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共鳴アヴェンジホワイト  作者: 朝露ココア
第3部 12章 天の守り人
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11. 不穏なる再会

 高地に次々と現れる魔物。

 魔物は意志を持たないはずなのに、妙に統率が取れていて気味が悪い。しかもナバ高地には見られない種が次第に多くなってきている。


流水(メリアスト)!」


 水の鞭を滑らせて魔物を一掃。

 ロキシアも素早い動きで殲滅力は高い。ゼロはいい感じに魔物の注意を惹き付けてくれている。


「数には限りがあるはずなんだけど……多いね。先行してリフォル教を追いたいけど、魔物を放置するわけにいかない。どうしよう?」


「サーラちゃん、私が魔物を引き受けるよ。ゼロ君と一緒なら飛べるんだったよね? それなら先に行って、リフォル教を何とかして」


 ロキシアはそう提案する。

 いくらルカ師匠が付いているとは言え、彼女一人で対処は難しい。きっと無茶をしてしまうだろう。

 師匠が戦ってくれればなあ……


「ふむ、サーラよ。ロキシアのことは問題ない。我が力の抑制と均衡を伝道しようではないか!」


 ……信用できないなあ。

 まあ仕方ない。


「ゼロ、行くよ!」


「おう!」


 弟の手を取って、翼を展開する。

 こうして危機の中で飛ぶのは久しぶりかな。最近は水魔術を応用して一人で飛ぶことも多かったし。

 飛翔すると、高知の一部に黒服の集団が居た。数は十人くらい。斜面にできた洞窟に身を寄せて、中で何かをしているようだ。となると、奥にもリフォル教がまだ居るかもしれない。


「このまま突っ込むぜ!」


「りょーかい!」


 ゼロの剣身に水流を宿し、そのまま急降下。


「絶対渦巻必殺剣!」


 意味不明な技名を叫びながら、ゼロの剣が地表を撫でる。

 濁流がリフォル教徒たちを飲み込み、一気に奴らは流されていく。たぶん死んでないけど、動く事もできないのでアイツらは後回し。


「……って、洞窟の中にも水流しちゃダメでしょ!? 一般人が中にいたらどうすんの!?」


「あ、そっか! わりい!」


 ゼロの斬撃で飛ばされた波は、激しく洞窟の中へ入り込む。

 水責めは魔物相手には悪くない戦法だが、人間相手に使うのはちょっと……やだよね。しかも、リフォル教は一般人を誘拐したりするから、無辜の人を巻き込んでしまったかもしれない。


「安心せい。只人を巻き込んではおらぬ。洞窟に入っていた我が同胞はみな死しているだろうがな……」


 その時、洞窟の奥から声が響いた。

 聞き覚えのある声が反響して、私の身体はゾクリと震える。

 この声は──


「ギリーマ……! いや、ムスカ!」


 サーラライト族で占術師として紹介された男。

 その正体は『黎触の団』だった。『黎触の団』の幹部の中で、唯一コイツだけを逃がしてしまったのだ。


「我が名はギリーマ……リフォル教の大司教である。またの名を『黎触の矢』ムスカ。しかし、既に【黎触の王】は潰えた。今の我が座するは、大司教という席のみよ」


「つまり……どういうこと? アンタはどっちに与してるの?」


「我は元々、教皇様に仕える身。『黎触の団』に潜り込み、然るべき時に王を潰すつもりでいた。もっとも、貴様ら六花の将がその役目を代行してくれたでな」


 だから『黎触の団』との決戦でも、私たちを深追いしないで逃げたのか。

 ここでギリーマと交戦すべきだろうか。コイツは強い。でも、私たちだって少しは成長している……それにゼロは退こうとしないだろう。


「おいギリーマ! ここで何してたんだ! あの魔物どもはお前の仕業か?」


「うむ。教皇様から賜った『混沌』……その応用を研究しておった。未だ形にはなっておらぬが……エムティター以上の、心神に迫るエムティング並の研究成果を出さねば……百六十年後の魔導王復活と厄滅までには間に合わせる」


「何言ってんのか分かんねえが、とにかくお前を倒せば良いってことだな! あの時のリベンジだぜ!」


「まあ、そうなるよね……」


 後方の魔物とリフォル教は、とりあえずロキシアと師匠に任せよう。

 リフォル教が何を企んでるのか知らないけど、止めてみせる。


 ~・~・~


 イージアは察知する、歪な『何か』を。

 それは龍島が夜の帳に包まれた頃合いだった。


「今、ルカと弟子の三人は外へ出ているはずだ。彼らではないな。気配はたった一つ、か……」


 彼は宵闇を縫って駆け出した。

 もはや龍島は彼の故郷のようなもの。生い茂る木々、深き谷、全ては障害となり得ない。

 謎の気配はルカの小屋から東に向かった先の洞窟……『セムノー』という四足歩行の魔物が出没する洞窟から感じる。フェルンネは今、アパートの自室に居る。この気配の正体は彼女ではない。


 しかし、フェルンネは気配を察知した素振りがなかった。八重戦聖の彼女でさえも読み取れなかった気配。おそらくイージアが察知できたのは、この龍島の魔物や竜種の気配を網羅していたからだろう。


 洞窟の奥へと入り込み、骨のような四足歩行の魔物……セムノーの横を通過する。

 幼少期は苦戦したものだが、今では相手にするべくもない。

 深奥部には、見上げるほど巨大なセムノーがひっそりと佇んでいる。洞窟の壁面をじっと見つめ、動くことはない。殺気を殆ど感じなかったイージアは、巨大なセムノーを迂回せずに足元を通り過ぎた。

 この先には滅龍の遺骨が見下せる滝壺があったはず。


 月の光が降り注ぐ滝、静かに瀑布が水音を立てる領域にて。

 彼は一人の男の姿を捉えた。

 男は滝の前に静かに佇んでいる。


「AT……」


「こんにちは、イージア。良い夜だね」


 リフォル教、教皇。

 髪も瞳も純白に包まれた男は、柔らかく微笑んだ。

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