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共鳴アヴェンジホワイト  作者: 朝露ココア
18章 地獄死闘舞台バロメ
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52. コロシアム考察

 ビルへ戻ったアルスは、スノウと話しているマリーの姿を発見。


「あ、お兄ちゃんお帰り。ヤコウさん落ち込んでた?」


「いや、別にそこまで落ち込んでなかったよ。スノウさんと何話してたの?」


「いろいろ……お兄ちゃんの話を聞かれまくってたから、一つずつ答えてた」


 まさかあることないこと吹き込んではいないだろうな……とアルスは思いつつ、二人の間のテーブルに置かれている球体を見た。


「ん、これはなに?」


 藍色の玉。内部には魔力が渦巻いている。

 スノウは玉を手に取ってアルスへ手渡した。


「魔術に使う宝玉です。触れているだけで魔力が回復するんですよ。マリーさんにたくさん複合属性の魔術を使ってもらったので、そのお返しに……」


「ああ、なるほど。四葉(よつのは)は他の家系に比べたら強力な神能ではないんだけど、興味を持ってくれるのは嬉しいね」


「えへへ……四葉の素晴らしさは魔術の見識が深い人にしか分からないんですよ! 私からすればホワイト家の神能が最強で最高です!」


 今の発言から察するに、スノウには魔術の心得があるのだろうか。たしかに属性複合は常人には扱えない技術であり、無限の可能性を秘めている。

 属性複合が使えるのはホワイト家を除けば、ユリーチと彼女の弟子のサーラくらいだろうか。後はスターチ・ナージェントも炎と水属性を扱えたはずだ。


「ところで、この宝玉はどこで手に入れたの?」


「……普通に魔道具店に売ってますよ。案内しましょうか?」


「いや、大丈夫。……そういえばシャンバさんは?」


 アルスは話題を無理に逸らす。この宝玉はコロシアムの一件と関係があるのではないか……そう疑ったが、違ったようだ。極力何かを探っていることは知られたくない。

 もちろんアルスはシャンバとスノウを疑っている訳でもない。何故なら彼ら親子は悪意を持っていないからだ。しかし疑念を別として、内密に行うべき調査は秘匿せねばならないのだ。


「お父様はお仕事をされていますよ。なにかご用ですか?」


「うん、どこに居るか分かる?」


「たぶん自室です。案内しますね」


 スノウに案内され、アルスはコロシアムの支配人の部屋へ向かう。マリーは一足先に部屋へ戻って行った。

 エレベーターを使い、最上階へ。絢爛豪華な装飾が施された廊下を渡り、彼はシャンバの部屋へ踏み入った。


 ~・~・~


「過去の闘技大会の映像、ですか?」


 アルスの言葉を聞いたシャンバは目を丸くした。


「はい。今回の熱い大会を拝見して、過去の勝負にも興味を持ちまして。よろしければ過去の映像も視聴したいのですが」


「ええ、どうぞどうぞ。アルスさんに興味を持っていただけるとは……喜ばしい限りですなあ。どうです、来年は選手として出場されては?」


「ちょっとお父様! アルスさんの剣はね、バトルパフォーマンスとして魅せられるのが至高なの! それにアルスさんはめちゃくちゃ強いしかっこいいから、他の選手が霞んじゃうよ?」


 スノウの熱烈な態度に、アルスは引き攣った笑いを浮かべる。どう反応していいものか分からず、彼は視線を逸らす。

 飛ばした視線の先、シャンバの部屋の壁にはいくつもの写真が額縁に飾られていた。


「ん……あれはシャンバさんですか? ずいぶんと今とお姿が違いますが。その……かなり痩せぎすというか」


「ええ、十年以上前の写真ですね。んほほ……お恥ずかしながら、このように丸々と太ってしまいまして。幸せ太りと言うやつですかな? 昔のわたくしは経営者としてもギラギラしており、かっこいいでしょう?」


「はは……そうですね。でも今の方が幸せそうですよ」


 アルスの言葉を聞いて、シャンバとスノウは笑顔を浮かべる。幸せそうな親子だ。

 写真の数々は、ほとんどが十年以上前の物のようだ。スノウが映った写真は一枚もなく、シャンバの妻と思われる人とのツーショット写真が大半を占めている。


 奥さんはどうしたのですか……などとデリカシーのない質問はできない。もしかしたら既に亡くなっているかもしれないのだから。


「それよりお父様。早くアルスさんに過去の映像をお渡ししては?」


「おお、そうそう。少し待っていてくだされ」


 シャンバから過去の映像のデータを受信し、アルスは部屋へと戻った。


 ~・~・~


 例年の映像を漁り続けるアルス。横ではマリーがぼんやりと一緒に映像を眺めていた。


「マリー、どう思う?」


「いきなり何? どう思うって?」


「この過去の映像の数々、今日の試合に比べてレベルが高いと思わないか?」


 アルスが観る限りでは、レベルが高い。映像内の選手たちの動きは素晴らしく、過去に出場したヤコウもまた今日より洗練された動きをしていた。


「まあ……そこまで違いは分かりませんが、なんとなく優秀な選手が多いような。今大会は微妙なのでしょうか。私にはあれでも相当レベルが高いように見えたけど……たとえばエニマさんとか」


「うん、エニマんは強いね。うーん……まだ推論の域を出ないな。もう少し検証してルチカの報告を待つか」


 まだ確証には至らない。龍神もまたアルスと同様の推論を行っているか、或いは既に真実へ辿り着いているか。

 考えられるのは、何者かが選手を意図的に弱体化させているということ。目的は不明、犯人も不明。しかし合理的に考えた結果、それが最も真実に近いと思われる結論であった。


 彼は更に考察を重ねるべく、過去の資料映像を漁り続けた。

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