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183話 調査の結果

「それにしても、悪魔にも家族がいたのですね」

「ああ、それについてはそれぞれで違うのですよね。神に生み出された者は当然親がいないですけど、私のように悪魔同士の間で生まれた子供のように、家族と呼べる存在など、悪魔についても実に様々なのです」


 ほへー、つまりは悪魔も人間などと違わずに生きている、ということですね。今まではただの敵認定でしたけど、これを聞いてしまうと次からは倒すのに迷いが生じてしまいそうですね…?


 いや、それでも悪さをしている悪魔を倒すのを躊躇う必要はありませんか。アルマさんのように人に対して悪さをしていないのは見逃すとしても、それと同じように見逃すはずがありませんしね。


「さて、私の知っている幹部と悪魔についてはこのくらいですが、何か助けになりましたか?」

「そうですね、知らなかった情報を知ることが出来ましたし、教えていただきありがとうございます」

「いえ、このくらいは気にしないでください。それよりも、もしよければその幹部の一人である悪魔の討伐に関しては、私もお手伝いさせてもらえないでしょうか?」


 アルマさんは両親をその悪魔に殺されたと言っていたので、それで復讐をしたいのでしょうね。


 うーむ、そう言われても少しだけ悩んでしまいます。私はクオンたちにこのことを伝える気でいますが、それだと暗殺者として動いていることもバレてしまいそうなのですよね。


 …いや、暗殺者ギルドのことをアルマさんに黙っていてもらえれば、誤魔化せますか。アルマさん自身に関しても私たちの調べている組織に復讐相手がいるので協力してくれる、とでもいえばいいですね。


 なら、その申し出には了承を返すとしますか。アルマさんの実力はハッキリとわかってはいないですけど、ここまで言うのならある程度の実力はあると思いますしね。


「わかりました。では、私は協力をしている仲間のところへこの情報を伝えに行くのですけど、このまま一緒に行きますか?」

「ぜひ、お願いします」


 よし、アルマさんも付いてくるみたいですし、その力を貸してもらいましょうか!


 ひとまず、クオンたちにも情報を共有するために広場へと向かいますが、その邪命教を潰すにはどうしたら良いですかね?すでにアジトをいくつか潰しているとは聞きましたが、私たちもそれをすれば良いでしょうか…?


「話は終わったか?」


 っと、アルマさんとの話に夢中でこの人のことを放っておいたままでしたね。最初の時は話していましたが、アルマさんが来てからは空気だったので申し訳ないことをしてしまいました…!


「はい、無事に終わりました。ほったらかしにしていて申し訳ありません」

「いや、気にするな。それで、組織を潰しに行くんだろ?」


 男性はそう言ってくるので、私はそれに頷いた後に言葉を続けます。


「そうですね。その組織を潰すために行動をしたいですけど、私もアジトを潰しに行けばいいでしょうか?」

「それなら、まずはここに行けばいいと思うぞ。ここはついさっきお前が来る前に得た情報で、おそらくは【堕ちた神官】がいるであろう場所と聞いているからな」


 そう言って見せてくれたのは、この街のマップでした。これを見た感じでは【堕ちた神官】がいる場所は街の外れにあるアジトのようです。


 ふむふむ、どうやら幹部の一人がいる場所の情報を掴むことが出来ているのですね。【堕ちた神官】はアルマさんの情報によると、闇に染まったモンスターを生み出している張本人のようですし、とりあえずはその人を捕えるのを目指すのがよいとわかりますね。


 幹部の一人なんですし、捕まえればボスの正体や組織の目的なども知ることができるはずなので、まずはそのアジトを目指すとしますか!


「では、私の仲間の人たちにもこれらを伝えた後に行ってこようと思います!」

「おう、俺には応援することしか出来ないが、気をつけるんだぞ。アルマも、無理はしないようにな」

「はい、肝に銘じておきます」


 そうして男性に別れを告げた私とアルマさんは、そのまま暗殺者ギルドを出てクオンたちと合流するためにこの街の広場へと歩き出します。


「しかし、何故今の悪魔は昔と変わったのでしょうかね?」


 そしてその道中でふと思ったことを呟いた私でしたが、アルマさんはそれに対して言葉を返してくれました。


「それは私もわかりませんね。私が生まれた時にはすでに私のような悪魔のいる街となっていましたし、私自身もそれを知ったのは魔界を出てからでしたので…」


 まあ魔界とやらにはアルマさんと同じような悪魔しかいなかったと言ってたのでそれは仕方なさそうではありますが、それでもアルマさん自身も何故なのかは気になっているみたいです。


 しかし、魔界ですか。アルマさんの言葉から推測するに、その街には悪魔が無数に存在しているみたいですね?


「アルマさんは、魔界とやらを出て長いのですか?」

「そうですね、およそ十年くらいでしょうか?そのくらいの月日は経っていますね」


 ほう、意外と昔からそこを出ていたのですか。十年近くということですし、その期間はずっと目的の悪魔を追い続けていたようですし、これは過去の因縁を無事に断ち切れるようにしっかりと協力しないとですね!


「…よければ、っと、そういえば名前を聞いてませんでしたね」

「あ、組織のことを聞くのに夢中で忘れてました!私はレアと申します!」

「改めて、アルマです。それで、レアさん。もし貴方がよければ、レアさんも私の故郷である魔界に来ませんか?」


 お?悪魔であるアルマさんの故郷らしき魔界へと誘われましたが、私が行っても良いところなのですかね?いえ、行きたくないというわけではないですが、悪魔たちの街なんですし、ただの人である私が行くのはちょっとだけ気後れしてしまいますが…


「…私が寄っても大丈夫なのですか?」


 流石の私もそれに対してそのように返してしまいましたが、それも無理はありません。


 わざわざ私を魔界とやらに誘ってきましたが、アルマさんから本来の悪魔のことを聞いていたとしても少しだけ怖く感じてしまうので、そんな反応をしてしまいました。


「ええ、もちろん。私の故郷なら皆さんは人にも優しいですし、ぜひ寄ってください。いいところですよ」


 が、アルマさんは何の心配もないとでも言うかのように言葉を返してきました。


 ふぅむ、そこまで言われるのなら、機会があれば寄ってみることにしますか。


 まあ今の段階ではどうやって行くのかも、どこにあるのかもわかりませんが、アルマさんはこう言っているんですし、特に問題はないのでしょうね。


「っと、そうこうしているうちに広場に着いたみたいですね」

「あ、本当ですね」


 アルマさんと会話をしつつ歩いているといつのまにか広場に着いていたようで、アルマさんのあげた声で気づきました。


 クオンたちはまだのようですし、この間に転移ポイントの解放とアルマさんに暗殺者ギルドのことを黙っていてもらえるように伝えておきますか。


「アルマさん、私が暗殺者ギルドに行っていたことは秘密にしていてもらえませんか?」


 広場の中心にあった氷のような木に手を触れることで転移ポイントの解放を済ませた私は、続いてアルマさんにもそうお願いすると、アルマさんは頷いた後に言葉を返してきました。


「別に構いませんよ。なら、私は黙っておきますね」

「すみません、お願いします」


 よし、アルマさんに黙っていてもらえるみたいですし、これで心配はありませんね!クオンたちにアルマさんのことを伝える必要はありますが、この後の目的地も決まったので後はクオンたちが来るのを待つだけですね!




「…すまん、待たせたか?」

「いえ、私が早かっただけなので大丈夫ですよ」


 その後はアルマさんと一緒に他愛無い会話をしつつこの街、雪原都市ノースの広場で待っていると、そんな言葉と共にクオンとヴァンさん、メアさんとライトさんが固まって広場までやってきました。


 広場にやってきた皆さんを見るに、どうやら調査のついでに温かい装備も買ってきたようで、今はそれを着ているようなので寒さは問題ないみたいです。


 というか、二つのペアで動いていたはずですけど、どうやら固まってここに来たみたいですね?それと少しだけ疲れている様子ではありますが、何かあったのでしょうか?


「皆さんお疲れの様子ですけど、何かありましたか?」

「ああ、実は別れた後に街中を歩いて調査をしていると、この街の住人に対して手を出していた奴がいてな。そいつをのした後にやってきた騎士団に渡したんだが、そいつがなかなかの実力者だったから、それでちょっとだけ疲れたんだ」

「その時にちょうどメアたちとも合流して、その流れのまま皆で行動をしていたってわけだな」


 なるほど、それで少しだけ疲れた様子に見えたのですね。ですが、住人に手を出していたやつ、ですか……もしかして、私が調べてきた邪命教のメンバーですかね?


 いや、でもそうするとクオンたちが苦戦するはずがないですし、違う人でしょうか…?


「…もしかして、その人は自身のことを【悪逆】と言ってませんでしたか?」


 私が考え込んでいると、私の横にいたアルマさんがクオンに向けてそう問いかけてみましたが、クオンたちはわずかに驚いた表情を浮かばせた後に言葉を発します。


「確かにそいつはそう言っていましたが、それを知っている貴方は何者ですか?」

「あ、申し遅れました。私はアルマと言って、こちらのレアさんに協力をするために共に行動をさせてもらっている悪魔です」


 そう言ってお互いに自己紹介を始めたクオンたちとアルマさんでしたが、それが一区切りついたタイミングで、私はクオンたちに対して一人で行動をしていた時に確保した情報について共有します。


 とりあえず、私たちが狙っている組織についてと、今からその幹部である【堕ちた神官】のいる場所に向かう必要がありますし、手早く情報を伝えないといけませんね。


「…なるほど、よくもまあそんなに情報を集めれたな?」

「俺たちよりも詳しく調べられたんだな…」

「レアちゃん、すごいね!」

「レアさんはどこでその情報を集めたのですか?」

「ふふ、それは秘密です!まあ私のことはいいとして、クオンたちはどんな情報を得ることが出来ましたか?」


 私の得た情報である組織の名前である邪命教、三人の幹部、構成員、そしてアジトについてクオンたちへと伝えましたが、クオンたちはどんな情報を掴むことが出来たでしょうか?


 私は裏に通ずる暗殺者ギルドからの情報だったのでここまで詳しく知れましたが、クオンたちは表の人たちから聞いて回ったのでしょうし、情報の差はありそうですけど…


「俺たちが知ることが出来たのは、さっきも言っていた【悪逆】とやらについてと、この街の貴族についてだな」

「聞いて回った住人からの情報によると、とある貴族が今街で蔓延っている邪教とやらの対策を練っているらしいってことくらいだったぞ」

「わたしたちの方は、夜になると街の中で黒色のローブを羽織った人たちが歩いているのを見たとかだったね!」

「それとこの街の外れで怪しげな人を見かけた、とかもでしたね」


 ふむ、クオンたちは私とは違って住人視点からの情報を集めれたようですね。


 貴族に黒いローブの怪しげな人、そして街の外れとのことですし、これらは間違いなく私の聞いた邪命教のメンバーなのでしょうね。


 加えて街の外れとライトさんは言ってますし、今から向かうつもりのそこの情報も出回っているようなので、そこから撤収される前に行ったほうがよいですね。


 まあ幹部の一人である【悪逆】はクオンたちの手によってすでに捕まっているらしいですけど、それに続くように【堕ちた神官】も捕まえに動きますか!


「では、早速【堕ちた神官】のいる街の外れのアジトまで向かいませんか?」

「そうだな。邪命教とやらの目的を知る必要があるし、アジトがわかっているのなら行かないわけがないからな」

「よし、決まりですね!じゃあ、行きましょう!」


 クオンたちも賛成のようで頷いていますし、今から行くのは決まりでよさそうです!幹部の一人である【悪逆】はクオンたちの手によってすでに捕えられていますし、次の目標は【堕ちた神官】ですね!


 アルマさんの復讐相手である【瘴魔】についてはどこにいるかもわからないので一度置いておく必要がありますが、そちらも必ず倒してみせますよ!




「しかし、俺たちが倒した【悪逆】が、狙っている邪命教とやらの幹部だとは思わなかったな」


 そうして私を先頭にして今いる広場から【堕ちた神官】がいると思しきアジトを目指して歩いていると、その道中でクオンがふとそのように呟きました。


 確かに、偶然とはいえ知らず知らずのうちに幹部を捕まえていたと聞けば、そうなるのも当然ですね。まあ幹部の一人である【悪逆】は一番目立っていた人のようですし、そうなるのは必然だったのかもしれませんが。


「けど、それはちょうどよかったよね。レアちゃんの情報によると幹部は三人もいるみたいだし、その一人を片付けることが出来たしね!」

「そうですね。残りは二人で、今行っている場所にももう一人がいますし、意外とすぐに解決出来るでしょうか?」

「【堕ちた神官】は大丈夫かもしれませんけど、【瘴魔】は私と同じ悪魔なので少しは気をつけてくださいよ?」


 メアさんとライトさんの言葉にそう返すアルマさんですが、アルマさんはその悪魔と対面したことがあるからこその言葉なのでしょう。


 私たちはアルマさんの狙っている悪魔には会ったことがないのでその実力もわかりませんが、当然油断はしませんよ!本来の悪魔は理性的みたいですけど、今から潰す組織にいる悪魔はそれと違うでしょうし、倒すのは決まったことですしね!

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