五十五話 博士の亡霊
簡単なあらすじ『キジカとログマ、博士の亡霊に出会う』
数分後、漸く落ち着きを取り戻した二人の前には。
やはりと言うべきか、博士がいた。
ただし亡霊ではなく正真正銘……いや、多分。
いや、恐らくは。いやいや、きっと。
そう、低率かもしれぬとは言え本物のタイヨー博士が。
「……じゃあ、本当に」
「貴女は幽霊でも何でもない、本当の本当に本物の博士なのね?」
とは言え、目の前の亡霊が未だに信じられず、二人は口々にそう問い掛ける。
「ああもう、さっきから言ってるでしょ……そうなんだって!!本物だって!!アタシはこうして生きてるの!!もう分かったでしょ!?」
するとその問いに、博士はうんざりとした様子で答えた。
「でも、貴女はあの時の爆発で……」
だがしかし、それでも引き下がらないキジカ。
そこでまた、博士はこう答え。
「うん、確かにそれで木っ端微塵に弾け飛んだよ。
でも……そうなったのは『予備の身体』でね。
本物の身体は残していたんだ……あの袋の中にね。
と言うか、まだまだ沢山あるよ?流石のアタシも、本当に死んじゃったら困るからね……もしもの時のために、そう言ったモノも作っておいたんだ」
漸く本当に、信じる事が出来たキジカは。
「…………博士!!
良かった〜!!本当に良かったわ〜!!」
性悪と代えるかのようにして、今度はその胸に博士を強く抱き留めるのであった。
「おや……王女様は本気で心配してくれてたんだね。
良い子良い子、優しい子だ……ほら、泣かないで。アタシはちゃんとここにいるから」
今日で何度目となるだろう、再び泣き出したキジカの頭を撫でる博士。
「俺も安心したよ、博士。
それと、礼を言わせてくれ……ありがとな、お陰で助かったぜ」
それと珍しくも寄越されたログマの謝辞を聞いた、彼女は……
「ログマ……まさか君に礼を言われる日が来るとは夢にも思わなかったよ……おっと、そうだ。
それならアタシも言いたい事があるんだ。
ログマと、それと王女様、二人にね」
「ん?俺達に?一体何だってんだよ博士?」
「なあに博士?何でも言って!」
「そっかそっか、それなら……
そろそろ、お説教を始めさせてもらおうかな。
…………二人共!!
よくもアタシの家を壊してくれたな!!
覚悟は出来てるんだろうねぇ!?」
「「……!?」」
ああ……感動の再会のはずが、どうしてこうなってしまったのだろう。
博士は今の今までひた隠しにしていたと思われる怒気を露にし、二人へとそれはそれは恐ろしい顔で詰め寄るのだった。
「いや、その……でも、転生者達がいてだな……そ、そうだよ!!だからこれは、緊急事態だってさっきも……!!」
「そ、そうなのよ博士!!仕方がなかったの!!私達、悪気があって貴女の家を爆破したわけじゃ」
「だーかーらー!!
それはそれ!!これはこれ!!
二人共、罪はきっちり償ってもらうよ!!」
「「…………ご、ごめんなさい」」
そうして、二人は沈黙する。
ただし今度は強制的に。
しかも正座までさせられ、痺れに悩む脚を摩りながら、である。
「……報告致します。
昨夜、転生者の二人が……」
「なるほど、結局は私が動かねばならないと言う事か…………面白い。
馬車の用意をしてくれ、明朝に出る。
それと、『アレ』も連れ行く。奴にそう伝えておいてくれ」
四章 完
『五章 Obligatoでは終わらない!』に続く
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