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208話 一息

「…これで終わり、みたいですね」


 身体を両断されたことによってグラッジさんはポリゴンとなって消えていくのが私の感覚に伝わってくるため、どうやらここから形態変化をして再び戦うことにはならなさそうですね?


 完全に消え去るまでは念のため警戒をし続けていましたけど、動き出すことも再生することもなかったので、きちんと止めをさせていたようです。なら、これでボスであるグラッジさんとその配下であった全てのモンスターは片付いたようですし、防衛戦は無事に終わったとみて間違いないようです!


「…これにて、防衛戦は完了ということでしょうか?」

「ん、そうみたい?」

「だね。プレミアも、お疲れ様!」


 私の呟きに近くにいたメイジーさんとマリアナさんからそう声をかけられましたし、やっと終わることが出来たようですね…!


 ふぅ、それにしても、朝早い時間からここにきて防衛戦に参加しましたが、結構疲れましたね。私は無数の雑魚とそれの上位種、そして大元のボスであるグラッジさんと戦っていましたし、この疲れは仕方ないのですが。


 今の時刻はすでに十時を少しだけ超えたところになっているので、やはり結構長い間防衛戦に参加していたみたいです。それだけの時間を費やしていたのなら、ここまで疲れるのも当然でしょうね。


「…よし、防衛戦はこれで終わりのようなので、この後は冒険者ギルドに戻るぞ。そこで、今回の報酬を払わせてもらう」


 おっと、思考に夢中になっている間にこれで戻るといった話をしていたみたいでした。ふむふむ、今回の防衛戦では参加した人たちに報酬が渡されるのですね。まあ当然ですか。普通に考えて、街を守るためとはいえ無償で働かされるのはありえませんしね。


 っと、それはともかくとして、私たちも一緒に行かないとですね。ここまで頑張ったのですし、報酬を受けると必要がありますからね。…まあ報酬についてはどうせお金だとは推測出来ますけど、お金はいくらあっても困ることもないので!


 それでは、指揮官であった男性も周りにいた住人やプレイヤーを連れて街に向かっていくのが確認出来ましたし、私たちもさっさと行くことにしますか!




「んー…っと。とりあえず、お昼の準備に取り掛からないとですね」


 そしてあの後は特に何事もなく冒険者ギルドまで戻った私たちでしたが、防衛戦の報酬はやはりお金だったようで、特に活躍した私には予想よりも多い500,000Gも貰えました。


 流石にそこまでの大金には驚きましたけど、それだけのことをしたということなのでしょう。そのため、断ることはせずにありがたく受け取りました。今のところは使う機会がないのでこれまで通り貯めておきますけど、お金がたくさんあると嬉しくなっちゃいます!ここまでの大金なんですし、よほどのことをしなければそう簡単に尽きることはないはずです…!


 それはさておき、今はお昼ご飯の用意を済ませてこないとですね。今の時刻は少しだけ早めの十時半ですが、先に用意をしておけば兄様が降りてくる頃にはすぐに食べられるでしょう!


 そんな思考をしつつも、私はベッドから降りて入念にストレッチを済ませます。最近はゲームばかりだったので、少しくらいは運動をした方が良いかもしれませんね?学校が始まる前に身体も温めておくく必要もありますし、お昼を食べて休んだ後に買い物ついでに軽く歩きにでもいきましょうかね。昨日に買い物にはいきましたが、その時は悠斗の誕生日パーティに向けての材料しか買ってなかったですし。


「よし、ではリビングに向かいますか」


 そしてストレッチもしっかりと終わらせた私は、そう呟きながら自分の部屋から出てリビングへと向かいます。リビングに降りるとわかりましたが、兄様はまだ降りてきたいないようで、リビング内はシーンと静まり返っています。


 …こうして見ると、やはり人が誰もいないのはちょっとだけ寂しいですね。私たちの両親は共に海外で働いているため、どうしても会えることが少ないですし、やっぱり恋しくなってしまいます。まあそんな思いに耽っていても状況は変わらないですし、さっさと料理に移りますか。


「そうですね……今日のお昼のメニューは豚肉が余っていますし、豚丼にでもしますか」


 冷蔵庫の中を確認して作るものも決まりましたし、早速調理に取り掛かりましょう!豚丼なら肉などを焼いて調味料を合わせるだけですし、すぐに出来るはずです!そのため、すぐに出来上がるとは思うので早めに兄様も降りてきてくれると良いですけど、どうでしょうか?


 というよりも、最近の兄様は何をしているのでしょうかね?前に聞いた時にはエリア攻略を進めているとは聞いていましたが、今まで同じなのですかね…?


「ふんふーん」


 そんなことを頭の中で思いながら、私は手早く豚肉などの材料を切り、炒めています。うんうん、やっぱりお肉の焼けるいい匂いはお腹が空いてきますね!今回はここに調味料を合わせて豚丼にしますし、今からもう出来上がるのが楽しみです!


「お、もう降りてたんだな」

「あ、兄様!もう出来上がるところなので、待っていてください!」


 そうこうしていると兄様もリビングに降りてきたらしく、背後からそのように声をかけられたので、私はそう言葉を返します。もう少しで出来上がりますし、ちょうどいいタイミングで降りてきてくれましたね!これなら出来上がってすぐに食べれますし、ナイスタイミングです、兄様!


「…よし、出来ましたよ!」

「早いな?もう出来たのか」

「兄様が降りてくる前から作ってましたからね」


 そしてそこからすぐに料理である豚丼も作り終わり、私は兄様からかけられた声にそう返しつつ、自分と兄様の分を手にテーブルまで向かいます。


 兄様もそう言ってますけど、豚丼は簡単に作れるうえに降りてくる前に調理に取り掛かっていたのですぐに出来たのですよ!なんにせよ、すぐに食べられるのは兄様も嬉しいみたいですし、私も出来立てが食べられるのは嬉しいです!よし、では見ていないで早速食べ始めるとしましょうか!


「それでは、いただきます!」

「ああ、いただきます」


 私たちはそう声に出した後、待ってましたとばかりに箸を手に取って豚丼を食べ始めます。うんうん、やっぱりお肉はいいですね!豚肉と同時にタレがかかっているお米もとても美味しいですし、上手く作れたと自信を持てます…!


「やっぱり、美幸の料理は美味いな」

「ふふ、ありがとうございます!」


 兄様も美味しいと言ってくれましたし、やはりそう言ってくれると嬉しくなっちゃいますね!これがあるから、私は誰かに料理を作るのが好きなんですよ!悠斗もそうですが、兄様もきちんと美味しいと伝えてくれますし、作り甲斐があるというものです!


「そういや美幸、聞いたか?」

「ん、何がですか?」


 褒められて嬉しくなった気持ちを溢れさせながらニコニコと豚丼をもぐもぐと食べていた私でしたが、そこにかけられた兄様の声に思わずそう返してしまいました。


 いきなり何かを聞いたか問われても、言葉が足りなくて流石にわかりませんよ?主語がありませんよ、兄様…!まあそれはいいとして、一体何のことを聞いてきたのでしょうか?


「すまん、言葉が足りなかったな。実は、公式サイトで今日から一週間後に第三陣が来る、と書いてあったんだ」

「おお、今度は第三陣が来るのですか!」


 確か、前に第二陣が来たのは夏休みの少し前でしたっけ。あれからすでに一ヶ月が経とうとしてますし、そろそろ第三陣が来る時期なのでしょうね。


 第二陣にはフレンドにもなっているルミナリアやマキさんなどがいましたが、今回は特に関わりがある人ではいないはずなので、特に気にしなくても良いかもしれません。ですが、第二回イベントの時の映像が公式サイトにありますし、もしかしなくても初心者プレイヤーの中には私を知っている人がいるかもしれないので、少しだけ心配になりますが……まあ大丈夫でしょう。


 それに何かあればさっさと逃げればいいですしね。なんたって、私はプレイヤーの中ではかなり速いほうであるため、ログインしたてのプレイヤーに追いつけるはずがないので!


「第三陣といえば、美幸はクランとかは作らないのか?」

「クラン、ですか…」


 第三陣に向けてそう考えていると、ふと兄様からそのように聞かれました。んー、クランを作らないかと聞かれましたけど、今のところは特に作る気はないのですよね。


 確かに、仲間同士でクランを作ったり、それによって立てたクラン専用の建物などには興味が惹かれますし憧れますけど、それ以上に面倒そうだと感じてしまうのです。私は別に人見知りというわけではないですし、フレンドもある程度はいます。ですが、それによって生まれる面倒なことなどは極力避けたいと思っているのですよ。


 そのため、私自身でクランを作ることはないとは思います!まあ誘われれば別かもしれませんけど、今のところはそれもないですしね。


「私は、特にクランを作る気はありませんね。そういう兄様は、作ったりはしないのですか?」

「俺か?俺はそろそろいつものメンバーで作ろうかと考えていたな」

「あ、そうなのですか?」


 兄様も私と同じでクランを作る気がないとは思ってましたけど、どうやらいい加減作ろうと考えていたみたいです。


 私は特に詳しく調べてなかったので知りませんでしたが、兄様が言うには、どうやらクランを作ればクランハウスが手に入るだけではなく、特殊なクエストなどが発生したり、さらにはこれまた特殊な生産設備や器具をつけられたりするそうです。


 ほへー、クランを作るとそのようなメリットがあったのですか!私は作る気はありませんでしたけど、それを聞いてしまうとちょっとだけ気になってしまいますね…!


「ご馳走様でした。んじゃ、俺はまたゲームでもしに部屋に戻っているな」

「あ、わかりました!」


 そしてそのタイミングで兄様は自分の分の豚丼を食べ終わり、そう言葉にしながら部屋へと戻っていくようなので、私はそれに言葉を返します。


 兄様は食べ終えるのが早いですね…!量は私よりも多いのですけど、やっぱり男の人だからでしょうか?まあそれはともかくとして、私もさっさと食べちゃいますか!この後は買い物に行く予定ですし、その後は私もゲームをしたいですからね!

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