得できるみたい。

 確認すると木属性は水と土、雷属性は風と土、時空魔法が光と闇で無属性が六属性全てだ。

 必要熟練度はどれも100となっている。

 んー、そうなると何で火属性系統の統合先がないんだろう?

 今度シュティに相談してみよう。

 それまで統合はお預けと言う事で。


 そうと決まれば少しは狩りをして稼いでおきたかったので北東の動物エリアへ。

 何故動物エリアにしたかというと植物エリアはイビルトレントが不安だった。

 正直食べられると言われて準備もなしにいけないよね。

 それと昆虫エリアはやっぱり一人で行きたい見た目じゃ無いのだ。

 時々跳ねてくるホッピンラビットを氷属性魔法で撃退しつつ奥を目指して進む。

 目的としてはメープルベアだ。

 戦った中で一番相性が良さそうと考えたからだ。

 開幕に《吹雪》を使えばある程度何とかなるんじゃないかと思う。

 と言うわけでやってきましたボス部屋前。

 もう通った後なのか待ってる人はいなかった。

 以前に戦った広場の様な所に進むとお馴染みになってきた赤い光の結界が展開された。

 デフォルメされた熊の被り物をしたムキムキマッチョが木から下りてくる。

 見事な着地だが決めポーズなのか格好つけていてちょっと引く。

 以前戦った時はこんなポーズとってなかったのにな。

 後違いと言えば口や手の周りが汚れてないので食事中でもなかったみたい。

 パターンがあるのか固体が違うのかどうなんだろう。

 そんな事を考えながらも動ける様になってすぐ宙を舞い高度をとる。

 メープルベアは両手を挙げて威嚇のつもりだったのか唸っていたが私が飛ぶと両手を下ろしポカーンと棒立ちになった。

 しばらくこちらを見上げて突っ立っていたけど何かを考え始める。

 待ってても仕方ないので私は詠唱に入る。


「《ブリザード》」


 魔力操作を習得してから魔法を使う際に多くの項目が調整ができる様になっていた。

 《ブリザード》の場合は範囲を狭くする代わりに状態異常の弱体化を以前より強力にしてみた。

 魔力を込める量により詠唱時間が短くなる調整した為、発動も以前とは比べものにならないほど早い。

 突っ立って考えている様子だったメープルベアは避けること無く魔法により動きが鈍くなっていく。

 追撃に初めて戦った時と同じように有利な状況を作るために魔法を紡ぐ。


「《アイスソード》」


 魔力操作のおかげで以前より切れ味が増した氷の刃で薙ぎ払う。

 動きが鈍くなったメープルベアは避けることができずに後ろ足を2本とも切り落とされて地面に頭から倒れる。

 氷の刃は切った相手を凍らせている様で傷から血が出る事は無かった。

 その為出血ダメージは無いみたいだけど凍傷によるダメージかHPのゲージは少しずつ減っていた。

 HPが一定値減ると腕を振り回しているが飛んでいる私に当たることはない。

 攻撃を続けると全身が赤黒く変質していく。

 ここで部位破壊ができれば素材が入手出来るはず?


「《アイスバーグハンマー》!」


 以前と同じ魔法を使う。

 同じ魔法でも性能を変えて保存してある。

 今回使ったのは速度や詠唱時間を遅くする代わりに密度を高くして堅く重いモノになっている。

 多分。

 詠唱し終え氷でできたハンマーを振り下ろす。

 倒れていたメープルベアは呆然と防ごうとする事無く呆気なく潰された。

 前回戦った時よりも戦闘パターンが違いすぎた気がする。

 何となくだけど戦う意志をあまり感じなかったのだ。

 問答無用で倒してしまった私が言える事じゃないけどね。

 結界があるうちに一度次のエリアに進む。

 セーフティーエリアに入ったのでドロップを確認しつつどうするか考える。

 ・メープルベアの毛皮×2

 ・メープルベアの肉×3

 ・メープルベアヘッド

 掌は運なのかな?

 鋼皮も部位破壊報酬だったのかな。

 前回の時と違って腕で守ってダメージを減らそうとしてなかったから部位破壊の前に倒してしまったんじゃないかと思った。

 でも部位破壊報酬って一番貢献したプレイヤーが貰えるって調さんが言ってたけどルナとシュティがでてたし違う気はするんだよね。

 今戦った感じ相手がメープルベアなら倒すのは余裕ありそうだけどどうしようか。

 先に進んでみるかメープルベアと連戦するか…。

 うーん。

 ゲームを始めた切っ掛けはルナだしせっかくだから初めて行くとこを楽しむのは一緒の方が良いな。

 と言うわけで素材集めのために連戦しますか!

 来た道を戻ってエリアを跨ぐ。

 戻ったら人がいないのを確認してボスエリアに。

 暗くなるまで後3時間はありそうだし結構遊べそうだ。


 ・


 ・・


 ・・・


 さて長い事戦闘を繰り返して街に戻ってきました。

 ゲーム内時間で16時40分過ぎたところ。

 18時ぐらいまでやるつもりだったから予定より早い。

 何故街に戻ってきたか。

 うん、死に戻ったよね。

 ゲーム内とはいえ死亡初体験。

 今は休憩のために初期位置になる噴水の縁に氷で休憩所を作ってまったり中。

 視線が凄かったから中が見えない様な作りにしてみました!

 さてさて、まずはデスペナルティーで失ったアイテムは何だろ。

 モノと種類がランダムで失われるんだったと思うけど…。

 んん、んー?

 初心者SP回復ポーションとウサギのお肉が無くなってるのかな。

 まぁそれぐらいなら問題ないかな。

 熊素材は沢山になった。

 最初の方は色々試すのに時間を掛けて戦ってみたんだけどねー。

 ある程度やったらある程度パターンがあるのがわかってきた。

 それとやっぱり固体毎に性格も違うみたいで攻撃的なのから思慮深いの、防御優先する固体もいればひたすら逃げながら攻撃してくる固体までいた。

 性格の違いでパターンは違うモノの攻撃方法はほぼ同じだった。

 だから途中から速攻で倒すようにして素材を集めてた。

 おかげで良くでる皮とお肉は50個を余裕で超えてる。

 掌と鋼皮はやっぱり運みたいな気がした。

 出る時と出ない時の差がない気がするんだよね。

 可能性としてはでてきた時に口周りや腕がべとべとになってる時は落としてたような気がする。

 さて、次は反省かな?

 死因はまず最初の《ブリザード》が避けられたのか効果が無かったみたい。

 それに怒るまではちょっと遅かった行動が最初から速くてパターン化してたから対応出来なかった。

 何より今まで使ってきた事が無い遠距離攻撃を使ってきた事が一番想定外でまともに当たってしまった。

 土を投げるという単純な行動だったけど当たった事で墜落してしまい、つかまれグルグル振り回されて投げられ木に当たって今に至る。

 土が当たった時点でHPが7割減ってたからね。

 振り回されてる時もHP減ってたし木に当たった衝撃なんて耐えれるわけ無かったよね。

 気になるのは相手の毛皮がシロクマが土で汚れた様な感じだったんだよね。

 可能性としては特殊な個体?

 気になって攻略サイトを見てたらエリアボスにはレア種って言われてる特殊個体がいるみたい。

 何が違うかはまだわかってないみたい。

 今回のが特殊個体だったとすると違いの予想として1つ目は氷属性に耐性があった。

 だから《ブリザード》が効かなかった。

 2つ目はパワー重視の通常個体と違ってスピード重視。

 3つ目が行動パターンの変化、もしくは追加。

 幸いと言って良いのかはわからないけど写真を撮っていたので他の熊と見比べれる事かな。


 ピロン


 メニューを開いてみると手紙のマークが出てたのでメールみたいだ。

 送り主を見てみると…母さんだね。

 何だろう、お昼にはちょっと早いと思うんだけど。


[御見舞にお客さんが来てるので一旦やめなさい]


 御見舞?

 誰だろう。

 まだ連休前だから社会人じゃないと思うけど学生の知り合いかなぁ…。

 それよりも母さん今日は仕事でこの時間には出掛けていないんじゃなかったっけ。

 とりあえず宿に戻ってログアウトしますか。

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