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共鳴アヴェンジホワイト  作者: 朝露ココア
4章 蒼と永劫
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異伝6. 相克する因果

 信じたくなかった。

 目を背けたかった。


 運命は、因果は、残酷だ。

 いつもいつも、私達の幸せを崩してしまう。


「ロール、おはよう」


「ロール、大丈夫?」


「ロール、最近元気ないね」


 私はロール・ライマ。その名を、私の最初の友達が何度も何度も呼ぶ。その度に、心行かぬ猜疑と狂気が私の心を押しつぶした。

 どうして、よりにもよって彼を友達にしてしまったのだろう。


 ──もう、関わらないで。

 その一言が、どうしても紡げなかった。


「……方舟が堕ちた」


 その時、悟った。

 二人の道は交わらない、交わってはいけない。

 彼が永劫の焔を消し去った瞬間、我らの道は分かたれなければならなかった。




 災厄の御子と、共鳴者。

 秩序の駒と、混沌の駒。


 私が彼を殺すか、彼が私を殺すか。

 定められた未来は、一つだけ。


                                      **********


 力。


 力。


 力。


 民を守る為に、世界を守る為に、必要なモノだ。

 僕にはそれが欠落している。


 魔物との交戦で傷を負う度、剣豪に敗北を重ねる度、悲しむ民を見る度、僕はそれを自覚して拳を握りしめた。

 僕は偉大なる霓天の末裔であり、聖騎士ヘクサムの息子だ。

 敗北は一度たりとも許されない。

 民の信頼を裏切ることは許されない。

 弱き者であることは許されない。



 力。


 力。


 力。


 騎士として、霓天として。

 力への渇望が止まない。聖騎士を破れど、竜を殺せど、止まない。

 呼吸、凶手、願望、慟哭。




 ──だって、僕は『他の人たち』を守らないといけないから。



「アルス、おはよう」


「アルス、大丈夫?」


「アルス、その……今日は忙しいから」



 僕はアルス・ホワイト。僕の最初の友達と距離が離れていくのが如実に分かった。その度に、僕の中で力への渇望は増大し続けた。

 どうして、僕は弱いのだろう。


 ──ごめんね、僕を許して。

 その一言が、どうしても紡げなかった。


『その力は『他の人たち』を助ける為に使ってあげて。私は別に……どうなっても良いから』


 彼女の言葉を聞いたその時、悟った。

 二人の道は交わらない、交わってはいけない。

 彼女が白鳳星を見上げながら僕を拒絶した瞬間、我らの道は分かたれなければならなかった。


 ただの少女と、共鳴者。

 ひとりの人間と、混沌の駒。


 あの日、僕の理想は死んだ。

 定められた未来は、一つだけ。


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