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106話 無人島サバイバル4

「あ、レアさん、戻ってきたのですね!」

「アリスさん!はい、夜ご飯の準備もしないといけないので戻って来たのですよ。…って、コテージが増築されていますね…」


 道中で出てくるモンスターたちを倒しつつコテージのある最初の平場まで戻ってきた私は、そんなアリスさんへと視線を向けて返事をしましたが、ここを出る時に見た時よりもさらに大きくなっているコテージを見て、思わずそう言葉を漏らしてしまいました。


 ですが、それを聞いたアリスさんはその胸をグッと張って自慢でもするかのように、ふふんとしたドヤ顔で頑張って増やしたのですよ!と語ってくれました。


 が、頑張っただけでここまで素早く作れるなんて、本当にどうやっているのでしょうかね…?


「あら、レア。戻ってきたのね?」


 その言葉と共にネーヴェさんも、そんな増築されているコテージの扉を開けて出てきました。


「あ、ネーヴェさんも居たのですね!」

「ええ、レアがくるより少し前くらいにね」


 ネーヴェさんは南の草原でお肉の確保をしていたはずでしたが、ここからそこまでは離れていないので早めに帰ってきたのでしょうね。


 まあ詳しいことは別に気にしなくてもいいですし、兄様たちが帰ってくるまでに夜ご飯の支度でもしてますか。


「…今日の夜ご飯はネーヴェさんとアリスさんが手に入れてくれていたバーベキュー用のコンロで焼くのと、ダッチオーブンでローストチキンでも作りますか。ネーヴェさん、少しだけ手伝ってもらってもいいですか?」

「大丈夫よ。私は何をしようかしら?」

「そうですね、じゃあバーベキュー用の野菜と肉を切るのをお願いしてもいいですか?」

「わかったわ」


 私がそうお願いをすると快く引き受けてくれたので、私はインベントリ内にあるお肉たちを渡し、そちらはネーヴェさんに任せることにします。お昼の時に少しだけ見てましたが、別に料理に慣れていないだけで危なさそうなこともないのであちらは大丈夫でしょう。


「レアさん、私も何か手伝いますか?」

「アリスさんもいいんですか?」

「もちろんです!流石に何もしてないのはアレですしね」

「なら、アリスさんはネーヴェさんと一緒にバーベキュー用の食材をお願いします」

「わかったのです!」 


 私の方は特に手伝いはなどはなくても良いので、慣れていない様子のネーヴェさんのお手伝いをアリスさんに任せますが、アリスさんもある程度は出来るようですし、ネーヴェさんとの仲も良さそうなのでいい感じですね。


「っと、あちらはいいとして、私はこちらをしないとですね」


 ネーヴェさんが南に行った時にと人参に玉ねぎ、じゃがいも等をついでに西にあるらしい畑から取ってきたらしく、それを私に渡してきてたのです。


 なので無数にあるそれらを一口サイズに手早く切った後、このイベントエリアでドロップしたお肉である複数の丸鶏の中に詰め込み、森で取れたローズマリーと似た効果を持つらしい植物と塩胡椒などの調味料も一通り済ませ、一度味を染み込ませるためにざっと一時間ほどですかね?それくらいの間置いておきます。


 今の時刻はちょうど五時辺りですし、夜ご飯を食べる時間までには仕上がっていることでしょう。


「こちらの支度は済みましたし、アリスさんとネーヴェさんの方は…」


 二人へと頼んでいたバーベキュー用の野菜と肉はちょうどまだやっているところのようなので、私もそちらのお手伝いにいきましょうか。


「ネーヴェさん、アリスさん、こっちは終わったので私もお手伝いしますね」

「レア、助かるわ。やっぱり慣れていなくてスピードがね」

「まあ誰しも最初はそんなもんですよ。怪我を負わなければそれで大丈夫です」


 二人のスピードは遅いといってもキチンと丁寧に切れていますし、特に文句はありませんからね。


 そうして私も切るのに加わり、パパッと食材を切るのが完了しました。こちらは食べやすいように切るだけでしたので、すぐに終わりましたね。


「…よし、とりあえず支度はこの辺で完了ですし、一度休憩としましょう」

「わかったわ」

「了解です!」


 私は夜ご飯の支度が終わった後に、朝も飲んだように採取していた茶の葉で簡潔に作ったお茶を二人にも手渡し、三人で外に置いてある椅子に座りながらちびちびと飲んで休憩をします。


「…調理って結構大変なのね?」

「そうですよ。だからこそ、料理を作ったりしてくれる人にはキチンと感謝を伝えるとよいのです」

「私はいつもお母さんに作ってもらっていましたし、現実世界に戻ったら感謝を伝えるのです!」

「それはお母さんも嬉しく感じるでしょうし、いいですね」


 そこからも私たちはお茶を飲みつつも会話を続けていきます。


「あ、そういえば今日私が散策してきた森なんですけど、そこにあった大きな湖の中に何やら遺跡みたいなものがあったのですよね」

「遺跡、ですか?」


 アリスさんが私の発した言葉を聞いて不思議そうにしてますが、ネーヴェさんもアリスさんと同様に気になるらしく二人して視線をこちらに向けてくるので、私は隠すことでもないので素直に答えます。


「はい。それとその遺跡の通路を進んでいると、奥に何やらモンスターが存在していて、それを倒したら奥の空間に壁画のようなものが現れたのです」

「壁画、ねぇ…」


 ネーヴェさんはそう呟き、私に続きを即すように視線を向けてくるので私は続けて壁画の内容も説明します。


「… このイベントエリア内にとある存在を封じ込められていて」

「その情報がこの無人島内の東西南北にある、と」

「私が行ったあの遺跡はおそらく東のものでしょうし、新しく探さないといけないのは北と西、そして南です」


 私が湖の中で発見したように、北と西に南のどこかにもおそらくは隠されているのでしょう。


 私以外にも、ネーヴェさんやソフィアさんなどの散策で南はすでにある程度把握はしていますが、それらしきものは見かけていないので、明らかに隠されているだろうとはわかります。


「多分、北は山のところにあるでしょうけど、西と南はどこなのですかね?」


 アリスさんも私と同じ考えらしく、北は山だろうとは思っているみたいです。


 まあ私はしっかりと山を確認していないので確実にそこ、とは言えませんけど、まず間違いないはずなので兄様たちが帰ってきた時にこの情報を伝えて確認しましょうかね。


「…なら、もしかしたら南は海の中だったりしないかしら?」

「何故です?」

「だって南は草原くらいしか見どころがないじゃない?それならレアが湖で見つけてきたように、海の中にもあるとは思わない?」

「なるほど、海ですか。確かにそこは一切見てませんでしたし、可能性はありそうですね」


 あ、そういえばソフィアさんは魚を取ってきてましたし、もしかしたら海に潜っていたかもしれませんね。


 であれば、こちらもソフィアさんがここに帰ってきた時に兄様たちと同様に何かそれらしいものがあったか聞いてみましょうか。


「あ、後忘れていたのですが、遺跡でこんなものも手に入れたのですよね」


 そう言って私はインベントリに仕舞ったままだった銀色をした髪飾りを取り出し、二人に見せます。


「これは?」

「先程説明した遺跡で手に入れたアクセサリーです。モンスターを倒した後に宝箱としてドロップしたのですよね」

「シンプルでオシャレなバレッタなのですね!」


 アリスさんの口にした通り、私もこれはとてもオシャレでいいとは思うのですが、いかんせん私には相性が悪いのですよね。


 私はこの装備についての説明をして、アリスさんなら私よりも使いこなせそうですしあげますよ、と言うと、アリスさんはそんな希少そうなものは受け取れませんと断られました。


 ですが、私は付いているスキルを一切使いこなせないのでアリスさんに渡すのが一番だと思うのです。


 そう思って強引ではありますがアリスさんに渡すと、アリスさんは少しだけ遠慮気味でしたが、最終的に折れて受け取ってくれました。


 確かにレアそうなものではありますが、それを一番使いこなせる人でないと意味がなくなってしまいますからね。


「たっだいまー!」

「ちょっとソフィア、大声を出さないでよ」


 私が使わないアクセサリーをアリスさんに渡した後も三人で軽く談笑をしていると、そんな声と共にソフィアさんとリンさんが広場まで戻ってくるところでした。


「ソフィアさん、リンさん、おかえりなさいです」

「おかえりなさいです!」

「ソフィア、西はどうだったのかしら?」


 私とアリスさん、ネーヴェさんの言葉を聞いて、二人は私たちと同様に椅子に座り、それに答えてくれます。


「えっとね、西のほとんどは草原になっていて、いろいろな畑があったくらいだね!」


 私が渡したお茶を飲みつつもソフィアさんたちは語ってくれましたが、そんな情報を軽く聞いた感じ、ネーヴェさんが南から近い西に行ったのと似たような感じで畑がたくさんあるようです。


 その畑からはソフィアさんたちも野菜などを回収していたみたいで、ネーヴェさんの取ってきたものとは違ってトマトやとうもろこし、ネギに茄子やイチゴなど、実に多種多様な野菜が生えていたみたいです。


 というか今更ですが、やはり生えている野菜などは出鱈目ですね?まあファンタジーな世界ですし、特定の季節でしか手に入らなかったら不便なのでありがたいのでいいですけど、どうしても気になってしまいます。


 っと、それはいいですね。それよりも草原と畑辺りに何か特徴的なものなどがなかったか聞いてみますか。


「特徴的なもの?うーん、特に変哲もない畑と草原だったと思うけど…」

「あ、それならアレが怪しくないかしら?」

「あー、アレがあったね!」

「アレ、ですか?」


 二人でわかり合っているみたいですが、私たちはそれを見ていないためにわからないのでそれについて聞いてみると、ソフィアさんたちはそれについて教えてくれました。


「一つだけ何も植えてられていない大きめな畑があったんだけど、それは他のよりも不思議に感じたんだよね!」

「というか、なぜそんなことを聞いてくるの?」

「それはですね…」


 私たちの疑問にソフィアさんが答えてくれた後に、逆にリンさんもそれを聞いた理由が知りたそうにそのように聞いたきました。


 なので、私はそれに対してアリスさんとネーヴェさんにも教えた通り、謎の遺跡と壁画の内容について説明をきます。


「…なるほど、封じ込められた謎の存在ね」

「それに、この無人島の東西南北にあるらしい情報か〜…」


 二人は私による情報を聞いてそう呟いていますが、それと同時に納得の表情もしています。


「なら、多分あの何もなかった畑が一番怪しいかな?」

「そうね、なら今日はもう遅いから、また明日にでも調べに行ってみましょうか」


 二人はフレンドというだけもあってか、私とクオンの関係のようにお互いに理解しあっているようでそのように言葉を交わしています。


 あ、それともう一つソフィアさんに聞きたいことがありましたね。ついでにそれについてもいます聞いてみますか。


「ソフィアさん」

「ん、なーに?」

「もう一つ聞きたいことがあったのですが、一日目の時に魚を取ってきていたじゃないですか。その時にソフィアさんは海の中で何かを見たりとかしましたか?」

「ああ、さっき言っていた東西南北にある情報だね?んー…特にそれらしいものはなかったような……あ」


 少しだけ考えていた様子のソフィアさんでしたが、ふと気づいたことでもあったのかそう言葉を漏らします。


「何かあったのですか?」

「…確実にそれとは決めれないけど、確か海底辺りになんか大きめの石碑みたいなのが沈んでいたはずだね!」


 そのせいで私は【水泳】スキルを持ってないせいで泳いでいけなかったしね、と続けて言葉にしてくれたソフィアさん。


 なるほど、海底ですか。それなら確かに、スキルがないとしっかりと石碑の確認にはいけませんね。


 まあそれでもその情報を教えてくれたのはありがたいですし、それなら、レベルが低いとは言え【水泳】スキルを持っている私が明日にでも確認してきましょうか。


「…それと話は変わるんだけど…」

「はい、なんですか?」


 私がそんな思考をしていると、ソフィアさんが何やら気になる情報でもあるのか、少しだけ悩みつつも言葉を続けてきます。


「なんか、このイベントエリアって変じゃない?」

「そうですか?私は特におかしくは感じませんが…」

「そうね、私も特に気になることはなかったわね?」


 ソフィアさんの言葉にアリスさんとネーヴェさんはそう返しますが、リンさんと私はその言葉に頷き、言葉を発します。


「私も少しだけ変に感じたわね」

「多分ソフィアさんとリンさんの変と思ったポイントは、このエリア内にいるほとんどのモンスターたちが必ずと言っていいほどに辺りを警戒しているところじゃないですか?」


 私の言葉を聞いたソフィアさんとリンさんはそれか!と納得の表情を浮かべていますが、アリスさんはともかくネーヴェさんもそれを聞いて、そういえばそうかもしれないわね?とでもいうような表情をしています。


「モンスターたちの警戒が強いのです?」

「ええ、思い返せば肉の確保のために倒したモンスターたちも基本は警戒をしていたからね」

「なるほど、それでですか」


 不思議そうにしていたアリスさんへネーヴェさんが軽くモンスターについて教えていましたが、アリスさんもモンスターを見かけていたとは思いますけどそれについてはとくに気になっていなかったようですね。


 まあ知らなくても問題は特にないので大丈夫ですけどね。というか、森などにいたモンスターたちはもしかしなくても私が遺跡で出会ったモンスターに対して警戒をしていたのでしょうかね?


 それなら、この無人島に封じられているという謎の存在のこともありますし、納得は出来そうですが……とりあえず、今それについて考えてもわかりませんし、明日から兄様たちも含めた皆で東西南北の情報を調べていけばよいですね。


「っと、そろそろいい時間ですし、夜ご飯の用意をしますか」


 そうこうして談笑をしていると、すでに時刻は六時近くになっていました。


 兄様たちはまだ帰ってはきていませんが、そろそろ仕込んでいたお肉もありますし、夜ご飯の支度をしていればそのうち帰ってくるでしょう。


 まあローストチキン以外の夜ご飯はバーベキューにするので特に手は必要ありませんけどね。


「手伝いはいるかしら?」

「いえ、こちらは私がパパッと作るので座ってい大丈夫ですよ」


 ネーヴェさんの声にそう返事を返しつつ、私は味を染み込ませるために置いていたお肉を確認した後、すぐさまダッチオーブンの下に焦げつき防止として鑑定によると食べても大丈夫らしい植物の葉っぱを引き、その上にお肉と詰める時に余っていた野菜を一緒に置いて、しっかりと蓋を閉めます。


 そして、その間に起こしていた焚き火の上に……豪快に突っ込みます!


 それと蓋の上にもしっかりと火のついた木々を置いたので、これで大丈夫でしょう。では、あとは一時間待つだけですね!


 その間はバーベキューの食材でも焼いていきますか。

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