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配信に誰も来ないんだが?  作者: 常夏野 雨内


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70話 灰川とシャイニングゲート社長の飲酒配信

「ナベさん! もっと飲みましょうよ!ほらほら!」


「灰川さんも飲みなって! まだまだ酒はあるからね!」


 シャイニングゲートの配信ルームの一つ、最も広く最も良いマシンがあり、最も回線が強いルームに灰川と渡辺社長は入室して配信をしていた。


 呼び方は渡辺社長の事はナベさんと呼び、灰川の事は普段通りに呼んでいる。既に結構な量の酒が入っており、かなり酔っぱらってる状況だ。


 開始から30分で現在時刻は夜の10時、今夜の灰川チャンネルも視聴者はゼロだったが、飲みながら騒いでる内に配信に誰かが来た。


『牛丼ちゃん;こんばんわ灰川さん、今日はコラボ配信? 知り合いの人?』


「こんばんわ牛丼ちゃん! 今日はナベさんと雑談コラボだぜー! しかも飲酒配信!」 


「なんだよ灰川さん、視聴者さん来るんじゃないか~! こんばんわ牛丼ちゃんさん、配信お邪魔してます!」


『コロン;こんばんわ』


『マリモー;来たわよメビウス、配信してたのね』


 エリスと佳那美とツバサが来た、どうやら自分たちの配信は終わり今夜は灰川の配信を見に来てくれたようだった。


『青い夜;こんばんわ灰川さん』


『南山;お邪魔しますね』


 そこにナツハとミナミも加わり、灰川配信の視聴者がこんな日に限って全員集まったのだった。


「うおおー! 今夜はみんな集まったじゃん! 来てくれてありがとう! 感動したぜ!」


「5人もコメントしてくれるなんて凄い事だぞ灰川さん! 視聴者さん5人突破を記念してブランデーを開けよう」

 

 次から次へと酒が入って行き気分が高揚していく。灰川も渡辺も普段は酒を飲まない事が多いから、アルコールの周りが強い様子だ。


『青い夜;その声ってまさか、SのWさん?』


『南山;灰川さんが話してる方って、先程一緒に居られた方ですか?』


 ナツハとミナミが言葉を潜めてシャイニングゲートの渡辺社長なのか?と聞いて来る、その質問に。


「そうですよ~! 僕はSのWさんだよ、それが分かるって事は青い夜さんと南山さんは僕と会った事があるってことだね」


『青い夜;まあ、そうですね』


『南山;予想が付いても言わないで頂けると嬉しいです』


「予想は付くけど誰にも言わないよ、だから僕が灰川さんの配信に出たって事もオフレコね! 約束だぞ!? 絶対に他の人に言わないでくれ!!」


『牛丼ちゃん;凄い必死だ…そこまでして配信やってみたかったんだ、ナベさん』


『コロン;ナベさん面白い! 灰川さんも何だかいつもより明るくて楽しい!』


『マリモー;飲酒配信ってやつね! アタシはまだ出来ないけど、お酒って美味しいの?』


「美味しい! でも久々に飲んだぜ! しかも今飲んでるのは高級酒だから良い感じに酔える! わっはっは!」 


 今の状況を説明しつつ配信は流れていく、普段とは違い他者を交えての配信だが、酒の力もあって饒舌に灰川と渡辺は会話してる。


『仕込み杖;こんばんわ、配信では初めましてだね~』


『南山;こんばんわ仕込み杖さん、来て下さったんですね』


「えっ? 新視聴者さん!? 来てくれてありがとう!」


『仕込み杖;あ~、Wさんも一緒なんだね~』


「知ってるって事はKさんかな? さっき南山さんに配信の事聞いたの?」


『仕込み杖;そうだよ~、まさか今日やってるとは思わなかった』


「Kさんって事はそう言う事か! 灰川さんの配信には凄い面々が集まって来るなぁ!」


「視聴者は凄いけど俺は底辺配信者ぁ! こんなに面白い配信してるんすけどねぇ!」


 新たに来た仕込み杖さんは染谷川小路だという事にはすぐに気が付いた、ミナミに配信の事を聞いて訪れたのである。


 灰川の配信には登録数ナンバーワンVtuberのナツハや人気Vtuberのエリスやミナミが視聴者として来るが、依然として灰川の登録者数は30を超えない。


「何しよっかな~! どうせだからyour-tubeにある面白動画でも見て盛り上がりますかぁ!」


「良いね灰川さん! 個人配信だとそう言う事も怖がらず出来るのがイイネ!」


『牛丼ちゃん;それならオススメの動画あるよ、面白ハプニング集のやつ』 


「よっしゃ!それ見ようぜナベさん! ギャハハハ!おもしれー!」


「おうよ灰川さん! ありがとうございます牛丼ちゃん! はーはっはっはっ!」


 酔っぱらって見る面白動画は破壊力が高く、灰川と渡辺は思い切りに笑い転げる。


『青い夜;二人とも笑い過ぎですよ、私もお勧め動画貼っとくね』


「おっ!これはドラマのNG集だな! 青い夜さんもこういうの見るんだね~! ギャハハハ!」


「あっーはっはっは! こんなセリフの間違い方はしちゃダメだろう! ははははっ!」


 ナツハのお勧め動画も面白くて笑い転げる、もう何やっても笑うくらいのテンションだ。


『南山;では私もオススメ動画をリンクさせて頂きます』


「動物ハプニングか! うはははっ! このバカ犬飼いてぇ~~!」


「リスが穴に落ちたー! ははははっ! これこれ、こういうのが良いんだよ!」


『南山;喜んで頂けて光栄です♪』


 他人の動画を無断で配信画面に映しながら笑い転げていく、画面の向こうのエリスやナツハ達も二人のテンションの高さに釣られて面白い気分が強くなっている。


『マリモー;じゃあ私はこの前学校であった面白い話をしてあげるわ!』


「頼むよマリモーさん! もっと笑わせてくれ!酒も美味いし最高だ!」


『マリモー;授業中に隣の席の友達がVtuberの自由鷹ナツハの絵を描いてて見せて貰ったわ! そしたら戦国武将みたいな絵柄になってた!』


「はっーはっはっはっ! その子ウチでVtuberデビューさせてくれぇ~!画伯Vtuberとして売り出そう! はっはっはっ!」


「その絵見てぇな~! 自由鷹ナツハちゃんに売りつけようぜ! ギャハハハ!」


『青い夜;見てみたいけど買わないよ! 凄い見たいけど!』


 どうせ誰も来ない配信だから何でもアリだ、酒も回り切ってテンションは最高潮である。


『コロン;私も学校で面白い事あったよ! 灰川さん、ナベさん聞いてくれる?』


「聞かせて聞かせて! お願いの土下座ぁ~!」


「灰川さん、顔出し配信じゃないんだから見えないって! ははははっ!」


『コロン;学校でクラスの子が机の上で踊ってたらね、先生が来て投げ飛ばされたの! でもケガとかはしてなかったし皆笑ってた!』


「ぐはははっ! 投げ技持ちの先生かよ!格ゲーに出ろやぁ!」


「問題児に問題教師! 良い組み合わせじゃないか! ははははっ!」


『コロン;そしたらその子の両親が怒って学校に来たそうなんだけど、どんな風に投げたか見せるためにもう一回投げ飛ばしたんだって!』


 「「はっーーはははっ!!」」


 もう何しても笑うし、何を聞いても笑うような精神状態だ。コメント欄も普段と違ってエリス達が『www』と草を生やして面白いと表現してくれてる。


『仕込み杖;私も面白い話あるよ~、聞く?』


「何でも話してくれ仕込み杖さん! 初見さんだから2割増しで笑っちゃうぜ!」


「こみち…じゃなくて!仕込み杖さん! 面白い話頼むよ!」


『仕込み杖;慣れた道で一人で外を歩いてたらね、いつの間にか障碍者の地位向上デモの中に入ってた事があったよ~』


「うはははっ! 気マズイなそれ! 偶然だもんな仕込み杖さん!」


「わーはっはっはっ! それは難儀なことだったね!」


『仕込み杖;でも周りの人は私のこと凄く褒めてくれたよ~、凄い体験だった』


「そんなん俺だって褒めるわ! でも今は笑いが止まんねぇ~!」


「僕も今度は差別撤廃デモに参加するぞ! 今決めた!」


 面白い時間が続いていき、腹がよじれる程に笑う。酒もどんどん進みテンションは下がる事がない。


『牛丼ちゃん;この配信面白い! 私も面白動画配信したいかも!』


『南山;さっきから笑いっぱなしです、お腹が痛くなってきましたwww』


『青い夜;こんな配信初めて見たかも、参考にさせてもらうね』


『コロン;灰川さんもナベさんも面白いよー! こんなに笑ったら眠れなくなっちゃうよー!』


『マリモー;こんなに面白い配信できるなら、そのうち誰かくるわよ!』


『仕込み杖;私も視聴者登録するね~』


 その後もしばらく笑いまくりながら配信を続け、結局は二人が寝落ちするまで配信は続いたのだった。




「う~…頭いて~…、怖い夢見たような気がするけど覚えてねぇや…」


「完全に二日酔いだね…僕も怖い夢を見た事は覚えてるけど、酒のせいで内容は抜けてるかな…」


 灰川と渡辺社長は完全に酔って配信をしており、昨日の記憶も薄くなっていた。


「昨日は配信をして凄く楽しかった事は覚えてるんだけど、細かい事は頭から抜けてしまってるな」


「俺もっすね、いくら何でも飲み過ぎちゃいましたね」

 

 高級な酒を美味いからと飲み過ぎて笑い上戸になり、配信でハジケてしまった。渡辺社長の役職的にストレスなんかもあったのか、かなりハジケた様子だった。


「僕は仕事に行かなくちゃね、頭痛いけど…」


「俺もちょっと調査しに行きます、政治家先生の家を訪ねて来ますよ…ちょっと酔いを醒ましてから…」


 こうして昨夜の事は夢のように去って行き、今日も一日が始まろうとしていた。


 今日の予定は灰川は政治家の自宅に行き、この邸宅の土地に関する事を聞く事だ。それは同時に四楓院家の金名刺の力が本当なのか確かめる事でもある。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しそうで何より。やり過ぎるとヒロインズに呆れられるから注意だメビウスさんとWさん。 [一言] 渾身の悪夢怪異が酒に流されていく……
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