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配信に誰も来ないんだが?  作者: 常夏野 雨内


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131話 灰川の仕返し

「初めまして灰川さん、ジャパンドリンク代表取締役社長の岡島で…」


「こんにちは、灰川コンサルティング事務所の灰川です、このクソ……この度はどうも」


 怪異は解決したが灰川の恨みが晴れた訳では無い、会議室の中で何処からともなくビキビキ音を立てるような雰囲気を出しながら岡島社長と挨拶を交わした。


「は、灰川さんっ、お仕事終わったんだねっ、あ、あはは」


「灰川さん、私は普通に仲良く良好な関係になれたらなって思うかなっ」


「な、なんか灰川さんから(いん)の霊力が漏れてるっす…!」


 灰川の雰囲気を感じ取ったVtuber3人が引き気味だ、花田社長と渡辺社長もそれとなく落ち着いて大人の対応をするよう声を掛けてくる。


 もちろんそれは承知済みだ、しかしトラウマは紛れもなく本物であり、感情の制御をするだけで必死である。


「あ、あのっ…! 灰川さん、もしよろしければ部屋の外でお話でもぉ…」


「そうですね、お祓いの報告もありますし、外に出ましょうか」


 灰川と岡島社長、それと矢野企画本部長と重役たち数名が会議室の外の廊下に出て話を始める。40階の商品企画部のフロアは今は会議に職員が全員参加しており、通りかかる人は居なかった。


「まずお祓いですが、無事に終わりました。もう異常な事は起こらないだろうし、被害を受けて休職してた人達も時期に戻って来ると思います」


「そ、そうでしたかっ! それは良かった、なぁみんな!」


「はい!良かったですね社長!」


 彼らはオカルトは信じてないと灰川は気付いてる。お祓いなんて灰川を本社に呼ぶための口実であり、社長達は最初から怪現象が実際に起こってたとはあまり信じてない。


 灰川はなぜ怪現象が発生したかも説明する、会社が今までやって来た事が原因だと語るが重役も社長も口には出さないが『なんだコイツ?』というような目になってる。


「岡島社長の同期だった経理課の久木山さんは現在でも会社を恨んでますね、執行役会の佐伯さんが過去に作った茶菓子のルールが元でイジメて退職させた舟木さんは今もPTSDに苦しんでます」


 「「!!?」」


 この言葉に矢野以外の一同は驚いた、矢野が話したのかと疑いの目で見るが、その後も灰川の口から矢野が知る筈のない事や、もう自分以外は知る筈のない過去の行いが次々と明かされる。


 8年前に先代社長の秘書だった中西秘書は他企業との談合が問題になりそうだった時に罪を被せられ追い出された、関東統括営業部長の栗本は執行役員の林田に部署の営業成績が僅かに目標に届かなかった事から追い出し部屋送りになったこと。


 その他にも触れられたくない部分に灰川はどんどん触れていく、社長も重役たちも顔面を青くしており、額には汗と焦りの色が浮かんでいた。


「わ、分かりました灰川さん! かつてはそのような事もあったかもしれませんが、もう昔の話ですからっ!」


「すぅ~~……はぁぁ~~……」


 加害者の口から昔の話なんて言葉が出てきて灰川は頭に血が上りそうになる、そこを深呼吸で精神を落ち着ける。


 ここでの正解択は何だろうか、酷い目に遭わされた人達への補償だろうか?実はジャパンドリンクの退職者は結構な額の退職金を受け取るそうで、金銭面では困ってる人が少ないらしい。


 そもそも良い大学に通える頭がある人達だから再就職先には困らない、むしろ良い条件の会社に入った人や起業した人も多いそうだ。流石はエリートしか入社出来ない会社である。


 全ての被害者が満足する選択肢なんて存在しない、被害者に直接会った事も無いからどうすれば良いかも分からない。


「ではジャパンドリンクさんは過去にそういった悪質労働被害に遭われた方が、補償や賠償を要求してきたら真摯に対応すると考えて良いのでしょうか?」


 灰川がジャパンドリンクに被害者に対して自ら謝って進んで補償しろと言うのはお門違いだ、悪質労働被害者の中には加害会社の人間に二度と会いたくないと考える人も多い。


 しかもこのケースだと上司や先輩にパワハラされてた人も、自分の部下や立場の弱い人にパワハラして辞めさせたケースも多く、一概に誰が被害者で誰が加害者と断定できない側面がある。


 中には今も裁判で係争中の事例などもあるそうで、そこまで来ると専門家の領分だし、灰川に人や物事を裁く権利は無い。ならば職員と過去に被害に遭った人達が声を上げたら、真摯に対応してくれと暗に伝えるしかない。


「は、はいっ! それは勿論でございます! もし被害に遭った方々が声を上げられたならっ、真摯に出来る限りの対応をさせて頂きます!」


 相変わらず反省の念は少なそうだが、これで過去に被害に遭った人たちへの義理立ては済んだと考える。こういった問題は自分では対応しきれない、灰川は労働問題の専門家でもなければ法律家でもないから解決は不可能だ。


 だが自分の問題や過去に受けた扱いを清算する事は出来る、この反応を見るに灰川の後ろに居る四楓院家を恐れてるのは明らかだ。今回はそこを利用させて貰おう。


 虎の威を借りる狐のようなマネだと思われたって別に良い、虎だろうが何だろうが過去に受けた扱いの仕返しが出来るなら威を借りる。そのくらい恨んでる。


 そもそも大企業に対して個人の力で仕返し出来る事なんて限られる、一個人の力の復讐などジャパンドリンクからすればニュースになっても痛くはないのだ。大きな力や名前を借りなければ反省すらしないのは目に見える。


 現に政治家も企業家も問題が表に出なければ、裏金に告発揉み消し、リストラ体質に嘘に責任転嫁に不当解雇にパワハラや告発者狩り、やりたい放題だ。労働組合などの抱き込みだって珍しい話じゃない。


 その被害に遭った灰川個人の考えでは100万倍にして返してやりたい、むしろそうでなければ大企業にとっては痛くも痒くもない。


「実は自分は過去に御社の入社面接を受けさせて頂きまして~~……」


 そこからは社長を初めとした重役たちの顔色が更に悪くなる、御社に騙される形で傘下企業に出向させられた事、そこで筆舌に尽くしがたい扱いを受けた事、残業代未払いや業務外労働を多くさせられた事などをネチネチ厭味(いやみ)ったらしく言ってやった。



「いや~、入社初日に30人の職員の前で、これから世話になるんだから土下座してお願いしますと懇願しろって言われましてね、社会の礼儀って物を教えて頂きましたよ」


「ぅ……ぅぅ…っ」


 重役の一人が過呼吸になって目を回してる。彼は過去に四楓院家に社長と一緒に仕事で挨拶に行き、その際にジャパンドリンク傘下企業の多数銘柄の株式を大口購入してもらって株価を上げてもらった所を目にしてる。その時に動いた金額は彼の予想で300億は超える。


「先輩職員が後ろからぶつかって来た時に俺が悪い事にされて、土下座させられて頭を踏みつけられた時は、謝るって大事だなーってことを教わりましたねぇ」


「……」


 取締役会の代弁執行の一人が立ったまま気絶してる、彼は灰川が英明や陣伍と会ったビジネスパーティーに来てた人物で、陣伍や英明を不快にさせただけで株価が下がってる事を最も実感してる。このままだと株価が暴落する危険性が本当にあると最も強く感じており、そうなったら自分も会社も恐ろしい事になる。


「残業代も業務外労働手当も払われないし、有給休暇なんてあり得ないし、休憩時間も無いし、駅前で会社理念を大声で読まされた時は、仕事って大変だなーって教えてもらえましたよ、はははっ」


「そ、それは…なんとも…」


 社長の横に居た副社長の心拍数が急上昇してから急速に心拍が下がる。副社長は立場的に四楓院家と関わる事が時折にあり、大物政治家を紹介してもらって会社のためにコネクションを作ったりさせてもらった。


 その大物政治家も陣伍に何かの理由で必死に土下座してる所を目撃しており、その他にも四楓院家の裏権力を思い知らされたエピソードはある。


 国内外の財団設立や政治支援、国家運営にすら口出しできる権力があり、どれほど強い権力を有してるのか分からない。副社長は心臓発作寸前になっていた。



 何とも思わず虐げた人は自分の恐れる人の大恩人かも知れない、その最悪の巡り合わせが今起こってるのだ。


 もし灰川が四楓院家に過去の事をチクったら経営陣は総取り換えになりかねない。彼らは四楓院家の金名刺の力を灰川よりも遥かに知ってるし、四楓院家がどれだけ灰川を信頼してるか本人よりも知ってる。


 その一方で灰川も金名刺は力がある事は知ってるが、具体的に何が出来るのかは知らない。そもそも所有者が何が出来るかなんて決まってはいない。


 だが四楓院家から金名刺の中で最もランクが低い『金名刺』ですら、渡された人物が一発で選挙に受かり国会議員となった。これを見るに凄まじい力がある事は疑いようが無いだろう。


 つい最近になって四楓院家から新たな金名刺を渡した人のリストが送られたそうで、灰川の名はその最も最後のページのトリを飾る所に記載されており、手出しする者は覚悟しろと明記されてる。


 それはつまり灰川が望めば四楓院が金銭、人脈、人員、手回し、その他全てをバックアップすると言ってるようなものだ。


「灰川さん、ど…どうすれば当社を許して頂けるでしょうか……っ、申し訳ございませんっ…申し訳ございません…!」  


「岡島社長、ちょっと提案なんですけどね。ああ、ただの提案なので別に聞いてくれなくても良いんですけどね? 実は~~……」


 騙されて散々に利用され人生を台無しにされかねない目に遭わされたのだから、今度は自分がジャパンドリンクを利用する番だ。それぐらいなら許されるだろう、上手く利用させてもらうとしよう。


 誰かの人権を蹂躙して不当に非人道的に扱ったなら、自分だってそう扱われる日が来る確率は高くなる。




「え~皆さん、この度のシャイニングゲートさんへのCMの依頼ですが、予定を変更させて頂きます」


 「「!?」」


 ここで一番驚いたのはシャイニングゲートの渡辺社長とナツハとれもんだ、灰川と何かがあって話が流れてしまったのかと思ったが。


「改めてご提案させて頂きたいのは、3期連続ジャパンサイダーテレビCMでのVtuber起用と、your-tubeでの商品宣伝CMの20種類一挙放送です」


「3期連続テレビCMと20種類ネットCM!?」


「そ、それってっ…! けっこう凄い事じゃないっすかっ!?」


「そんなの聞いた事ないかもっ…シャイゲ羨ましいなぁー…」


 ナツハとれもんが驚き、エリスは羨ましがる。


「なお、これらに付きましてはハッピーリレーさんにもCM出演を打診させて頂きます」


 「「!!」」


 エリスは驚く、花田社長も灰川をチラチラ見て驚きの表情を浮かべてる。もちろんこれは確定事項ではない、花田社長が仕事を受けるかどうかで話は変わるが、断るという手は無いだろう。


「それと当社がスポンサーを務めるテレビ番組などへのご出演、都市部での宣伝看板モデルのVtuber起用、当社がスポンサーのプロスポーツチームとの何らかのコラボ、その他の依頼を随時打診させて頂きたいという運びとなりました」


 これはもう国内シェア1位の飲料会社が、シャイニングゲートとハッピーリレーの背後霊(バック)になりますと宣言したような物だ。ジャパンドリンクは多数のテレビ番組の大口スポンサーであり、ナツハなどのテレビ出演の導線が出来たという事だ。


 もしジャパンドリンクが懇意にする出演者をディレクターや他の出演者がぞんざいな扱いをしたらどうなるか、ジャパンドリンクがスポンサーを務める番組からはお呼びが掛からなくなり、CM出演など絶対に無理になる。


 芸能界はどんなに面白い芸人や、どんなに歌が上手い歌手でもバックが強くないと成功は難しいと言う。そして大企業にスポンサーになってもらうのは容易な事ではない。これでシャイニングゲートがメディア業界に進出しても他人に舐められない立ち位置を掴めるのだ。


 四楓院の名前は確かに強力だが表では有名ではない名前だ、その点で大企業の名前が後ろ盾になれば凄まじい強さになる。


「それで今から第一弾CMの会議を~~……」


 その後は会議は白熱した、社長と経営陣一同の命令とあって逆らう者は居なかったし、企画部や宣伝部にはVtuberのファンも居てむしろ歓迎する声も多かった。


 どのように商品を宣伝すれば良いか、Vtuberという素材をどう活かすか、新たな形のCMへの挑戦に室内が活気に包まれる。しかも金に糸目を付けず宣伝CMを作ると宣言し、議論は熱を増していく。


 社長や重役たちも経営者や専門家としての顔を見せて意見し、時には渡辺社長や花田社長の提案を経営者の視点から駄目だと言う。ナツハやれもんもこれまで説明を受けてきた事を踏まえて意見を出し、エリスもVtuberを使ったCMの意見を出したりした。


 ジャパンドリンクに一方的な損をさせるつもりは灰川には無い、ナツハたちを使って更に儲けられるならそれでも良いと思う。ただ過去に自分にやった人権蹂躙の清算として言う事を聞いてくれと暗に強く言ったのだ、あとは彼らがどう料理するかである。


 視聴者から過剰に贔屓してると思われないためには何らかの方策が必要だとか、根回しを急ごうとか、CM(わく)を増やして宣伝を強化するべきだとか、様々な意見が飛び交う。


 いつしか時刻は夜の9時を過ぎ、会議室に居る者達が疲れ果てて今日は終了となった。本気で意見を交わして話し合う会議とは熱中するものだし疲れる物だ。しかし白熱した会議の後は室内は心地いい空気すら感じる一体感があったのだった。




「お疲れさまですタナカさん、まだ仕事中だったんすね」


「おう誠治、こんな時間までご苦労だな。俺もそろそろ上がりだけどな」


 仕事が終わってエントランスに降りて来るとタナカがまだ警備業務に就いており、灰川が通りがかった時に声を掛けてきた。明日には姿をくらますらしく、今がジャパンドリンクでの最後の業務中だ。


「社長さん達は先に行ったのか?」 


「そうっすよ、タクシーで帰れるから楽っすね」


 今回も酷い目に遭ったとか、少しはトラウマが解消されたとか、仕事の話は上手く行ったとか少しの間だけ話す。


「タナカさんは明日からは何処に行くんすか?」


「俺は少し休暇を貰える事になってな、体を休めるとするさ。そうだ、礼のパソコンは局から明日にでも届くからよ」


「え? 随分と早いっすね」


「局も誠治には感謝してるって言ってるぞ、サイトウも遠慮なくパソコンは使ってくれって言ってた」


 タナカとしては部隊執務室で置物になってるパソコンを早く処分したいからさっさと送った、まるで灰川の事務所か自宅は不要物処分場だ。もちろん本人にはそれは言わない。


「灰川さん!もしよろしければ、この後に重役経営取締会とラ・ビストのコース・ド・ヴィヤンドゥでもいかがですかっ? 丸の内B・Hのインテリア・スカイキャビンの利用もご可能です!」


「??? 矢野さん、そっちの方は結構です。時間も遅いですし予定がありますので、機会があった時にという事で」


 灰川は何を言われたか分からなかった、何か怖そうな言葉が飛び出してきて意味が分からず、思わず予定があるとか嘘を付いてしまった。


「そうですか、会議も想像以上に長引いてしまいましたしね、取締役会には伝えておきますので」


「矢野さんもお疲れさまでした、それではまた」


「ああ、あとジャパンドリンクから灰川さんに過去の謝罪と、これからの良好な関係を願って時折に贈り物をさせて頂きますので」


 こうしてジャパンドリンクでの騒動は収まり、復讐も果たして満足の行く結果になった。


「誠治、本当に良かったのか? ラ・ビストって言ったら丸の内どころか世界的に有名なレストランで、予約は普通は取れないって聞いてるぞ。食った奴が腰抜かすほど美味いって評判だ」


「えっ?」


「丸の内B・Hって言ったら丸の内ブルーホテルの事だろ? しかもインテリア・スカイキャビンなんて一泊で100万以上するらしいじゃねぇか」


「えっ? えっっ?」


 さっきの意味の分からない言葉の羅列は上級国民なら当たり前に知ってる事だったらしい、タナカは丸の内で仕事をする時にリサーチ済みだ。もちろん灰川は上級じゃないから知らず、怖そうなプロレスラーの名前か何かだと思ってしまってた。


 ジャパンドリンクの経営陣と食事なんて気マズイが、腰抜かすほど美味しいとなれば興味が湧くし夕食代も浮く、一泊100万の部屋とか泊まってみたい!


「や、矢野さん待って!エレベーター閉まらないで! 腰抜かすほど美味しい物、食べてみたいっす! 一泊100万の部屋とか泊まってみたいっす!」


「灰川さーん! そろそろ行くよー! タナカさん、今日は灰川さんを励ましてくれてありがとうございました」


 灰川を呼びに来たエリスに引っ張られて連れて行かれる、凄いレストランとか100万の部屋とかは聞こえてなかったようで、グイグイと引っ張られて行く。オイシイ話を逃して今回のお祓い依頼料は7000円、お祓い商売は儲からない!


 肩書や地位、人脈などで得られる力は大きい。ジャパンドリンクは大企業という地位を使ってブラック労働や就職詐欺を行い、灰川は四楓院という人脈を使って復讐した。 


 灰川も褒められた行いではないかも知れないし、復讐とは何処までが許されるのかも人によって見解が大きく違う、だが灰川は恨みの感情を軽くさせて前に進むにはこれしか無かったのだ。


 権力に溺れるとは恐ろしい事である、人を人とも思えなくなり見下すようになる者が確実に出てしまう人類システムだ。灰川だって人間だ、そうなる可能性は当然ながら存在する。今だって灰川より遥かに頭が良くて実績のある多くの人達が権力や地位に溺れてる。


 灰川も名目上は自営業になった身であり、企業の仕事を手伝う立場になった。追い詰められたりして綺麗ごとだけではやっていけない時が来るだろう、その時こそが人間性というものが問われる時である。霊能力者としても同じような時が来るかも知れない。


 だが、綺麗ごとを言わなくなり、目指さなくなったら腐ってしまうようにも思える。難しい問題だ、パラドックスと言っても良いような『人の在り方』のような問題であり、水掛け論になるだろう。


 自分は最高の人間じゃないことくらい灰川は知ってる、各宗教の聖人のようにはなれないし、凄い奴と思われたいとか偉くなってみたいとかの欲も人並みにある。そこに溺れない精神を持たなければならないと今回の件で痛感した。


(溺れないように気を付けなきゃな…俺は細々とやって行こう。でも配信者ではビッグになりたい!)


 そんな事を考えながらタクシーに乗って事務所まで送ってもらう。もっと配信に力を入れてビッグになろうと決めたのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言]  ブラック企業の元々の意味の暴力団傘下の企業舎弟みたいな扱いを受けてるのに霊能力で復讐というダークサイドに堕ちなかった誠治君は偉いなあ。  私の中学時代の友人にも誠治君がいたけど、今頃何し…
[一言] 灰川もけっこう調子に乗りそうな性格してるから、油断するとご先祖様の二の舞なんてことになりかねないですね でも今は灰川がそうなってもタナカさん含め周囲には苦言を呈してくれそうな人たちがいるから…
[一言] ブラック企業の更正ってほとんど不可能だよな。 責任者入れ替えましたって言ったって会社全体で犯した悪行は消えないのよ。
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