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141話 両親

「…話し声が聞こえる思ったら、いつのまに帰って来てたんだな?」

「あ、兄様!」

「家に着いたのはさっきくらいだけどね!」

「玲二も元気そうだね」


 そこからもお母様たちと会話をしていると、そのような声と共に兄様がリビングへ入ってきました。


 まだお昼の時間には早いですけど、兄様も降りてきたのでちょうどよかったですね!


「兄様、お昼は外で食べようかなって話になっていたのですが、兄様はどうですか?」

「外食か、俺は構わないぞ」

「なら決まりね!早速準備しましょう!」

「わかりました」


 兄様も特に問題はないらしくオッケーのようなので、軽く支度を済ませてきますか。まあ外に出られない姿をしているわけではないので簡単に髪を整えるくらいで良さげですけどね。


 なので、外は暑いと思われるため髪は最近よくしているポニーテールにセットしておきました。


「…よし、じゃあ行こうか」

「「おー!」」

「…本当に、母さんと美幸は元気だな」


 そうして全員の用意も済んだので、お父様が運転する車で食べに出かけます。


 兄様が何やら呟いていますが、それはスルーです!別に元気なのは悪いことではないですし、久しぶりにお母様たちと会えるのは嬉しいのでっ!


「そういえば、どこに行くんだ?」

「ふっふーん、それはね、ここに行こうとしてたのよ!」


 車の後部座席に座っている私と兄様に向けて、助手席に座っていたお母様はスマホの画面を見せてきましたが、そこには近所に新しく出来たというラーメン屋が載っていました。


 …今思い出しましたが、お母様はラーメンが大好きでしたね。見た目は完全にファンタジー世界から飛び出したかのようなロリババアの姿ですごい美少女なのに、好きな食べ物に関してはとても似合わないのですよね。


 食べるものにわざわざ文句は言いませんが、それでも違和感がすごくて…


「ラーメンか。そういや最近は食べてなかったな」

「家ではラーメンは作らないだろうからね」


 っと、そんな思考をしている間に兄様とお父様がそのような言葉を交わしていましたが、確かに家で作ることはないですもんね。


 作れなくはなさそうですけど、私はその道のプロではないので食べるならお店の方が間違いはないですし、ラーメンはこうしたタイミングのみですからねぇ…


「っと、そろそろ着くよ」

「わかりました」


 たわいない会話を続けつつお父様の手で車を走らせていると、そのように声をあげたお父様の言葉を聞き、私たちは待機します。


 そしてそこから数分が経つと、さっきお母様が見せてくれたラーメン屋さんまで着きました。お店の外観は黒色をメインに赤色がアクセントとして入っているような見た目をしており、名前は『天下統一』というみたいですね。


「じゃあ、入ろうか」

「そうね!行くわよ!」

「はいっ!」

「了解」


 お父様が駐車場に停めた車から降り、私たちはお母様を先頭にしてそのラーメン屋さんへと入っていきます。


 ラーメン屋さんの中に入ってすぐに感じましたが、ラーメンのいい匂いが充満しておりとてもお腹が空いてきます!っと、それよりも早速頼むものを決めないとですね。


 このお店はどうやら券売機で頼むものを決めるようなので、早速私たちは券売機の前へと移動して選び出します。


「私はこの濃厚味噌ラーメンにするわ!」

「俺は辛味噌ネギチャーシュー麺にでもするかな」

「僕は普通に醤油ラーメンにしようか。美幸はどうする?」

「そうですね…」


 券売機で売っているラーメンは複数ありますが、どうしましょうか…


 辛いものは苦手なので止めるとして……普通に味噌ラーメンでいいですね。それならハズレはないでしょう。


「私は普通の味噌ラーメンにします!」

「わかったわ。じゃあポチポチっと」


 注文を決めた私たちはそのまま中に置いてあるテーブル席へと向かい、そこで寄ってきた店員さんへと注文の紙を手渡します。


 うーん、お店の中にいるだけでもいい匂いが漂ってきていますし、これは期待大ですね!届くのが待ち遠しく感じてしまいます…!


「玲二が降りてくる前に美幸からは聞いたけど、何やらゲームをしているんだって?」

「ああ、最近はずっとそれをしているからな」


 ラーメンが届くまでの間にお父様が兄様へとそう聞いていますが、兄様は簡潔に言葉を返してから備え付けたあったピッチャーから水をコップへと注ぎ、それを飲みます。


 兄様は詳しい説明をしてませんが、家にいるときに私が教えているのを聞いていますし、特に気にしてはいないようです。


 まあお父様は私たちと違ってゲーマーというわけではないので、そこまでの興味がないからの可能性もありますけどね。


「美幸と玲二は一緒にしているのかしら?」

「たまに一緒にはやりますが、普段はそれぞれで別れてプレイしてますね」

「ゲーム内で協力をすることもあるから、一切組まないというわけでもないがな」


 最近でいえばワールドモンスターとの戦闘などが思い浮かびますし、他にもエリア攻略でお互いに協力したりもしてますしね。


「へー、なかなか楽しそうね?私もやってみようかしら」

「あ、だがこのゲームは日本でしか出来ないから、母さんがやるのは難しいかもしれんな」

「そうなの?じゃあ私には出来なさそうね」


 お母様も少しだけ興味が惹かれたようでしたが、兄様の言葉を聞いてすぐに諦めた様子です。というか、このゲームは日本でしか出来なかったのですね?初耳ですが、特に問題はないので気にしなくても良さそうではありますね。


「お待たせしました!」

「お、きたか」

「待ってましたー!」


 そうした会話をしていると、そのような店員さんの声と共に頼んでいたラーメンが届きました。


 私のラーメンは普通の味噌味なので見た目は通常通りですけど、兄様の頼んでいた辛味噌というラーメンのスープは色が赤いので結構辛そうですね…!


「じゃあ、食べようか」

「そうね、いただきます!」


 そう言って私たちは早速届いたラーメンを食べ進めていきます。


 私はまずそのまま食べては髪が邪魔になるので先に耳へとかけてから、少しだけ冷ました後に食べ始めます。


 うんうん、やはりお店でのラーメンはとても美味しくていいですね!出来立てなので熱々ではありますし、麺の風味やスープのガツンとくる味、そしてスープによく絡んだ麺に加えて乗せられている卵やチャーシューなどの様々な食材もあって飽きも来ずにドンドンと食べれちゃいます!


「美味しいですね!」

「だな、俺のは結構辛いが、これがまたいい」

「私の味噌ラーメンも、名前通り濃厚でとても美味しいわ!」

「僕の醤油ラーメンも負けてはいないよ。この味はかなり美味だね」


 私のあげた声に兄様たちが反応してくれましたが、やはりどれも美味しいみたいです。


 兄様のラーメンは少しだけ気になってしまいますが……なんとなく私が食べるのはやめておいた方がいい気配を感じるので、やめておきますか。


「ご馳走様でした!」


 そこからもパクパクと食べ進め、気づいたときには食べ終わっていました。いやー、ここのお店のラーメンはかなり当たりの部類ですね!今まで食べてきたラーメンの中で上位にはいりそうです…!


「さて、ご飯も食べ終わったし、そろそろ戻ろうか」

「そうね、またお願いするわね?」

「ふふ、任せてくれ」


 私たちは食べ終わった後にお店を出て、再びのお父様の運転で家へと帰ります。


「お母様たちはいつまで家にいられるのですか?」

「そうね、明日のお昼くらいまでなら家でゆっくりしていられるわね」

「一応今は休暇ということで戻ってきたけど、長くはいれなくてね」

「明日までしかいられないのですね。少しだけ残念です…」


 久しぶりに会うことが出来たのに、明日にはもう外国へと帰ってしまうみたいで、私は寂しそうな表情を浮かべてしまいました。が、そんな私を見てお母様とお父様は優しげに声をかけてきます。


「そんな顔をしないで。今世の別れというわけでもないんだし、また会えるわよ」

「そうだね、それにここで美幸たちが待っていてくれるから、僕たちは頑張れるんだよ」


 私に対してそのように声をかけてきましたが、その言葉に私は心がポカポカとする感覚を覚えます。


 私がいるから頑張れる……ですか。それなら少しだけ寂しさはありますが、私も前を向き続けるとしましょうか。私のそばには兄様や悠斗など頼りになる人も多くいますし、生き別れとなるわけでもないですしね。


「…はい、ありがとうございます。でも、家にいる間は一緒にいてもいいですか?」

「もちろんよ!ね、賢城?」

「家族なんだし、反対するわけがないさ。当然、僕も構わないよ」


 私の言葉に笑いながらそう返してもくれましたし、しばらくは家族と一緒にいることにして、ゲームは一度止めておきます。


 まあテレビゲームなどは一緒にも出来るのでするかもしれませんが。


「お、見えてきたよ」

「あ、もうそろそろですか」


 そんな会話をしていると、いつのまにか家へと着く頃合いだったようで、お父様の声を聞いて私たちはそれに気づきます。


「…よし、じゃあ入ろうか」

「そうね!」


 お父様の言葉を聞いたところからすぐに着いたので、駐車場へと車を停めて私たちは車から降り、そのまま家の中に入っていきます。


「ふぅ、ラーメンを食べたからか少し汗をかいていますし、軽くシャワーでも浴びてきますね!」


 何事もなくまで帰ってきたことですし、先にシャワーを浴びることにします。


 ラーメンのせいとは言いませんが、やっぱり夏場で熱々のものを食べると汗を結構かいてしまっていますしね!


「わかったわ!なんなら私も行こうかしら?」

「じゃあ僕たちはリビングにいるから、ゆっくりとしてくるといいよ」

「はい!ではお母様、一緒に行きましょう!」

「ふふ、一緒にお風呂なんて久しぶりね?」


 お父様はお母様と違って流石に一緒に入るとは言わないようで、その言葉と共に見送ってくれましたしさっさと入ってきましょうか!


 …ちょっとだけお母様と入るのは恥ずかしいですが、このくらいならただのスキンシップですしね。それにお母様たちは基本海外で過ごしてますし、こういったことも珍しくはないとも思うので!




「ふぅ、お風呂上がりはやっぱり牛乳よね!」

「私はフルーツ牛乳の方が好みです!」


 そうして二人揃ってシャワーを浴び、汗を流した後にお風呂から出たタイミングの今はそれぞれ飲み物を飲んでいるところです。


 お母様はお風呂上がりは牛乳が気に入っているみたいですけど、外国では一般的でないようなのであまりそれを飲むことはないそうです。


 まあお風呂上がりに牛乳は日本くらいでしか見ないと思いますし、そうなるのも無理はないでしょうけどね。


「賢城、今何時ー?」

「今は十二時くらいだね」

「おっと、結構長く入っていたのですかね?」


 まあシャワーを浴びないと汗が気持ち悪いので仕方ないですが、少しだけお父様を放置してしまいましたね?


「いや、玲二と話してたから大丈夫だよ」


 私の表情を見てお父様はそのように返してくれましたし、大丈夫そうならよかったですね?それと何か会話をしながらボードゲームをしていみたいなので、話について聞きつつも私たちも参加させてもらいましょう!


「それならよかったです!それで、なんの話をしていたのですか?」


 私はボードの置かれているテーブル付近にあるソファに座り、髪を乾かしつつそう聞いてみると、兄様が簡単に言葉を返してきます。


「普段やっているゲームについて話してたんだ」

「なるほど、あれの話でしたか」


 どうやらMSOについての会話らしいですし、今話題沸騰中なうえに私が軽く教えていたおかげでお父様も少しだけ気になっていたようです。


 お母様も気になっていた様子でしたが、兄様から聞くに海外では出来ないようなのでそこが残念ですね。もしかしたら一緒に出来た可能性もありましたけど、出来ないようなので仕方ないですか…


「美幸たちも、一緒にやるかい?」

「ぜひ参加させてもらうわ!」

「私もです!」

「よし、じゃあ早速始めようか」


 私が少しだけしゅんとしているタイミングで気を利かせてなのか、お父様がボードゲームに誘ってくれたので、私とお母様は当然の如く参加させてもらうことにします。


 ふっふっふ、お母様もお父様も大好きではありますが、これは勝負なので勝たせてもらいますよー!




「…そろそろいい時間だな」

「あ、もうこんな時間でしたか!」


 そうしてそこからもボードゲームやテレビゲームなどで家族みんなで遊んでいると、ふとあげた兄様の声に私たちは時計を確認します。


 すると、すでに時刻は五時近くまで経っていました。…いつのまにか外も暗くなってきてますし、結構熱中していたようですね。


 というか、六時には悠斗との夏祭りがありますし、この辺で準備に動かないと間に合わなそうです…!


 …ちなみに言いたくはありませんが、ボードゲームなどの成績はほとんどが私の負けでした。むぅ、やはり私はVRゲームでの実力はあると思いますが、こうしたゲームでは弱いみたいです。


 っと、それはおいといて、さっさと準備を開始しますか。


「美幸、お祭りに行くのならこれを着るといいわ!」


 私が早速動こうとしたタイミングで、お母様はいつのまにかとある服を用意していたようで、私に見せてきました。


「……浴衣、ですか?」


 私の呟いた言葉通り、それの見た目は黒をメインに白色の百合があしらわれた可愛らしい浴衣のようで、お母様はそんな浴衣を私へと見せながらふふんとした表情を浮かべており、それのお父様は少しだけ驚いた様子をしています。


「それって、昔瑠奈が着ていた浴衣だよね?」

「そうなのですか!?」

「ふっふーん、そうよ!私はこれを着て賢城に告白したのよ!それなら、恋する乙女である美幸にはピッタリでしょ!」


 なんと、これはお母様の昔着ていた物のようでした。しかもお母様はこれを着てお父様に告白したのですけど、そんな大事そうなものを私が着ても良いのでしょうか…?


「美幸、そこまで気にしなくても大丈夫よ!それに、美幸にも頑張ってほしいからね!」

「ふふ、そうだね。悠斗なら僕も文句は一切ないよ」

「も、もう!私はお母様みたいにガツガツいけませんよ…!だから、そこまで意識させないでくださいっ!」


 で、ですけど、これは着させてはもらいます!……べ、別に験担ぎとして着るわけでなく、見た目が気に入ったからなんですからね!

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