176話 100万文字達成しました!
発行禁止になった本を読み進めると様々な事が書いてあった。
芸能界には良い人も多いけど怖い人や嫌な人も非常に多く、そのレベルは一般人の灰川が考えるより遥かに高いものだった。
「ウソだらけの芸能界!笑顔もウソ!涙もウソ!悪いエピソードは真実以上!良いエピソードは全部ウソ! 表紙からすげぇこと書いてあるっすね…」
「キャッチコピーから凄い内容だ…、これは流石に言い過ぎですよ…」
出だしどころか表紙がヤバイ、どんな内容なのかとページを捲ると。
人気アイドルグループの裏側
私の所属してたグループはイジメと晒し合いと吊し上げの巣窟でしたね、そう語るのは元超有名アイドルグループO・T・RのメンバーだったFさんだ。
「テレビとかメディアでは可愛くて頼れるリーダーだったYですけど、裏じゃ気に入らない子をメッタクソにイジメ抜いてましたよ。やることもエスカレートして行きましたし」
リーダーだったYのイジメ気質はとんでもない内容で証拠写真なども残っており、隣のページの目線を付けた右の人物だ。(写真は新メンバーに加入祝いとして×××してる場面)
他にもFは支配欲のような性質があったとFさんは語り、メンバーに何かを命令したり無茶な要求をして、背いたり断ったりしたら恐ろしい罰を課したと言う。
Yはグループのプロデューサーと密接な関係にあり、何をしても許されるし、Yに何かをされたと言っても逆に自分たちが悪者にされる環境だったそうだ。
Fさんはそんな芸能界が怖くなり引退したが、Yは未だに芸能界に居て今はママタレとして活躍してる。
大物政治家の元秘書の証言
RさんはJ党の幹事長のKがテレビで生放送番組を見てた時に、出演してた女優を指さして「この女を今すぐ連れてこい」と側近の一人に言ったのを聞いた。
その政治家は暴力団や大企業と繋がりがあったが、当時のRさんは知らなかったそうだ。その2時間後くらいにさっきまでテレビに出てた女優が本当に来た。
その後もKはテレビをよく見てたそうだが、度々に事務所やマンション、ホテルなどにテレビで見た女優が来てたと誰かしらに聞いたと語る。
Kにとってテレビはカタログでしたね、気に入った顔の女を漁るためのカタログですよ。そう語るRさんの表情は苦い。
反社会的勢力の構成員の話
俺が一般人だったら芸能人とは絶対に会わないし近づかないね、そう語るのは今も反社会的勢力に属するMさんだ。
ユー〇テレの『お笑い旅!最高風景を見〇けろ!』のレギュラー芸人のD、U、E、Sは薬物中毒だし、清純で売ってる有名男性アイドルグループのC・Lはファンを何人もカキタレにしてると語った。
歌手もヤバい連中は多いそうで、遊び感覚でクスリをやる者や性的な事にしか目が行ってない人も多いそうだ。
証拠写真もあり、取材をした私も愕然としてしまったのを覚えてる。他にも信じられないような話が次々と証拠付きで示された。
「芸能人がたまにファンと握手を断ったなんて言うけど、俺だったらあんな奴らと握手なんてしたくないっすね」
「芸能界は歌やダンスとか己の芸を極めて人を楽しませる事を誇る業界でしょ? ヤった人数とかキメたクスリの数を誇るような場所じゃないでしょうによ」
「他人のこと言えねぇけど、あの業界は性格が悪い奴が多いし俺らと繋がってるような危ない奴も多いから、入れこまない方が良いでしょうね」
そんなMさんに、どうしたらそういう危険から身を守れるかと聞くと、知らない人に着いて行かない、渋谷とか原宿のスカウトマンとかの話を聞かない、DMとかで有名人から会おうとか言われても行かない。
そういった基本的な事を言われたが、基本こそが最も大事なのかも知れないと私は感じた。
その他にも様々な話が載っており、灰川はもちろんサイトウも驚く内容や心当たりがある情報が複数あった。
時折にサイトウが「この情報はウソですね」と言ったりもするが、これは嘘だろと思った情報の真偽を聞くと「これは本当です」と返って来たりする。
「アイドル怖っ…あの眩しい笑顔は悪魔の笑みだったのか…」
「そうでない子達はいっぱい居ますからね!? オントレイルラブリーズのふゅーりんの性格は業界では有名な話でしたが」
「政治家ってロクでもねぇな…皆を関わらせたくねぇ…」
「人財民進党の加島議員は熟女女優好きで裏では有名でしたからね…もちろん真面目な政治家もいっぱい居ますからね!」
「薬物に性にやりたい放題っすか、だから歌手って男も女も最初は愛とか夢とか歌ってたのに、何年かしたらチ〇コの数え歌みたいなのしか歌わなくなるのか…」
「チ〇コの数え歌……灰川さん普段どんな音楽聞いてるんですか…? 歌手も芸人も真面目な人は居ますけど……」
他にも信じられないような話が続々と出て来る。
金持ちや裏社会御用達の催眠術師が居て、徐々に何かの精神影響を植え付けられるとか。
麻薬ではないが市販では売られてないマニアックな作用がある薬を何処かが作っており、業界で高価な値段で出回ってるとか。
どれもこれも簡単には信用できない話が多くて面食らってしまう。
〇〇は凄い嫌な奴とか、〇〇事務所は裏社会と繋がりがあるとかだったらゴシップとしてはありがちだが、ここまで来ると都市伝説の領域だ。
「普通じゃない考え方や普通じゃない行いが実際にある世界ですから、こんな悪念ばかりの場所があるのが証拠みたいなものですよ」
「欲望が入り混じる世界だと際限なく闇が生まれるんですね…想像以上っすよ」
「プロデューサーの中にも売れてない芸能人は女は喰い者、男はサンドバックとか言ってる奴も居るくらいです。しかもそういう奴に限って外面は良いものです」
全てを信じる訳にはいかないが危険人物も相当数がいるようで、周囲のメンタルサポートや近づく者への警戒を怠るなと助言される。
「最初の内はしっかりと人を見る目を養って下さい、情報などは私からお渡ししますので」
「お願いします。しかし空気の重さがさっきよりは良くなりましたね、やっぱこの本を読む事が浄化の条件だったんですかね」
「と言うよりは、業界の実態を少しでも多くの人が知るという条件なんだと思います。その方法ではいつまでたっても完全浄化は出来ないでしょうけど」
この場所の霊や怨念は業界や業界人に恨みを持ってるモノが多く、少しでも自分たちの辛さや、どんな世界で頑張って来たのかを知って欲しいという心があったようだ。
芸能界裏地獄白書も今では情報が古く、現在でアテになる書籍とは言えない。コンプライアンスは10年くらい前と比べて格段に上がったのだ。
この空間を一気に浄化する事は出来ないが、お札も貼ったし経文などでの浄霊もしたから今は安定した雰囲気にはなっている。とりあえずはこんな物だろう。
「この感じなら1週間に1回の浄霊をして2か月かかるかどうかって所ですね、ちゃんと悪念を晴らしてから、この場所に捕らわれてる人達を送ってあげようと思います」
「2か月かかるかどうかですか…私一人だったら何年かかっても無理でしたよ、感謝してます灰川さん」
「こちらこそです、この先もよろしくお願いしますサイトウさん。じゃあそろそろ戻りますか」
こうして大した面白みもなく今日の所は終わったが、灰川としては学べた事が多い経験だった。
欲望に飲まれたり、自意識過剰になれば地獄とも言える結末が待ってる。皆がそうならないよう、そんな道を辿らないよう支えなければならない、そう強く思った。
宗教思想における七つの大罪は、人間を罪に導く七つの欲望や感情のことであり、過剰になれば人を地獄に導く要素になると言われてる。
傲慢、憤怒、嫉妬、怠惰、強欲、暴食、色欲、どれも多くの人生を狂わせてきた欲望や感情であり、欲望渦巻く世界では更に色濃く人々を誘ってる。
しかし時代は変わるもので、今は一昔前ほど極端な世界じゃなくなってるという説も濃い。SNSの発達や動画サイトでの情報の即座の拡散も大きく影響してる筈だ。
そんなに都合よく変わるのか……?
有名な七つの大罪思想だが、実は2008年にローマから今までと違った形の新たな七つの大罪が発表されている。
遺伝子改造、人体実験、環境汚染、社会的不公正、人を貧乏にさせる事、鼻持ちならない程金持ちになる事、麻薬中毒、これらが新たな時代の七つの大罪だと公表されたのだ。
灰川が関わろうとしてる業界はどうなのか?Vtuberが世に出たように、新たな何かが出てるのではないのか?そんな気持ちを少しだけ持ちつつも灰川は西B区画を後にする。
この地獄顕現型空間はどうあっても何回かに分けて祓わねばならず、何度か来てお祓いをするつもりだ。
ちなみに灰川とサイトウはここに来るまでや、上に戻る際に心霊的に怖い目に遭ってるが、その内に怪談として配信で喋ってやる!と思いながら戻ったのだった。
お祓いをしてから0番スタジオから出て来れたのは夜の0時過ぎで、灰川はサイトウに連れられてお台場の焼き肉店で食事を奢ってもらってた。
「こんな時間なのに飯も食わせてもらってありがとうございます、でも泊る所はどうしよ…」
「料金上限ナシのタクシーチケットありますから安心して下さい、今日はありがとうございました」
「マジですか!? ありがとうございます!」
「流石に地獄顕現型空間のお祓いを一回につき5000円では心が痛みますから」
OBTテレビのレベルの地獄顕現型空間をお祓いを一般的な霊能者を呼んだ場合、10名以上を一度に呼びつつ短く見積もっても10年以上は掛かってしまう。
移動料金や宿泊費、報酬費用などで計算すれば灰川の料金の何万倍、何十万倍という金額が発生する。しかも引き受けてくれる人を見つけられればの話だ。
サイトウにとって灰川は霊能者として絶対に逃がす訳にはいかない存在であり、繋がっておけば国家超常対処局としても得しかない。
しかもテレビ局員としては超有力者に深くつながってる存在だから、テレビ局の上層部から絶対に密接な関係を維持しろと言われており、国家超常対処局員としてもテレビ局員として強く繋がりたい存在なのだ。
「今度の番組、私としては成功する確率はそこそこあると思ってますよ」
「えっ、そうなんですか?」
「はい、自由鷹ナツハさんと竜胆れもんさんと話させてもらいましたが、2人ともしっかりとした目標がありましたから」
ナツハは3か月以内の番組視聴率成績を高順位に収めてVtuberの芸能界での存在感を高め、れもんはシャイニングゲートのファンの総数を半年以内に500万人上昇させる事が目標だと語られた。
灰川もこれに関してはそれとなく聞いており、まだ具体的な案などが無かったから深い話は出来なかった。
「目標やゴール決めは大切ですよ、そこに向かって頑張れる訳ですからね」
「そうですね、あの子たちがそこに行けるようサポートするつもりです」
どんな事だって目標が無ければヤル気なんて起きない物だし、それぞれに目標があるだろう。
そこに道を逸れずに向かうのも難しい事だが、彼女たちなら出来そうな気がして来る。
「でも芸能界の黒い部分が不安ですねぇ…変な事が起らなきゃ良いんですが」
「芸能界だって素晴らしい人も多く居るんですよ、義理に厚く何があっても不義を働かない芸能人も多いんです。自身の芸や演技に実直な人だって大勢います」
実力勝負の厳しい世界だからこそ、しっかりした人や本当に素晴らしい人も多く居る。結局はそういう人が最後に残るのだと聞かされた。
悪事も欺瞞もいずれはバレるか自滅の道に変わる事が多いそうで、業界内で天国に行けるかどうかも結局はその人次第だそうだ。最後に物を言うのは人徳や精神性だということだろう。
「そういう人に出会えたら良いんでしょうけどね、難しそうだなぁ」
「とにかく番組には変な奴は絶対に呼びません、嫌な噂が多い奴などは2社がオファーを出しても、こちらが理由を説明してお断りするという条件になってますので」
「何から何までありがとうございます。ホント頼りにしてますんで!」
これから空羽たちは忙しくなる、頻度は落ちるかもしれないが配信も欠かさないと言ってるし、番組の脚本なんかも覚えなきゃいけない。学業や私生活だってある。
それでも会社は所属者達に休みや仕事の制限を設けて、体を壊さないよう努めると言っている。
「これからもよろしくお願いします、灰川さん。局内や局外の業界人にも灰川さんと2社の噂を広めておきますから」
「悪い噂は広げないで下さいよ~? そういう話は一瞬で広まるの見ちゃいましたから」
「もちろん良い噂ですよ、それと局内というのは国家超常対処局じゃなくてテレビ局の方ですから」
「そっちで広まってもしょーがないですもんね! はははっ」
「国超局では灰川さんを知らない人は居ませんよ? 既に話は広まっちゃってますし」
「マジですか!? うへぇ~~…」
そんな話を交えつつ過ごし、食事が終わってからタクシーチケットをもらって帰宅したのだった。
ここからも忙しくなるが灰川のやる事は大きく変わらず、2社から頼まれた仕事をしていくだけだ。明日はしっかり休んで明後日の仕事に備えようと思う。
芸能界とかのゴシップで参考になりそうな内容のものを調べてたんですが、どれもこれも凄い内容ばっかりで怖かったです。ちょっと薄味な内容でしたが、大目に見てくれると助かります。
100万文字を超えました!読んで下さってる方々に感謝です!
まだまだ満足するまで書こうと思います。




