表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
181/232

176話 赤ずきん

 そうして私はシスター服のままブローズ密林を順調に進んでいき、時折出てくる多種多様なモンスターを倒しながら、ここで取れる植物も採取しつつ奥へと進んでいってます。


 この密林で出てくるモンスターは今までの森とはやはり違うらしく、特筆するものだと植物系のモンスターである大きな口で獲物を喰らうマンイーターや毒を撒き散らすラフレシア、同じく毒を持つ全長30cmくらいの大きさのカエル。


 さらには、ヒクイドリのような特徴的な冠を頭につけている大柄な体躯の鳥や、オニオオハシと似た見た目である硬質化している大きな嘴が特徴の鳥。


 そして最後が、姿だけではありますが透明化することで隠れることが出来るカメレオン型のモンスターに最初に出会ったカブトムシと似たような大きめの虫型モンスターたちなど、今までは見ることがなかったモンスターを色々と見かけたのですよ!


 しかも採取できる植物にも目新しいものあり、まず一つ目が超薬草と超魔草のペアであるポーションに使えるであろう薬草系統です。これらは見かけ次第確保していたのでまあまあの数を確保出来ましたし、売りに行くのではなく自分の手でポーションに変えたいですね。


 二つ目が、またもやペアらしき治癒(ヒルヒ)の葉と魔力(マナ)の実といった植物系素材です。おそらく、これらも先程の薬草系統と同様にポーションに使えそうなので、見つけ次第こちらも採取しています。


 三つ目がジェルドの木の実という柿のようなものです。これは情報を見る限り呪いの状態異常を回復出来る代物らしく、ある程度の数は確保しておきました。


 そして最後が、食べると混乱の状態異常を引き起こすらしい混乱の実という、名前通りの木の実です。これは使い道に困りそうではありますが、ポーションにすれば混乱を引き起こすものになりそうですし、一応ある程度の確保は済ませています。


 とまあこの段階でも結構な成果はあったので大収穫ですが、それでも未だに呪い人の集落とやらは見つけられていません。


「…これを見るに、もっと奥にあるのでしょうか…?」


 ここまで歩いても発見出来ないとなると、その可能性が高そうですね…?


 それか、何か特殊な条件を満たさないと見つけることが出来ないか、単に私が見落としているか……とりあえず、時間はまだ三時過ぎくらいなので余裕はありますし、もう少し探してみることにしましょうか。


「それに、この森で出てくるモンスターは他の森とは違って獣系がいないみたいですね」


 この森の散策を続けることを決めつつ、私はそう呟きます。


 まあまだ遭遇していないだけで獣型のモンスターもいるかもしれませんが、今のところは見かけていないのでそう判断してしまいます。


「っと、それはいいとして、もっと深く探索をしないといけませんね」


 ひとまず呪い人の集落を探すのは継続しつつ、出てくるモンスターを倒しながら進むことにしましょう。


 モンスターからドロップした素材も結構種類があるうえ、採取した素材もたくさんあるのでここまでの成果は上々ですが、最初の目的を忘れないようにしないとです。


「…今日中に見つかるでしょうか…」


 ここまでで見つけられていないせいで思わずそんな弱音を吐いてしまいますが、それも仕方ありませんよね?


 おそらくはそう簡単には見つけることが出来ないようになっているのでしょうけど、出来るなら早めに見つけたいとは思います。


 ですが急いで見つけないといけないわけでないですし、自分のペースで探すのが一番ですね!焦らずにゆっくりと探すことにしましょう!


「…そうと決まれば、もっと探すことにしますか!」


 よーし、呪い人の集落を探すために頑張って散策するとしましょう!


 ここまでで見つけられていないということは、多分もっと奥か見つけづらいところにあるのかもしれないので、それらを重点的に見ていくとしますか。




「…そんな感じで探していたのですが、こんなことになろうとは…」

「…ん、なに?」

「いえ、なんでもありません」


 あれからブローズ密林をドンドン進み、途中で発見した泉付きのセーフティーゾーンを超えてからも散策を続けていたのですが、その道中で何やら迷子のような狼人族の少女を見かけたのです。


 その少女は何やら港町ルーイまで向かっている最中だったらしく、ちょうどいいので私に案内を頼んできた、というのが今の状態であります。


 …なんというか、前にもこんなことがありましたよね?アリさんの時とは違って行き倒れ、というわけではないので厳密には違うのかもしれませんけど、街まで案内するというのは同じなので似たようなものでしょう。


 そしてこの少女、名前をメイジーさんというらしく、頭に被るように赤いフード付きケープのようなものを着けているため、なんとなく赤ずきんをイメージしてしまいます。


 そういえば、この世界には赤ずきんのような童話とかってあるのでしょうかね?今度機会があれば探してみますか。


「…プレミア、あとどのくらい?」

「そうですね……マップを見るに、あと数十分くらい、でしょうか」


 メイジーさんと出会ったのはブローズ密林の奥の方だったので、街に戻るにしても結構な距離があるため意外に時間がかかってしまいそうですね。


 それに案内をするために呪い人の集落を探すのは一旦やめましたが、今のところ手がかりも何もないので後回しでも問題ないはずです。それよりも、今はメイジーさんの案内が私の役目ですしね!


 ちなみに、今はシスター服の状態なので本名であるレアではなくプレミアと教えています。メイジーさんはプレイヤーではありませんが、この姿の時はその名前で行動することに決めているので。


「…そういえば、メイジーさんはどうして港町へ向かっているのですか?」


 そんな中、ふと頭に浮かんだ疑問をメイジーさんへの問いかけてみると、別に隠すことでもないらしく普通に教えてくれました。


「…港町で暮らしているおばあちゃんに会いにいくの」

「おばあちゃん、ですか?」

「…ん、ついでにこれを渡すの」


 そう言って懐から取り出して見せてくれたのは、一枚の手紙でした。


 なるほど、メイジーさんのおばあちゃんに会いにいくついでに届け物も渡しにいくということだったのですか。なら、しっかりと港町まで案内をしないといけませんね…!


 メイジーさんはどうやら方向音痴なようですし、私が案内をしなければ港町に着くのは時間がかかっていたのかもしれないですしね。


「あ、そろそろ森を抜けますね」


 それからもブローズ密林を歩き続けていた私たちでしたが、やっと森の出口まで着いたようで、森から出るなり広がっていた草原が確認出来ました。


 ふぅ、案内しながらだったので少しだけ疲れてしまいましたが、無事に港町まで行けそうですね?


 メイジーさんもその金色の瞳を草原の先にある港町へと向けているようなので、ここからならもう迷うことはないですよね?まあ港町まではキチンと案内しますが、必要性は低そうです。


「では、このまま港町まで向かいましょうか」

「…ん、わかった」


 よーし、後は港町に向かうだけですし、襲ってくるモンスターもいないので気は緩めても大丈夫でしょう…!


 …先程は言ってませんでしたが、メイジーさんはかなりの実力者らしく、森の中で出てくるモンスターたちは私と共に片っ端から倒していたのですよね。


 武器は爪を使うみたいですけど、まさしく獣のような戦い方で荒っぽく、しかし繊細な動きでもあるため真逆なイメージを持ちますが、腕前に関しては十分過ぎるのがここまででわかりました。


 メイジーさんはブローズ密林のさらに向こうにあるという国からやってきたみたいですし、ここまでの実力者ならもしかすると特殊な立場の人物なのかもしれませんね?


「…よし、着きましたよ、メイジーさん」

「…ん、プレミア、ありがと」


 そして草原を歩いていき、やっとメイジーさんの目的地である港町の前まで着いたのでそう声をかけると、そのように言葉を返してきました。


 これで案内は終わりのようですし、無事に着けて良かったです…!…まあ私が案内をしなくてもいずれは辿り着けていたとは思いますが、それだと時間がかかっていたかもしれないので気にしないことにしましょうか。


「…プレミア、これ。お礼として渡す」

「え、別にこのくらいは大丈夫ですよ?」

「…受け取って」


 何やらメイジーさんはお礼として、手元に取り出した赤いフード付きケープのようなものを私に向けてグイグイと押し付けてきますが、どうしても遠慮してしまいます。


 だって、ただ港町まで案内しただけにもかかわらずお礼を貰うなんて、流石に受け取れませんよ…!?


 …ですが、これはきっちり受け取らないと引いてくれませんよね…?うーむ、これだけでお礼をもらえるのには気が引けてしまいますが……受け取れと言わんばかりに押し付けてきますし、申し訳ないですけど戴かせてもらいますか…!


「…本当にもらってもよいのですか?」

「…ん、もちろん」

「…では、ありがたく受け取らせてもらいますね…!」


 私はメイジーさんから押し付けられていた赤色のケープを受け取り、インベントリへと仕舞います。性能の確認はまた後でするとして、今はメイジーさんにお礼をしないとですね。


「メイジーさん、ありがとうございます!」

「…気にしないで。じゃあ、私は行く」

「はい、またお会いましょう!」


『ユニーククエスト【赤ずきん、備えのために】をクリアしました』


 その言葉を最後に港町の中へと歩いていくメイジーさんを見送った私は、唐突に流れたシステムメッセージを見て驚きます。


「…まさか、メイジーさんの案内はシークレットクエストだったのですね」


 それにクエスト名からして、やはり赤ずきんで間違いなかったみたいです。それにクエスト名には、備えのために、とも書いてありますけど…….これは、何かが起きる前兆……でしょうか…?


 …詳しいことはわかりませんし、これについてはひとまず頭の片隅に置いておくことにして、この後をどうするかですね。


 腰元の懐中時計を手に取って時刻を確認すると、今の時刻は四時半くらいとなっていますし、夜ご飯までにはまだ余裕があります。


「時間はまだ余裕がありますが、今からもう一度呪い人の集落を探すためにブローズ密林に行くのには微妙な時間ですよね…」


 んー……それなら、この時間はシスター服姿のままローグルド岩石帯で【細剣】と【短剣】、【闇魔法】のレベル上げでもしますか。


 これらのスキルは使用頻度が低かったのでレベルが低めですし、ちょうどいいのでこの機会にもっと上げておきましょう!




「…ふぅ、レベル上げはこのくらいにして、街に戻ってログアウトをしますか」


 そうして双銃を変化させた細剣と短剣を手に、闇魔法も加えつつ出てくるモンスターたちを倒してスキルのレベルをしていると、いつのまにか時刻は六時半になっていました。


 なので今から街に戻ってログアウトしますが、その前にレベル上げの成果を確認してみますか。


 ➖➖➖➖➖

 名前 レア

 種族 狼人族

 性別 女

 スキル

【双銃Lv33】【鑑定士Lv22】【錬金術Lv24】【採取士Lv26】【気配感知Lv33】【隠密Lv32】【鷹の目Lv32】【ATK上昇+Lv33】【AGI上昇+Lv33】【DEX上昇+Lv33】【体術Lv67】【気配希釈Lv33】【採掘士Lv15】【INT上昇+Lv29】【第六感Lv30】【飛躍Lv21】【夜目Lv60】【言語学Lv33】【魔力制御Lv28】【魔力感知Lv26】【魔力希釈Lv23】【MP上昇+Lv24】【HP自動回復+Lv24】【MP自動回復+Lv24】【栽培Lv3】【調教士Lv14】【STR上昇+Lv14】【料理人Lv10】【細剣Lv15】【短剣Lv10】【生活魔法】【水泳Lv7】【暗黒魔法Lv1】【釣りLv8】【精霊言語学Lv8】

 ユニークスキル

時空の姫(クロノス・プリンセス)

 EXスキル

【心力解放】【嫉妬の大罪(レヴィアタン)

 所持SP 88

 称号

 〈東の森のボスを倒し者〉

 〈時空神の祝福〉

 〈第一回バトルフェス準優勝〉

 〈深森の好敵手〉

 〈西の湿地のボスを倒し者〉

 〈火霊旅騎士の魔印〉

 〈時駆ける少女〉

 〈蟲惑の暗殺者の弟子〉

 〈南の平原のボスを倒し者〉

 〈北の山のボスを倒し者〉

 〈人業のお気に入り〉

 〈世喰の玩具〉

 〈天災を鎮めし者〉

 ➖➖➖➖➖


 最終的にこのようなステータスになっており、かなり成長したのがわかります。


 【細剣】スキルはレベル十から五レベごとに対象へ突撃する〈アサルトピアー〉、魔力を纏わせた突きを放つ〈エレメントピアー〉という二種類の武技を覚えました。


 【短剣】スキルに関しても、同じくレベル五ごとに攻撃を当てた対象を毒状態にする〈ポイズンナイフ〉、後ろから攻撃すると威力が上がる突きを放つ〈バックスタブ〉が。


 そして最後の【闇魔法】から進化した【暗黒魔法】では、【闇魔法】の時に〈ダークランス〉、〈ダークウォール〉、〈ダークバースト〉を覚えて、【暗黒魔法】に進化した後はレベル一で〈ダークネスボール〉を獲得しました。


 これらの新しく覚えた武技と魔法は基本的なものが多かったため、使用頻度は少ないかもしれませんね。だとしても、使う機会があれば使うとは思うので一応覚えておくとします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ