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83話 お店の紹介

「それにしても、レアちゃんは凄く強いんだね!」


 マキさんもパーティに加え、森を抜けて街に戻る途中の草原で私はふとマキさんからそのように声をかけられました。


「まあ私はこのゲームをしてすでに結構経ってもいますし、自分で言うのもあれですけど、このゲーム内では多分トップの実力を持っているとも思いますしね」

「そうなんだ〜!」


 私の返事にマキさんは納得するかのような声色で、そのように言葉を発します。


 そして小さいのに凄いんだね!とも続けて言ってきたので、その言葉にルミナリアは顔を全力で逸らして笑いを堪えているのが確認出来ています。


 やっぱり私、もしかしなくてもマキさんから子供だと思われていますよね…?


 というか、ルミナリアは笑ってないで訂正をしてくださいよ!


「…私、これでも十五歳なんですけど」

「え!?あ、その…な、なんかごめんね…?」

「…いえ、この身長では仕方ありませんしね。…ちなみに、何歳だと思ってたのですか?」

「…………十歳くらいだと」


 それを聞いたルミナリアはついに笑いを堪えられなくなったようでケラケラと声に出して笑いだしたので、そんなルミナリアを私はキッと一睨みしてから申し訳なさそうにしているマキさんへと視線を戻します。


「はぁ、まあいいですよ。どうせこんな小さい身長をしてますし、その反応には慣れっこですしね」

「…ご、ごめんね?」

「そこまで深く落ち込まなくても大丈夫ですよ。それとルミナリア、笑うのはその辺にしてないとその頭を撃ち抜きますよ」

「ご、ごめん…!」


 ルミナリアはなんとか笑いが収まったようで、笑いすぎて出た涙を拭ってからそう返してきました。


 全く、ルミナリアも笑いすぎですよ!


 そうして話がひと段落してからも歩き続けていると、やっと初期の街の東門に着きました。


 それと、今は初期のエリアなので街へは早く着くことが出来ましたが、ここから先のエリアはかなり広いので気をつけてください、とも私は軽く二人に説明をしておきました。


「では、私のフレンドのお店に案内しますね」

「オッケー、任せる!」

「お願いするね!」


 私はそこから二人を連れて街を歩いていきますが、二人を連れていたとしても、やはり他のプレイヤーたちからの視線がこちらに集まってしまっています。


 ルミナリアは特に気にしていないようですが、マキさんは少しだけ居心地が悪そうにしているので、申し訳ないことをしてしまいましたね。


「マキさん、マキさんはどんな武器を使うのですか?」


 なので、私は気を紛らわすためにマキさんへそのように質問をしました。


「あ、私?私が使うのは斧だよ!」

「斧ですか。…斧!?」


 流石に斧を使うとは思っていなかったので、私は思わず二度聞きしてしまいましたが、それも仕方ありません。


 マキさんはこの世界では機械人の種族ですが、それでも見た目からはそんな力を持っているようには思えませんしね。


 それに活発そうな顔立ちではありますが、そこまで重いものを振り回すようにも見えないので凄くビックリしました。


 ルミナリアも流石に斧を使うとは思わなかったようで、私の隣で驚愕の表情を浮かべています。


「うん、実はおじいちゃんが木こりでね。そこで使わせてもらったこともあるから斧にしたの!」


 今はもう斧は使っていないけど、やっぱり初めて使った時の感覚がまだ残っていたからね〜、とマキさんは続けて言葉にします。


 なるほど、木こりですか。現代では斧で切り倒しはしないでしょうけど、マキさんのおじいちゃんということは昔から生きている人だろうとは思いますし、その影響なのですね。


「っと、着きましたよ」


 そんな話をしているうちに、目的地であるアイザさんのお店の前に到着しました。


 私はそのままお店の中へ案内をしますが、私の隣にいるマキさんとルミナリアは内装を見て感嘆の声をこぼしています。


 まあそうはなりますよね。私も初めて鍛冶屋のお店に入った時は凄いと思いましたしね。


「マキさんの使う斧なら、多分ここにあるので探してみてはどうでしょうか?」

「そうだね!ちょっと見てくる!」


 私の言葉を聞いたマキさんはワクワクとした感情を隠さないで、早速とばかりにお店の商品を見ていきます。


「レア、私は?」

「ルミナリアの武器は銃ですし、あるかはわからないですが一応聞いてみましょうか。アイザさーん!いますかー!?」


 私はフレンドリストにログインしていると書かれているので、お店のカウンター辺りからアイザさんを呼んでみます。


 すると何やら物音がしたと思ったら、こちらに歩いてくる足音が私の耳に入ってきました。


「誰だ?っと、なんだレアか」

「こんにちは、アイザさん」


 そしてカウンターへ出てきたアイザさんに、私は挨拶をします。


 アイザさんは挨拶もそこそこに、何か用か?と聞いてきたので、私はまずルミナリアについて説明をして、銃があるかどうか聞いてみます。


「銃か…」

「やっぱりありませんか…?」


 私の言葉にアイザさんはニヤリと笑みを浮かべ、続きを答えます。


「いや、あるさ。…そうだな、確かルミナリアと言ったな?売る前にお前さんの銃の腕前を見せてくれないか?」

「別にいいけど、なんで?」

「俺は特殊なクエストで銃のレシピを知ったんだ。なら、キチンと使いこなせるやつにしか売りたくないからな」


 アイザさんのような生産職のプレイヤーにもユニーククエストのようなものがあるのですね!


 それは初耳でしたが、私は特に探してもいなかったですし普通に存在したのでしょうね。現にアイザさんはクリアしているみたいですし。


 それと、それで作った銃についても実力があるやつにしか売りたくないとのことですが、ルミナリアなら腕前は十分ですし多分大丈夫でしょう。


「なら、早速やろうか!で、どこでやるの?」

「この店の裏手に開けた場所があるから、そこで軽く見せてくれ」

「オッケー!」

「あ、私はここで待っているので、終わったら呼んでくださいね!」

「わかった、じゃあまた後でな」

「いってくるねー!」


 そう言ってアイザさんとルミナリアの二人はお店の裏手に消えていきました。


 今はマキさんもいますし、そちらを見ておきますか。




「戻ったよー!」

「あ、おかえりなさいです、ルミナリア。それとアイザさんも」

「おう」


 そうしてマキさんの気になったらしい質問にわかる範囲で答えながら待っていると、結構早めにお二人が戻ってきました。


「その様子だと、認められたようですね?」

「うん!これで初期装備とはお別れだよ!」


 そんな言葉と共に、ルミナリアは二丁の拳銃を見せてきました。


 その拳銃の見た目は二丁とも黒一色ですが、初期装備である安っぽい感じの銃とは違ってしっかりとして作りなのも確認でき、結構いい感じの性能をしているようにも見えますね。


「これなら、しばらくはその銃で問題なさそうですか?」

「アイザがしてくれた説明では、今のトップにも引けを取らない強さらしいよ!」

「そんなになのですね?」

「俺が今持てる最高の技術と素材を使った銃だからな!文句は出ないはずだ!」

「なかなかいい性能をしているし、完璧だよ!アイザ!」


 ははは、と二人して笑いながら肩を組みつつ返事を返してくれました。


 何というか、いつのまにか凄い仲良くなってますね?ルミナリアはコミュニケーション能力がかなり高いとはいえ、ここまで仲良くなるとは流石です。


 まあ私の見た限り二人の相性はかなり良さそうですし、なるべくしてなった、といったところですね。


「そういえばアイザから聞いたよ!レアって有名人だったんだね!」


 そしてルミナリアからそのように聞かれたので、私はちょっとだけ恥ずかしいですが、素直にそれに答えます。


「一応、有名ではあるとは思いますね。というかアイザさん、そんな恥ずかしいことを言いふらさないでくださいよ!」

「がはは、いいじゃねぇか。どうせすぐに知られるだろうしな!それにここまでの道中の反応を見れば、簡単にわかりもするだろ!」

「そ、それはそうですけど…!」


 私はアイザさんに視線を向けて頬を膨らませますが、そんな私を見たマキさんは何やら思考したと思ったら、もしかして……と言葉を続けてきました。


「…レアちゃんって、PVにも出ていたあの白髪の女の子っ!?」

「今更ー?私はすぐにわかったけどね!」


 マキさんの反応にルミナリアはそう言葉をかけ、ニヤニヤとしたような表情でこちらを見てきます。


 …その反応になんとなくムカッとしたので、インベントリから双銃を瞬時に取り出してルミナリアの頭目掛けて銃弾を撃ちましたが、それは咄嗟に頭をズラすことで回避されました。


「…ちっ、当たりませんでしたか」

「いま舌打ちしたよね!?」

「いえ、してませんよ?」

「いや、それ以前に店の中で武器を使うなよ…」


 嘘だー!とプンスカしつつ文句を言ってくるルミナリアとため息をついているアイザさんを私は無視して、先程のマキさんの言葉に私は答えます。


「多分、それであってますよ。その時は初めてのイベントで準優勝になりましたし、それででしょうね」

「いや、それだけじゃなくて、レアの可愛さに皆魅了されたんだと思うぞ?」

「まさか、そんなことはありませんよ」


 私はアイザさんの言葉に否定を返しましたが、アイザさんだけではなくルミナリアまでこちらをジトーッとした視線で見つめてきます。


「な、なんですか、言いたいことがあるなら言えばいいじゃないですか!」

「じゃあ言わせてもらうが、お前さんはこのゲーム内でも一番と言っていいほどに可愛いからな?」

「レアは昔からそういうのに疎いけど、少しは自覚しよ?」

「わ、私もレアちゃんは可愛いと思うよ!それで記憶に残っていたし…!」


 三者三様で、私に向けてそのように言ってきました。


 前にも兄様やカムイさん、アリスさんから言われましたけど、そこまでなのかは自分でもどうしてもわかりませんが、これまでの反応からしてもしかして私は相当可愛い、のですかね?


「あ、やっと理解出来た?」

「…いやいや、こんな私よりも可愛い人はたくさんいますよ」

「…頑固だな、おい」


 ルミナリアとアイザさんはため息をついていますが、そこまでではないとは思います!だから、私を見てため息をつくのはやめてください!


「…まあそれはもういいか。で、レアはここからはどうするんだ?」


 一旦話を区切ったアイザさんは、ルミナリアの武器は確保出来たんだろ?と続けて言ってきました。


 そんなアイザさんへ私は頷いてから、言葉を発します。


「そうですね、ルミナリアの武器はこれでいいですが、後はマキさんの武器である斧を買いましょうか」

「了解、マキとやら、気になった斧はあるか?」

「あ、はい!これなら今の私でも使いこなせそうなので、これでいいですか?」


 そう言って、マキさんは今まで持っていた商品である一つの斧をカウンターの上へと置きます。


 その斧は、鉄塊くらいなら容易く両断出来そうなくらい鋭い刃を持った片手斧の見た目をしており、大きさは私より少し小さいくらいで武器としては結構大きめのようです。


 マキさんからするとそこまで大きくはないようですが、こんな重そうなものを振り回せるのでしょうか?


「大丈夫だ。値段は……だが、問題ないか?」

「はい、初期のお金があるので、何とか払えます」


 そんな思考をしている私を置いて、マキさんはその斧をアイザさんから購入しました。


「うーん、ほとんどお金がなくなっちゃったなぁ…」

「この後は服屋さんにも案内をしようと思ってましたが、厳しそうですね?ルミナリアもお金は使いましたし」

「んーん、私は大丈夫だよ。アイザからはタダで貰えたしね!」


 そう言葉を漏らすマキさんと、その隣でニコニコしているルミナリアへ私はそう声をかけますが、マキさんはともかくルミナリアは特にお金を使わないで買えたようです。


 それなら、マキさんは買えるのは今度になりそうですが一応二人をレーナさんに紹介でもするのはアリですね。


「わ、私は大丈夫だよ!レアちゃんは忙しいんでしょ?」

「ルミナリアのついでですし、今日は特に予定もないのでそんな心配しなくてもいいですよ」

「で、でもレアちゃんは有名人なんでしょ?そうだとしたら、特に知らない私なんかが一緒にいたら困るんじゃないかな?」


 マキさんの言葉を聞いた私は、アイザさんへジトーッとした視線を送ります。


 それにアイザさんはすまなそうに私から顔を背けたので、私は仕方ありませんね、と少しだけため息をついて許します。


 アイザさんも言ってましたが、どうせすぐに気づかれはしたでしょうしね。


「…いえ、人の視線が集まるのや私と一緒が嫌なら別に何も言いませんが…」

「そんなことないよ!」


 私の言葉にマキさんはそう強く否定をした後、ハッとして強く言ってごめんなさいと返してきました。


「…じゃあ、一緒してもいいかな?」

「もちろんですよ!ルミナリアもいいですよね?」

「私も全然問題もないよー」


 二人とも特に問題もないようですし、では早速レーナさんのお店に向かいましょうか!


 善は急げと私はアイザさんへ、それでは私たちはこの辺でお暇しますね!と言ってルミナリアとマキさんを連れてお店を出ていきます。


 私の背後では、アイザさんがまた銃が欲しくなったら寄るといいぞ、とルミナリアに声をかけているのが聞こえてきましたが、それに反応して返事をしたルミナリアは少し遅れて私たちに着いてきます。


 では、早速行きましょう!




「よし、ストレッチをした後はリビングに降りてご飯の支度をしますか」


 その後は特に話すようなこともなく、レーナさんへルミナリアとマキさんを紹介をしました。


 ルミナリアは、出会ってすぐにレーナさんに自身の装備を作ってもらうのをお願いしましたが、お金がほとんどないマキさんは特に注文はしてませんでした。


 なので、レーナさんへの紹介も済んだ後にお金の稼ぎ方を二人に教えましたが、どうやら同じ初心者ということでお昼を食べたら一緒に狩りにでも行ってくると言ってました。


 私はマキさんとのフレンド交換もしましたし、何か聞きたいことがあったらいつでも連絡をしてきて大丈夫ですからね、とも伝えたので、問題が起きればすぐに連絡がくるでしょう。


 まあ何もないのなら、それでいいですけど。


 私はいつものストレッチを済ませつつそんなことを考えますが、長時間やるわけではないのでストレッチはすぐに終わります。


 そうしてやること済ませた私は、自分の部屋から出てリビングへ向かいます。


 すでに時刻は十一時を少しだけ超えた十一時二十分ですが、兄様はまだリビングには降りてきていないようでシーンとした静かな空間となっていました。


 その中でも私は冷蔵庫の中身を確認して、作るものを決めた後はお昼ご飯の支度にかかります。

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