六十七話 戦いの終わりに
簡単なあらすじ『キジカ、ログマ、博士、ベスカとの戦いに勝利する』
「…………ん」
目を覚ましたキジカは、自身が床に就かされていた事を知った。
そんな彼女の隣には、未だ夢を見るログマと、それと焚き火に薪をくべる博士。
そして、三人の周囲には一人と良く似た人形ではなく、代わりに沢山の木々が立ち並んでいた……どうやら、博士が二人を魔王城の外へと運び出してくれたようだ。
キジカもそう考えたらしく博士を見遣る。
すると、その視線に気が付いたのか彼女もまた王女に視線を向け、こう言うのだった。
「おやキジカ、目が覚めたんだね」
「え、ええ……」
しかし、キジカの返事には何処か迷いのようなものがあった。
……かと思えば、今度は急に意を決したような表情をし、彼女はこう続ける。
「ね、ねえ博士……終わった、のよね?
本当に、これで…………」
そう、事実として彼女は迷っていたのだ。
事の顛末を見届けたであろう博士へと、それが本当に結末であるのか。
尋ねるべきか、聞くべきか否かと。
すると、博士もそれに気が付いたのか、彼女は穏やかな口調でキジカに返答した。
「ああ、その通りさ。終わったよ。
全て、終わったさ……私達の勝利でね」
「そう…………本当に、終わったのね」
それを聞き、安堵したのか胸を撫で下ろすキジカ……しかし。
「でも、それなのに……何故かしら。
また、涙が出てきちゃったわ……」
彼女の瞳からは、本人ですら道理の分からぬ涙が流れ落ちるのだった。
「キジカ……」
博士はそんなキジカを見、すぐに彼女へと身を寄せその背に手をやる。
だがそれでも、キジカの涙が止まる事は無かった……
「おいおい、勝ったってのになんてツラしてんだよ」
いつの間にやら覚醒していたログマが。
そう言って彼女を揶揄う、その時まで。
「ロ、ログマ……!!起きてたの!?」
「そりゃあ、隣でこうもピーピー泣かれちゃな。誰だって嫌でも起きちまうぜ」
「もう!うるさいわね!
そんな事言ったって仕方ないじゃない!
……お母様はあんな顔をするし。
お兄様もお兄様で、最後にあんな事を言うし。
それを聞いてから涙が止まらなくなっちゃうしで……私だってもう、訳が分からないのよ!!アナタにどうこう言われたくないわ!!」
「へいへい、それは悪かったな……と、言いたい所だが。謝るつもりは無いぜ。むしろ感謝して欲しいくらいだ」
「はぁ!?何また訳わかんない事を……ひゃっ!?」
不意にログマがキジカの頬を撫でる。
彼女はそこで初めて、両の目が雫を落とす事を止めたと知り。
「お前の目、これ以上泣き腫らさなくて良くなったんだからよ。俺のお陰でな」
「………本当に、アナタって人は」
そして、それと代わるかのようにして彼女は白い歯を溢すのだった。
……とは言え、その笑顔は。
「ふむ、血を分けた家族との別れを乗り越える程のものってワケか……キミ達の友情ってヤツは。
いや、それとも…………愛、かな?」
「「は、はぁ!?」」
「ちげえよ!!」「違うわよ!!」
今度は博士が二人を茶化した事によってすぐさまに引っ込み、また朱にも染められてしまうのだが。
「大体、何で俺がこんな奴と……」
「はぁ!?それはこっちの台詞よ!!」
「…………まあまあ、二人共。
全員目を覚ました事だし、そろそろ街に戻って食事でもしようよ」
その後に始まりかけた口喧嘩を博士が止め。
彼女の話に賛成し街に戻った三人はまず宿を取り。夜には酒場へと向かい、そこで祝杯をあげた。
体力も、魔力も限界に近かったのであろう。
キジカは自身でも信じられぬ程よく食べ、よく飲み。
ログマも珍しく、今夜の彼は顔が赤くなるまで酒を堪能した。
そうして夜も更け、皆が部屋に戻ろうとしたその時。
キジカが、ログマの服の袖を引いた。
自室へと誘いたいのだろうか……だがその表情はやや険しく、そんな彼女は真っ直ぐな瞳でただひたすらにログマを見つめている。
どうやら、浮ついた理由などでそうしている訳ではなさそうだ。
そして、それを見たログマはと言うと。
何かを感じ取ったのか無言のまま頷き、彼女の自室へと入り行くのだった。
キジカとログマ。
彼女等は以前そうしたように、キジカがベッドに腰掛け、ログマが椅子に座り彼女と対面する……と言う形で、それぞれがその場に腰を据える。
「で?何だよ?話があるんだろ?」
直後、ログマが言った。
すると、それを皮切りとしてキジカは語り始める……
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