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192話 カオスドラゴン2

「皆さん、大丈夫ですか!?」

「動きが速くなっていたから大丈夫だ!それよりも、これはなんだ?」


 いきなりドラゴンの身体から溢れてきた瘴気でしたが、どうやら私の使っていた〈第一の時(アイン)〉のおかげでドラゴンの近くにいた皆さんは特に触れることもなく回避が出来たみたいですね。


 ふぅ、やはりこれは常にキープしといて正解でしたね!近接組の皆さんはきちんと避けれていましたし、改めてこのユニークスキルの武技は強力なのがわかります…!


 っと、それはいいとして、今はドラゴンに意識を向けないとですね。瘴気を身体から放出したドラゴンはそのまま瘴気を纏うかのようにこの空間内に広げているところのようで、このままだといずれは飲み込まれてしまいそうですね。


 それに見たところ、私たちが先程まで相手をしていた悪魔の使っていた瘴気と同じもののように感じるので、おそらくはこの力も邪神の力の一端ということでしょうか。


 加えて、このドラゴンは邪神の力を力の一部を宿した存在とも悪魔は声高々に言っていましたし、この予想は間違ってはいないはずです。


「…おそらく、邪神の力の一端だと思います。流石にこの規模だとは思いませんでしたが…」

「これが、レアが言っていた邪神の力なのか…」

「というか、このままじゃやばくないか?」

「ですね。まず間違いなく、あれに触れてしまえば不利になるでしょう」


 ヴァンさんのあげた声に、私もそう声に出しながら同意します。


 今までにも悪魔の使ってきていた瘴気などは見てきていましたが、やはり邪神の力だからなのか危険度は次元が違うように感じてしまうのですよね。


 そのため、触れてしまえば状態異常だけで済むかも怪しいです。悪魔自身も使っていましたが、あれと比べてもドラゴンの方が危険そうな雰囲気を醸し出しているため、これではクオンたちは攻撃に映ることは難しそうですね…?


 今も瘴気が溢れ続けているため、私とメアさん、ライトさんによる遠距離攻撃以外では攻撃を当てることも出来ないですし…


「ちっ、どうしたものか…」

「ふむ、あの胸のコアさえ砕ければ瘴気をなくすことは出来そうなのだが…」


 むむ、何やら気になることをルルアさんが呟きましたね?胸のコア、ですか。それを砕ければこの状況を変えれると確信を持っているみたいですけど、何故そんなことがわかるのですかね?


 それにドラゴンの外見からはコアらしきものも見えませんし、それを知っていることにも疑問が湧いてきます。


「…ルルアさん、コアとは何ですか?それと何故それがわかるのですか?」


 なので思わず私がそう聞いてみると、ルルアさんは別に隠すことでもないからか素直にそれに答えてくれました。


「私の目は"特殊"でな。その者の肉体が透けて見える感じであり、それでわかったのだ」


 ふむ、つまりその目のおかげで身体の中に隠されているコアを見抜くことが出来た、ということですか。それならコアがあることがわかっていたのには納得ですね。


 というか、前にチラッと聞いたイザベラさんもそうでしたけど、この世界の貴族の人たちは皆が特殊な目を持っていたりするのでしょうか?偶然だとは思いますけど、どうしても気になってしまいます…!


「そしてそれによって見たコアから、瘴気が生まれているらしいのだ」


 おっと、思考が逸れていましたね。それで、ルルアさんが言うにはそのコアから瘴気が生み出されている、と。つまり、それがあのドラゴンに宿っている邪神の力の源ということであっていそうですね?ということは、ルルアさんのいう通りそれを砕けば今も溢れてきている瘴気はなんとか出来そうではありますね。


 加えてこれは私の予想にはなりますけど、ひょっとするとそのコアの中にドラゴンの体内に取り込まれているらしき無数の生命体がいるとも感じます。


 だって、身体の中に物理的にいるとは到底思えませんし、いるとしたらそこしか予想が出来ないですしね。…よし、それならコア狙いで攻撃をしてみるのが良さそうではあるので、ここは私に任せてもらいますか!


「なら、ここは私に任せてください!」

「何かするのか?」


 私のあげた声に対してクオンがそう問いかけてきたので、自信満々の表情を浮かばせながら私は答えます。


「ふふん、実は私、前にやったクエストの報酬としてこれをもらったのですよ!これなら、瘴気も貫通してコアを撃ち抜けるはずです!」


 インベントリから狙撃銃を取り出しつつ、それに気になっているらしき皆さんへとそう言葉を続けながら私は地面に伏せて狙撃銃を構えます。


 何回か試したことがあるので問題はないですし、この武器の威力なら確実に瘴気ごと貫いてドラゴンへと命中させることが出来るはずなので、今の状況にはあっていると思うのですすよね!


 それに今すぐにあれをどうにかしなければ今もドラゴンから溢れ続けている瘴気に飲まれてしまいますし、クオンたちではどうしようもなさそうなのでこれが最適なはずです…!


「なら、頼む。俺たちではどうしようもないからな」

「ふふーん、任せてください!では、〈死すべき弾丸(デス・ストライク)〉。狙いを定めて……ふっ!」


 そうしてルルアさんが言っていたドラゴンのコアがあると思しき場所を狙いを定め、私は銃の引き金を引きます。


 すると銃声が響くのと同時に弾丸が発射されて飛んでいき、それはドラゴンの周りに纏わりついていた瘴気をも貫通して見事に胸元を撃ち抜きます。


「ガアアアァ!?」


 私の放った弾丸はしっかりと狙いのコアを撃ち抜いたようで、ドラゴンは一際大きな悲鳴をあげて暴れ出しています。


 ふむ、コアを撃ち抜けたからか瘴気が溢れてくるのは止まったみたいですね?しかも今の攻撃でドラゴンのHPは三割まで減らせていますし、反応からしてかなりのダメージを与えられたみたいです。が、即死効果は発動しなかったみたいではあります。まあボスモンスターのようなものですし、納得は出来ますが。


 それはいいとして、コアを撃ち抜けても身体の中にいるであろう生命体は出てきていないようなので、そちらは倒しないと出てこないとみて良いのですかね?まあ今出てこられても大変なことになりますし、それは置いておきますか。


 で、ドラゴンは私の一撃によって暴れている状態ではありますが、瘴気はわずかに空間内を漂っているのを除けばすでにないですし、ここからはクオンたちの出番ですね!


「クオン、それに皆さんも、後はお願いします!」

「おう、任せろ!」


 インベントリに狙撃銃を仕舞いつつ私はクオンたちへとそう声をかけましたが、前衛である皆さんは即座にドラゴンに向けて駆け出していきます。


 よし、クオンたちも攻撃を開始し出しましたし、私も動きますか!とりあえず、先程と同じように全員に加速効果を付与してから攻撃、ですね!


「〈第零(ヌル)第二の時(ツヴァイ)〉、〈第一の時(アイン)〉!」


 早速、加速効果を皆へと与えた私はクオンたちに続くように地面を蹴り、今も攻撃を加えられているドラゴンに向けて接近していきます。


 どうやら、クオンにヴァンさん、アルマさんによる攻撃はドラゴンが纏っていた瘴気もなくなったおかげでいい感じにダメージを与えられているみたいです。しかも暗殺者らしきルルアさんはそんな皆のサポートに徹しているようで、私の加速効果も相まってドラゴンの前足や触手による攻撃も捌けているため、なかなかいい感じに戦えています。


 見たところ私のサポートは要らなそうですし、ここは攻撃に移るとしますか。もちろん、加速効果はキープしつつ、ですけどね!


「〈第三の時(ドライ)〉!」


 なので私は加速した動きを活かしてドラゴンの周りにある壁を飛び交いつつ、ユニークスキルによる攻撃を放ちます。


 そのうえクオンたちやメアさんたちによる攻撃も加わり、ドラゴンに無数の傷がついていくことで徐々にHPが削れていってます。


 よしよし、あと少しで倒せそうですし、このままいきましょうか…!ですが、油断はしませんよ!悪魔によって生み出された邪神の力を宿したモンスターなんです。そのため、最後の最後まで何をしてくるかわかったものではないので気は引き締めておきます…!


「ガルゥ、ガアアアァ!!」

「…っ!やはり、まだ隠していたものがありましたか…!」


 私たちが立て続けに与えたダメージによってドラゴンの残りHPが一割を超えた直後、これまでで一番といえるであろう咆哮をドラゴンがあげます。


 どう考えてもこれが最後の力だと確信が持てますし、これを捌き切れば勝てるでしょう…!それなら、最後まで力を振り絞って倒しますよ…!


「ギガアアァ!」


 そのため私たちは警戒しつつ阻止するために攻撃を放ちましたが、それらは全て瞬時に振るわれたドラゴンの首元に生えていた黒色の触手によって弾かれることで防がれてしまいました。


 しかも、その触手には漆黒色をした禍々しい瘴気が纏われているようで、明らかに触れてしまえば危ないように感じてしまいます。コアを撃ち抜いたのにも関わらず邪神の力を使っていますが、その分精神にダメージを食らっているようで、ドラゴンは狂ったかのように暴れています。


 ふむ、コアがなくなったせいで力の制御が出来ず、本能のまま、あるいは正気を失って錯乱したかのような状態になっている、ということでしょうか?なら、やはり落ち着かせるために倒すしかなさそうですね…


 このドラゴンは悪魔によって無理やり力を宿されたようですし、少しでも苦しみをなくすために倒しましょう…!


「…これは、キッツイな…!」

「明らかにさっきまでとは違うぞ…!?」

「これが本気というわけですか…!」

「私では、攻撃も出来んな」


 早速ドラゴンを倒すべく動き出した私たちでしたが、クオンたち前衛組の全員は高速で振り回される瘴気を纏った触手による攻撃が激しすぎるらしく、なかなか思うように攻めることが出来ていないみたいです。


 ううむ、私の放った弾丸やメアさんとライトさんによる遠距離攻撃も全て対応されているので、明らかに先程よりも強くなってますね…?これは、どうしましょうか…?


このままでは前衛であるクオンたちに疲れが溜まっていってやられてしまいそうですし、出来ることなら早めに決着をつけたいですけど…


 …よし、ならここはアレを使いますか。これを使ってドラゴンを撹乱すれば何とかなるはずです…!ドラゴンは正気を失っていますし、これは効きますよね…!


「〈第零(ヌル)第七の時(ズィーベン)〉…!クオン!」

「任せろ!」


 私の使った無数の幻影を生み出す武技を見て、クオンは阿吽の呼吸で即座に動き出します。やはり、お互いに知り尽くしている関係なので、それだけで私のやりたいことがわかったみたいですね!クオン、後は頼みますよ!


「〈星纏い〉!レアが作ってくれた千載一遇のチャンスだ!見逃さないぞ!〈飛び立つ星光シューティング・スター〉!」


 そうして無数の幻影に惑わされているドラゴン目掛けて、自身の武器のスキルと私の加速効果の二つを活かし、同時に使った武技によって生み出された爆発的な勢いのまま、突進突きを思い切りドラゴンの胸元へと突き刺します。


「ガアアアァ!?」


 流石のドラゴンも弱点らしきコアがあった場所を深々と傷つけられたせいで悲鳴をあげ、激しい赤いポリゴンを撒き散らしてHPが一気に減少していきます。


 そしてその攻撃によってドラゴンの残りのHPは全て削り切れたらしく、徐々にポリゴンとなりつつ力を失って横向きで倒れてしまいました。


 …よし、今度こそこれで終わりのようですね…!最後はクオンに任せる形になってしまいましたが、無事に倒せたようで一安心です…!


 改めて思いましたが、やはりクオンもトップと言えるくらいの実力はありますね。これなら、いつか再びワールドモンスターと戦うであろう時も、頼りになりそうではありますね…!

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