194話 初めてのロケハン
歪み場となってる道路に鎮座して灰川は阿弥陀経を唱え、定期のお祓いは終了した。場に溜まってた念は霧散し、危険な何かに変わる可能性は0となる。
後はこの場を離れるだけなのだが、この後が問題だ。次の仕事はロケーションハンティング、灰川はどういう場所に行って確かめれば良いのかイマイチ分からない。
「空羽、ロケハンってどういう所に行けば良いんだ? Vtuberのロケハンなんて俺分かんねぇや」
「私も幾つか考えてるんだけど、先入観のない灰川さんの意見が聞いてみたいな。私の意見だと灰川さんの考えを邪魔しちゃうかもだから」
灰川は昨日の夜に幾つか考えておこうと思ったのだが、実は最近の疲れからすぐに寝てしまい、ここまで一切考えなしの状態で来てしまったのだ。というかナンバーワンVの空羽が居るんだから、聞いて行けば良いやくらいに考えてた。
そのアテが外れてしまったので、少し考えなければならない。
「ちょっと座って考えるかなぁ」
「そこに座るんだね、ふふっ」
灰川は何となく誰も来ない道路の横断歩道の中央に座って考えてみる、その隣に空羽が気兼ねなしに座って来て、その事にドキリとしてしまう。流石に空羽みたいな美少女が近い距離に座ると多少は気にしてしまう。
朝日は昇り切っており、日中の日差しになりかけてる頃合いだ。どうするべきか考えるが、そう簡単には浮かんでこない。
そもそもロケハンなんて何やるか決まっても無いのに行くなんて稀だろうし、何がやれるのかとかも灰川には詳しく分からない。
「ナツハがやって面白そうな事…竜胆れもんが動いて面白い画になる場所…小路が外部でやれそうなこと…どうすりゃ良いんだろうな…?」
空羽は何も助言せず灰川の考えを待つ、空羽も例の謎性能カメラを見て様々な事を思い付いたが、灰川なら自分とは違った視点からのアイデアが浮かぶんじゃないかと期待してるのだ。
ダンス、観光地ロケ、食レポ、そういった考えはすぐに浮かんでくる。灰川としては心霊スポット巡りとかも考えられるが、それだったらお化け屋敷に行った方が視聴者ウケは良さそうだ。
「Vtuberで山とか登ってみるとか…体育館でも借りてガチ運動会とか…、あ、Vtuberでコンセプトカフェで収録とかどうだ?」
「コンセプトカフェって動物カフェとか、物作りカフェとかのお店?」
「あと変わった内装のインテリアカフェとかよ、まぁ最近は如何わしい店も増えてるって聞くけど、そうじゃない所は普通に面白いらしいぞ」
最近はコンカフェとか呼ばれるようになり、女の子と話せる店がメチャクチャに増えてるとか、中には風俗店と変わらない店もあるみたいな見方もされがちだが、本来はそうじゃない。
メイド喫茶が現代のコンセプトカフェの走りのような物で、やはりそれ系統のお店が多い。しかし探せば色んなコンセプトカフェが発見できるのだ。
そもそもメイド喫茶は如何わしい店じゃないし、ガールズバーとかだって変な店じゃない。一部の過激な怪しい所だけを取り上げてそう言ってるだけな気がする。
コンセプト飲食店の歴史は古く、戦前から『女給さんが居る人気喫茶店』みたいな形で原型があった。江戸時代ですら街道茶屋には看板娘が居て、その子を目当てに客を来させるなんて事は普通だったのだ。
夏休み期間にはシャイニングゲートとハッピーリレーでVtuberカフェ&バーのコンセプトカフェもやってたし、今は割と普通にそこら中にある。
「あのカメラなら犬カフェとか猫カフェでもVtuber撮影出来るんじゃないか? 他にもスロットカフェとかレトロゲームカフェとか、色んなのあるみたいだぞ。探偵カフェなんてのもあるな」
「良いかもしれないね、猫カフェかぁ…オモチ元気そうだけど、早く会いたいなぁ…」
「前ににゃー子から写真送られて来たもんな、元気にしてるみたいだ」
コンカフェ収録を思い付いた理由は、視界に映ってる歩行者信号だ。前にテレビで道路カフェなる物を見て、それが心に残ってた。
誰も来ない場所の無意味な信号、しかし灰川に確かな思い付きを与えてくれた。そのことに感謝である。
「とりあえず戻りながら考えるか、ここ居ても何にもならんしな」
「ここもロケ地に良さそうかもって思ったけど、複雑な事情がある場所じゃ難しそうだもんね」
この歪み場の道路もロケ地には使えそうだが、周囲は住宅だしこういう場所でも一応は道路として登録されてるので、申請とかが必要で道路交通法が適用されるかもしれない。
そう考えると灰川と空羽はついさっきまで道路交通法違反をしまくってた事になる、これで2人は迷惑系の仲間入り……なんて事にはならないだろう、たぶん。
2人は車に戻り、灰川は車でスーツに着替えて、空羽は近くの何処かに衣服の荷物を持って着替えてきた。
「今日もオシャレな感じだなぁ、こういう落ち着いた感じも似合うんだな」
「ありがとう灰川さん、今日はあんまり目立ったりしない読書ガールファッションにしてみたんだ」
今日の空羽の服装はグリーンのロングスカートに目に優しい麻色のトップス、パッチワークベレーの帽子、靴は歩きやすさとお洒落を両立したオールスタースニーカーという、落ち着きがありながらお洒落な装いだ。
これなら顔出し配信もしてる自由鷹ナツハだとバレる心配も無さそうだし、落ち着いてロケハンに臨めそうだ。
実は空羽と一緒に歩くのは割と疲れる部分があり、理由は通行人にジロジロ見られる事があるからだ。容姿が整い過ぎてて見られてるのが分かり、一緒に歩くと落ち着かない事がある。
だがこれなら一緒に歩いても普段よりは見られなさそうだ、それでも空羽が優れた容姿である事は隠しきれてないので少しは見られるだろう。
高校3年生でこれなのだから、ここから更に美人度が上がる可能性が高い。普通の容姿でしかない灰川にとしては、空羽はどんなイケメンと付き合うんだろうなとか思ってしまう。
「でもどんなコンセプトカフェがVtuber動画の撮影に良いんだろうな? 許可取りとかもあるから簡単には行かないかもしれんけどさ」
「お昼ご飯も兼ねて1軒くらい行ってみないかな? 料金はシャイニングゲート持ちに出来るだろうからさ」
「良いなソレ! 自由に見て来てくれって言われてるし、今日は得させてもらおうぜ!」
車の中でスマホを使って検索してみると、本当に様々なコンセプトカフェが出て来る。
メイドカフェなどの女の子系カフェや動物系カフェはもちろん、ハンモックカフェ、病院風カフェ、シネマチックカフェ、フラワーカフェ、プラネタリウムカフェ、滅茶苦茶な数の店が検索に引っ掛かる。
「お、写経カフェだってよ、俺得意だぞ!」
「ふふっ、Vtuberが写経したら、視聴者さん驚くだろうね」
「でも面白くねぇ動画になりそうだな、これはパスだなぁ」
Vtuberが配信や動画撮影をして面白い画になるコンセプトの店となると何なのか、頭の中で色々と考えながら情報を見てると。
「お、ここなんか良いんじゃないか? ジオラマカフェだってよ、男心をくすぐる店だなぁ」
「ジオラマって街とかをミニチュアで作る物だっけ? 本物は見た事ないかも」
「こういうのって女の子は興味が薄いだろうしな、やっぱ男と女の意識の違いはもっと考えなきゃいけないのかもな」
もし普通の感性の女性が『自分が楽しい配信』だけを追求して活動したら、多くは男性の心には響かない配信になる可能性が高いだろう。その逆も然り。
もちろんナツハは男性の心に刺さる配信や、女性でも楽しめる配信を追及してるから今の地位があるが、それでも男性の趣味というものに実際に触れた事は少ない。
「中野区にあるみたいだな、空羽はどう思うよ? Vtuberがジオラマとか見て視聴者と楽しむ的な配信とか」
「どうなんだろう、誰かに顔を見られるのが絶対に嫌って人も居るから、方法は考えないといけないかな」
外でロケをするという事は顔バレの危険度は飛躍的に高まる、しかしカフェとかだったら貸し切りに出来れば不特定多数の人に見られる危険は少ないし、店員などにもやり方を考えれば見られずに済む方法もあるかも知れない。
それ以前にカフェなんかに行かなくたって、コンセプトを決めて画像などはネットで集めて配信すれば良いみたいな考えもあるにはある。
しかし実際にロケーションというリアルの中で感じられる物は大きいし、感情やテンションの高低に直結する。テンションが高くなれば自ずと良い配信や撮影になるものだ。
「じゃあ行ってみる? ここからだと車でも行きやすそうな距離だと思うな」
「物は試しだからな、行ってみようぜ~」
そのまま車を発進させ、世田谷区の住宅街を抜けて首都高に乗って中野区を目指すが、灰川は内心では今も少しドキドキしていた。
その理由は車内でスマホで検索してた時、空羽が灰川のスマホをのぞき込んだりした際に凄く距離が近くなったりしてたからだ。
顔のすぐ横に空羽の頬が近づいたり、さり気なく肩に手を乗せられたり、話す時は普段より近い距離でしっかりと目を見て話されたりして、内心では結構なドキドキ感があった。
空羽は高校生とはいえ3年生で、見た目は子供とは言えない雰囲気になってる。しかも凄い可愛くて美人だし、髪の毛なんかもサラサラだから、こんな近い距離まで踏み込まれると成人男性である灰川だってドキっとしてしまうのだ。
勘違いしないよう自分を戒めつつ、灰川は適正な距離や関係性である事を心掛けようと思う。そもそも自分と空羽では釣り合わない。
空羽は国内で一人しか名乗る事を許されないナンバーワンVtuberで、外を歩けば芸能スカウトが寄ってくるような子だ。自分のような冴えないバカが特別な意味での好意を向けられるような訳が無い。
「そういや空羽って進路はどうするんだ? もう決めてる?」
「うん、私は東京山都女子大学の法学部に推薦で入れる事になってるよ」
「ええっ!? 山都女子大って国立じゃん! しかも法学部!?」
「Vtuber引退とかになっても大丈夫なように、司法資格を持つのが良いって思ったしね。資格が取れたら灰川さんの事務所で雇ってもらっちゃおうかな」
空羽は学業の成績も良いらしく、国立大に推薦で入れるようなレベルらしい。天はこの子に何個の物を与えたのか、前世でどんな徳を積んだのか、こんな奴も居るんだなと灰川は思ってしまう。
基礎的な能力が高くて何やっても成功する人は居るのだろうが、そうではない灰川にとっては天の上の存在だ。
「でもまぁ、空羽なら何か納得できるな。頭が悪い訳ねぇんだし、弁護士とか行政書士とか向いてる気もするしな」
「大学在学中に税理士とか公認会計士とかの資格も取ろうって思ってるよ、そっちはもう勉強も始めてるしね」
「うへぇ~…ぐうたら生きてる自分が恥ずかしくなってくるぜ」
空羽は将来を見据えて既に国家資格の勉強を始めてるらしい、試しに危険物取扱者乙種の1から6類、簿記1級、登録販売者資格やその他の国家資格試験を受けたそうだが、全て参考書を読んだだけで合格したそうだ。
今は行政書士と宅地建物取引士の資格を高校在学中に取るため勉強しようと思ってるらしく、さっきの世田谷区道K9番道路の法的な側面にも興味を持ったようだ。
空羽は高校生が取れる国家資格を結構な数を取っており、Vtuber活動の片手間にそれらを取って来た。もはや嘘みたいな頭脳と才覚だ、そんな子に関わるのが灰川には何だか少し怖い感情すら湧いてくる。
資格試験などは理論上は試験勉強を短くして取れれば何個もの資格が取れる、しかし現実にそれをやるのは難しい。空羽はそれが出来る奴という事である。
やっぱり天才的な何かを持ってる子であり、何かしらの変わった所があるトップ層のVtuberや配信者と同じく、空羽も普通ではないのだ。
ちなみに国家資格は大学などで専門的な学業を学ばなくても受験資格があるものが多数ある、しかし大学に行った人とそうでない人の試験突破率は非常に大きな差がある。
「灰川さんは大学って何の学部だったの? 聞いたことなかったよね?」
「俺は3流公立大学の教育学部だったぞ、そっちの道には進まなかったけどな~」
「えっっ!? 灰川さんって教育学部だったの?」
「おう、一応だけど免許持ってるぜ」
教員免許は持ってるけど灰川は教育者の道には進まなかった、理由は様々だが教員はブラック職業な事が浮き彫りになって進みたくなくなったのである。
資格も免許もその道に進まなければ意味は無いが、今は教育学部に行っても教員になる人は少ないと言われてる時代だ。
「そうなんだ、だから年下の子と接するのが上手なんだね」
「そうかもな~、そう考えると大学行ったのも無駄じゃなかったかもなっ! はははっ」
進路なんて人それぞれで、法学部に行った人が法関係の仕事に就くとは限らないし、医師免許がある人ですら医療と全く違う仕事に就く事だってある。
灰川もその一人だというだけの話で、別に珍しいことではない。しかも良い大学ではなかったから学力は高い方ではなく、教わった事も忘れまくってる状態だ。
前も佳那美の夏休みの宿題を手伝った時に、小学4年生の問題なのに解けない設問があった。これでは教師は名乗れないだろう。
だけどたまに『もしあの時こうしてたら』と考えない訳でもない、今も首都高の過ぎ行く景色を眺めながら漠然とそんな事を思ったりしてる。
「そろそろ着くな、首都高下りたらすぐみたいだからよ」
「うん、灰川さんのこと色々聞けて面白かったよ、意外だったな」
「ははっ、あんま昔のことって話さねぇしな。こっちも空羽の進路聞いてビックリさせられたぜ」
空羽は天に愛された才女だと改めて分からせられ、自分とは住む世界が違う存在だと思い知らされた気持ちだ。
だが別に今までの関係性が変わる訳じゃないし、気楽に行こうと思う。霊能力では勝ってるし!
中野区で首都高速を降りてナビに従って目的地に向かうと、すぐに到着して近くのコインパーキングに駐車した。
ブロードウェイ近くの繁華街に店があり、運よく混んでなかったのでそのまま入店する。
店内はジオラマやミニチュアがあちこちに展示され、各テーブルにも見応えのあるジオラマテーブルがあったりして面白い。
「わぁ、テーブルがガラス張りで、下にジオラマがあるんだ。面白いね灰川さん」
「かなり凄いなぁ、こりゃ男はワクワクするってもんだぞ」
空羽も初めて見る本格的なジオラマやミニチュアを面白そうに鑑賞する、灰川たちのテーブルでは一軒家の室内俯瞰図ジオラマが見れて、素人目にもかなり良い出来だ。
「配信で紹介できたら視聴者さんとか凄く喜ぶと思うな、社内コラボ配信にしたら話も盛り上がりそうだし」
「だろ? こういうとこって来てみて初めて良さが分かる場所だしな、来苑とか盛り上がる配信が出来そうだよな」
しかしここは目が見えない染谷川 小路が配信に混ざれないだろう、だが小路に合う店だって他にあるだろうし、そもそも小路はまだ外ロケは考えてないと言っていた。
「ここだったらジオラマのモデルの街での思い出とかのトークにも繋げやすそうかも…それに私たちが無邪気に楽しむ様子を見れれば視聴者さんも~~……」
「模型とかに詳しいVtuberとか居たら面白いかもな、このサンドイッチ美味いなぁ」
昼食を摂りつつロケハンという名目のミニチュア鑑賞をしていく。
街のジオラマ、飛行機の模型、良い感じの裏路地のミニチュアセット、様々な物が店内を彩って展示されていた。
その光景に空羽は子供のように目を輝かせる、このミニチュアを用いてどんな面白い配信が出来るだろう?、どんな新しい基軸の動画が作れるだろう?そんな風に考えてる笑顔だ。
空羽は非常に優秀な頭脳や能力を持ち、それらを使って結果を出す才覚があり、容姿端麗の才色兼備の人である。しかしやはりVtuberという活動に夢中で、一番に精を注ぐのはそこだ。
新しい物を知るのは楽しい、人は知識を得て物事を知るほど世の中がつまらなくなると偉い人が言った。空羽もそうなりかけてたが、知った気になってただけなんだと気付く。
路地にある知らない店に入れば素晴らしい何かと出会えるかもしれない、自分の知らない面白い物が溢れてる、たった一軒の店に入っただけでそう思う。そう思える心があるからこそ才覚が養われたのだろう。
「この温泉のジオラマ、湯巻ユブネちゃんが見たら凄い饒舌にトークしそうだねっ」
温泉のジオラマを見て以前に温泉地のPRを勤めた後輩の温泉に詳しいVtuberの名前が挙がる。
「こっちの壁掛け額縁のミニルームセットだと、ルウェンさんが喜びそうかも。ふふっ」
絵の額縁よりは奥行きがあるが、部屋の窓際を模した額縁型ミニチュアは空間デザイン系の資格を持つルウェン・アイビーが好きそうだと言う。
その他にもどんどん発想が出て来たり、トークを膨らませそうな人物の名前が挙がる。1を知って10を思い付く空羽は、これだけを見ても大きなインスピレーションを湧かせてる。
もちろんこれらのインスピレーションは常時に出る物ではなく、それなりに刺激や喜びのある生活の中で出る物だ。
空羽にとって先程の誰も居ない道路を見たことは大きな生活刺激になっており、それもあって今の状況が生まれてる。その事は本人も分かっており、灰川に感謝していた。
「何枚か写真撮らせてもらって、連絡先とか報告の特徴メモとかも取ったからよ、そろそろ次に行こうぜ」
「うん、ここ凄く良いねっ、配信か動画撮影で利用させてもらえたら嬉しいんだけどな」
「それは会社の交渉次第だな、やり方とかも考えなきゃならんし」
そんなこんなで店を後にして次の場所に向かう事にする。
車に乗り込み発車し、空羽が次に向かう場所のナビゲーションをしてくれる。次は空羽がスマホを見ていて良さそうだと感じた場所に行こうと頼まれたのだ。
「中野区バクフース・ランプ公園か、なんか許可取れば色んな撮影とか出来るらしいな」
「うん、最近そうなったみたい、区画で貸し切りに出来たり、ブーススペースくらいでも貸し切れたりするからダンス系の人とかに人気らしいんだって」
次に行く場所はロックミュージシャンとかダンサーにも動画撮影許可が下りて人気がある公園で、配信者なども顔バレ防止のために区画貸し切りなんかが出来ると話題の公園に行く事にした。
最近も人気your-tuberの『愛のキングチャンネル』とか『神話ーズTV』とかのグループが貸し切りで収録したらしく、彼らも『凄く良い!マジおすすめ!』と絶賛してた場所である。
あの謎性能カメラがあれば、そういった場所でも撮影できるものは多いだろう。
そしてその公園は隠れた人気のあるデートスポットであり、空羽としてはそっち方面の事も割と気になってる。
もし鈍感な灰川でも仲睦まじいカップルの様子なんかを見たら、ちょっとは自分たちにも異性としての興味を持つんじゃないかとか考えてる。
だが灰川は空羽たちに対して異性として興味を持たないよう心掛けてるのであって、普通に可愛いと思ってるし良い奴らだなぁ~とは思ってる。
空羽は『灰川誠治を年下好きにさせる会』的な集まりのメンバーであり、このロケハンは真面目にやりつつも、そちらの目的もあって来てるのだ。
デートスポットで最高の才覚を持った少女が灰川の心に迫ろうとしてる。ここからどうなるか、灰川の心の持ちよう次第となるだろう。




