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七十九話 一大事に、二人は

簡単なあらすじ『キジカ、遂にログマから勝利(?)をもぎ取る』




一方、キジカとログマはと言うと……依然として余韻に浸っている、と言う事なのだろうか。


二人は……いや、特にキジカが。


離れようとしないらしく、そのために未だ抱き合い、寄り添い合ったままでいるのだった。


「……お、おい。いい加減離れたらどうだ?」


しかし、ログマはそれに疲れを感じたようで。


彼はキジカの手をゆっくりと解き、剥がし。少しずつでもこの状況から逃れようと動き始める。


「良いじゃない、もう私のモノなんでしょ?」


だが、キジカはそれでも尚彼を離そうとはせず。


彼女は再びログマを抱き締めようと、彼に思い切り飛び付いた。


「うわっ!?」


すると、体勢を崩した二人はもつれ合い。


互いの顔が間近へと迫る……直後。


「ログマ……」


キジカが瞳を閉じ、その顔を更にログマへと寄せる。


「…………」


それを見たログマもまた、数瞬の戸惑いの後に。


目を瞑り、キジカを受け入れる姿勢を見せた。


そうして、二人の唇が重なる…………かと思われた、まさにその時。


「大変大変!!大変だ〜!!」


大声を上げながら、二人へと迫り来る者があった。



「大変だキジカ!!大変だーー!!」


勢いのまま扉を蹴り開け、キジカの自室へと滑り込んで来たのは。


やはりと言うべきか博士だった。


彼女の襲来に二人は驚き、すぐさま飛び退くようにして離れる。


直後、やや不満げなキジカが文句を浴びせ掛けるように言った。


「……もう!!

ちょっと博士!!邪魔しないでよ!!


……じゃなくて!!

と言うか博士、貴女一応は近衛兵隊長なんだからそう言う無作法な真似は……」


だが、それでも博士の勢いが止まる事は無かった。


彼女はキジカの言葉を、もっと言えば王女からの苦情を。それを遮ってまで話し出したのだ。


とは言え、その話は……


「キジカ!!そんな事言ってる場合じゃないよ!!大変な事になっちゃったんだ!!」


「…………一体、どうしたって言うのよ?」


「落ち着いて聞いて。どうやらアタシ達……ちょっとばかり張り切り過ぎてしまったようだよ。


この話はアタシもついさっき、見習いの子達から聞いたばかりなんだけどね……


何でも、この国の女王が結婚するって言う、アタシ達が流したあの噂話デマを聞き付けてさ。


隣国の王族貴族が、何人も……キミの挙式に参加したいと言っているらしいんだ!!」


「え……えぇ!?な、何ですって!?」


遮るに充分、値する程のものであったのだが。



「マズい……これはマズいわ!!ど、どうしましょう!?」


博士からの話。

それを聞いた途端にキジカは焦り始める。


まるでそれは、先程まで唯一として笑みを溢していたその代償であるかのようだ。


「あーあー、やっちまったなぁ」


ただ一方で、ログマは平然としていた。


「ねえログマ!!私どうしたら良いのかしら!?」


「俺に聞かれても、なぁ……流石にこればっかりはどうしようもねえよ。もういっその事、そこら辺の奴テキトーに引っ捕まえて来て、本当にしちまうってのはどうだ?」


「そ、そんな無責任な……!?

意地悪しないでもっとちゃんと考えてよ!!」


それどころか興味もないと言った様子の彼は、キジカへの返答すらいい加減に行う。


とは言え、そうなるのも仕方ないだろう。

彼にとってはどこ吹く風。それに過ぎないのだから。


そうして、性悪に聞くだけ無駄と知ったキジカは。


今度は己がのみで、妙案を生み出そうと思案を続ける……それから暫くして。


漸く彼女は何事か思い付いたらしく、博士へとこう言った。


「……そうだわ!

ねえ博士!あくまでもそれは私達とはまた別の誰かが流したデマって事で片付けられないかしら?


それで、その人達には勘違いだって伝えれば……」


しかし、その提案に博士はかぶりを振るばかり。


「それは流石に無理だと思うよ……

小さな新聞社とは言え、アタシ達が直接出向いて記事の掲載を頼んじゃったんだ。


そうとなれば、必ず何処かから話は漏れるだろうし……はっきり言わせてもらうと、今更言い逃れなんて出来ないだろうね」


「そんなぁ……!!」


「とにかく、こうなったからには何かしらの対処をするしかない。王族達への返事も早めにしなくちゃならないからね……どうする、キジカ?」


「ど、どうするって言われても……そんなの分からないわよ〜!!


博士!!ログマ!!お願いだから助けて頂戴!!

何か良い方法を一緒に考えてよ〜!!」


「とは言ってもなあ……

お前のした事だし、自業自得なんじゃねえの?」


「そ、それは……うぅ」


そこで遂に、キジカは頭を抱え込んでしまった。


最早、どうする事も出来ずに……と、ばかり思われていたが。


そんな彼女へと、博士の口を伝い光明が差し込む。


「う〜ん……良い方法か。まあ、無い事も無いかも」


「本当!?なになに、どんな方法なのよ!?」


「ちょ、キジカ落ち着いて……」


彼女のその言葉に、キジカはすぐさま食い付いた。


そんな彼女は必死の形相で博士へと迫り、その肩を掴み。揺さぶるようにして続きを話すよう促す。


すると、博士はログマを横目にこう言うのだった。


「…………ほら、そこに丁度良い奴がいるじゃないか。この言葉の意味、賢い君ならもう分かっただろう?」


そう……性悪それを使えば良いと。



彼女等の視線が、一斉にログマへと向けられる……


「な、なんだよ……?」


一方、視線それに何事か嫌な予感を覚えたのだろう。彼は後退りを始めた。


だが、それはキジカによって止められてしまう。


博士の言葉に隠された真意。

性悪それを使えば良い……『隠蔽工作には、彼を使えば良い』と。


それに気付いた彼女によって、彼は動きを封じられてしまったのだ。


「おい、まさか……嘘だろう?ちょっと待」


とは言え、ログマも勘付いてはいるようだ……が、一歩遅かった。


「…………そっか!!

博士の言いたい事って、そう言う事なのね!!」


キジカははっとしたような表情で、後退するログマの手を握りこう言う。


「お願いログマ!今だけ!今だけで良いの!!


今だけ婚約者のフリをして頂戴!!そうすれば挙式も何とかなるわ!!」


しかし、やはりと言うべきかログマは反発する。


「いやいやいやいや!バカ言ってんじゃねえよ!いくら何でもそれは流石に」


「ログマ、約束は約束だろう?君はもうキジカのモノなんだ。反抗は良くないよ?」


……が、突如として加勢して来た博士に彼の言い分は遮られ。


「そうよね!ログマは私のモノなんだものね!なら、きっとやってくれるわよね!?」


キジカからは更に強要……いや、懇願され。


「お前ら本当に何言って」


そして、再度の反発も。


「うわっ……!?お、おい何すんだ博士!?」


とうとうログマを羽交締めにし、無理矢理に事を進めようとする博士にまた邪魔されてしまい。


「よし!!そうと決まれば急がないと!!


これから挙式までの間に、王族の作法教養その他あれこれ……ありったけの知識をログマに叩き込むんだ!!」


「頑張ってねログマ!私も手伝うから!」


そうして、遂にログマは。


彼の意思とは無関係に始まった作戦(?)のために。二人によって何処かへと引き摺られてゆくのであった。


「お、おい待てって!!止めろって!!お前等本気で言ってんのかよ!?


畜生!!ふざけんじゃねえぞ!!


誰か!!誰か助けてくれ〜!!」

いいね、感想等受け付けておりますので頂けたらとても嬉しいです、もし気に入ったら…で全然構いませんので(´ー`)

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