表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/232

187話 暗殺貴族

「まず【瘴魔】についてだが、こいつは俺たちも知っている通り悪魔であり、組織のボスの右腕といっても過言ではない立場にいるらしく、闇魔法と精神支配に長けているそうだ」


 なるほど、その悪魔はボスである貴族と深い関わりがあるのですね。ということは、その貴族が何故邪神について知っているのか疑問でしたけど、その悪魔に精神支配をされて吹き込まれた、といことでしょう。


 それにボスの右腕ということですし、唯一残っている幹部の一人である悪魔はボスである貴族の元にいるの確実ですね。


 なら、私たちが相手をしているその組織を根本から潰すには、主導者である貴族のボスを倒すだけではなく【瘴魔】と呼ばれる悪魔を倒す必要もありそうです。どう考えても悪魔に唆されているとわかりますしね。


 まあその悪魔はアルマさんの復讐相手なんですし、わざわざ見逃すはずがないのでそれに関しては気にする必要もなさそうですけど。


「次に【堕ちた神官】のしていたという実験結果については、クオンも言っていた通り邪神の力を自身に宿すための実験のようで、モンスターに向けて闇を注いでいたのはそれを行っても大丈夫なのかの実験だったらしい。んで、もう少しで完成に至るであろうとも書いてあったな」

「ということは、もしアジトを襲うのが遅れていればこの街が大惨事になっていかもしれないということですかね?」

「その可能性は十分にありますね。僕たちがあそこに行った時にはすでに撤収の準備をしてましたし、危なかったかもしれません」


 ふむ……それなら、かなり危なかったのですね?もし撤収前にあそこに来れてなければ、おそらく邪命教の情報を掴むことも阻止することも出来なかった可能性もあるため、結構ギリギリだったみたいです。


 しかし、そうだとするとあそこのアジトを潰すことが出来ましたし、組織の幹部も二人捕まえたのです。なら、組織の目的らしき邪神の力を己に宿すという目論見は一応阻止することが出来た、といってもよさそうですね?


「俺たちが見つけた情報はこのくらいだが、役に立てたか?」

「それはもちろんですよ!こんな重要そうな情報を見つけてくれましたし、感謝しかありません!」


 そう、私は特に何もしていないため、こうした情報はとてもありがたいのです!確かに、すでに把握している情報ではありましたが、さらに詳しい内容だったので役に立つことは出来てますよ!


「とりあえず、俺たちが見つけた情報はこれで終わりだし、次はその貴族をどうするかを話し合うか」

「ですね。さて、どうしましょうか…」


 そうして私たちは料理を食べながら、貴族をどうするかの話し合いを続けていきます。


「まず、わたしたちの狙っている組織のボスは貴族なんだし、それを偉い人に伝えるのはどうかな?」

「貴族としての立場にいるやつなんだぞ?それなのにポッとでの俺たちがそれを伝えても無駄だろう」

「ですが、先程の情報が書かれていた紙を見せれば納得してくれませんか?」

「それでも、俺たちのような一般人が偉いやつに会えるわけがないし、それは難しいんじゃないか?」


 メアさんの言葉にクオンがそう返し、続けて発したライトさんの言葉にはヴァンさんが反論を返します。


 確かに偉い人にこのことを伝えれば、この組織の問題について解決するのは簡単そうにはなりますが、ヴァンさんの言う通り、そう簡単に貴族などの立場が上である人に合うことは難しいですよね。


「なら、ここは私に任せてもらえませんか?」


 そう全員で悩んでいると、突如アルマさんがそのように声をあげます。


 私に任せて、ですか…?もしかして、アルマさんは貴族か何かと関係を持っていたりするのでしょうか?それとも、何か秘策があったり…?


 …とりあえず、何か考える前にアルマさんの策を教えてもらいますか。どうするかは、まずそれを聞いてからですね。


 アルマさんは悪魔であり、私と対面した時のように暗殺者ギルドに隠れていたのです。であれば、それに関係しているのがアルマさんの策なのでしょうけど、一体どんなものでしょうか。


「アルマさん、何かいい策があるのですか?」

「はい。私は悪魔としてレアさんたちのアジト襲撃に参加させてもらいましたが、実はレアさんにも隠していたことがあるのです」


 クオンの問いかけにそのように返したアルマさんですが、私にも隠していたことがあったのですね。


 当たり前ですけど、全てを教えてくれているとは思ってなかったので別に気にすることではありませんが、わざわざ自らの口でそれを述べたのです。なら、その隠していたことが今の状況に適したものなので話してくれるのでしょう。


 さて、隠していた内容とはなんなのですかね?今の状況に合うなら、おそらくは偉い立場の人と関わりがあるとかだとは思いますが…


「実は私、この国の貴族と関わりを持っていて、その人なら私たちが確保したこの情報を信じてもらえると思うのです」


 ふむ、やはりそういった内容でしたか。アルマさんは自身のことを悪魔と言ってましたし、私が寄った暗殺者ギルドで隠れていたのです。おそらくはそこでその貴族と関わりを持つことができ、こうして話してくれたのだとわかります。


「アルマさんって、貴族と交流があったんだね?」

「まあ単なる仕事相手、といった感じですがね。それで、どうです?私に任せてくれれば、必ずこの情報をその人に届けてきますが…」

「ふむ…」


 メアさんの言葉に苦笑を浮かべながらアルマさんはそう返した後、続けてそうも聞いてきました。


 私的にはアルマさんにお願いして渡してきてもらうというのには賛成ですが、クオンたちはどうでしょうか?


 私はアルマさんから悪魔の本当の生態を聞いているので信用出来ているのですけど、クオンたちはそれを聞いていないですし、そう簡単に信頼は出来ないといった感情がなんとなく伝わってきます。


「その貴族は、大丈夫なのですか?それとアルマさんは本当に貴族と関わりを?」

「まあそう簡単には信用してくれませんか……はい、その貴族は国から頼まれたものをしたりするため、信頼はして大丈夫だと思います。それと、私だけを信頼出来ないのなら、レアさんが一緒に付いて来てくれれば安心出来ますか?」

「え、私ですか?」


 確かにアルマさんだけだと信用出来ないのなら、それは納得ですけど……何故私なのですか…!?アルマさんに付いていくのなら、クオンたちのメンバーの方が良さそうに思えますけど、わざわざ私を指名するのは何故でしょうか…?


「レアが一緒にか。なら、それで手を打つか」

「俺も、レアちゃんが一緒なら信頼出来るな!」

「わたしは別に信頼してないわけではないけど、レアちゃんに頼むのなら反対はないよ!」

「あはは……僕は別にアルマさんだけでも構いませんが、皆さんはそれがいいようですし、申し訳ありませんがお願いします」


 クオンたちは私が行くのに賛成のようなので、これは覆りそうにないですね…?


 別にアルマさんと一緒に行くのが嫌というわけではないですが、これから会うのは貴族らしいので少しだけ緊張してしまいますし、出来れば私も外野から見ていたかったです…!


 まあ決まったものは仕方ないですし、ここは大人の女性として任されることにしますか!全く、クオンたちも少しはアルマさんのことを信頼してくれればいいですのに…!


 …最初に会った時、お前も警戒していただろ、ですか?それはあれです、しばらくの間アルマさんと一緒に行動していましたし、悪魔の生態もしっかりと学んだのでいつのまにか警戒はなくなっていたのですよ!


 っと、話が逸れましたが、ひとまずはこれを先に行うとして、今の時間はすでに六時半を超えていますし、まずはログアウトをして諸々を済ませてきた後、早速アルマさんと行くことにしましょうか!


 なのでアルマさんには申し訳ありませんが、暗殺者ギルドで待っていてもらうことにします。早めに終わらせてくるのでまた、少しだけ待っていてください…!




 それから現実世界へ戻った私は手早く諸々を済ませてきましたが、時刻はすでに八時近くになってしまいました。結構な時間が経ってしまいましたが、アルマさんはいますかね…?


 最後にログアウトをした場所は酒場のような飲食店の前でしたので、まずは暗殺者ギルドへと向かわないとですね。


 ちなみに、クオンたちは待っている間に組織のボスである貴族の情報を集めて待っているということだったので、今は別れて行動をしています。


「…今の時刻はすでに夜になってしまっていますが、会えるのでしょうか?」


 明らかにこの街に向けられた悪意によって危機的状況ではありますが、今からアルマさんに連れられて行くのは貴族なのです。


 そのため門前払いをされる可能性が高そうに感じますし、アルマさんの伝手とはいえ大丈夫でしょうか…?…心配は尽きませんが、今は解決出来るよう出来ることをしないとですね。


「…っと、いつのまにか着きましたね」


 そんな思考をしつつも歩き続けていると、気づいたら暗殺者ギルドの前まで着いていたので、私は早速扉を開いて中へと入っていきます。


「アルマさんは……いましたね」


 中に入り次第見渡してアルマさんを探した私でしたが、遅くなったとはいえ待っていてくれたようで、今は椅子に座りながらカップのようなもので何かを飲んでいるところでした。


 待たせてしまったことに少しだけ申し訳なく感じましたけど、アルマさんの様子を見るにそこまで気にしてはいなさそうですね?だとしても待たせたことに変わりはありませんし、まずは謝罪をしないといけませんね。


「アルマさん、すみません。お待たせしましたか?」

「いえ、私もここで紅茶を飲んでいたところなので大丈夫ですよ。それにその間に面会の準備もしてましたしね。それではレアさんも来たことですし、早速行きますか」

「わかりました!」


 ちょっとだけ緊張しましたが、最初に見た時に感じた通り特に気にしてはいなかったようで安心しました…!それにアルマさんはこの間に貴族との面会の用意をしてくれていたようなので、本当に何から何までお世話になってしまい申し訳なく感じてしまいます…!


 まあそれは一度置いておくことにして、今はアルマさんから今から会う家族に対して聞かないといけませんね。アルマさんは貴族のお屋敷に向かいながら教えてくれるので、きちんと聞かなくては…!


 そこからすぐに暗殺者ギルドを出た私は、今から会う貴族についての情報を聞きつつ、その人のいるお屋敷へとアルマさんの案内に従って歩いていきます。


「今から会う人はこの国に仕えている暗殺者組織の元締めであり、今この国で問題となっている件についてはすでに知ってきるみたいなのです。そしてそれの件で会いたいともすでに伝えています」

「…暗殺者組織のボスなのですね、その人は」

「そうです。それと、先に伝えてはいるので門前払いをされることもないとは思います」


 まさか、今から会う貴族の人が暗殺者組織のボスであるとは思いませんでしたが、ちょっとだけ納得は出来ますね。


 何故なら、アルマさんは暗殺者ギルドによって関わりを持つことになった人らしいですし、それを考えるに暗殺者系の人だと分かるのは当然でもあるので。


 しかし、暗殺者組織のボスである人が今から会ってくれるうえ、信用出来る人なのでしょうか?クオンたち程とはいいませんけど、暗殺者組織のボスということなので少しだけ心配になってしまいますが…


「私は信頼出来る人だとは思いますが、レアさんは会ったこともないので信用出来ないのはわかりますね。まあ私を信じて欲しいとしか言えません」


 そんな私を見て苦笑をしつつもそう言葉を続けてきたアルマさんに、私も苦笑を返してしまいます。


 アルマさんの言う通り、私は会ったことも会話をしたこともないので当然そう簡単には信用出来ませんけど、アルマさんはその人のことを信じているみたいです。なら、警戒してしまうの仕方ないにしても、信用出来るように見定めるとしますか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ