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配信に誰も来ないんだが?  作者: 常夏野 雨内


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139話 7と8

 7人ミサキとは有名な怪談伝承の一つで、見たら命を取られて7人の仲間にさせられ、先に入ってた1人の霊魂は抜けて成仏すると言われてる言い伝えである。


 元を辿ると現在の高知県を長宗河部 元親が治めていた時に跡取りが戦死してしまい、それが元になりお家騒動が勃発。その際に謀略などで死亡した長宗河部家に連なる武人や家臣の霊が7人ミサキとなったという伝承がある。


 その時代に謀略に関わった者が7人ミサキを目撃し、家族に不幸が相次ぎ、長宗河部(ちょうそかべ)家の後を継いだ盛親(もりちか)にも取り憑いて戦で負け、家の名が途絶えたという話もある。


 この一連の騒動の中で吉良田(きらた)家という源頼朝の弟の流れを汲む家の人物が腹を切っており、その人の字から付けられた神社が存在して、そこには7人ミサキが祭られている。



『ちょっと調べたがよ、渋谷7人ミサキってのは水子の集合霊みたいだな。水子供養の祓い術でどうにかなるんじゃないか?』


『功、まだ7人ミサキが行方不明の原因って決まった訳じゃないにゃ!』


 渋谷7人ミサキとは生まれる事が出来なかった子供の霊が祟りを起こし、渋谷の坂で7人の女子高生を取り殺したという都市伝説である。


「まだ決まってはないけど、やっぱ引っ掛かるな。でも渋谷7人ミサキの噂はかなり前の物だから、確認は難しいかもしれねぇ」


 渋谷7人ミサキという都市伝説は1990年代の噂で、しかもそんなにメジャーな話じゃない。


 その頃と現在とでは渋谷という街は大きく変わった、都市計画に基づいた再開発により駅周辺から郊外に至るまで大きく変化してる。


『そうか、それだと渋谷7人ミサキはもし本当にあったんだとしても、もう消えてるかもな』


「そうなんだよ、前に他の霊能者の人に聞いたら、渋谷の街は数年で様変わりするから怪異の回転も速いって聞いた」


 渋谷という街は若者の街として有名だが、その理由は若者にとって魅力的な物が集まる街であり、そこから10代から20代の若者による流行が発信され続けた街だ。


 ではなぜ若者にとって魅力的な物が集まったのか、その理由の一つには2つの百貨店の存在が時折に出される。以前は2つの百貨店が渋谷での覇権争いをしており、その余波もあって商業が今よりもっと盛んだったのだ。


 しかし片方が勝利した事で争いが無くなり、渋谷における覇権は決まってしまう。これにより街としての発展性が少子化社会という事もあって、ビジネス街や観光客に向けた発展に舵を切り始めた。


 都市構造なども都市伝説やオカルト方面に強い影響を出す、都市の構想が今はビジネスと観光客に向けたものになってるから、以前のように若者一辺倒の街ではなくなってるのだ。それでも渋谷が日本で1位か2位の若者の街である事は変わらない。


 街が変われば土地の霊気や来訪者から受ける霊気の影響の質も変わる。しかも東京は地下の開発も盛んだから、表面的地脈の変化は日によって起こると言っても良いくらいの街だ。怪異も一昔前より出やすくなってるのかもしれない。


『おい誠治…やっぱコレ7人ミサキ居るぞ…!』


『これは……本当にいるかもしれないにゃ…!』


 突然に功とにゃー子が声を出す、誠治はなぜそんな事を言ったのか聞くと。


『ネットで見たら渋谷のあちこちで7にまつわる事が不自然に発生してる。7人ミサキが現れる時には7にまつわる何かが起こるって話を思い出したぞ』


『TwittoerXもいろいろ投稿されてるにゃ!』


 ショッピングモールで777円セール、複数の家電製品店で7777円セールが開かれてる、何件かのパチンコ店で演者来店イベントが同じ日に開かれスリーセブンが強調されてる、他にも明らかに7にまつわる何かが発生してるのだ。


「パチ屋が7月7日でもねぇのに普通じゃないな…他にも渋谷繫華街で77-77ナンバー同士の接触事故で怪我人が7名、七十七七銀行渋谷7番支店の7番ATMで~~……」


『もう7人ミサキが関係してる前提で進めるぞ、こっちは絞って図法探知を始めるからな』 


『にゃー子もギドラたちを連れて街を見て来るにゃ!』


 流石にここまで7が重なるのは不自然だ、誠治もベンチに座ってスマホで手掛かりを探す事にする。




 1時間ほど経過して午後の2時、スマホで情報を調べる内に7人ミサキが渋谷に存在してる可能性が高まっていく。その時にスマホが鳴った。


『誠治、宮益坂って所に7の出来事が多いから行ってみる、こりゃ7人ミサキは一組だけじゃねぇな』 


『マフ子が地面の下を流れる川が怪しかったって言ってるにゃ! みんな連れて行ってみるにゃ!』


 誠治は捜索を頼みつつ、もし7人ミサキが発生してたら完成怪異になる前に祓うか、危険だと感じたら逃げるよう頼んで電話を切った。


 7人ミサキか類似した怪異の発生が一組だけではない事は誠治も薄々勘づいていた、もはや7人ミサキが発生してる事は確定に近い状況であり、後は探すだけである。移動される可能性もあるが、竜胆れもんが無事なら何らかの痕跡は残るだろうから一か所に留まってる可能性は高いだろう。


 この怪異の犠牲になる者はいきなりに命を取られる事はない、病に侵されたり、徐々に狂って命を持ってかれるのが多数だ。最も強かったあろう最初の7人ミサキ『吉良田(きらた) 親実(ちかざね)と7人の家臣』の例を見るに最低でも1日は掛かる。


 誠治もただスマホで調べていた訳じゃない、周辺を霊能力を使って感知に集中しながら歩いて探したり、フォレストガーデン・渋谷の7階などを調べさせて貰ったりしてた。しかし成果は上がらず進展はない。


「あれ…? 7人ミサキなのに……8人居ねぇか…?」


 原型の7人ミサキは吉良田親実と7人の家臣、合計で8人なのだ。これは長宗河部家のお家騒動で亡くなった人の数が7人だったという言い伝えがあるからだそうだが、実際には7人どころじゃない人数の血が流れてる事件である。


 その犠牲者の中で謀略を企てた者への恨みが最も深い者達が祟りの存在になったとも考えられるが、それなら8人ミサキでも良さそうなものだ。では何故そうならなかったのか。


「不完全伝承封印か…」


 呪いや祟りの伝承を敢えて不完全にする事で、新たな同じ怪異を発生させなくしたり力を弱めたりする方法だ。その方法を最初に7人ミサキを祓おうとした誰かが採用した……恐らくは7人ミサキを鎮める社殿を建てた土佐山野内(とさやまのうち)氏に連なる当時の陰陽師か祈祷師だろう。


 しかし内容を変えて8人を7人として伝承しても、7人ミサキの話は有名になり怪異として発生してしまう。その祓いを胡桃名家が請け負ったのだが、伝承はまだ中途半端にしか薄まっておらず、7人だと思ってた怪異が8人だったため胡桃名家は祓いに失敗してしまったのだと誠治は考えた。


 その後は時が経って不完全伝承封印の効果が出て7人ミサキの怪異が発生する際は、8人ではなく7人の霊念の集合体となり力を弱めさせる事に成功したのだろう。7にまつわる出来事が頻発する前兆を見るに、怪異は現在では完全に7という数字に縛られてる。


 少しスマホで調べると他にも繋がる部分があった、土佐山野内氏は現在の渋谷区に邸宅を構えていた時代がある。7人ミサキに縁のある家の邸宅があった場所は……。


「よし、行くかっ」


 7人ミサキの怪異は渋谷繁華街に発生してる事が予測でき、そちらも放っては置けば明日のVフェスにも影響が出ないとも限らない。功とにゃー子たちに任せる事にする。


 恐らくは本来の形に近い状態の7人ミサキが出た事により、霊力的な影響を受けて発生してしまったのだろう。以前は渋谷7人ミサキという噂があったくらいだから、怪異が発生しやすい土台はあったという事だ。 


 行く先は決めたが分からない事はまだある、なぜ竜胆れもんはフォレストガーデン・渋谷に変な気配を感じたのか、縁があるとはいえ7人ミサキを鎮魂する土佐山野内家の邸宅があった場所に本当に居るのか、そこはまだ分からない。




「ここが宮益坂か、ちょっくら7人退治にでも行くかぁ」


 誠治の父である功は車を運転して宮益坂に来た。中型ビルが立ち並び、オフィスや銀行、飲食店や商店などが程良くある地域だ。


 灰川農務の名前が書かれたワンボックスカーを駐車場に置いて降り、周辺を散策して怪異を探す。功の服装はオシャレもへったくれも無い格好であり、静かでオシャレな宮益坂の雰囲気には合ってない。しかしそこは都会、誰も気にも留めずすれ違う。


「さっきの七十七七銀行のATM故障、片付いたっぽいよ」 


「あっちのスロット屋もイベントやってんな、何だろうな?」


「セブンコンビニが今日は新装開店だってさ」


 宮益坂の中央付近に行くにつれて7に関する話が聞こえてくる、不自然ではあるが普通だったら単なる偶然くらいにしか思わない。そもそも普通だったら他人の話し声なんか耳を傾けない。


 功は集中力を高め霊能力を強くする、表情から隙が無くなり雑念を頭の外に捨てた。功は今までに怪異を相手にして来た経験があり、その中には完成怪異も含まれる。


 坂の途中のビルの隙間の細く小さな道を入る、普段なら誰も通らないような所だ。アスファルト地面には黒ずんだ水溜りにゴミが落ち、左右のビルからは空調室外機の音が響いてる。


 その道を少し進んだ場所はすぐに行き止まり……かと思いきや更に小さな隙間道を右に曲がれるようになっていた。その奥から嫌な気配がしてる。


「なるほどなぁ、この場所が一帯の7人ミサキの正体だったって訳か」


 隙間道を抜けた先にあったのは3坪ほどの小さな空間、都会にありがちな何らかの理由で有効活用できない空間、デッドスペースだ。土地の権利が手に入らず空けるしか無かった場所や、その他にも様々な理由でこういうスペースが生まれる。


 日の差さないこの場所は昼間でも薄暗く不気味な雰囲気が漂っており、籠った空気感の嫌な匂いもあるし、お世辞にも良い場所とは言えない。オシャレな街の裏の部分、綺麗なビルや洗練されたデザインの建物も見えない部分はこういう所があるものだ。


 しかしそれ以上に功には気になる事がある、この空間には明らかにソレと分かる悪い念が漂っており、怪異になりかけている。恐らくはこの場所で何かが起こったかのだろう、都会には珍しい話じゃなさそうだ。


 渋谷は日本有数の繁華街であり宮益坂もそこに含まれ、渋谷は治安があまり良くないという側面がある。土地自体も渋谷という名前が示す通り谷地であり、そういった場所には悪い念が溜まりやすい特性がある。


「7人ミサキの正体は悪念溜まりのデッドスペースか、虫も居ねぇくらい空気が濁ってやがる」


 この空間に溜まった悪念や瘴気のようなモノが怪異として成り、渋谷7人ミサキという、かつて流れた都市伝説に形を成しかけているのだ。


 何故そんな事になったのか、そんな事は考えても仕方ない。たとえ知ったとしても霊能者にはどうする事も出来ないのだ、だが悪念を祓い鎮める事は出来る。


「不肖、灰川功、籠り念を浄土への道へ誘わん。観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時。照見五蘊~~……」


 功は陽呪術を使って祓う事はしなかった、別に灰川家の陽呪術を使っても結果は同じだが、どうしても衆生を救う心が宿る経文で念を天に昇らせてあげたかったのだ。 


 ここ以外にもきっと念が溜まった場所がある、それも祓うべきだと感じて後の動きも決める。誠治も今は何かしらで動いてる筈だが手助けは出来ない、それに霊力なら息子の方が上であり心配はしてなかった。




 にゃー子たち灰川家動物一行は地下を流れる渋谷川暗渠に侵入していた、入れる所の近くまで功の車で連れてってもらい、そこから素早く入り込んだのだ。 


 一行の中には特大ネコのオモチも居るが、問題なく入れて中を進めた。暗渠の中では人間よりも暗さに強い動物の目と、優れた嗅覚によって怪異の痕跡を辿った。


 狐と狸であるテブクロと福ポンは、最大で人間の1億倍にもなると言われるイヌ科の嗅覚で怪異を嗅ぎ分ける。2匹には霊嗅覚があり、破幡木ツバサこと飛車原 由奈と同じ霊能を持ってるのだ。


 2匹が先導して猫たちを引っ張り、暗渠の脇道に入ったり人間では通れない幅のヒューム管を通って進む。人間より遥かに素早く動ける小さな体を生かし、怪異を発見するに至った。


「にゃぁ~~……にゃぁっ……!」


「なゃ~~……っ」


「にゃ、にゃ、にゃ」


「にゃ……」


「きゅぅ~~っ」「ゆんっ!」


 合計8匹の猫、狐、狸、が渋谷川暗渠に繋がる配水管の奥に広がる空間で怪異と対峙する。


 にゃー子はその怪異を知っていた、誠治が幼い頃に功から教えられていた怪異であり、それを聞いていたのだ。


 暗渠に居る怪異の名は『7頭漁り』、動物の怨念が集まった動物版7人ミサキのような怪異だ。被害は本家の7人ミサキには及ばないが、動物を取り殺して引き込んだり、時には人間の赤子の魂を持って行くとも言われる怪異である。


 8匹は臨戦態勢だ、怪異は完成はしておらず黒い悪念モヤの集まりの状態だが油断は出来ない。7頭漁りは動物であれば無条件で弱らせ、その影響は既に出始めてる。


 スピード決着が求められる敵だ、逃がす訳にもいかない……この怪異は決して許しておけない!


 にゃー子は心の中で「キサマだけは逃がさん!」と吼える、それを感じ取ったのかギドラが「にゃ!にゃ!にゃ!」と動物霊力を込めて鳴いて結界を張った。ギドラは3匹とも臆病な性格の猫で、山で寝る時に怖いモノが近づかないよう結界を張れるようになった猫だ。


 結界は外界の怖いモノを近づけさせない術だが、中に悪念などを閉じ込める事が出来る。


「なゃ~~ぉっっ!!」


「にゃ……ぁっっ!!」


「きゅうぅっっ!!」


「ゆんっっっ!!」


 オモチ、マフ子、テブクロ、福ポンが一斉に飛び掛かり、モヤを散らす。7頭漁りに成りかけの悪念は逃げる事も出来ず、力を散らされるが決定打にはならない。


 悪念も反撃の呪詛を投げかけて来るが、基本的には野生動物である猫達はヒラリと躱してしまう。巨体のオモチですら回避が出来るくらいの速度だ、直接対決なら奴は脅威にはならない。


 動物は強い、猫だって爪と牙があり、野生では狩りをして生きる動物だ。100mを7,5秒で走る足、鳥すら捕獲する瞬発力、縦横無尽に動き回る体、頭さえ通れば何処でも入れる柔軟性、これらの特性は優れたハンターだという事だ。


 その動物の体を活かして追い込むが、怪異に対しては決定打が無い。今は霊媒物を壊して祓わなければならない状態であり、それが何処にあるか分からない。にゃー子が感知を使い探りを入れると……見つけた!


「にゃぁっ゛!!」


 一瞬で近づいて猫叉の霊力を込めた牙を突き立てる、これは人間が霊能力の有る無しに関わらず出す時がある霊的攻撃『念拳』『サイコブロー』などと呼ばれる、念や生命エネルギーを込めた攻撃の応用である。


 念牙、サイコファング、呼び方はどうでも良いが、にゃー子は霊媒となってるモノに嚙みついて無力化させる事に成功した。


 渋谷の地下に発生した怪異、7頭漁りの霊媒となっていたのは1匹のネズミだった。何かの理由で取り憑かれて怪異になり、動物などの魂を何体も取り込んでいたのだ。


「灰川流猫叉陽呪術! 天帰(てんき)送魂(そうこん)にゃ!」


 にゃー子は少ないながらも陽呪術が使える、灰川家に長くいるため覚えてしまったのだ。その力を使って悪念と魂を浄化させ、あるべき場所へと送ってやった。


 オモチやマフ子たちも憎しみや悲しみで現世に捕らわれていた魂や念たちを見送り、にゃー子も同じように見送って猫たちの一件は終わる。


 生き物は全て残酷な世界に生きてるのだ、動物たちだって食うか食われるかの世界であり、人間だって動物を食べて生きている。今回も霊媒になったネズミは倒すしか無かったが、それは野生の掟である。動物の世界において敗北とは時に死を意味するものなのだ。


「きゅー!!」「ゆーーん!!」


「にゃ? ヤバイにゃ!水が流れてきてるにゃ! みんな走るにゃ!!」


「にゃぁーー!!」


 水路とは水が流れる道である、水が満ちれば人も猫も生きてはいけない。こういう場所では行きの道が帰りの道に使える保証は無い。


「にゃん!ニャン!にゃん!」


「なゃ~~! にゃんなゃん!!」


 にゃー子も皆も走って水から逃げる!東京の地下の水路は大小様々、あらゆる場所を巡ってる。


 にゃー子たちが逃げた先は明日にVフェスが開かれるフォレストガーデン・渋谷がある方向で、そこではシャイニングゲートやハッピーリレーのVtuberを含む参加者がリハーサルを行ってる場所だ。




 竜胆れもんこと来見野 来苑は朝に目が覚めると知らない場所に居た、どこかの建物の中であり窓やドアは塞がれてる。


 何処かに寝かされてるようだが体が動かない、拘束されてる訳では無く金縛りのように体が動かないのだ。もう目が覚めてから体感で何時間も経過してるが、人が来たり居たりする気配はない。


 しかし来苑には霊感があり、嫌な感覚がヒシヒシと感じられていた。幼い頃から変な物を見たり聞いたりはしたが、こんな経験は初めてだ。


 怖い、ツラい、何が起こってるか分からない、そんな感情が押し寄せる。今は夏だから気温は高く、エアコンも点いてるようには思えない室温で、汗も出るが怖さからなのか喉の渇きは感じなかった。


 Vtuberとしてデビューして3年くらいが経つ、ボーイッシュなキャラで人気を博し多くの支持を受ける彼女だが、最近は忙しくて自分の時間が全く取れずに居た。親から行くように言われてた神社でのお祓いも忙しくて行ってない。


 怖い…怖い、怖い!誰か助けて! そう叫びたくても体が動かない。


 見知らぬ場所に居る怖さ、動けない怖さ、霊感で感じる何かの怖さ、その感情から涙すら出そうになる。しかし状況は変わらないままだった。


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