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58話 ゴーレムの確認

「では、私はそろそろ行きますね!」

「わかったわ〜、なら入り口までは見送るわね〜!」


 そうして私とレーナさんは二人でお店の出口まで向かい、手を振って別れを告げてからそのままお店を出ます。


「さて、今の時刻は五時くらいですし、今日は一旦やめて夜ご飯までは勉強でもしますか」


 テストが終わってからは勉強をしていなかったので、おさらいとして少しやりますか!


 私はレーナさんのお店の入り口から少しだけずれて、クリアも一度送還してからメニューを開いてログアウトをします。




「んー…結構身体が凝っていますし、いつもよりも長めにストレッチを済ませますか」


 一人でそう呟きつつも、私はベッドから降りていつもよりもしっかりとストレッチをします。


「…よし、これでいいですね。では六時半くらいまでは勉強といきましょう」


 続いて私はローテーブルの上に教科書とノートなどの勉強道具を広げ、クッションに座りながら勉強を始めます。


 そうしてじっくりと勉強に励んでいると、点けていたアラームが鳴り、集中していた意識が戻ってきました。


「…もう時間になったのですね」


 すでに結構な時間になっていたようで、今の時刻はちょうど六時半です。


「では、ご飯を作りに降りますか」


 出していた道具達を全て片付けた後、私は自分の部屋から出てリビングに向かいます。


「そうですね……今日の夜ご飯は買ってある魚にして、他のおかずは和食としますか」


 そして作るものを決めた後は、テキパキと料理を始めていきます。


「何か音がすると思ったら、もう料理をしていたんだな」

「兄様!」


 料理をしているとそのような声が背後から聞こえたのでそちらを振り向くと、そこには兄様がリビングに入ってきているところでした。


「まだ七時前なのにもう降りてきたのですね!」

「ああ、ユニーククエストも無事に終わったから、確認後はそのままログアウトして勉強をしていたんだ」


 兄様のしていたらしいユニーククエストもクリア出来たのですね!それに勉強をしていたということは、私と同じでゲームだけしてたわけではなかったようです。


「もうちょっとで出来るので、少しだけ待っていてください!」

「了解。なら、それまではMSOの情報でも見ておくかな」


 そんな兄様の言葉を聞き流しつつ、私は調理を進めていきます。


 今日のご飯は焼き魚と肉じゃが、そしてほうれん草のおひたしという和のメニューです。


 兄様は和食はあまり好きではないので作ることは少ないですが、たまには私も食べたいので今日は作りました。


「兄様、出来ましたよ!」

「お、もう出来たか」


 そう兄様に声をかけた後に皿に盛り付けると、兄様がその料理たちをテーブルへ持って行ってくれたので、準備はすぐに終わりました。


「では、食べましょうか」

「だな、いただきます」


 私たちはそんな言葉を交わした後、食べ始めます。


 今日はいつもの洋食とは違って味付けは控えめですが、意外と美味しく出来ています。うんうん、たまにはこんなものもいいですね!


「やっぱり美幸の作る和食はなかなか美味くて食が進むな」

「ふふ、ありがとうございます」


 兄様もそのように返してくれるので、ご飯を作っている身からするとやはり嬉しく感じますね!


「あ、聞こうと思ってたのですが、兄様がクリアしたと言っていたユニーククエストの報酬とかはなんだったのか聞いてもいいですか?」

「ああ、いいぞ。俺のしたクエストの報酬は美幸と同じでユニークアイテムの刀と、ユニークスキルの強化だったな」


 おお、兄様もユニークアイテムをゲットしたのですね!兄様は未だに持っていないのを気にしてましたし、これで私と同じでユニークアイテム持ちになりましたね!


「兄様もついにユニークアイテムを獲得出来て良かったですね!」

「ああ。だが美幸はさらに獲得しているし、俺ももっと手に入れられるように探しに行くとするがな」


 あ、あはは……私が今持っているユニーク系のアイテムは七個ですし、おそらくプレイヤーの中で一番持っているのも私だとは思います。


 兄様は少しだけ遠い目をしながらご飯を食べています。…この話は誰も幸せにならないので、終わりにしましょう…!


「そ、それと兄様にまた頼みたいことがあるのですけど、いいですか?」

「ん、なんだ?」


 私は兄様にそう声をかけてから、続けます。


「実は、ユニークアイテムのことについてなのですけど……私の武器が銃から剣に変えれるようになったので、今度は近接武器の扱いについて教えてもらいたいのです」

「武器の種類を変えることも出来るようになってたのか!」


 兄様はそんな私の言葉を聞いて少し驚いたのか、一度食べていた手を止めてしまいます。


「そうだな、特訓についてはいいぞ。ならまた時間の空いた時にでもしようか」

「ありがとうございます、兄様!」


 兄様も快く引き受けてくれたので、私は少しだけホッとしました。兄様はかなり強いですし、これなら剣の状態でももっと戦えるようになりそうですね!


「それと美幸、前に皆で新しい街まで攻略しに行くと言ってたが、それはお昼の時に言った通り、明日の午前にでも行こうか」

「わかりました!」


 そこからもさらにMSOについての会話をしつつ食べ進め、食事が終わった後は兄様に食器洗いなどを任せて私は自分のすることを済ませてきます。




「ここは、レーナさんのお店の前ですね」


 ご飯の後にお風呂や洗濯などを済ませてきた私は、再びゲーム世界にログインしてきました。


 今の時刻は大体八時くらいなので、そこまで長くはないですがまあまあの時間はあります。


「新しい街に行くのは明日の午前ですし、寝るまでの時間は行こうと思っていた鉱山で採掘をしてますか!」


 やることを決めた私は、今いるレーナさんのお店の前からこの街の広場へ行き、広場に着いたら即座に転移で職人都市まで移動します。


 そして転移が完了後は、足早に北にある鉱山へと向かいます。


 その道中では再びクリアを召喚して肩に乗せ、さらに歩いていきます。


「夜だからか、お昼の時間よりも人が少なめですね」


 私はすれ違うプレイヤーたちを見つつ、一人そう呟きます。


 今はすでに日が暮れており、辺りが結構暗くなっているせいか、鉱山に向かっている途中ですれ違うプレイヤーの数はお昼に来たときよりも少なく感じます。


 私は【夜目】スキルを持っているので、少しの星あかりだけでもある程度は見えるのでそこまで不自由ではないですが、持っていないプレイヤーからすれば見えづらくて移動も戦闘もしづらいでしょうしね。


 そんなことを考えつつもしばらく歩いていると、いつのまにか鉱山の入り口まで着いていました。


「よし、採掘していきますか!」

「……!」


 肩にいるクリアも、おー!というような感情を感じるようにプルプルと震えています。では、早速していきましょう!




 そうして私は採掘を続け、時間になったので街に戻った後にログアウトをして現実世界に戻り、そのまま就寝としました。




 窓から入る日差しに気づいて目が覚めました。おはようございます、今日は日曜日です。今の時刻はいつも通り七時なので、早速朝の支度を済ませてしまいますか。


 私はベッドから降りてストレッチや着替えなどを終わらせた後は、リビングに向かって朝の支度の諸々を済ませてからしっかりと朝ごはんを食べ始めます。朝ご飯は一日の活力になりますしね!


「美幸はもう降りてきてたんだな」

「あ、兄様。おはようございます」


 私がパンを焼いて食べているそのタイミングで、兄様もリビングへ降りてきました。


「そうそう、美幸。新しい街まで攻略しに行くと言っていたが、それの時間は九時くらいでも大丈夫か?」

「はい、私は大丈夫です!」

「了解、ならその時間に第二の街の広場に集合ってことで」


 兄様のそんな言葉に返事を返しつつも朝ごはんのパンも食べ進め、食事も終わったのでやることもすでに終わっている私は、そのまま兄様に部屋にいると伝えてから自分の部屋に戻り、そのままゲーム世界にログインします。




「…さて、今の時刻は八時より少し前くらいですし、この少しの待ち時間は昨日採掘してきた鉱石でゴーレム錬成でも試してみますか」


 私はログイン後に今いる職人都市から西の荒地へ向かい、人気の少ないところまで移動しました。


「クリア、来てください」


 そしていい感じのところに着いたので、クリアも一度呼び出します。


「……!」

「クリア、今からゴーレムを作るので、見ていてください」

「……!」


 わかった!というように地面をピョコピョコ跳ねて感情を表してくるクリアを尻目に、私は始めに〈錬成陣〉を使用します。


 そして生み出したその陣の上に銅鉱石を五つ並べ、〈ゴーレム錬成〉を行います。


 すると錬成陣の上に乗せていた銅鉱石たちが光り、その光が集合して収まると、そこには前に作ったロックゴーレムとは違う銅の色をした召喚石が生み出されていました。


 ➖➖➖➖➖

 召喚石・ブロンズゴーレム ランク F レア度 一般品(コモン)

 耐久度 破壊不可


 ブロンズゴーレムが宿っている召喚石。呼び出すと錬成した対象が出てくる。

 ➖➖➖➖➖


 鑑定を見ると、どうやらロックゴーレムの時と殆ど同じ説明が書かれていました。


 ロックゴーレムよりは強いとは思いますが、使ったのは銅ですし、そこまで強くはないのかもしれませんかね…?


「次は、鉄鉱石でもしてみますか」


 ブロンズゴーレムの召喚石をインベントリに仕舞った後は、MPを消費して再び〈錬成陣〉を生み出し、続いて鉄鉱石を同じように五つ並べてまたもや〈ゴーレム錬成〉を使用します。


 先程と同様に鉄鉱石たちが光り、それらが収まると今度は鉄の色をした召喚石が出来ていました。


 ➖➖➖➖➖

 召喚石・アイアンゴーレム ランク F レア度 一般品(コモン)

 耐久度 破壊不可


 アイアンゴーレムが宿っている召喚石。呼び出すと錬成した対象が出てくる。

 ➖➖➖➖➖


 鑑定結果もブロンズゴーレムの時とほぼ同じで、特に言うことはありません。


「こちらも、ブロンズゴーレムと同じで後で確認をしておきますか」


 あ、それと鉱石だけではなく、獣系のモンスターの素材で作った場合はどうなるのでしょうか?


 そのことに気になった私は、私の近くでピョコピョコ跳ねて興奮しているクリアをチラリと見つつ、好奇心のままに〈錬成陣〉を出願させてから、ゴルブレン森林で狩っていたハイウルフの爪を二個、牙を二個、皮を一個の合計五個を錬成陣の上に乗せ、〈ゴーレム錬成〉を使用します。


 すると鉱石類で使用した時と同じように光り、光が収まるとそこには灰色の召喚石が存在していました。


 ➖➖➖➖➖

 召喚石・ウルフ型ゴーレム ランク F レア度 一般品(コモン)

 耐久度 破壊不可


 ハイウルフ型のゴーレムが宿っている召喚石。呼び出すと錬成した対象が出てくる。

 ➖➖➖➖➖


 鑑定ではブロンズやアイアンのゴーレムと同じような説明らしく、特にこの説明で確認出来ることはありませんね。


「ハイウルフが出来るかと思っていましたが、ハイウルフ型のゴーレムとはどういうことでしょうか…?」

「……?」


 私は首を傾げて疑問に思います。


 鉱石類のゴーレムはそのまんまでわかりましたが、何故でしょうか…?


 そしてクリアも私の真似をするかのようにスライムボディを傾けるような仕草をしています。うーん、やはりクリアは可愛いですね!


 …まあそれはともかく、とりあえず一度召喚してみますか。


 私はそのウルフ型ゴーレムの召喚石を手に取り、手始めに呼び出します。


 すると私のすぐ目の前に魔法陣が出来て、そこから前に狩ったのと同じような大きさのハイウルフのゴーレムが現れました。


 しかしそのゴーレムを少し観察してみると、呼び出してからも一切動かずに静止しています。


「…もしかして生命ではなくゴーレムだから、自己の思考などがないのですかね?」


 なるほど、道理でハイウルフ型のゴーレムと書いたあったのですか。ということは、いちいち指示をしないと動かないゴーレムと全く同じみたいですね。


 まあそれでも獣型ですから鉱石類のゴーレムとは違う動きも出来るでしょうし、こちらも一度試して見るとしましょう。


「…まだ予定の時間までは結構ありますし、時間まではゴーレムたちの確認といきますか」

「……!」


 ゴーレム錬成には特に時間もかかってなかったので、早速この辺のモンスターと戦わせて確認といきましょう。


 クリアも賛同なのか、ピョコピョコと跳ねて感情を表しています。


 私はそんなクリアを抱き上げてから肩に乗せた後、モンスターを探しに荒地を歩いていきます。


 しばらく荒地を歩いていると私の【気配感知】スキルと【魔力察知】スキルに反応があったので、そちらへと進行方向を変えます。


 反応があった方に行くと、すぐに目的であるモンスターを見つけました。見つけたモンスターはストーンオオトカゲなので、前のロックゴーレムとの比較になるのでちょうどいいですね!


「ではまずは、ブロンズゴーレムから試しますか」


 私はそのストーンオオトカゲからスキルも活かして隠れつつ、一体のゴーレムを呼び出します。


 そのゴーレムは前に見たロックゴーレムと形や大きさはまったく一緒のようですが、見た目が岩ではなく銅になっているので、結構立派に見えます。


「ゴーレム、あのモンスターを倒してください」


 私のその言葉に、ブロンズゴーレムはのしのしと遅めの動きでストーンオオトカゲへ接近していきます。


「…うーん、やっぱり素材を強くしても、思考能力は上がらないようですね…」

「……?」


 そんな私の言葉に通り、ストーンオオトカゲと戦っているブロンズゴーレムは飛んでくる攻撃は一切躱さず、愚直なまでにその銅で出来た拳で殴りかかっています。


 私の肩にいるクリアも、そうだねー?と同意するかのようにプルプルと震えています。


 まあそれでも岩よりも丈夫で硬い銅製だからか、攻撃を受けてもあまり効いてはいないようなので、ストーンオオトカゲには負けることはなさそうですけどね。


「あ、終わったみたいですね」


 そんなことを思考しつつも観察をしていると、いつのまにかHPが削れていたようで、ゴーレムの止めの一撃でストーンオオトカゲのHPを全て削り切り、ポリゴンとなって消えていくところでした。


「ブロンズゴーレムの残りHPは六割くらいですか。劇的な変化はあまり感じませんが、それでも岩製よりは強くなっているみたいですね」


 ここのモンスターがそこまで強くないのもありそうですが、やはり素材を強いのにすればそれだけ基本性能は上がってる感じはします。


「では、ブロンズゴーレムは一度送還して、次はアイアンゴーレムの確認をしますか」

「……!」


 そう決めた私は、再びモンスターを探すために荒地を歩き始めます。

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