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第55話 突然の出来事



 翌朝。僕は今日はやけにすっきりと目覚めた。



「……よし」



 そう言うとベッドから出ていく。隣をチラッと見ると、シェリーはまだ寝息を立てていた。時間もまだ余裕があるので、僕は彼女をそのままにしておいた。



「……ふぅ」



 熱いシャワーを浴びて、意識をさらに覚醒させる。今日はこの都市にいる特級対魔師の人と合流して、そこから黄昏に狩りにいく予定だ。そして僕はある程度身支度をしていると、隣で寝ていたシェリーが目を覚ます。



「……今、何時?」

「6時前だよ。もう起きた方がいいかもね」

「うん……」



 シェリーは寝ぼけ眼をこすりながら、もぞもぞと這い出てくる。髪は乱れ、服装もまた乱れている。でもここで指摘するのもどうかと思い、僕は視線をそらすだけにした。



「……お風呂いってくる」

「うん」



 そうして彼女もまた、熱いシャワーを浴びることで意識を覚醒させるのだった。



「よし、そろそろ行きましょうか」

「了解」



 シェリーも身支度を整え、僕たちは集合場所であるブリーフィングルームへと向かう。軍の基地の構造は基本的に同じなので、僕たちは迷うことなくまっすぐに進んでいく。時刻は午前7時前。僕たちは7時集合だったので、ちょうど10分前に室内に入り込む。すると、中にいたのは一人の男性。確かこの人は……。



「お、ユリアくんじゃ〜ん。おひさ」

「えとその……どうも」


 ぺこりと頭を下げ、僕は自己紹介をする。


「ユリア・カーティスです」

「俺はヨハン。序列は9位ね。よろしく〜」



 なんと言うか、軽そうな人だなぁ……というのが僕の印象だった。髪は長く、それをヘアゴムで一つにまとめており、微かに刈り上げている部分が見えている。身長は僕よりも優に高い。180センチはありそうだ。それにとても、お洒落な感じで僕とは全く逆の人間だと思った。顔立ちは整っているし、それに眉毛などもしっかりと手入れしているのだろう。全体的に綺麗な印象だ。



「おっと、お嬢さんはシェリーちゃんだね。初めまして」

「あ……その、よろしくお願いします」



 あっという間に距離を詰めると、ヨハンさんはシェリーの手を掴み挨拶を交わす。さりげなくウィンクもしており、女性慣れしているのがよく分かる。



「うーっす。今日もやるぜー」



 次に入ってきたのは、ロイさんだった。以前会った時と同様に、髪はツンツンに立ち上がっており髪の色もまるで虹色だ。さらに染髪をしたのだろうか。さらにはサングラスもいつも通りしているようだ。



「お、ユリアじゃねぇか。そういえば、そろそろ来るって話だったな」

「ロイさん、ご無沙汰しております」

「おう。オメェには第一結界都市での借りがあるからな。何か困ったことがあれば、俺に言え。力になってやるよ」

「ありがとうございます」



 初めて会った時は攻撃的な人だと思ったけど、意外と優しい面もあるよう……この時はそう思っていた。



「あ? こいつ誰だ? ヨハン、聞いてるか?」

「シェリーちゃんですよ。ベルさんの推薦で、ユリアくんの出張に帯同している」

「……はー、なるほどなぁ……」

「えっと、シェリー・エイミスです」

「お前、俺と勝負しろ」

「え?」

「ユリアは第一結界都市での実績がある。ヨハンはこの目で何度もその実力を見ている。でも、お前は知らない。シェリーと言ったな。俺は自分の目で見たものしか信じねぇ。それにベルの推薦なら、あいつのメンツを潰さないためにも頑張るこったな。よし、いくぞ」

「ちょ、ちょっと! え!?」



 シェリーは無理やり手を引かれてそのまま出ていってしまった。



「えーっといいんですかね?」

「ん? いいんじゃなーい。ロイさん、いつもあんな感じだしね〜」

「マジですか……」

「うん、まじ」



 一方のヨハンさんは爪をヤスリで研ぎながら僕と話をしていた。そんな片手間で話すような内容なのか……。


 それにしても、シェリーは大丈夫かなぁ……そんな心配をしながら僕は二人の後を追いかけるのだった。




 ◇




 二人の後をヨハンさんと追いかけると、僕たちは演習場にたどり着く。ここでは屋外の訓練をよくしているが、ちょうど空いているのかこの場には誰もいない。そう思っていたが、徐々にわらわらと人が集まってくる。



「なんだ?」

「ロイのやつがやるってよ」

「久しぶりだな。相手は?」

「第七結界都市の一級対魔師。女の子みたいだ」

「うわ、若いな。大丈夫か」

「……ロイのやつにボコボコにされないといいけどな」

「あいつ、女にも容赦ないからな。軍人に男も女も関係ねぇ! って言ってるもんな」



 と、そんな声が周囲から聞こえた。え? 女性にも容赦しないの? 


 僕は別にフェミニストではないが女性に対してはやはり強くは出れない。一方のロイさんはそんなこともないようだ。まぁ……あの言動からしてそうだと思ってはいたけど……。



「ヨハンさん、大丈夫ですかね?」

「んー、まぁ最悪止めに入るよ。ロイさんとは付き合い長いし、何回か止めたことあるしね〜」

「そうですか……」

「でもあのベルさんの弟子なんでしょ? 俺は色々と期待しちゃうね」

「奮闘できるといんですが……」



 そしてシェリーとロイさんの戦いが始まる。なんだか、以前の自分を見ているようだ……。


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