221話 理由
「…よし、ナンテさんの家まで到着です!」
手品師であるルーンさんとフレンドになってその腕前も見させてもらった後、私はクリアとセレネの二人を連れてエルフェリンデの上層まで転移で向かい、そこからエリアボスは目指さずにエリア内を練り歩いて薬草などを採取したり襲ってくるモンスターを倒して時間を潰しました。
それによって色々な素材はますます溜まり、私のインベントリへと仕舞われています。モンスターの素材もそうですが、最近は【錬金術】を使うことも少なかったですし、近々また生産をしましょうかね。ちなみに、それによって成長した今のステータスはこんな感じになっています。
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名前 レア
種族 狼人族
性別 女
スキル
【双銃Lv35】【鑑定士Lv24】【錬金術Lv26】【採取士Lv28】【気配感知Lv35】【隠密Lv34】【鷹の目Lv34】【ATK上昇+Lv35】【AGI上昇+Lv35】【DEX上昇+Lv35】【体術Lv70】【気配希釈Lv34】【採掘士Lv15】【INT上昇+Lv31】【第六感Lv32】【飛躍Lv23】【夜目Lv62】【言語学Lv35】【魔力制御Lv29】【魔力感知Lv27】【魔力希釈Lv25】【MP上昇+Lv26】【HP自動回復+Lv25】【MP自動回復+Lv25】【栽培Lv3】【調教士Lv17】【STR上昇+Lv17】【料理人Lv14】【細剣Lv19】【短剣Lv12】【生活魔法】【水泳Lv7】【暗黒魔法Lv3】【釣りLv8】【精霊言語学Lv8】
ユニークスキル
【時空の姫】
EXスキル
【心力解放】【嫉妬の大罪】
所持SP 90
称号
〈東の森のボスを倒し者〉
〈時空神の祝福〉
〈第一回バトルフェス準優勝〉
〈深森の好敵手〉
〈西の湿地のボスを倒し者〉
〈火霊旅騎士の魔印〉
〈時駆ける少女〉
〈蟲惑の暗殺者の弟子〉
〈南の平原のボスを倒し者〉
〈北の山のボスを倒し者〉
〈人業のお気に入り〉
〈世喰の玩具〉
〈天災を鎮めし者〉
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これまでの様々な経験によって全体的にスキルも成長しており、新しく覚えた武技も存在します。
それが【双銃】スキルが三十五になったことで覚えた、無数の弾丸を敵全体に降り注ぐ〈バレットシャワー〉というものです。これは敵が多数の時には大いに活躍してくれるとわかるので、私の唯一の範囲攻撃を出来る武技を覚えたのとても嬉しいです!なので、おそらくは使うことは出てくるとは思います。
いやぁ、こうしてステータスを確認してみると、ゲームを始めた頃よりも強くなれているのがとてもわかりますね!スキルの伸びも悪くないですし、このまま成長出来るように努力しましょうか!
まあステータスに関してはさておき、そんなエリア攻略によって時間は大いに経過したため、時刻はすでに午後の七時半となっています。兄様もダンスパーティがあるからか夜ご飯などを共に早くしたので時間にはまだ余裕がありますが、ナンテさんからは午後の八時前には来いと言われてたため、私はすでにナンテさんの家の前までいるのですけど…
何故、ここに呼ばれたのでしょうかね…?おそらくは護衛対象であるイザベラさんのところに一緒に向かう、とかだとは予想がつきますが、詳しくは知らされていないのでわかりませんね。
…なんにせよ、動かないことには何も変わらないですし、考えてないでさっさと中に入りますか!ナンテさんも待たせてるかもしれないですからね!
「ナンテさん!来ましたよ!」
「おや、レアかい。待ってたよ」
そんな思考を巡らせつつも私はナンテさんの家の扉をノックすると、すぐに返事と共に鍵が開けられてナンテさんが現れました。会ったのは二日ぶりですけど、元気そうでよかったです!
「それじゃ、早速イザベラの元へ向かうよ。すでにイザベラはここにいるから、先にメイド服を着ときなよ」
「あ、ここに来てるのですね!わかりました、早速貰ったメイド服に変えておきます!」
ナンテさんが言うにはすでにここにイザベラさんが来ているみたいですし、確かに準備はしておかないとですね。というか、今からイザベラさんのところへ向かうのかと思いましたけど、どうやらその予想は外れたみたいです。
まあそれはいいとして、移動しながらでいいのでメイド服に変えておきますか。あ、それと仮面型装備のノー・フェイスも付けて、ひとまず姿は狐獣人にでもしますか。私の本来の種族は狼人族なので、この姿ならおそらくはダンスパーティに来るであろう兄様やルミナリアにはバレないですよね?
「おや、姿を変えたのかい」
「はい、流石にそのままだと私とバレてしまいますしね」
ナンテさんに案内されてイザベラさんのいるところへ向かいながら装備と見た目を変えた私でしたが、すぐにナンテさんもわかったようでそのように声をかけてきました。
あまり驚いた様子ではないですけど、この装備たちを作った本人らしいのでそこまでの反応はないのでしょうね。自分が作った装備であり、私へと直接渡してきたのですからそれも当然だとはわかります。全く、ナンテさんの弟子として誇らしくなりますね!
ちなみに、仮面によって変化させた今の私の姿は、黒髪黒目の狐人族の見た目になっており、そこにナンテさんから貰ったメイド服と白色の仮面をつけた姿になっています。
この仮面はアクセサリーの黒蝶の涙とは違ってマーカーを偽装することは出来ないですけど、それについては同時に装備すればいいだけです。
「待たせたね、イザベラ」
「そこまで待ってはいないわ。それで、そっちの少女がレア……かしら?」
そんな確認していた私でしたが、気がついたらイザベラさんの待機していた部屋の前へと着いていたらしく、そのような言葉と共にナンテさんが部屋の中へと入っていきました。
そのため、私も慌てて後に続いて入りましたが、中にあるソファに座っていたイザベラさんからは見定めるかのように視線を向けられたため、ちょっぴり怯んでしまいました。
まあイザベラさんは今の私の姿を見るのは初めてですし、その反応は仕方ないですね。とりあえず、仮面をつけたままでは失礼だとは思うので、今は外して挨拶を返しますか。
「こんばんは、イザベラさん。私はレアです!」
「そう、貴方が今回の護衛をしてくれるのよね?」
「はい、そのためにメイド服もナンテさんからいただいたので、任せてください!」
私の言葉を聞いたイザベラさんは視線を和らげてくれた後、それじゃあ任せるわね、と言ってくれました。
ふふーん、今回のダンスパーティはナンテさんから依頼として引き受けたのですから、きちんと守り切って見せますよ!加えてイザベラさんから聞いたところによると、護衛は私一人のようですし、これは何があってもいいように気をつけておく必要がありますね…!
それと、イザベラさんはダンスパーティに行くからなのか紺色をしたドレスを着ており、可愛くもあり、美しくも感じることができるそのドレスはイザベラさんにとても似合っていてピッタリに見えます…!
「…そういえば、急に行われるダンスパーティですけど、何か理由とかがあるのですかね?」
私はイザベラさんとの顔合わせを済ませてドレスがよく似合っていることを伝えてから、ふと気になったことを口にして二人へと聞いてみると、それについて知っているらしい二人は私に対して説明をしてくれました。
「ダンスパーティが行われる理由は、この国にいる異邦人との関係を深めるものであり、交友関係を築くのが目的らしいわ。…まあ、表向きの理由は、だけどね」
「表向きの理由、ですか?」
それが表向きの理由……ということは、それ以外の目的もあって行われるのだとはわかりますが、一体何なのでしょうか…?もしかして、異邦人が深く関係してくるとかですかね?それなら、ある程度は納得出来ますが…
今回のダンスパーティはこの国のお城で行われるのですから、王族や貴族がダンスパーティの主役であり、そこに異邦人も招かれているのだとは予測が出来ますけど、これがその目的に関わるのでしょうか?まあ、直接二人に聞けばわかりますか。
「それについてはあたしから言わせてもらうが、裏の理由としては貴族たちに先駆けをさせないようにするためのダンスパーティなのさ。まあぶっちゃけちゃうと、貴族が異邦人たちの力をそう易々と利用させないようにという意味合いも込めて、だね」
ふむふむ、このダンスパーティにはそのような意味が込められていたのですね。確かに、この世界においていくら死んでも生き返ることができ、制限なく強くなっていく異邦人……つまり、プレイヤーの力は住人から見ればそうなりますか。貴族という上の立場の人間からすれば、その力はとても魅力的なのでしょうね。
私たちプレイヤーは皆がこの世界をゲームとして自由に行動をしているのでそれに応える人は少ないとは思いますけど、それが住人にわかるはずがないですし、その渇望が悪さをする前に阻止する、というのがこのダンスパーティの真の目的のようです。
なら、この世界の住人であるイザベラさんに何かが起きる可能性は低いのかもしれませんね。だとしても、イザベラさんの唯一の護衛として参加するので油断はしませんし、そのことを聞いたので他の貴族たちに対しても警戒を強めておくことにしますか。私が異邦人とはバレてはいないと思いますが、ダンスパーティに参加するプレイヤーは多いでしょうからね。
「…それとナンテさん、一昨日に頼んだデラブブ子爵の息子さんのその後はどうなりましたか?」
「おっと、忘れてたね。それに関しては多少の罰を与えられはしたけど、今は暗殺者ギルドのメンバーとして鍛えているところさ」
なるほど、あの後のことはナンテさんに頼みましたけど、それを聞く限りは重い罪にはならなかったようですね?それに、暗殺者ギルドのメンバーにもなった、と。なら、これから先にまたクリスさんと会うことはあるかもしれませんね?であれば、その時が来るのを楽しみにして待っていますか!
「それじゃ、そろそろ行かないかしら?」
「おっと、そうだね。それじゃあレア、気をつけていくんだよ」
「わかりました!護衛は任せてください!」
私とナンテさんの会話がひと段落したのがわかったようで、そう言ってソファから立ち上がるイザベラさんと行動に移る私を見て、ナンテさんはそのように声をかけてきました。
気をつけてと言われましたが、もちろん無茶はしないつもりです!イザベラさんの護衛は私だけなのですから、きちんと守り抜いて見せますよ!だから、私に任せておいてください!
そんな自信満々な様子の私を見て、イザベラさんはクスッと笑っていましたが、それは気にしません!
悪意なども感じませんし、単に私のことを微笑ましく思っているだけのようですからね。…まあその反応には少しだけ頬を膨らませてしまいそうになりますが、それをしてしまえばもっとそう思われてしまうだけとわかるので、押さえておきます。
何にせよ、ここからは護衛依頼なのですから、気を引き締めてイザベラさんを守るために頑張りますよ!それと、出来れば兄様やルミナリアたちにもバレないように動かないとですね…!バレてしまえば、こっそりと暗殺者として動いているのが知られてしまうので…!




