216話 次のエリアに
「美幸、明日にゲーム内の迷宮都市でダンスパーティがあるんだが、知ってたか?」
そうしてルミナリアの案内のままにノルワルド黒森のセーフティーゾーンまで向かった私たちは、そのままそこで一度ログアウトをして現実世界に戻ってきました。
そして今は、そんな現実世界で兄様とお昼ご飯を食べているところであり、兄様からそのように誘われたというわけです。
それにしても、兄様もダンスパーティのことを知っていたのですね?ルミナリアも知っていましたが、一体どこからそれらの情報を手に入れているのか…
なんにせよ、兄様の問いかけに答えないとですね。私もダンスパーティについては知ってますし、キチンと答えましょう!
「知ってますよ!迷宮都市のお城であるんですよね!」
「やっぱり知ってたか。俺はいつものメンバーで行くつもりだが、よかったらレアも一緒に行かないか?」
むむ、ルミナリアに続いて兄様からも一緒にどうかと誘われましたね?ですが、ルミナリアと同じでそれは断らせてもらいますよ!私はナンテさんからの依頼で護衛として参加するため、どうしても一緒にはいけませんからね!ちょっぴり申し訳ないですけど、これは仕方ありません…!
「すみません、私はその日に予定があって一緒にいけないのですよね」
「そうか。なら仕方ないな」
兄様も私の言葉に納得したようで、そう呟きながらご飯を食べています。うーむ、最近は兄様と一緒にゲームをする方が少ないですし、こうした場面では一緒に行きたかったですね?でも、仕方ないですか。先に依頼を受けてしまいましたし、また今度時間がある時にでも一緒にゲームをでもするとしましょうか。
「ルミナリアは……まだのようですね。なら、先にさっきの確認をしちゃいますか」
その後は兄様と情報交換をしながらご飯を食べ進め、お互いに食べ終わったタイミングで片付けをした後、再び私はゲーム世界へと戻ってきました。
戻ってきた私はそう呟きながら早速クリアとセレネを呼んだ後、装備メニューを開いて確認を始めます。
実は、ログアウトする前に戦ったレアモンスターとの戦闘が終わったタイミングでシステムアナウンスが流れていたのですよ。そのアナウンスには、私の着けていたゴスロリドレス含む三種の防具に加え、これまたいつも付けている懐中時計と指輪の性能が上がったと載っていたのです。
そのため、ルミナリアもログアウトをしている間に確認をしようと思ったのですよね。ちなみに、上がった性能はこんな感じです!
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黒薔薇ローゼ ランク S レア度 固有品
INT+60
DEF+55
MND+55
耐久度 破壊不可
・成長武装 自身の成長に合わせて強くなる。
・視覚する者 自身の視界が何者にも遮られないようになる。
・見通す者 自身の視力を強化し、見れない物も見れるようになる。
時空神の力が込められた漆黒の薔薇の髪飾り。この髪飾りを付けるものはあらゆる不を見抜くだろう。
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黒棺ザルク ランク S レア度 固有品
DEF+55
MND+55
DEX+60
耐久度 破壊不可
・成長武装 自身の成長に合わせて強くなる。
・〈舞い散る華〉 三秒間だけ自身の全身を黒薔薇の花びらに変えれる。 リキャストタイム五秒
・時空の守護 自身に起きるあらゆる状態異常に耐性を持つ。(状態異常になる確率が大幅に下がり、なった場合も即座に回復する)
時空神の力が込められた漆黒のゴスロリドレス。このドレスを着るものはあらゆる害意から身を守るだろう。
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黒翼フューゲル ランク S レア度 固有品
DEF+55
MND+55
AGI+60
耐久度 破壊不可
・成長武装 自身の成長に合わせて強くなる。
・〈飛翔する翼〉 空中でもう一度ジャンプをする事ができる。 リキャストタイム五秒
・深淵の脚撃 自身の脚部を当てた者の受けているデバフの効果時間を十秒伸ばす。
時空神の力が込められた漆黒のフリル付きレースアップブーツ。この靴を履くものはあらゆる悪意を踏み躙るだろう。
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刻環の指輪 ランク S レア度 固有品
INT+55
MP+30%
耐久度 破壊不可
・黒の加護 自身の受ける物理ダメージを20%減らす。
・白の加護 自身の受ける魔法ダメージを20%減らす。
・成長武装 自身の成長に合わせて強くなる。
・根源の鼓動 自身が与えたダメージ分MPを回復する。
時空神の力が込められた銀色の指輪。この指輪を嵌める者はあらゆる攻撃を拒絶するだろう。
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時空の瞳 ランク S レア度 神器
INT+55
LUK+55
MP+30%
耐久度 破壊不可
・時空神の運命 時空神から特殊な運命を得る。
・成長武装 自身の成長に合わせて強くなる。
・神秘の時計 自身の使う【時空の姫】の消費MPとリキャストタイムを半減する。
・〈巻き戻る時〉 全スキルのリキャストタイムをなくす。(【EXスキル】は除く) リキャストタイム二十四時間
時空神の力が込められた漆黒の懐中時計。この時計を持つ者はあらゆる障害を否定するだろう。
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強化前は性能が今の環境に追い付かれたことでイマイチになっており、性能的には弱めになってきていたのです。これまでにもじわじわと強くはなっていたのですけど、それでもステータスの値などは微妙であったので、今回強化されたのはまさに渡りに船だったわけなのですよ!
いやぁ、最近の装備と比べるとどうしても性能が足りてないように感じていましたが、これでまたもや前線に着ていけるくらいには強くなれましたね!
それに特殊な能力もそれぞれが獲得をしているので、これからの戦闘ではますます頼りになりそうです…!
「…というか、さっきから見えているこの光はなんでしょうか?」
私は装備の確認が終わった後に、周りを見渡しながらそう呟きます。
何故なら、今の私の視界には至る所で淡い光の粒が浮いているのですよね。おそらくは頭装備である黒薔薇の髪飾りについている"見通す者"という能力ものせいだとは思いますが、ちょっとだけ不思議に感じます。
しかも、その淡い光の粒は私の周りに集まるかのように動いているため、本当になんなのでしょうかね、これは?…まあ今のところは悪いことも起きてませんし、気にしないことにしますか。もし何かがあれば、その時に考えましょう。
「お待たせー!」
「あ、きましたね!」
装備などの確認も済んだタイミングでルミナリアも戻ってきたらしく、そのような声が私へとかけられました。ルミナリアも戻ってきましたし、ここからはまたノルワルド黒森の攻略といきますか!すでに攻略をしているようでボスエリアの場所をルミナリアは知ってますし、頼りにさせてもらいますよ!
「レアも準備はいいかな?」
「問題ありません!」
ルミナリアからかけられた言葉に、私はそう返します。お昼休憩の間にやることは全て済ませているため、ここからは長くても問題はないので大丈夫です!今の時刻はちょうど十二時くらいですし、おそらくは攻略は終わらせることが出来ますよね?時間もたっぷりとあるので、今日のうちには終わらせてみせますよ!
「よし、じゃあ行こっか!」
「はい!」
よーし、これからここのエリアボスと戦うのですし、気合を入れておきますか!もちろん、クリアとセレネも頼りにさせてもらいますからね!
『ノルワルド黒森のエリアボス〈ベノムイーター〉を討伐しました』
『ノルワルド黒森のボスを討伐した事により、次のエリアが開放されました』
「…なんだか、歯応えがありませんでしたね?」
「あはは、まあレアモンスターと比べたら、ねぇ?」
「……!」
「キュゥ!」
「コンッ!」
あれから出てくるモンスターを倒しながら森の中を進んでボスエリアまで辿り着いた私たちは、そこにいた私たちくらいなら一口で飲み込めそうなほどに大きい蛇型モンスター、ベノムイーターとの戦闘を始めたのですけど、私の呟いてしまった通り、あまり強くはなかったのですよね。
いえ、決して弱いわけではないのですけど、こちらには私とルミナリア、そしてクリアにセレネとタマモちゃんがいたおかげで特に苦戦もしないで倒せたというわけだったのですよ。まあ強すぎて勝てないよりはいいですし、これについては気にしないでおきますか。どうせ、倒すことに変わりはないですしね。
「んじゃ、ボスも倒したし先に行く?」
「ですね、行きましょう!」
とりあえず、ルミナリアもそう言ってますし、先に進むとしますか!この森の次のエリアはどうなっているのか気になりますし、今はボスのことよりもそちらが優先です!
ルミナリアはすでに行ったことがあるのでしょうけど、この先については聞いていないので私はワクワクしちゃいますよ!では、行きますか!
「…む、川……ですか?」
「そうだよ。この先が、次のエリアに繋がっているの!」
そうしてボスエリアから先を目指して歩いていると、木々が少なくなってきたと思った頃合いに大きめの川が流れているところの前に辿り着きました。
ルミナリアもそう言ってますし、この川がエリアとエリアの境目みたいですね?ここから見えている川は結構な大きさをしているみたいですが、ここを通るための簡易な橋があるため、通るのに苦労はしなさそうです。
そして川から先に広がっているらしいエリアも、先程まで歩いていたノルワルド黒森と同様に森のエリアらしく、鬱蒼とした木々が無数に生えているのがわかります。やはり森の先はまたもや森、というわけですか。私的には森の方が戦いやすいのでいいですけど、他のプレイヤーの中には面倒と感じる人もいそうですね?
「レア、この川を超えてすぐに転移ポイントがあるから、まずはそこを目指そうか!」
「次のエリアにも転移ポイントがあるのですね!わかりました、そうしましょう!」
転移ポイントがあるのなら、まずはそこを目指さないとですね!先に解放をすればいつでも来れるようになりますし、そこまでの案内は再びルミナリアにお願いしますか!
それでは、早速向かいましょう!クリアとセレネも、行きますよ!目指せ、転移ポイントです!
「それにしても、やっぱりレアって強いんだね?」
「ん、そうですか?」
早速とばかりに川にある橋を通って次のエリアである『ミスジリア迷森』を歩き出した私たちでしたが、そのタイミングでふとルミナリアからかけられて声に、私はそう返します。
別に私なんかよりも強い人は結構いると思いますし、そこまで言われる程ですかね…?確かに、そこら辺のプレイヤーと比べれば強いとは思えますけど、それでもまだまだ自信を持って強いとは言えません。なので、そう言われると嬉しいとはいえ、少し複雑です…!
「そうだよ!さっきのボスもそうだったけど、レアモンスターの時も一番活躍していたのはレアなんだから!」
うーむ、ルミナリアからも褒め称えられていますし、やはり自信は持っても良いのでしょうか?どうしても不安になってしまいますが、少しくらいは持っていてもよさそうですね…!なら、その賞賛はありがたく受け取らせてもらいます…!
「…ありがとうございます、ルミナリア。そういうルミナリアだって、活躍してましたけどね?」
「私はレアと比べれば下だけどねー!」
そう言ってルミナリアは笑っていますし、自分の実力はまだまだと思っているようです。ルミナリアだって活躍していたのですけど、私と同じで自信を持つには不十分だと思っているみたいですね?なら、お互いに自信を持てるように意識しないといけませんね…!
「あ、レア!見えてきたよ!」
「おお、アレが転移ポイントですか!」
そんな会話をしながら私たちは森の中を歩くこと数十分。その間は特にモンスターが襲ってくることもなくただただ歩くことができ、気がついたら転移ポイントだという水晶の如き大きめの花がある場所に到着しました。
…よし、これでここの転移ポイントの解放は済みましたし、次に来たくなってもすぐに来れるようになりました!すでに今の時刻は三時半を超えているので流石にここの攻略は出来ませんし、それはまた次回に、ですね。転移ポイントの解放もしているので、これで一応の目的は達成したとみて良さそうです…!
「んじゃ、この後はどうする?攻略はこれで終わりでしょ?」
「そうですね。とりあえず目的だった先のエリアまでは進めましたし、残りの時間はどうしましょうか…」
「なら、この時間は私と一緒にお茶でもしない?ここまでで満腹度もけっこう減っているし、ちょうどいいでしょ?」
ふむ、確かにお茶をするにはちょうどいいですね。ルミナリアもそうみたいですけど、私もここまでの攻略で以外と満腹度が低下していますし、そのお誘いは受けることにしますか。攻略を目指しているとはいえ、急ぎの要件でもないですしね。たまにはこうしてのんびりするのも悪くはないでしょう。
「…では、そのお誘いは受けさせてもらいます!」
「お、よかった!それじゃ、まずは迷宮都市に戻ろっか!そこでいい店を見つけているから、そこに案内するね!」
ルミナリアは迷宮都市にてオススメのお店があるらしく、そのように言ってきましたし、是非ともそこに行かせてもらいますか!私は最近街の散策をしてなかったのであまり詳しくはないため、オススメされるのなら行くしかないですね!




