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186話 情報交換

「ゴ、ゴォ…」

「ま、まさか私のゴーレムが…!?」


 そうしてあの後は瘴気もなくなったため特に苦戦することもなく二人で攻撃を加えていき、途中で駆けつけてきたクオンたちとも協力することで見つけたゴーレムのコアを砕き、見事倒すことに成功しました。


 しかし、これで終わりではありません!私たちがここにきたのはあの優男を捕まえるためですし、放心してしまっている今のうちに捕らえておかないといけません!


「そんな、こんなことがあってはならないです!私は選ばれた人なんですよ!?何故こんなことになるのですか!?」

「…救いようがないですね、こいつ」

「ですね。とりあえず、さっさと捕まえますか」


 アルマさんの言葉に賛同を返した私は、すでにポリゴンとなって消えていったゴーレムに意識を向けて頭を掻きむしっている優男へと素早く近づき、その首元へ一撃を与えて気絶させます。


 よし、ひとまずはここでやらなくてはいけないことはこれで完了……あ、組織の目的とボスについて聞き忘れていましたね。すでに気絶させてしまっているので情報を抜き取ることは出来ませんし、これはどうしましょうか…?


「…レア、俺たちは途中からここに来たが、何があった?」

「まあ色々とあったんですよ….」


 懐から取り出したロープのようなもので優男を縛り上げているアルマさんを眺めているタイミングで、ふとかけられたクオンの声を聞き、私は苦笑しつつそう返します


 思ってたより来るのが遅かったですけど、流石にそれは気になりますよね。…クオンたちは途中から参加したので最初の段階は見ていないため、この惨状を見て明らかに引いていますが。


 こ、これは私のせいではないですよ!…ともかく、この優男のことを伝えるのとクオンたちが来るまでの状況も説明しますか。




「…なるほど、幹部の一人である【堕ちた神官】がそいつなのか」

「この状況を見るに、レアちゃんとアルマさんは出会ってからずっとここで戦っていたんだな!」

「二人で倒すなんて、凄いね!」

「レアさんはやっぱり強いですね」

「まあこの人は戦闘タイプの人ではなかったので、それのおかげですよ。それに途中からは皆さんの協力もありましたしね」


 この人の実験成果らしきゴーレムは、瘴気がなければ動きも素早くないため苦戦はしなかったですし、クオンたちも助太刀に来てくれたのが勝てた主な理由でしょうけど。


 それにこの人はゴーレムを過信しすぎていたうえに他の魔物たちはアルマさんの手によって消し飛ばされたのも、要因の一つでしょうか?


「まあそれはいいとして、クオンたちの方は何か見つけられましたか?私とアルマさんはこの人と出会ったくらいで何も見つけられていないのですよね」


 それに残っていたであろう書類もモンスター諸共消滅してしまいましたし、もしそこにしか重要な情報が書かれた者類がなければ、かなり面倒なことになりますが……どうでしょうかね?


 クオンたちが見つけることが出来ていなければ、この優男に問い詰めるしかなくなるので出来れば何かあったと返してほしいですが…!


「それなら、見つけてきたぞ。組織の目的も、ボスもな」

「お、本当ですか!?」


 よーし、これなら実験場を吹き飛ばしたのは問題なさそうですね!クオンたちは私たちとは違ってしっかりと情報を集めてきてくれたみたいなので、助かりました…!


 それに引き換え私なんてただ幹部の一人と戦ったくらいですし、やはり私には戦闘でしか役に立たないのでしょうか…?


「レアの考えていることはおおよそわかるが、それは十分誇っていいことだぞ?」

「…そ、そうですか?」


 うーむ、クオンからそう言われてもどうしても悩んでしまいますが、クオンはお世辞を言うタイプではないので本心から言っているのでしょう。


 …なら、自信をしっかりと持つことにしますか!前から自信を持てるようにしたいと考えていましたし、下ではなく前を向かないとですね!


「んじゃ、ひとまずはこれを騎士団のところまで行って明け渡したら、情報交換と行こうか」

「確かに、いつまでもここで喋っていても時間の無駄ですし、さっさといきますか!あ、クオン。これ持っていてくれませんか?」

「構わないぞ。じゃあ、行くか」


 私は気絶した状態で縛り上げられている優男をクオンに運んで貰うように伝えた後、早速今いるお屋敷跡から歩き出します。


 さて、これで組織の情報を確保するのは出来たみたいですし、この後はクオンたちからそれを聞かないとです。


 組織の目的とボスについて知り得ることが出来たようなのでそれについてすごく気になりますが、今はこの荷物を片付けてからでないと落ち着くこともできませんし、早く行かないとですね!




「…また貴方たちですか」

「…すみません」

「いえ、責めているわけではありませんよ。貴方たちはどうやら街にいる邪教をなくすために動いてくれているみたいですし、逆に感謝してもしきれませんよ。ありがとうございます」


 そうして街中を歩いていた私たちでしたが、流石にクオンが縛られている男性を手に持っているからか、騎士団らしき二人の男性がそのように声をかけてきたのです。


 まあ普通はそうなりますよね。私だって知らなければ通報するでしょうし、この反応は当然です。


 …しかし、騎士団の人に覚えられているとは思いませんでしたが。多分【悪逆】を捕まえた時に関わった人なのでしょうし、今も騎士団の一人が言っている通りのことをしてますし、覚えられているのも無理はありませんか。


「…では、私たちはこの罪人を連れていくので、また何かあれば呼んでください」

「はい、その時はお願いします」


 そしてその言葉とともに優男を連れて騎士団の人が去っていったのを見送った私たちでしたが、そのタイミングでクオンが声を発します。


「これでやることも済んだし、どこかで食べながら話さないか?」

「私は構いませんよ。皆さんは?」

「俺も大丈夫だ!」

「わたしもいいよ!」

「僕も賛成です」


 皆が皆そう声をあげ、唯一声に出していないアルマさんへと皆の視線が移りますが、それに少しだけ動揺して私も?といった表情を浮かべています。


 アルマさんもこの場にいるんですし、仲間外れにするわけがありませんよ!それにここまで一緒に行動をしたんですし、ここで別れるはずがないに決まってます!


「わ、私もですか?」

「当然ですよ!あ、でもアルマさんが嫌ならいいの ですが…」

「いえ、なら是非ともお供させてもらっても良いでしょうか?」

「もちろんいいですよ!皆さんもいいですよね?」

「当たり前だ。この人がいなければ、あそこまで簡単に忍び込めなかっただろうしな」

「そうそう、俺たちはもう仲間だろ?」

「わたしもヴァンの言葉に賛成だよ!それに、ここでお別れは嫌だしね!」

「僕も、アルマさんとはもう少しだけ一緒にいたいです」


 皆がアルマさんに対してそう声をかけますが、それに私も少しだけ嬉しくなってしまいます。アルマさんを連れてきたのは私ですし、嫌な気持ちになっていないのならよかったです!


 それに今から情報交換も済ませるんですし、ここでいないと逆に面倒でもありますしね!


「よし、じゃあ行くか!実はここの調査をしている時に気になる店を見つけてな。そこで食べながら情報交換といこうか」

「わかりました!では、行きましょう!」


 クオンが気になったお店ということですし、これは期待が高まってしまいますね…!どんなお店かは分かりませんが、流石に呪い人の集落のような虫料理ではないですよね。…ないですよね?




「じゃあまずは俺たちの方から報告をするが…」


 そしてクオンの案内に従って私たちは一軒のお店に入りましたが、そこで案内された一室にて先ほどのアジトで掴んだ情報の報告を開始しています。


 このお店は現実で言うところの酒場のような感じのようで、今は夜の遅い時間である六時になっているためか、仕事帰りらしき住人たちがやってきているのが分かりますね。


 …おじさまたちを見て思いますが、お酒って美味しいのでしょうか?私はまだ未成年なので飲むことは出来ませんが、味については少しだけ気になってしまいます…!


「俺とメアが見つけたのは組織のボスと目的で、まず目的だが……それはこの街の住人たちを生贄に邪神の力を自身に宿すため、らしい。そしてそれの実験として、闇に染まったモンスターを生み出したりしていたとも書いてあったな」

「…まさか、そんな目的だとは思いませんでした」


 おっと、今はクオンからの情報を聞かないとですね。クオンとメアさんのペアは私たちが一番知りたがっていた組織の目的とボスを調べあげたようで、そう言葉を続けていました。


 ですが、その目的がそんなヤバいことだとは知りませんでした…!なんですか、邪神の力を自身に宿すって…!?悪魔が関わっているとはわかっていましたが、そこまで大層なことを計画していたとは…


 アルマさんもそれを聞いて驚いていますが、当たり前ですね。私だってそこまでだとは思いませんでしたもん。


「そして一番大事なボスに関しては、なんとこの街の貴族の一人らしく、俺たちが住人から聞いたあの貴族らしいんだ」


 しかも、そんな邪悪なことをしでかそうとした組織のボスがこの街の貴族だとは……なるほど、道理でここまで情報が広まっているのにも関わらず私たちが行動を起こすまで捕まりもしてなかったわけですか。


 あれ、ということは騎士団に捕まえた幹部の二人を渡したのはヤバいのではないですか…?貴族が関わっているということですし、もしかしたら解放されてしまっていたり…?


「レアも心配しているようだが、その貴族によって捕まえた幹部たちが逃がされる可能性は十分にあるが、そんなすぐに手が回ることはないはずだ」


 …クオンもそう言ってますし、今は大丈夫だと信じておきますか。ですが、時間をかければ逃がさられる可能性はありそうなので、こんなところで足踏みをしていないで早めに行動に移った方が良さそうですね。


 組織のボスと目的もしっかりと確保したので、次の目標はその貴族ですよね?貴族のうえに組織のボスだとするなら、私たちが確保した【堕ちた神官】と同じで護衛くらい確実にいるでしょうし、最後まで気を引き締めておかないといけませんね…!


「お待たせしましたー!」


 そんな会話をしていると、ちょうどそのタイミングで頼んでいた料理が届いたので、私たちは一度会話を止めてそれらを受け取ります。


 私たちは色々と注文しましたが、届いた料理はどれも美味しそうですね!今は大切な話をしている最中でしたが、これを見せられるとお腹が空いてきちゃいます!


「とりあえず、食べながら話をするとするか」

「そうですね!では、いただきます!」


 そのような声をあげ、私は早速届いた料理の一つである焼き鳥へと手を伸ばし、食べ始めます。


 んー!濃いタレが絡まっていて肉の旨みも感じますし、これはなかなか美味しいですね!焼き鳥はあまり食べる機会がありませんでしたけど、すごく美味しくてパクパク食べれちゃいます!


「んで、次は俺たちの調べてきた結果だが、俺とライトのペアは、地下室で【瘴魔】に実験結果とやらについて書かれていた書類を見つけたくらいだな」


 私が幸せそうな表情で焼き鳥をパクパク食べていると、同じようにポテトを摘んでいたヴァンさんがそのように言葉を発しました。


 ふむふむ、クオンたちが見つけたのは組織のボスと目的についてでしたけど、ヴァンさんとライトさんの二人は幹部である【瘴魔】と【堕ちた神官】がしていた実験結果について調べ上げたみたいです。


 【瘴魔】は悪魔であり、アルマさんの復讐相手でもありますが、それについて詳しく知れるのはありがたいですね。


 アルマさんからは詳しいことは聞いてなかったのでその情報は貴重ですし、【堕ちた神官】のしていたというモンスターを闇に染めるという実験の成果もわかるのなら、より深く知ることが出来そうです…!


 まあ【堕ちた神官】の実験は邪神の力を自身に宿すためのものとすでにわかってはいるため、あまり重要そうには感じないですけど、知らないよりかは知っておいた方が良いでしょう。

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