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179話 高原の攻略

「…さて、午後からはどうしましょうか…」


 あの後はルーさんにおすすめされたカブトムシの脳天を何とか食べ、普通のお肉や野菜なども集落の皆さんと談笑しながら食べていきました。


 そしてその後はあの集落にもあった転移ポイントを登録してからそれを使って街に向かい、そのタイミングで一度現実世界に戻ってからお昼までは勉強をしたりご飯を食べたりなどの諸々を済ませ、再びゲーム世界へとやってきました。


 え?カブトムシの脳天の味、ですか?…まあ味は良かったですよ。チョコレートのような濃厚な甘さにほのかに感じる柑橘系のようなスッキリとした味わいだったので、普通に美味しかったです。ただ、味は良くても見た目は最悪なので、また食べたいとは思いませんが。


 それはさておき、ひとまずやりたいと思ってたことは無事に終わりましたし、この時間はどうしまょうかね?今の時刻はちょうど十二時なので時間は大いにありますし、たくさん遊べますけど…


「…そうですね、今の時間はまたエルフェリンデの攻略を……っと、何やらメッセージが届きましたね?」


 早速とばかりに攻略に向かおうとしたタイミングで、ちょうど私に向けてメッセージが送られてきました。


 一体誰でしょうか?私のフレンドは多くないとはいえ少なくもありませんし、よく遊ぶ仲でもある人は複数はいますし、その人たちの誰かですかね。


 そう思いつつも送られてきたメッセージの内容を確認すると、どうやらメッセージを送ってきたフレンドはクオンからのようで、メッセージには"久々にゲーム内で一緒に狩りにでも行かないか?"といった内容でした。


「…そういえば、リアルで会うことは結構ありましたけど、ゲーム世界ではあまり会ってなかったですね」


 なら、ちょうどやらなくてはいけない予定もないですし、そのお誘いは是非とも受けさせてもらいますか!


 では、是非ともご一緒させてもらいます、っとメッセージを返して……おっと、すぐに返ってきましたね。集合場所はルーブ高原の転移ポイントですか。狩りのお誘いでしたし、そこの先を目指す感じのようですね。


 集合場所もしっかりと聞きましたし、待たせないよう早めに行きますか!今いる場所はちょうど転移ポイントのある広場なので、すぐに行けますね!


 あ、それとこのままシスター服ではNPCと偽造している意味がなくなってしまいますし、変えないといけませんね。


 それなら、今回はいつものゴスロリではなくレーナさん作のワンピースと最近手に入れたばかりである"血染めの獣"を装備して、準備は完了です!では、行きましょう!


「…よし、クオンたちは…」


 そうして転移を行なってルーブ高原の転移ポイントまで来た私は、すぐに周りを見渡してクオンたちを探します。すると私の背後から気配を感じて特に敵意や殺意なども感じなかったうえに見知った気配だったのでそちらを振り向こうとしたら、突如私の視界が真っ黒に染まります。


「だーれだ!」

「…メアさん、ですよね?」


 気配もそうですが、見知った声でもあったのですぐにそう返すと、メアさんは後ろから私の目を隠すようにしていた手を退けて"正解!"と返してきました。


 目を隠されて誰かと質問されましたが、クオンたちのパーティに女性はメアさんしかいませんし、間違えるはずがないですよ!


 まあそれはいいとして、メアさんはもちろんにしてクオンにヴァンさん、ライトさんもすでに集まっていたみたいでした。ちょっとだけ待たせてしまったでしょうか?


「お待たせしてしまいましたか?」

「いや、俺たちも来たばかりだから問題ないさ」

「そうそう、むしろ来てくれて嬉しいから気にするな!」

「レアさんも、お元気そうですなによりです」


 私のかけた言葉に、クオン、ヴァンさん、ライトさんが続けてそう返してくれたので、少しだけ安心しました。私よりも早めに来ていたらしいですけど、待たせてなかったのなら良かったです!


 それで、この高原の転移ポイントを集合場所に決めたということは、おそらくこのエリアの狩り兼攻略をするのですよね?私はこのエリアに来たことは一度しかありませんし、私も一緒でもいいのか心配になりますが…


「レア、今日はこのエリアで狩りをしつつ、エリアボスを倒して先を目指すのを目標にするが、いいか?」

「問題ありません」

「よし、じゃあ行くか!」


 そんなクオンの言葉に私たちは各々の返事を返した後、今いる転移ポイントからルーブ高原の攻略を開始します。


 さて、ここに来るのは二度目ですけど、足を引っ張らないように気をつけないとですね!私はまだこのエリアについて詳しいわけではないので、クオンたちから離れないようにもしなくては…!


「そういや、レアはまた新しい装備を手に入れたのか?」

「それ、わたしも気になってた!綺麗な赤いケープだよね!」


 ルーブ高原を歩き始めたタイミングでふとクオンとメアさんからそう聞かれたので、特に隠すことでもないため私は素直にこの装備について答えます。


「そうなんですよ!この前南大陸で受けたユニーククエストの報酬として貰ったのです!どうです、似合ってますか?」

「ああ、凄い似合っているぞ」

「レアちゃんには抜群に合っていて可愛いよ!」

「黒色のワンピースに赤いケープ?ってのは似合うもんだなぁ?」

「レアさんにはとてもお似合いですね」


 皆が皆それぞれの感想を返してきてくれたので、私は嬉しくなりつつも少しだけ恥ずかしくなってしまい頬を赤く染めてしまいます。…まあその反応を見て微笑ましそうに笑われてしまったので、さらに顔が赤くなってしまいましたが。


「そ、そういうクオンたちの装備も前よりも凄くなってますよね!」


 私は今の状況を変えるべく皆さんの装備について聞いてみましたが、クオンたちもその装備には自信があるようで誇るかのようにしています。


 やっぱり、私だけではなくクオンたちも色々なクエストなどをクリアしたりしているらしく、前よりも装備などからしてかなり強そうに見えますね…!


 最近会うことがなかったとはいえ、ここまで強そうになっていては私も追いつかれ、そのまま置いていかれないように気合いを入れ直さないといけませんね…!


 そのような会話をしつつも私たちは襲ってくるモンスターたちを倒していますが、このくらいのモンスターなら苦戦もしないのであまり手応えはないみたいですね…?


 まあ私が今までに戦ってきた相手が強敵が多かったのもあるかもしれませんけど、私も徐々に成長していると言っても過言ではないのでしょう!


「そういえばクオン、クオンは前にルーブ高原の攻略をしていたと言ってましたが、まだエリアボスには手を出していなかったのですか?」

「ああ、それについてはだな…」


 私のふと声にあげた疑問に対し、クオンは気まずそうな表情をしつつ答えてくれます。


 …何だかメアさんたちも私の疑問を聞いて視線をあっちこっちに逸らしていますし、何か特殊なクエストでもしていて攻略が遅れていた、って感じですかね?


「実はそのタイミングで特殊なダンジョンをこのエリアで見かけてな。それの攻略をしていて、エリアボスはまだだったんだ」


 なるほど、それででしたか。私はクエストなどかと思っていましたが、管理されているわけではない野良のダンジョンを見かけてしまってそちらに意識が向いてしまっていた、というのが答えだったようです。


 別に責めているわけではないんですし、そこまで申し訳なさそうにしなくてもよいのですが……クオンたちからして見れば気まずいのですね。


 それについてはいいとして、ダンジョンの攻略をしていたということは、すでにクリアは出来ているのでしょうか?


「ダンジョンの攻略はもう終わったのですか?」

「ああ、この前に無事ダンジョンのボスを討伐して終わった。んで、これがその報酬の一部だな」


 そう言ってクオンが私に見せてきたのは、黒色に輝く指輪のようなものでした。見たところ小さな星のようにキラキラと輝いている箇所もあるため、なかなかオシャレな指輪のようですし、クオンにはとてもよく似合っていますね!


「綺麗な指輪ですね!クオンには良く似合ってますよ!」

「はは、ありがとな。さて、おしゃべりはこのくらいにして、良い加減戦闘に意識を向けるか」

「あ、そうですね!」


 今の間も会話をしつつ敵を倒して進んでいましたが、流石にこの状態のままではいけませんよね。


 今のところは出てくるモンスターに対して苦戦はしてませんが、いつ手強い敵が出てくるかもわかりませんし改めて気を引き締めておかないとです…!


 そう考えて気を引き締めつつ歩いていると、何やら私の感知系スキルにいきなり反応が現れたと思ったら、突如私に向けて氷の槍が無数に飛んできました。


「レア!」

「レアちゃん!」


 クオンたちの焦ったような声が私の耳に届きましたが、私は焦ることもなく無数に飛んでくる氷の槍をゆらゆらとした不規則な動きですべて回避していきます。


 いきなりで驚きはしましたが、このくらいならまだへっちゃらですよ!加速している状態でなくても、私も成長してますからね!ですが、私はただの的ではありませんし、反撃はさせてもらいます…!


 そう瞬時に判断した後にインベントリから双銃を取り出した私は、反撃として攻撃が飛んできた方向へと弾丸を放ちましたが、そこにいた一体のモンスターは黒色の膜のようなものを出現させて無数の弾丸は防がれてしまいます。


「レア、無事か!」

「問題ありません!それよりも、あのモンスターの警戒をお願いします!」

「了解!」


 攻撃が止んだタイミングで私たちは攻撃を放ってかてモンスターへと意識を向け、視界に捉えます。


 私に対して無数の氷の槍を飛ばしてきたモンスターの正体は、なんと普通の馬よりも二回り近くも大きい体格をした黒馬だったようでした。


「こんなモンスター、見たことないよ…!?」

「多分、レアモンスターなのかもしれませんね」


 私たちはその黒馬を警戒しつつ視線を向けていますが、メアさんとライトさんは思わずといった様子でそう言葉をこぼしています。まあ、それもわかりますがね。


 今も周囲に瘴気のようなものと冷気らしきものを撒き散らしているこの黒馬型のモンスターはかなりの強さを持っているだろうとわかりますし、おそらくはライトさんの予想通りレアモンスターだと推測が出来ます。


 しかし、いきなりここに現れたかのように感じましたけど……もしかして、氷系の能力だけではなく気配を隠す能力でも持っているのでしょうか?っと、それはさておき、まずは鑑定をしてきますか。


 ➖➖➖➖➖

 カオスホース ランク C

 涼しい気候の場所に稀に現れる白馬……のはずが、何者かによって闇の力に染められたことで特殊な種族となっている。

 本来は氷や雪を操って狩りを行うモンスターだが、この個体は数多の獲物を食らい、闇に染められたことによって闇の力も操るようになった。

 状態:正常

 ➖➖➖➖➖


 なんと、【鑑定士】スキルを使ってこの黒馬の情報を見てみると、このように現れました。


 …この文を見るに、レアモンスターだったはずの白馬が闇の力とやらに染められてしまってこのようなモンスターになった、という感じのようですね?


 なるほど、その闇の力のせいでいきなり現れたかのように感じたわけですか。ですが、それに染められたのは何者かの仕業のようですし、明らかにこれは許されざるものだとわかります…!


「皆さん!このモンスターはただのモンスターとは違うみたいなので、気をつけてください!」

「了解!なら、警戒しつつ倒すぞ!」


 クオンのその言葉を合図に、黒馬が嘶き再び氷の槍を私たちへと飛ばしてきました。


 が、それはすでに見てますし、今は不意打ちでもありません!なら、当たるはずがありませんよ!


「〈第二の時(ツヴァイ)〉!」


 私は飛んでくる攻撃をゆらゆらとした動きでわずかにズレることで回避し、そのまま動きを遅くさせる効果を持つ武技を黒馬へと撃ち返します。


 すると、黒馬は地面を駆けることでそれを避け、今度は私に狙いを定めて氷の槍と瘴気を纏っている槍を無数に放ってきます。


 ふふん、私を警戒しているのですよね?ですが、それは悪手ですよ!ここにいるのは私だけではありませんし、その判断は間違いです!


「〈貫く星突(シュート・シュテルン)〉!」

「〈ブレイクスマッシュ〉!」

「〈ウィークシュート〉!」

「〈アクアアロー〉!」

「ヒヒーン!?」


 クオンたちの放った武技はこちらに意識の大半がいっていた黒馬のガラ空きであった身体へと見事に命中し、激しい赤いポリゴンを撒き散らしつつHPを削り取ります。

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