197話 美容は大事!
空羽とのロケハンが終わったあと、流石にドキドキした気持ちになった。だが割と普通に勘違いするな精神が働き、灰川は普通のリズムに戻ってる。
「さて、配信するかぁ」
明日はOBTテレビにて自由鷹ナツハを始めとしたVtuberや、その他の人が出演するテレビ番組、new Age stardomのリハーサルと本番がある。
ここまで様々な事がシャイニングゲートとハッピーリレーとOBTテレビの話し合いによって決められ、顔バレは極力ナシ、芸能人などにも極力は会わない、3D撮影や2D撮影を入り混ぜた撮影方式などが取り決められた。
最初のメンバーは自由鷹ナツハ、竜胆れもん、三ツ橋エリス、北川ミナミの2社のトップ2、そして最近は伸びが良い破幡木ツバサの5名である。
メイン出演はツバサ以外の4人で、ツバサは今後のための見学的な要素が強い。全員しっかり番組台本を読んで喋る内容や触れるべき話題などは頭に入れてるそうだ。
収録に当たってはメディア業界出身のハッピーリレーの花田社長と、事業部長の中本が出演者に講習を行っており、完璧ではないにせよある程度は対応できるようになってる。
番組1回目はVtuberという形態の紹介や、ネットで何をしてるかなどを面白おかしく紹介という形で、VTRや製作映像が主に使われるので出演Vtuberたちが喋るターンはそこまで多くない。
富川プロデューサーや番組スタッフ、社長達の意向で最初は慣らしと流れの掴みを重視するという方向性だ。
「今日の配信は何すっかなぁ、まあ良いや、始めちゃおっと!」
とりあえず配信を始めて何かゲームでもするかなと考えてた時に、今日は早くも視聴者が来た。
『牛丼ちゃん:やっほー灰川さん』
「おっ、こんばんは牛丼ちゃん、今日は何すっか決めてねーんだよなぁ」
『南山:配信お疲れさまです灰川さん』
「南山さんも来てくれたんだ、ありがとね~」
『青い夜:こんばんは、配信に来るの久しぶりかも』
『柑橘系:どーもっす!』
「青い夜さんに柑橘系さんも来てくれたんだ、なんか嬉しいなぁ!」
『マリモー:私も来たわよ!』
「マリモーさんも来たんだ、ありがとうな!」
なんと明日のメンバーが灰川配信に揃ってしまった、どうするべきか悩んでしまう。
「何がとは言わないけどさ、皆って緊張してる?」
『牛丼ちゃん:当たり前じゃん!メチャ緊張してる!』
『南山:はい、ですが頑張ろうと考えてます』
「あ、ちょっとヤベェな…参加者限定配信にして他に気取られないようにすっから」
灰川は不用意な言葉を発したと思い、すぐに配信をシークレットにして特定メンバー以外は誰も入室できないよう対処した。これでプライバシーなどは完全に守られる。
「シークレット配信にしたからOKだ、こっからは何を書き込んでも大丈夫だからよ」
『青い夜:ゴメンね灰川さん、私も実は緊張してるよ』
『柑橘系:自分もヤバい緊張してるっす』
『マリモー:私は出番が少ないからそんなに緊張してないわ』
やっぱり大なり小なり緊張はあるみたいで、それを和らげるために灰川の配信に来たようだった。
今日は三ツ橋エリスと破幡木ツバサが配信をして、ナツハとれもんとミナミは学校から帰って来てから明日のための準備やセルフリハーサルに時間を割いたようだ。
それぞれに緊張してるようで、史菜やれもんは相当に緊張してるような気がする文面だ。失敗は許されないが生放送じゃないからリテイクは普通に出来る、そこだけは安心できる部分でもある。
「明日は全員ガンバってな、俺も帯同と送迎で一緒に行くけど、何も出来ねぇからさ」
何も出来ないとは言ってるが、実際にはあんまり緊張してるようだったら陽呪術でサポートしようと思ってる。
花田社長や渡辺社長も初回は着いて来てくれるし、灰川の金名刺の力を何らかの形でアテにさせてもらう可能性もあるから帯同を頼まれた。他のスタッフは仕事があるから帯同は出来ないそうだ。
そうでなくとも雑務だったりを頼む可能性もあるし、社長達は他の仕事周りもあるからスタジオにずっと居れる訳じゃないらしい。灰川に頼みたい事も出るかもしれないとの事だ。
『南山:灰川さんが着いてきて頂けるだけでも安心感が違います!』
『マリモー:誠治が居れば緊張も和らぐと思うわ』
『柑橘系:本当に緊張でヤバくなったらどうなるか不安っす』
それぞれの反応を示すが、帯同で一緒に行く事には好意的に思ってくれてるらしい。灰川としてはそう思ってくれて嬉しい限りだし、何か仕事を頼まれたら全力で当たろうという気になれる。
しかし明日の主役たちは自由鷹ナツハを始めとした皆であり、灰川が頑張っても直接的な意味は無い。だが間接的には励ましたりする事は出来るはずだ。
明日はテレビ局のスタッフ達が面白い番組を作るために、必死で仕事をする姿を見せてくれると思う。そんな人達の姿を間近で見れる事だって勉強になるだろう。
元から大人の世界で勝負してる彼女たちは、明日は更に一歩を踏み込んで世の中の深い所に立ち入る。それは他の配信者やVtuberより一歩先に進むという事だ。
もちろん配信者やVtuberがテレビに出るのは初めてじゃない、しかし全国ネットでレギュラー番組を持つのは彼女たちが初なのだ。
これが成功するか否かによって界隈の先行きが晴れるか雲が差すかが決まる、それは決して小さな事じゃない。
「ジャパンドリンクのテレビCMも完成が間近だし、明日は気兼ねなくやれるぞ」
『牛丼ちゃん:CMアニメは声当てが後なんだよねー』
『青い夜:CM報酬凄かったよね、頑張らないとって思う』
『マリモー:ミドリアニメーションのCMね! 私も作ってもらえる事になった!』
撮影は明日だが番組放映自体は後だ、そこまでには結構な数のやらなければならない仕事があり、準備は進めて行かなければならない。
新番組の放送というのは非常に様々な事を決めたり実行したりしなくてはならず、2社のスタッフもエリス達も慣れない仕事でてんてこ舞い状態だ。
「あれ? プロデューサーから電話が来ちまった、ちょっと皆で話しててくれ」
『柑橘系:こんな時間に電話っすか? 緊急のトラブルとかじゃないと良いんすけど』
『青い夜:誰かが配信切り忘れて、テレビ局に行きたくないって言って炎上しちゃったとかかな?』
『柑橘系:それ自分じゃないっすか! あの時は皆マジすいません!』
灰川はアパートの外に行って電話を取る、相手は富川Pこと国家超常対処局のサイトウだ。もしかしたらオカルト関係の何かかと思ったが。
『こんばんは、OBTテレビの富川です。灰川さん、今ってお時間大丈夫ですか?』
「はい、どうしたんですか? サイトウさ…あ、いや、富川プロデューサー」
どうにも呼び方に困ってしまう、灰川の周りは名前が複数ある奴が多過ぎる。
どうやら霊能者としてではなテレビプロデューサーとして電話をしてきたらしく、嫌な知らせでもあるのかと少し身構えてしまう。
『伝え忘れてたんですが、出演者の皆さんは服装などはちゃんと選んで整えてくる準備はありますか?』
「えっ? もちろん新しい服を買ったとかで、ちゃんとした服を用意してると聞いてますよ」
服装はラフで自由にしていいと言われてたのだが、何か変わったのだろうかと聞いてみると。
『すいません灰川さん、実はテレビ局に来る人、特に女性の服装などの整え方は気を付けた方が良いという事を知らせるのを忘れてました』
富川Pが言うには局内では、特に女性は服装や容姿などを凄い見られるのだそうだ。それは女優だろうがアイドルだろうが変わらない。
美人だとか可愛いとかは当然で、人によっては『あの格好は格下』『喰えそう』『容姿に気を使ってない』とか、かなりの先入観を持って見る人も多いらしいのだ。
そうすると舐めて掛かられたり、好ましくない奴が近づいて来る要因になったりするらしい。特に最初は見かけない奴が歩いてると気にされるから、気を付けるべきだと言われる。
「皆お洒落な服とか落ち着いた服で決めてくんで大丈夫だと思います、ファッションは若い子の方が詳しいんですし」
『花田社長もそこら辺は気を付けてたと思いますが、今のトレンドはファッションよりも~~……』
「ええっ!?」
今はファッションと同じくらいか、それ以上に見られる部分があるらしく、聞いた途端に不安にさせられてしまった。
「皆、待たせて悪い、ちょっと聞きたい事あるんだけど良い?」
『牛丼ちゃん:どったの?』
『青い夜:やっぱり明日の話だったの?』
すぐに戻ってきて灰川は少し焦りながら聞く、富川Pが言ってた事は今まで灰川はそこまで気にした事のない事柄だったのだ。
「みんなってさ、美容室とかヘアサロンとかで、ちゃんとしたメニューとかコースって頼んでる?」
『南山:はい、私は渋谷の美容室でカットして頂いてます』
『柑橘系:自分も美容室でやってもらってるっすよ』
『マリモー:私は床屋さんで切ってもらってるわ!』
『牛丼ちゃん:センター街のヘアサロンでやってもらったよー』
『青い夜:私は美容メニュー込みでやってもらってるよ、トリートメントとか』
今のテレビ局内で人から見られるトレンドは髪の毛らしく、かなり気を使わないと舐められる感じになってるそうだ。
それぞれに美容室とかのちゃんとした所に行ってるようで、髪の毛にはちゃんと気を使ってるらしい。やはり女性は髪の毛を大切にするようだが、それでは足りないと聞かされた。
「レディースシェービングとかSPトリートメント、ケアプロトリートメントとかクレンジングヘッドスパとか、枝毛カットとかやってるか…?」
『牛丼ちゃん:そこまでやんないよー、トリートメントとか自分で出来るし』
『南山:レディースシェービングとかは家でも出来る美容用品がありますし』
『青い夜:ヘッドスパとかはやったこと無いかな、枝毛カットはしばらくしてないかも』
『柑橘系:自分は髪が短いから枝毛カットはしないっす』
『マリモー:何言ってるか分からないわ! 髪切ってもらうだけよ!リンスは気を付けてる!』
「マジか……」
灰川からすれば皆は凄く可愛いと思うし、オシャレとか美容に気を付けてるんだろうなと漠然と思ってた。そしてその考えは当たっており、皆はそれぞれ美容とかに気を付けてる。
しかしそれではダメらしいのだ。富川Pが言うには素人考えの美容対策では舐められる原因になるとの事で、少なくとも初回はしっかりしなければ印象が落とし込めない原因になるかもしれないらしいのだ。
普通は中高生でそこまでやる子は居ないし、市乃たちも本格的な美容メニューは利用した事がない様子だった。
「明日って午後からのリハと撮影だよな……ちょっと花田社長と渡辺社長に相談する」
『南山:どうしたんですか? 何か問題が』
灰川はまた部屋から出て社長に連絡し、急いで現在のテレビ局の美容トレンドや内情を知らせた。
『風潮は変わってたか…知らせてくれてありがとう灰川君、すぐに対策を考える』
『分かった、ありがとうございます灰川さん。今から予約が取れるかな…』
即座に対策を考えて市乃たちにも知らせが行ったが、テレビ局に入るに相応しい整え方をしてくれる場所は限られるようで、花田社長が知ってる芸能人御用達の店も予約でいっぱいだった。
ネットで調べても職人の本当の腕前や、実際にどのような仕上がりになるかは分からないから不用意に選べない。
困った事になったが、ここで灰川の電話に新たに電話が来て、そちらに出る。
『灰川先生、先日は鈴湯亭黒治師匠と天家冬椿師匠の一件、誠にありがとうございました。市乃ちゃんから灰川さんが困ってると聞きました。どうされましたか?』
「英明さんっ…どうにかして頂けるんですかっ!? お願いします!」
『本来なら市乃ちゃんと言えど頼みは聞けない決まりなのですが、灰川先生が関わるとなれば話は別です。何でも遠慮なく仰って下さい、大恩ある灰川先生の頼みならどのような無理でも通させて頂きます』
「実はかくかくしかじかで~~……」
『なるほど、テレビ局に入っても下に見られないよう整えてくれる美容院が急遽に必要なんですね、分かりました。では、お台場の~~……』
市乃が灰川の異変を察し、親戚である四楓院英明に連絡を入れてくれたのだ。
そこからはとんとん拍子に話が進み、OBTテレビの近くにある有名芸能人や俳優御用達の紹介制ヘアーサロンの予約を、あっという間に入れてくれたのだった。
四楓院家の力ってスゲェ!と思いつつ、英明に深くお礼を言った。
『灰川先生、この程度の事でしたら四楓院グループ系列には金名刺を見せれば即対応しますので、遠慮なくご使用ください』
「ありがとうございます!本当ありがとうございます!」
四楓院グループ系列と言われても一見しただけでは灰川には分からないし、そもそも今回はどういうヘアサロンを選べば良いのか分からなかった。
その点でも英明の申し出は非常に助かり、自分がそういった事に無頓着である事を悔いつつも、場は繋がったのだった。
翌日の朝、灰川は由奈を迎えに行ってから渋谷に行き、シャイニングゲートからボックスカーを借りて、市乃たちを回収した後にお台場へ向かう。
花田社長と渡辺社長は午前は別の仕事があるため、到着は後からになる。
首都高を通ればお台場までは20分くらいであり、車内では今日の収録に向けて皆が静かにイメージトレーニングをしてる。そうしてる間に到着した。
レインボーブリッジを通る際なども全員が無言だった、それくらい今日に緊張感を持って集中してるという事だ。
服装も市乃と来苑はデパートで買った服を着ており、空羽たちもそれぞれに目立ち過ぎずお洒落な服装で決めてる。
髪形とかも灰川からしたら『これ以上いじっても意味ないだろ』と思うような感じだが、プロからすると違うのかも知れない。
「よし着いた、ここが予約したヘアーサロンのレミアム・オーセンみたいだな」
「うわぁ……立派な建物ですね」
「私の知ってる床屋さんと全然違うわね!」
「…………」
レミアム・オーセンというヘアーサロンはお台場の一角にある美容室で、観光客などが来る盛り場からは少し離れた落ち着いた場所にある店だった。
庭まで付いてる敷地の中に建物があり、外観はお洒落だが高級感がある大きな建物、ホワイトとウッドの調和が美しい清潔感を醸し出してる。
「ここで合ってるよな…? ヘアーサロンってこういう感じだっけ…?」
「灰川さん、レミアム・オーセンがどんなお店なのか知ってるのかな? 知ってる訳ないよね、灰川さんだもんね」
「空羽? なんか怒ってるてか、驚いてる…? ここってヤバイ店なのか…?」
「うん、すごくヤバイお店だよ…」
空羽が何やら動揺するかのような面持ちを見せてるが、灰川にはよく事情が分かってない。
「レミアム・オーセンはね…完全紹介制ヘアーサロンで、今は会員になりたい人が多過ぎて会員募集を打ち切ってるお店なの」
「えっ? マジか…スゲェな」
「空羽先輩、このお店を知ってるんですか?」
そこから説明が始まり、この店は売れっ子芸能人や有名俳優はもちろん、容姿も大事である有力政治家や大企業の社長が会員のヘアーサロンらしい。
海外の超有名映画賞の主演女優賞を取った大女優の原只木 文江が会員として有名で、他にも超売れっ子歌手のカレミーがテレビ番組で会員になれたと嬉しがってた。
国会中継でよく見る与党議員のナントカという人も会員だそうで、自動車関係の大企業の会長なんかも会員だ。
つまり容姿を気にする金持ちとか有名人がこぞって来たがるヘアーサロンで、巷では『ここに客として来たら成功者の仲間入り』なんて言われてる。
完全紹介制なのは客を制限するためで、有名女優や歌手ですら入会したくても出来ないのが現状。
当然ながら職人たちの腕前は超一流、美容師世界大会で最優秀に輝いた人が複数名勤めてるらしく、正に『美しい容姿を追求する師』たちが揃い踏みしてる。
「マジか…そういや駐車場も外から見えない形になってるな、有名人が来るからかぁ」
「渡辺社長から灰川さんの伝手で美容室が取れたって聞いたけど、どうやって取れたのかな? 霊能力関係?」
「ま、まあそんな所だな! じゃあ行こうや!」
四楓院英明に予約してもらったという事は言えない約束だが、こんな店を即座に予約してしまう四楓院家はやはり凄いんだと改めて感じる。
市乃も関係してるとは絶対に言わないよう本人と四楓院家から言われており、特に市乃は四楓院の親戚とバレたら厄介な奴が近づいて来る可能性があるから、そこら辺は細心の注意を払ってる。
調髪にどのくらい時間が掛かるか分からないし、とりあえずは入ってみる事にした。もし店違いで別の所だったなんてなったら恥ずかしいなと嫌な緊張感が走る。
こんな高級感あふれるヘアーサロンなど灰川としては場違いだし、お値段も凄いだろうと思ってしまう。だが支払いに関しては心配はなく、昨日に英明から。
『サロンのお支払いは全て四楓院家が持ちます。市乃ちゃん達が下に見られないよう、職人さん達にお願いしておきますので』
と言われ、この中で受けるサービスは全て英明が支払ってくれる運びとなったのだ。
レミアム・オーセンの看板は目立ちにくいながらもしっかりあって、洒落た綺麗なフォントで『Remium authen』と書かれた看板が掲げられてる。
店のドアに手を掛けると緊張が強くなる。間違いだったら赤っ恥、本当にココだよな?という気持ちが湧いてくる。それでも意を決してドアを開く、綺麗で大きいのに軽い扉だった。
「いらっしゃいませ灰川先生、皆様方。本日は当店を選んでお越し頂き、誠に光栄です」
「あ…ど、どうも…」
その人は女性で、黒い美容師ズボンに腰回り前掛けエプロン、上着は高級感のある白い袖ありシャツの服装だ。非常にスタイリッシュで格好良く、一目で『ただ者じゃない美容師』だと思える出で立ちの良さだ。
驚くべきなのは上着のシャツが真っ白な高級感のあるシャツという事で、ヘアカラーなど跳ねさせないし客はもちろん自分も汚れるような仕事などしないという誇りと技量が垣間見える。
しかもスタッフは全員が同じ服装であり、これが制服のようだった。
「本日はお客様方のご都合を考えまして、灰川先生御一行様の貸し切りで、スタッフは一同女性で対応させて頂きます。店内に男性スタッフはおりませんので、ご安心ください」
「あ、ありがとうございます」
格が違うサービス、格が違う技量、格が違う美容への知と探求心、それらを見ただけで分からせてくる。
20代から40代のスタッフが多いようで、スタッフ達は凄い何かを感じさせる。それほどの清潔感と高級感と技量感だ。
その技量の高さを証明するかのように、いま説明をしてくれてる女性スタッフは顔立ちを見ればそこまで美人ではない。同年代の時代でも市乃たちより可愛かったという事はなさそうなルックスだ。
しかし彼女は『美しい』のだ。もし今からミス・コンテストに出場したら優勝すると言えるくらい綺麗である。それは美容の力、優れた手技と個人に合った美容選択による賜物だと灰川は感じた。
美容とは人を美しくさせること、顔出しをしないVtuberには関係ない事と思う気持ちも灰川にはある。
だが『美しさ、格好良さ』とは気力や心持ちに直結する事があるほど大きな物で、これから受ける施術次第によっては収録の出来が変わる事もあるかも知れない。
髪を整える、たったそれだけで人の気持ちは強くなったり前向きになったりする物なのだ。
早く本題に入った方が良いというのは分かってるんですが、何かをするには色んな準備が欲しい的な事を書くために、こんな話も書こうと思いました。




