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214話 ルミナリアとの攻略

「お、レアー!待ってたよー!」

「お待たせしました!ちょっとだけ待たせてしまいましたかね?」


 メイド服からいつものゴスロリ装備へと変えた私は集合場所である広場へと急ぎ気味に歩いていたのですが、やはりルミナリアの方が先に着いていたらしく、そのような声と共に私を呼んでいます。


 一応早歩きで来ましたけど、この様子を見る限りでは少しだけ待たせてしまったかもしれませんね。ひとまずは謝りましたけど、ルミナリアは特に気にしていないらしくニコニコとした笑みを浮かべながら言葉を返してきます。着くのが遅れましたが、気にしていないのならばよかったです!


「んーん、私もさっき来たばかりだから大丈夫!んで、目的地は?」

「一応、ノルワルド黒森にしようかと思ってましたけど、どうですか?」


 今回の目的地についてはまだルミナリアに言ってませんでしたけど、どうでしょうか?いえ、断られるとは思ってないですけど、それでも未だにそこのエリアの攻略なの?と思われる気もするので少しだけ心配になってしまうのですよ。ルミナリアの進捗もわかりませんしね。


「あそこね、オッケー!私はすでに攻略しているし、ボスエリアまでの案内は任せて!」

「あ、もう攻略は終わっていたのですね?それなのに、いいのですか?」

「もちろん!別に何度も行ったらダメというわけでもないし、レアと一緒ならきっと何かがある気もするしね!」


 どうやらルミナリアはすでにあの森の攻略は終わっていたみたいですが、私と一緒に行ってくれるみたいです。それにボスエリアまでの案内もしてくれるというので、これはとてもありがたいですね…!


 しかし、すでに倒し終わっているらしいボスとの戦闘をやらせてしまうというのは、少々申し訳なくなってしまいます…!ルミナリア自身は全く気にしていないみたいですけど、それでも気にしちゃいますよ…!


 まあなんにせよ、案内をしてくれるとのことでしたし頼りにさせてもらいますよ…!目指せノルワルド黒森の攻略、です!それと私と一緒なら何かがあるかもと言ってますけど、私だっていつも特殊なことをしたりしているわけではないのですけどね?


「んじゃ、そろそろ行こっか?」

「ですね。では、頼りにしてますよ!」

「ふふーん、任せて!こっちもレアのことは頼りにしているよ!」


 ルミナリアとパーティを組んでの攻略はかなり久しぶりなので、少しだけワクワクしてしまいますね!前に会ったのは、確かイベントの時でしたっけ?


 あれから結構な日数が経過していますし、私もこれまでにもたくさんの経験を得ているのです!なので足を引っ張ることがないとは思えますけど、油断はしないように気を引き締めておかなくては…!


 それはともかくとして、さっさと目的の森まで向かうことにしますか。ここで口しゃべっていても攻略は進みませんし、わざわざ案内してくれるのですから、この時間のうちに攻略を目指さないとですしね!




「レア!そっち行ったよ!」

「任せてください!〈第二の時(ツヴァイ)〉!」


 そうしてルミナリアと共に迷宮都市からノルワルド黒森へと向かった私たちは、早速森の中で襲ってきたモンスターを倒しながら先に進んでいます。


 出てくるモンスターに関しては前にも遭遇したの変わらず、獣系やアンデッド、コボルトや虫系などと様々ですけど、特に苦戦もせずに倒せているので、やはり私も成長しているということですね!それに、今回は私だけではなくルミナリアたちもいるのですから、これも当然ですか。


 ちなみに、何故ルミナリア"たち"と言うのかというと…


「ナイスだよ、レア!いけ、タマモ!かえんほうしゃ!」

「コンッ!」


 ルミナリアのテイムモンスターである、黄金色の毛並みをした小さめの狐がいるからです。


 この子はタマモという名前らしく、今もルミナリアからの指示を受けて炎のブレスのようなものを敵であるゾンビの群れへと放ち、焼き尽くしているところであるため、私のテイムしている二人と比べても同格の強さなのがひしひしと感じ取れます。


 というか、狐の姿で口から炎を吐くなんて、やはり幻獣だからなのでしょうか?まあそれのおかげでアンデッド系などの群れが出てきた今の状況では助かってますし、気にしないでおきますか。


「効果は抜群だってね!…よし、これで終わりだね!」

「コンッ!」


 ルミナリアのテイムモンスターであるタマモちゃんのおかげもあって、襲ってきたアンデッドの群れは全て倒し切れましたし、やはりテイムモンスターはとても強力なため、心強いですねぇ…


「今更ですけど、ルミナリアのテイムしているその子、なかなかの強さですね?」

「まあねー!そういうレアの連れている二人だって、負けず劣らずだよ?」


 確かにそうですよね。私のテイムモンスターであるクリアとセレネもこの森に入る前に呼んでいましたけど、その子たちの強さに関してもここまでの道中でルミナリアも見てきていますし、そう思うのも当然です。


 今さっきだって、私と共に敵の注意を引きつけつつ攻撃をしてたのを見てましたしね。そのため、テイムモンスターであるこの子たちはこうした攻略の人数が少ない時にとても力になるので、やはりありがたい存在です…!


「まあこれまでにもたくさんの経験をしてますしね!」

「それもそうだねー!よし、じゃあこの調子で先に行くとしよっか!」

「ですね、行きましょう!」


 今はルミナリアと共にノルワルド黒森の攻略をしているのですから、今は先を目指さないとですね!今の所は私のテイムモンスターであるクリアとセレネ、そしてルミナリアが連れているタマモちゃんの力もあって順調ですし、これを維持しながら行きたいですけど……気は緩めないようにしないといけませんね。前のように、油断は禁物です…!


「そういえば、レアはコレを知ってる?」

「ん、何がですか?」


 そしてそこからも出てくるモンスターを捌きながらルミナリアの案内に続くように森の中を歩いていた私たちでしたが、ふとあげたその声に私は疑問を返します。


 知っているかと聞かれましたが、流石に何についてかを教えてくれなくては返事も出来ません。なのでそう返した私でしたが、ルミナリアもすぐに気づいたようでそれについて説明してくれました。


「実は、明日の夜に迷宮都市のお城でダンスパーティがあるらしく、そこにプレイヤーも参加出来るらしいんだ!」


 ふむ、私はナンテさんからすでに聞いていたので知っていましたけど、ルミナリアもそれについて知っていたのですね?しかもその発言からして、そのダンスパーティにはプレイヤーも参加が出来る、と。


 ということは、護衛をするのならばプレイヤーたちにも気をつけておいた方が良いかもしれませんね?まあわざわざ貴族を襲う人なんていないとは思うので、念のためですけど。


「ルミナリアは、それに参加するつもりなのですか?」

「そうなの!もしよかったら、レアも一緒に行かない?」


 むむ、ルミナリアから一緒にと誘われてしまいました…!私も出来ることなら一緒に行きたいですけど、その前に護衛依頼を引き受けることになってしまったので、それには頷けませんね。なので、申し訳ないですけど断らせてもらいますか。


「すみません、その日には予定が入っているので一緒にいけませんね」

「そっかー、なら仕方ないね!」


 ルミナリアはそう口にしながら返事をしてくれましたけど、やはり誘いを断ってしまうのは罪悪感を覚えてしまいます…!しかも、私はそのダンスパーティに護衛として参加するのですから、尚更です。


 もしも護衛任務よりも先に誘われていたのならおそらくはご一緒したでしょうけど、すでに依頼を受けてしまったのですから、仕方ないですよね。後悔しているわけでもないですが、タイミングが悪かったということで。


「…なんだか、モンスターが出なくなってきたね?」

「ですね。気配も魔力も感じなくなってます…?」

「……?」

「キュッ…」

「コンッ!」


 そんな会話をしながらも森の中を歩き続けていた私たちでしたが、ルミナリアも呟いたように、気がついたら定期的に襲ってきていたモンスターの反応を感じなくなっていました。


 …なんだか周りからの音も一切しなくなっていますし、一体何故でしょうか…?モンスターの反応もないため、少しだけ警戒を強めておきますか。もしかしたら何かが起きる前触れかもしれませんからね。


「…とりあえず、警戒はしておきましょうか」

「そうだね。とりあえずはボスエリアを目指すよ?」

「お願いします」


 そう互いに言葉を交わした私たちは、そのままルミナリアの案内のままに森の中を歩くことにしました。さて、警戒はしておきますけど、ボスエリアまで無事に辿り着けるとよいのですが…


「…っ、ルミナリア!」

「んあ!?」


 そんな思考をしながらもモンスターの反応がなくなって森をしばらく歩いていると、突如私の【第六感】スキルに反応が現れたため、咄嗟にルミナリアへと声を出しながら突き飛ばし、私自身は後方に大きく跳びます。


 すると次の瞬間、私たちが先程まで立っていた地面へと無数の氷の槍が突き刺さりました。…咄嗟にルミナリアを突き飛ばしてしまいましたが、それのおかげで避けられたみたいですね。しかし、いきなりだったのでルミナリアには謝らないと…!


「すみません、ルミナリア!モンスターです!」

「助かったよ、レア!モンスターね、了解!」


 ルミナリアへと謝りながら氷の槍が飛んできた方角へと視線を向けると、そこには真っ白な見た目をして青い瞳をした梟が空中に浮かんでいました。


 ➖➖➖➖➖

 ホワイトオウル ランク D

 暗い森の中に生息しているブラックオウルの特殊個体。

 その身には氷の魔力が宿り、それらを扱って獲物を狩る。

 状態:正常

 ➖➖➖➖➖


 鑑定結果をみる限り、どうやらこの白梟はレアモンスターと見て間違いなさそうですね?普通の梟は確か様々な魔法を扱っていましたが、こちらはレアモンスターというだけはあって扱う魔法は氷魔法のみになっているようですし、一応気をつけて戦う必要がありますね。どう考えても、普通の個体よりも強いでしょうし。


「やっぱり、レアといると退屈がしないね!」


 姿勢を正したルミナリアら白梟へと視線を向けながらそう声に出していますけど、別に私がいたから起こったわけではないとはと思うのですけどね?


 私の持つ懐中時計の効果のせいでこのようなレアモンスターと遭遇したののかもしれませんが、それについてルミナリアは知らないはずなので、それだけ私に対して特殊なクエストの発生源、とでも思っているのかもしれませんね。


 まあなんにせよ、今はレアモンスターらしき白梟の相手をしないとですね!おそらくは強さもそれなりでしょうし、気を引き締めていきましょうか!

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