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共鳴アヴェンジホワイト  作者: 朝露ココア
5章 英雄──神断ち、のち、愛
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95. 解放軍

「『紅蓮剣士』エルゼア……? 名は知っているが……たしかルダン連合の剣士ではなかったか?」


「リンヴァルスから引き抜かれたんだよ。最初はバトルパフォーマーなんて胡散臭かったが……悪くない仕事だぜ。碧天さんもやらないか?」


「いや、遠慮しておこう。俺は今の立場に満足している。……しかし、バトルパフォーマーか。アルスの同僚というわけだ」


 アリキソンは時折アルスの仕事事情を聞くものの、多忙な身ゆえにリンヴァルスへ赴いたことはない。バトルパフォーマーという職業が如何なるものなのか、断片的な情報しか知らないのだ。


「それで、エルゼア殿。先程の、その……攻撃? は何だったんだ?」


「ん? 言ったろう、からかいたくなっただけだって。まあ、あんたに絡んだのは目的があってのことだが」


「……聞こうか」


 エルゼアは周囲を見渡して誰も居ないことを確認すると、声を潜めて言った。


「反乱軍に入らないか?」


 この誘いを受けた瞬間、彼の答えは決まっていた。


                                     ーーーーーーーーーー


「よーお前ら! 新メンバーをスカウトしてきたぜ!」


 とある施設に入ると、エルゼアが声を張り上げた。

 入り口付近に屯していた面々はその声を聞き、喜々とした表情で顔を上げた。


「おおリーダー、お帰りなさい! 新メンバーですか!」


 一人の男がエルゼアをリーダーと呼んだことから、アリキソンは前を歩く者こそがこの反乱軍のリーダーだと理解する。

 彼が駆け寄り、アリキソンの顔をまじまじと見る。それから気さくに手を差し伸べた。


「やあ、はじめまして。俺はここの警備をしている、よろしくな。……ん? あんた、どこかで……」


「どうも。私はアリキソン・ミトロンと申します。これからよろしくお願いします」


「あ、アリキソン・ミトロン!? あの……碧天の!?」


 警備の彼は大げさに飛び退き、驚きに頬を引き攣らせた。こんな反応をされることにアリキソンは慣れているが、この反応が畏怖と珍奇によるものだと知っていた。純粋な嫌悪から来る反応ではないという思いで自身を納得させ、何度も彼は好奇の目に耐えてきた。


「お、なんだソイツは! 強えのか!?」


 偉大なる新人を周囲が物珍しそうに眺める中、どしどしと輪の中に踏み込む者が一人。


「よおタナン。お前より強いぜ、コイツは。なんたってアルスのライバルだからな」


「ルス兄の! よっしゃ、勝負だ勝負っ!」


 突然持ち掛けられた勝負に、思わず彼は困惑する。この男は何なのだろうか。

 未だかつて遭遇したことのないタイプの人間だ。あろうことか最強の神能を持つ碧天に堂々と勝負を挑んでくるとは。


「こいつはタナン、反乱軍の鉄砲玉だ。戦うことか食うことばっか考えてる奴だが、腕は確かだ。いっちょ相手して……いや、分からせてやってくれねえか? 自分より強い奴に従う主義みたいでな」


「……了解した。では、尋常に勝負といこうか」


 自分よりも強い者にしか従わない……アリキソンは昔の自分を想起しながら、剣を抜いた。


                                      ーーーーーーーーーー


「『凩之太刀』」


 細く、鋭い一撃がタナンを貫いた。セーフティ装置が作動し、彼の命を繋ぐ。

 突き抜けた強風が壁を叩き、轟と音が響いた。


 あまりに高度な戦いゆえに、二人の勝負を見守っていた者の大半は何が起きているのか分からなかったが、タナンに勝利する者が現れたという事に沸いた。

 数少ない勝負の理解者、エルゼアは改めてアリキソンの実力を確認した。映像で見ることはあったが、彼の動きは殆どがスローで再生される。実際に見た彼の動きは、エルゼアでさえ魔力で動体視力を強化しなければ視認できない程の速さなのだ。


 彼はバランスブレイカー級の駒だ、とエルゼア……いや、『神算鬼謀』エルムは認識する。だが、まだ反乱軍の勝利を確信するには盤石ではない。


「さすがルス兄のライバルだぜ! アリキソン兄貴……アリ兄、いやリキ兄だな!」


「あ、ああ……よろしく。タナン、強かったぞ」


 エルゼアの事前評価通り、彼の腕は確かなようだ。雷速に迫るアリキソンの速度にも彼は順応してみせた。将来、良い戦士になる。そう直感が告げた。


「さ、お前ら! アリキソンの強さはよく分かったろう! 歓迎会といくぞ!」


 エルゼアが集合をかけ、これから戦いを共にする仲間を紹介する。


「か、歓迎会……? そんな余裕はあるのか?」


「ま、こんな時だからこそ心に余裕を持ってないとな。……酒は飲めるか?」


 彼は騎士という立場上、公衆の面前で恥は晒せない。そのため、あまりパーティーなどでも酒を飲みすぎることもない。


「まあ、多少は。付き合いで飲むくらいだが」


「ああ、そいつは良い。そんな奴にこそ大量に飲ませたいからな」


「か、勘弁してくれ……」


                                     -----------


 翌朝。アリキソンは二日酔いでふらつきながらけたたましい警鐘に叩き起こされた。


「幻影兵が攻めてきたぞー!」


「はあ……クソ、やっぱり飲むんじゃなかった」


 剣を支えにして、彼は立ち上がった。



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