突然お見合いすることになる
仕事の話を終えて退室しようとしたら、まだ話があると言われてしまった。
「ノンノ嬢にお見合いをしてもらいたい。こちらで何人か見繕った」
「と、突然ですね」
「侯爵家の夜会があるから領内各地から人が集まるからね。別にこの見合いで相手が決まらなくてもいい。まずは顔合わせだ。夜会で紹介しよう」
というわけで大変めんどくさいことが増えてしまった。
仕事の話だけしていればいいわけではないことはわかっているが、大変面倒である。
家は男爵家とはいえ領地持ち。
いくら貧乏貴族といえども領地を持たない方位貴族と違い、婿入りしたいと思う次男三男は一定数いる。
私自身が逃げ回っているわけではないが、侯爵の後ろ盾のおかげで、窓口はナーシサス侯爵家となっている。
つまり、私に拒否権はない。
「よろしくおねがいします……」
「まぁ変な輩はこちらで排除したから安心しなさい。君の魔術についてとやかく言う輩もいないから」
「そうであればよろしいですが」
侯爵の前では誰だって猫をかぶるだろうからあまりあてにしないほうがいい。
何よりこちらから袖にしてもよいと言われているのだから、私はしっかり相手を見極めないといけないな。
執務室を後にすると、待ち構えていたようにマルグリット様付きの侍女が私を引き取りそのまま彼女の部屋に行くことになった。
もうお茶でおなかがタポタポなのでこれ以上お茶は入りませんよマルグリット様。
「やっと来たわね!お父様ったら長いのよ」
「仕事の話ですから長いと言われましてもね……」
「アデル、貴方を呼んだのはほかでもないわ。お見合いさせられるのでしょう?事前情報を上げるわ」
この親子はよぉ……
そういう事かと思わず遠い目をしてしまう。
親子なんだから結託していないほうがおかしいか……まぁ素直にここは相手についての情報をもらおう。
そして、話を聞いた結果としてどの方も確かに無難な方であることは分かった。
一人は少し年上で王太子世代の子爵家の次男、学園での成績は上のほうで書類仕事が得意だという。
現在は子爵家の事務仕事を手伝っているという。
もう一人は同い年の男爵家の三男、残念ながら私の知っている人ではなかった。
この方は現在侯爵家にて騎士をしており、騎士爵もち。私の護衛も兼ねるって感じかもしれない。
最後は現在学園に通っている年下の伯爵家の三男、ナーシサス侯爵領の伯爵家といえばナースカフェ伯爵家しかない。
そこの三男坊は私ほどではないにしろ、魔法技術は高いらしい。
一般的なこの世界の魔法理論しか知らないならこの方はないなというところかな。
私の話についてこれないだろうし、やり方に疑問を持たれても面倒だからだ。
「こんなところね。気になる相手はいた?」
「実際に会ってみないと何とも言えないけれど、子爵令息と騎士の方かしらね」
「騎士って乙女のあこがれよね」
なんとも微妙にずれた感想をマルグリット様からもらった。
騎士にあこがれるのではなく、イケメンがそういう格好していると想像するからあこがれるのであって、相手がイケメンとは限らないではないか。
この時代姿絵なんて大して当てにならないので、ざっくり雰囲気をつかむぐらいしかできないので。
あぁちょっとめんどくさくなっている自分がいる。
とはいえ、この世界においては結婚を考えないといけない年齢であることも事実。
まともな相手ならそれで決めてしまうのもありなんだよなぁ




