243話 渋谷でキャンプって出来んの…?
「意外と疲れてないなぁ、さて配信するかぁ」
金曜日になり灰川は仕事を片付けて帰宅し、いつものように配信しようかと思ってパソコンを起動する。
来週からの新業態に向けて心向きを変えていかな行こうとか思うが、週末はしっかり休んで来週に備えたい。
アリエルは佳那美と一緒に演技などのレッスンを受けて忙しく過ごし、今は馬路矢場アパートの隣の部屋でグッスリ眠ってる。聖剣ファースは灰川の部屋でエネルギー充填し終えてる状態だ。
灰川はアリエルの保護者代わりではあるが、彼女は意外としっかりしており1人でもある程度は生活できる。家との連絡などもあるため四六時中付いてる訳じゃない。
それに元々はMID7という秘密機関の所属者で聖剣の担い手なのだから、やはり普通の小学4年生ではないのだ。けっこう寂しがりやな子なので注意は必要だが、過干渉は遠慮した方が良いだろう。
「今日は何すっかなぁ~、やっぱ格闘ゲームやるかぁ!」
選んだのは昔の格闘ゲームで、灰川が生まれるよりも前のゲームだ。今はダウンロードしてプレイが出来る。
「はい、どうも! 灰川メビウスでっす! 今日はナックルズFをやってくぜ!」
パソコンにコントローラーを繋げてゲーム開始だ、レトロゲーだがやり応えのあるゲームとして名前が人気ゲームである。
「難易度はスーパーベリーハードだな、よしやってくぜ! オラオラァ!」
ビシ!ビシ!バシ! デュクシ!デュクシッ!
「うあぁぁ!もう負けた! なんだコレ!?」
画面の中の筋骨隆々の男のHPが一気に削られて『うぉぁぁ~!』というエコーの掛かったボイスと共に散っていく。
「コンテニューだ! 納得いくかこんなの!」
瞬殺されて悔しくなりゲームを続行すると、今夜の視聴者がやって来た。
『牛丼ちゃん:昔の格ゲーでボコボコにされてないでさー、明日の渋谷はスゴイことになるよ』
「おーす牛丼ちゃん、ぜんぜん勝てねぇやコレ! 明日の渋谷って何かあったっけ?」
市乃が配信にやって来て、そのままゲームをしながら雑談タイムになった。画面はひたすら灰川の操作キャラがデュクシ!デュクシ!と、年季の入った効果音を上げて技を決められてる。
『牛丼ちゃん:灰川さん知らないの? 明日から明後日まで“タウンキャンプ in 渋谷”のイベントがあるんだよー』
「タウンキャンプって何? 渋谷にキャンプできる場所があるってこと?」
『牛丼ちゃん:渋谷でキャンプできるっていうイベントでさ、私もやってみたかったよ!』
タウンキャンプ in 渋谷とは読んで字のごとく渋谷でキャンプをしようというイベントで、区が更なる集客と話題作りのために企画したイベントだ。
その内容は普段だったら絶対にキャンプ出来ないような場所で、テントとか張ってキャンプするという感じだそうだ。動画配信とかも自由らしいが条件はあるらしい。
かなり話題になってるようでインフルエンサー優先枠とか、抽選客、その他のイベント参加者枠はあっという間に埋まってしまったそうだ。
面白そうと思って市乃も応募したいと思ったそうだが、テレビ局の仕事とかで予定が変わるのも怖いから応募はしなかった。
「渋谷の何処でキャンプなんかしようって言うんだよ? あんなコンクリートジャングルでさぁ。うわ!また瞬殺された!」
『牛丼ちゃん:それがさー、場所がスゴイんだよね! 普通だったら絶対にキャンプなんか出来ない場所ばっかりだよ!』
市乃が言うには、50階建てのビルの渋谷クロススクウェア屋上展望台、渋谷駅前のハチ公前広場、宮上パークの4階屋上公園、渋谷駅の中の何処か、そして一番の目玉は。
『牛丼ちゃん:一番スゴイ場所は、スクランブル交差点の中だよ! まさかあんな場所って感じだよね!』
「交差点!? 車にひかれて死んじゃうぞ!? うげぇ!こっちは投げ技で死んだぁ!」
『牛丼ちゃん:もちろん通行止めとかにしてだよ! しかもテントとかも張れるように何か用意するみたいだしねー』
スクランブル交差点ですらキャンプ地にするというのがイベントの目玉らしく、交通規制を張って安全性はしっかり守られるらしい。
もちろんキャンプ場っぽい感じにするから、芝マットを敷いて土の上に張るテントも使用可能にするとのこと。まさかの場所でキャンプできるとの事で、マニアからは激熱の視線を送られた。
キャンプ系your-tuberやキャンプ界隈で名の知れた人とか、アウトドア雑誌編集者やネットサイト運営者、コラムニストが続々と名乗りを上げて参加しようとしたが殆どは抽選漏れだったらしい。
『牛丼ちゃん:でもスクランブル交差点は特別枠キャンプって感じでさー、凄いキャンプに詳しい人とか有名な人が選ばれてるっぽいねー』
「そうなのか、そりゃ差別だな!」
最も人目に付く場所で一番の話題に上る場所だから、見栄えの良い人たちが優先的に選ばれたという事なのだろう。イベントの目的は街の求心力の維持と上昇なのだから仕方ないだろうか。
しかし今でも十分に人が多いというのに、これ以上増やしてどうするんだ?と思わなくもない。だが、こんな風変わりなイベントをやるからこそ流行の最先端の街なのかもとかも思う。
「まあ、俺らにゃ関係ない話だな、周りで行く人も居ないんだし」
『牛丼ちゃん:だよねー、他にも行きたがってる人が居たけど、参加できないんじゃねー』
「そもそも渋谷の街中でキャンプなんてやるなっての、キャンプ場に行けってばよ!」
そんな感じで明日は渋谷でキャンプのイベントがあるが、特に参加する者は居ないため灰川達には関係ない話である。
大都会の街中でキャンプとか実際に参加したらどんな事になるんだろうな~、とか思いながらゲーム配信をしていき、その日は終わりとなったのだった。
翌日の朝、灰川は自室に朋絵を呼んで来週の打ち合わせをしてる。アリエルはレッスンに行ってるので今は居ない。
朋絵は灰川の事務所からVtuberデビューが決まっており、元ライクスペース所属の滝織キオンの経験を活かして今度もVとしてやっていく事を約束してくれた。
「という訳で朋絵さん、要望に合わせてVtuberモデルを用意したから、来週からデビューって感じで」
「随分と早いですよね、入所するって決めてから1週間くらいしか経ってないんですけど」
「モデル自体はイラストに合わせて、シャイニングゲートのプログラマーさんが制作してくれたしさ」
デザイン自体はイラストの方に時間が掛かるかと思ったが、朋絵の友達がデザインしてくれてたモデルだったらしく、朋絵にVに復帰して欲しいという強い熱意を持って入所前に用意されてたのだ。
以前に使用していた滝織キオンのデザインもその友達の作らしく、モデルへの思い入れをそのままにVtuberに復帰転生できるという訳だ。
そこにシャイニングゲートのプログラマーが最優先でVモデルとして仕上げてくれて、来週からのデビューが予定されてる。
「他の所属者の事だけどさ、佳那美ちゃんとアリエルはテレビ関係の仕事の打診が来てる。Vには俺の妹の砂遊、元ぶりっつ&ばすたーの丑獅子イオスが入る事が決定したよ」
「そうなんですね、愛純ちゃんは今も親と交渉中だって話だけど、どうなんだろ」
「愛純ちゃんの事も今は少し風向きが変わって来てるよ」
愛純は両親が渋ってるが実は灰川も手を打ってる。
灰川は愛純のお母さんが勤めてる病院の小児科の科長である岡崎先生と仲が良く、その事を出汁に電話で話をして信用を上げたのである。
その後に愛純の母である乃木塚先生は岡崎に話をして、彼は信用できる人物だと思うと言われ、考えを揺さぶられてるという感じだ。
しかしまだ実績もないし事務所としての信用は薄い、もう少し押せば行ける気もするが様子見をするのが吉と出そうな予感がしてる。
「朋絵さんは実力勝負で行きたいって話だけど、悪いけど完全な実力勝負はさせられないよ、都合って物があるしさ」
「はい、理由も納得できたし、今は前と状況が違いますもんね」
事務所としてはデビューする以上は名前が広まってくれないと困る、小さな事務所とは言え所属者の配信やネット活動は商売となるのだ。そこで気ままに実力勝負をしてもらったら売れるのに時間が掛かってしまうだろう。
今はVtuberも配信者も飽和に次ぐ飽和の状態、ここからしっかりとした稼ぎを得られるようになるのは難しい。
朋絵にはSNSなどでの事前活動は控えめにしておくようにと言ってあり、それはこれからのマーケティングに関わる内容だ。
「本当は朋絵さんに実力勝負をさせてあげたいさ、でも話はそう簡単じゃなくてさ」
灰川事務所が総合芸能事務所に業態変化するのには幾つかの目的があり、大きな目的の中にはハッピーリレーとシャイニングゲートと並ぶ事務所となって『3社での業界内特殊経済圏を作る』というものだ。
これは金の貸し借りとかの意味ではなく、3社で視聴者や企業に向けて話題を提供し、ネット界隈の配信が好きな人達の目を3社に向けさせるという意味合いだ。
企業の壁を越えたコラボなども実施しやすくしたいし、とにかく何が起きても集金経路が維持できるようズブズブの関係になろうという感じである。
その計画の中核を担うのがバックが強い灰川であり、各所属者の努力や、スタッフの様々な方面での頑張りである。
もちろんこの経営計画に難色を示す所属者も居るし、不安要素が全く無い訳ではない。業界1位のシャイニングゲートからしたら、格下会社と5分の盃を交わすようなものなのだ。
しかしこの方針は社長や経営陣が決めた事で筋も通ってるからスタッフは理解はしてる、所属者としてもナンバーワンのナツハが賛成してるのだし、何よりマネージャーなどが所属者にきちんと説明して納得を得られるよう努力してる。
「灰川事務所はここから一気に名を上げないといけないし、ハッピーリレーもシャイニングゲートと並んで、遜色ない事務所にならないといけないんだ」
「分かってます、私が知らなかっただけで配信企業って、裏では経営に関して凄く色々と考えてるんですよね」
朋絵はライクスペース時代は会社は税金の手続きとか、企業案件を取って来るとか、所属者のサポートとかの仕事をしてると漠然と思ってた。
しかし裏では様々な仕事があるし、イベントとかになれば寝ずに仕事に追われるなんて事もあるという話を灰川などから聞かされた。
サポートは決して楽な仕事じゃないし、目立ちこそしないし自己主張もしないが、業界を支える大きな地盤の一つなのだ。
サポートやプラットフォームが地盤なら活動者はその上に立つ柱だろうか、どんなに立派な柱でも地盤が緩かったら立ってられないのである。
「聞く所によるとだけどさ、今の業界2位のサワヤカ男子はサポートの人達の賃金が安くて、優秀なサポート役が流出してるらしいよ」
「そうなんですか? でも噂ってだけだし、あんま信じない方が良いかもですよ」
サワヤカ男子は所属者を優遇して多額の報酬を支払ってるが、サポートをする職員にはあまり金が多くは行ってないらしい。
その業態は会社発足当初かららしく、今はその是正に追われてるらしい。つまりサワヤカ男子は職員より所属者の方が発言権が強い会社という事であり、所属者とサポートの対等な関係の構築に失敗したという事だ。
「今の所は所属者が3人しか居ない小さな事務所だけどさ、一緒に頑張って名を上げようぜ朋絵さん。これからよろしくね」
「うん、灰川さんも頑張って下さいよ。私も精一杯頑張って稼がなきゃいけないんですから」
ここからは失敗は許されないが、失敗しないための地固めは終わった。後はコネでも何でも使って名前を上げていくのだが、そこには金や所属者のコミュニケーションなど様々な問題がある。
金の問題も大きいのだが、ひとまずは朋絵や佳那美とアリエル、それと入所ほぼ決定の砂遊をどのように2社の所属者に近づけさせるかの問題だ。
朋絵は一応はシャイニングゲートの染谷川 小路と物件探しの時にコンタクトしており、それなりに話は出来る関係性になった。しかし凄く仲が良い訳でもないし、他の所属者とはほとんど顔合わせだってしてない状況だからどうすべきかと思う。
朋絵はけっこう我が強いタイプであり、顔合わせに失敗したら嫌われる可能性だってありそうだと灰川は感じるのだ。そうでなくとも相手にウマが合わないと思われる可能性もあるように感じられる。
2社の所属者との顔合わせは仲良くなる事が前提であり、それは仕事をしていく上で大切な顔合わせになる。それは単に互いの認知ということでなく、ビジネスの一環なのだ。
朋絵は仲が悪い人と器用に仲良し営業を出来るタイプには思えないし、それならば仲が良くなれる人と顔を合わさせなければならない。
面倒な子だという部分もあるが朋絵には確かな爆発力があり、ウマが合う人とはとにかくウマが合う感じがするから、そこを上手くやれればなと思う。
「まあ、取りあえずは来週から~~…ん? 電話が来たな」
「灰川さんって忙しいんですね、疲れすぎないように気を付けて下さいよ?」
会話を継続しようとした所で灰川のスマホが鳴って電話に出る、画面に表示されてる番号は覚えのない番号だった。
『すいません、タウンキャンプ in 渋谷運営委員なのですが』
「え? タウンキャンプって、あの渋谷でキャンプするっていうイベントですか?」
『はい、灰川様のお電話で間違いないでしょうか?』
何故か昨日に配信で市乃と話した渋谷キャンプという、イカレたイベントを運営する所から電話が掛かってきた。その瞬間に灰川の脳裏にフラッシュバックのように存在しない筈の記憶が通り過ぎた。
ある日に自宅で酒を飲んで悪酔いし、ネットで都会のど真ん中でキャンプとかいうバカみたいなイベントを見かける、酒の力もあって爆笑してたら応募してしまった。
当選通知とかも来てたが応募の際に実家の方の住所を書いており、母の芳子から電話で『なんか来てたから代わりに書いて渋谷の役所に送っといた』と言われた。
きっとそれが元になってイベントに参加という流れになっていたのだ、灰川はイベント当日の朝になるまで全く気付いて無かったのである。
『本日は午前11時までのチェックインとなっております、最低2人のチェックインが間に合わないようでしたら、参加費の3倍のキャンセル料の支払いという事になりますが』
「えっ…? い、いや、間に合いますよぉ!冗談キツイっすよ~! でへへ!」
『では事前予約通りの宿泊者5名以上という事でよろしいですね? それではお待ちしております』
「いや~、楽しみだなぁ~! キャンプ好きの血が騒ぐってもんですよぉ~!」
灰川にはキャンプ好きの血が流れてる事になり、キャンセルしたら結構な金が掛かるのも思い出して顔が青くなりかける。このイベントはキャンセルによるイタズラや迷惑防止のために、キャンセル料を高く設定してるのである。
「…………」
「どうしたんですか? キャンプがどうのこうのって聞こえましたけど」
「やべぇよ……やべぇよ……!」
酔った勢いで応募しちゃいました!とか、実はキャンプ用品なんて持ってませ~ん!なんて通じる雰囲気じゃなかった。
このイベントは区が主催で力を入れてるらしく、昨今のキャンプブームに乗っかって街の話題性を更に活性化させるという公然の目的がある。
キャンセル料もバカ高いし、渋谷区で自営業してる身だから目を付けられる可能性もある、というのは灰川の考え過ぎだろう。
「と…朋絵さん……。キャンプ…とかって興味あったりしない…? なんて…でへへ…」
「キャンプ行くんですか? 私キャンプは相当に好きですよ、前も学校の友達とかライクスペースで仲の良かったメンバーと一緒にキャンプ行ったりしましたし」
朋絵はキャンプが好きで割と行ってるようであり、たまにソロキャンプもする程に好きらしい。今の時代には女子高生でもアウトドアファンは珍しくないようで、朋絵もその1人であるとの事だ。
Vtuberは大体はインドア派だろうと灰川は思ってたが、そんなのは人によりけりだ。陽キャのVだっていっぱい居るし、キャンプマニアのVだって居るのである。
それに元々はライクスペースは陽キャ気質の所属者が多かった配信企業であり、アウトドアや旅行好きの所属者は多かったそうだ。
「そういえば今日ってタウンキャンプ in 渋谷の日でしたっけ。あれに当選した人って羨ましいなって思いますよ! キャンパーの中で話題になってるんですからっ」
「そうなの…? アレってそんなに話題になってるの…?」
「当たり前ですって! だって渋谷の色んな場所でキャンプですよ!? これを逃したら一生そんなこと出来ないかもじゃないですか!?」
朋絵は茶色に染めたセミロングの髪を揺らしながら熱めに語る。渋谷キャンプイベントは誰も想像して無かった事であり、新感覚のキャンプである事は間違いないそうだ。
体験した者でなければ絶対に分からない何かがある、渋谷の街中とかビルの屋上でキャンプやバーベキューなんて経験は簡単に出来るものではない。
朋絵も応募したが普通に落選、相当に悔しくてキャンセル待ちとかを見てたそうだが、それでも駄目だったらしい。
「当選した人、私に譲ってよ~! 私も渋谷でキャンプしたいよ~! うあー!」
「朋絵さんって欲望に忠実だよね、あはは…」
50階のビルの屋上でテントを張ったらどんな気分になるのか、スクランブル交差点でキャンプしたらどんな景色が見えるのか、興味が尽きないようだ。
「そのイベントにさ…俺が当選しちゃってたって感じなんだけど…」
「~~!?」
「もし良かったら…行く…? ちょっと名前だけでも貸してくれないと困るって言うか……」
「!?!? 灰川さん、マジ!?」
事情を説明して朋絵は取りあえずは見に行きたいという事になった、灰川が相手なら変な事もしないだろうし、取りあえずはキャンプ参加前提で話が進む。
まずは会場に行って現地を見たいという事になり、渋谷に向かう事となる。
朋絵はレンタルで様々な物を試すタイプのキャンパーだから、自前でテントなどは持ってないらしい。灰川はそもそもキャンプに詳しくない、地方出身者の皆がキャンプに詳しいなんて思ったら大間違いだ。
「どんな感じなのかメチャ気になる! 早く行こうよ灰川さん!」
「市乃にも電話したけど寝てるなコレ……あと最低でも3人必要なんだが…」
朋絵は浮足立つ気持ちを抑えられず、灰川は不安の気持ちを抑えられない。テントを含むキャンプ用品のレンタルなどはしてないと書いてるし、どうしようかと思ってしまう。
そして2人はまだ知らない事があり、タウンキャンプ in 渋谷はキャンプエンジョイのガチ勢、つまりは『派手でオシャレで見栄えの良いキャンプが好きな人達』が多数を占めてる事を知らない。
参加費の事もあって、参加者は必然的にガチ勢とかオシャレ系キャンパーが多くなってるのだ。
アウトドアショップで売られてる過ごしやすい大型テントや、広くて快適なキャンピングカーや車と一体になったテント、最新の格好良いテントやグッズ。
そんな見栄えの良いキャンパー達がこぞって自らのキャンプグッズの、お披露目会みたいな感じになる。むしろイベントの目的こそがソレなのだ。
見栄えが良くてスタイリッシュでイケてるキャンプを渋谷でやってもらうイベントであり、凄いテントとかを持ってる人や借りられる伝手や財力がある人達が集まる。
制約も多いイベントだが、それ以上に普段は出来ない特別な体験という事もあり参加者は期待を燃やしてる。それにこのイベントにはキャンプ以外にも特別な体験が出来る催しがあるようなのだ。
そんな中で灰川は『焚火は近所の煎餅店から一斗缶でももらって木の枝でも燃やそう』とか考えてる。




