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197話 打ち上げ

「クオンたちは……まだのようですね」


 そうして職人都市の広場からサクッと転移で雪原都市ノースまで向かった私でしたが、広場にはまだクオンたちは来ていないようなので早かったみたいでした。


 それなら、来るまではここで待っているとしますか。それと、待っている間に最近は呼ぶことが少なかったクリアとセレネも召喚しておきますか。


 別にその二人がいても打ち上げは出来るでしょうし、最近は呼んでなかった罪悪感もあるのでこの機会に呼ぶのも良さそうですからね。それにもっとクリアとセレネと遊びたい気持ちもあるので、これからはもっと呼んだりしましょうか。


「クリア、セレネ、来てください」


 そんなことを考えつつも早速と二人を呼んだ私でしたが、その言葉を発してすぐに私の目の前に二人が現れ、そのままいつもの定位置である肩と首元へと擦り寄ってきます。


 うーん、やっぱりこの子たちはとても可愛いですね!こうして二人に好かれているのがわかると、やはり最近は呼ぶことが少なかったのには申し訳なくなってしまいます…!


 っと、それはいったん置いておくとして、二人にもこれからの予定を伝えておきますか。今から会うのは二人も知っている人たちなので言わなくても良いかもしれませんけど、念のためです。


「クリア、セレネ、今からクオンたちと打ち上げに行くので、二人も一緒に行きましょうか!」

「……!」

「キュッ!」


 どうやら二人も問題ないようで、いいよー!とでもいうような気持ちを私へと伝えてきます。よし、二人も良さそうですし、今は軽く遊びながらクオンたちを待つことにしますか!二人にとってはこの街は初めての光景でもあるので、そこまで退屈はしない……はずです!




「レア、待たせたか?」

「あ、クオン!それに皆さんも!そこまで待っていないので大丈夫ですよ!」


 あれから広場からは離れないように意識しながら、雪が積もっている場所でクリアとセレネを含めた三人で遊んでいた私たちでしたが、気づいたらクオンたちが広場へ来てそう声をかけてきました。


 三人で遊んでいたので気づきませんでしたが、結構早くクオンたちも来ましたね?待っている間は雪遊びで時間を潰していたのでそこまで待った感じもしませんし、全然気にしなくても大丈夫ですよ!


「レアちゃん、昨日ぶりだな!」

「レアちゃー?!会いたかったよ!」

「こんにちは、レアさん」

「皆さんもこんにちはです!それで、打ち上げでしたっけ?」

「ああ。それじゃあ皆も揃ったし、行くか」


 クオンはそう言いつつ私たちを連れて街中へと向かっていくので、それに遅れないように私たちは着いていきます。


 クオンが先頭で案内してくれるということは、今から行くお店はクオンのオススメなのでしょうかね?まあどんなお店でも変なものが出てくることはないと思うので、そこまで心配するほどでもないですね。


 あ、それに打ち上げということですし、あの後については私しか知らないはずなのでこのタイミングでクオンたちにもそのことを伝えておきますか!このくらいなら教えても特に支障はないと思うので、わざわざルルアさんたちに教えていいかを聞くことでもないですしね。


「それにしても、レアはやっぱり格段に強くなっているんだな」


 そんなお店へと向かっている道中で、ふとクオンが歩きながらそのように声に出しました。いきなりの言葉ですけど、おそらくは昨日のカオスドラゴンとの戦闘に関してでしょうけど、そこまでですかね…?


 私的にはまだまだのように思えますが、クオンから見ればそこまで強くなれている、ということだとはわかりますけど…


「だよな!俺もレアちゃんのサポートはありがたかったぜ!」

「わたしとライトも後ろから見てたけど、レアちゃんは自信を持っていいものだよね!」

「僕も、レアさんの動きは凄いと思いました」

「そうですか?別に普通だと思いますけど…」


 皆さんはクオンに続くようにそう褒めてくれますが、私的にはあまり自信が持てないのですよね。それにワールドモンスター相手では分身体ならともかく、本体だとこれでもまだ足りなさそうなのでどうしても自信は持てないです。…クオンたちにしてみれば、それほどのことなのでしょうが。


 うーむ、それなら天狗にはならないように気をつけておかないといけませんが、少しくらいはもっと自信をつけるようにしないとですね。一応これでもトップに立つことが出来てますし、自信をもっと持てるように意識することにしましょうか。


「お、着いたぞ、ここだ」

「おおー、おっきいですね!」


 お店へと向かうために歩きながらそのような談笑をしていた私たちでしたが、いつのまにかお店の前へと着いたようでクオンが足を止めました。


 クオンが立ち止まったそのお店は、外観からはオシャレな洋食屋、といったイメージを感じますね。外観もオシャレなので、これは期待が持ててしまいますね…!


「んじゃ、入ろうか」

「はいっ!」


 そういってクオンが扉を開けてお店へと入っていくので、それに続くように私たちも一緒にお店へと足を踏み入れます。


 中には入るとわかりましたが、やはりここは外観通りオシャレな洋食屋のようで、綺麗な木目が目立つ温かみのある木のテーブルに椅子、落ち着いた色をした壁にオシャレな間接照明など、実にゆったりと出来そうな空間となっていました。


 そしてそんなお店の奥には、キチンと手入れのされているとわかる大きめのピアノまで置いてあるので、おそらくはタイミングが良ければピアノの演奏を聞きながらここで食事を出来るのでしょうね。


 それらを見て、私は確信が出来ます。このお店は間違いなく人気のあるお店である、と。ここまで落ち着いた雰囲気を感じさせるお店ですし、これは期待が高まって仕方ありませんね…!


「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

「五人です」

「では、ご案内しますね」


 お店に入り次第、店員さんからそのように聞かれたのでクオンが私たちを代表してそう答えると、店員さんはそのまま席へと案内してくれました。


 …ちなみに、私のそばにはクリアとセレネもいますが、別にこのくらいの大きさの子なら一緒でも大丈夫なようだったので少しだけ安心しました。


 せっかく呼んだのに、すぐに返さないといけないのは悲しいですからね。まあそれはさておき、注文を決めないとです。


 ここは洋食屋のようですし、メニューもそれにあったものが載っているため少しだけ迷ってしまいますが……よし、ここは定番のハンバーグにしますか。


 ついでに、クリアとセレネの分は前々からあげたいと思っていたカレーライスにしましょうかね。二人は香辛料の入った料理は初めてのはずですし、気に入ってくれるといいですね。


「そういえば、レアちゃんとクオンは何かあったの?」


 そうしてそれぞれが手早く注文を決めて店員さんに伝えた後、ふとメアさんからそのように聞かれました。


 私とクオンで何かあった、ですか…?急な質問ですけど、何を見てそれを聞こうと思ったのでしょうか?別にこれといったこともなかったはずですが、そう問いかけてくるということはそれだけの理由があるはずです。


 が、私はその質問の意味がどうしてもわからず、首を傾げてしまいます。うーむ、どういう意味の質問なのですかね…?


「あ、ごめんね、急に!ただ、前に会った時よりも二人の距離感が近い感じがして、そう聞いたの!」

「なるほど、それでか」


 ビシッ!と効果音がつきそうな動きで私たちを指差すメアさんでしたが、それを聞いて私も理解が出来ました。


 なるほど、そんな意味だったのですね。…って、そんな理由だったのですか…!?た、確かに最後にメアさんたちと会った時の間でクオンと恋人になることが出来たのですし、それのせいで距離感が近いように見えた、ということですかね。


 というか、それがわかるほどにバレバレだったのでしょうか…?…まあ席についている今もクオンと隣同士ですし、自然とそのような動きをしていたのでしょうね。


「そういや言ってなかったが、俺とレアは恋人になったからな」

「ちょ、クオン!?そんな正直に話しちゃうのですか!?」

「だって隠してもバレバレだろ?なら、素直に答えるのがいいだろうしな」

「そ、それはそうですけどぉ…!」


 まさかのごまかしもなく正直に答えたクオンに対して、私は恥ずかしさで顔を赤くしつつ小言を漏らしますが、そんな私たちを見つめている皆さんの視線は納得のようなものを感じさせます。


「やっぱり、付き合っていたんだね!」

「まあわかりやすかったしな!」

「レアさん、よかったですね」

「あ、ありがとうございます…」


 口々にそうお祝いの言葉を送ってくれてますが、流石にこの状況は恥ずかしすぎるのでやめてください…!ま、まあ確かにクオンと恋人関係になれたのは嬉しいですけど、そんな微笑ましいものを見るような視線で見つめないでくださいよぉ…!


「まあそれについてはまた今度にしてくれ。レアが恥ずかしそうだからな」

「ふふ、わかったよ!」

「レアちゃん、可愛いぜ!」

「確かに、この状況ではさらに聞くことは出来ませんね」


 そんな私を見てクオンがメアさんたちを静止してくれたので、微笑ましいものを見つめるような視線は変わりませんが、これ以上聞かれることはなさそうです。た、助かりました…!クオン、ありがとうございます!もしこれ以上根掘り葉掘り聞かれてしまえば、どう考えても私の心が持たなそうでしたしね…!


「ありがとうございます、クオン」

「ふっ、これくらいは気にするな」


 クオンへと感謝を返した私を見て、さらにメアさんたちからの視線が強くなりますが、気にしませんよ!これ以上は、また今度にお願いしますっ!


「ふふ、また今度に聞かせてもらうからね!」

「わかりました…!その時までに、覚悟を決めておきます…!」

「そ、そこまでなのですね」


 メアさんの言葉に返した私の言葉を聞いてライトさんが苦笑しながらそう声に出しますが、これは仕方ないのですよ…!


 私はこれまでの人生で初めて好きになって恋人までなった人なんですし、この気持ちはジェットコースター並みなのです。そのため、これを語るには私の覚悟は必要なんですよ!


「お待たせしました」


 そんな会話をしていると、どうやらそのタイミングで注文した料理が出来たらしく、店員さんが料理を持ってこちらの席まで歩いてきました。


 話に夢中だったので、特に待った感じはしませんでしたね。まあそれはともかくとして、料理が届いたんですし先にこちらを食べるのに意識を向けますか。


 私が頼んだのはハンバーグとカレーライスですが、届いた料理はとても食欲がそそられるはいい匂いと見た目をしており、これは期待が大ですね!


「とりあえず、冷めるまえに先に食べるか」

「ですね!では、いただきますっ!」

「「「いただきます!」」」


 クオンの言葉に皆が頷き、早速私たちは自身が頼んだ料理を食べ始めていきます。


「うんうん、やっぱりハンバーグはいいですね!溢れる肉汁にホロッと崩れるやわらかさ。そして何よりもしっかりと旨みのある肉の味。すごく美味しいですっ!」


 私が今までに食べたハンバーグの中でも、これは片手で数えられる程の順位の美味しさに感じるため、とても美味しくて頬が緩んでしまいます…!


 それにクリアとセレネにあげたカレーライスについても、二人は美味しいようで夢中に食べていますし、このお店はかなり当たりの部類と見て良さそうです!


 いやぁ、これだけ美味しいと身体に活力が湧くといいますか、最高の味で私も夢中になってしまいます!加えてこのハンバーグの味は私では再現出来なさそうな程の出来栄えなので、少しだけ腕前に嫉妬してしまいますね…!


「確かに上手いな。ってか美味すぎないか?」

「だな。そこら辺の料理屋とは比べ物にならなそうに感じるな、俺も」

「わたしもそう思う!これ、美味しすぎじゃない?もしかして、それだけ高いとか…?」

「でも、メニューに書いている通りだとそこまで高くはないですよ?」


 皆もその美味しさに不思議に思っているようですけど、ライトさんが見せてくれたメニューに書いている値段は特に高くもないので、本当に何故なのでしょうかね?まあ値段も高くなくて美味しいのですし、気にしなくてもいいですか。

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