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23:大隈修吾寮長の日記(4月編)

一部、トムトム様からネタの種をいただいております。

4月某日

 俺たちは3年生になり、ちーちゃんは当然のように生徒会長に就任した。最後まで“誰か我こそは!!ってヤツいないのかよ~”とぼやきまくっていたが、それでも会長を拒否をするでもなくちゃんと引き受けちゃうのがちーちゃんだ。歴代の会長(といっても俺が知ってるのは2人だが)が大魔神と腹黒おかんだったせいか、ピュアなおかんのちーちゃんは俺らの間では“癒し系”とささやかれている。

 ちーちゃんは知らないけど、皆、ちーちゃんから「みんなちゃんとしてくれよ~」と情けなさそうに言われると「ちゃんとしなきゃな」と思ってしまう。恐るべし、おかん。

 そういえば俺も寮長になったんだった。副寮長決めなくちゃいけないんだよな~。面倒な。入寮式でざっと見たけど、よくわからん。まあこれからこっそり観察したりちーちゃんや2年の清水あたりにも意見を聞いてみようと思う。



4月某日

 同級生の白戸は見た目チャラくてギャルが好きそうだが、実は少女マンガ好きだ。そしてその根は着々とうちの寮に広がりを見せている。

 ちーちゃんもその禁断の味を知ってしまったらしく、白戸から借りたという200万人乙女のバイブルというキャッチフレーズがついた少女マンガコミックがずらりと並んでいた。

「…ちーちゃん、これ」

「あ。白戸から借りたんだよ。修吾も読んでみろよ、面白いよ」

 勧められたので一番上にあったものをパラパラと見てみる……幼い頃に原っぱで出会った男の子と再会して好きになるけど親友がその男の子のことを好きなのを知って自分の気持ちにふたをする…まあ、人を好きになるのは基本自分勝手な行為だ。でもその自分勝手な行為が受け入れられないからってその相手を恨んだり憎んだりするのはお門違いというものだ。そういう意味では主人公が自分の気持ちのままにいかないのは正しい。ただ読者からすると、少々いらっとするが。

「俺さ、いままでの彼女が友達とかぶったことないんだけど、ちーちゃんはある?」

「……俺はお前が全寮制の男子校にいながら彼女がいるって事実が心底うらやましいよ」

「あ、彼女がいるじゃなくて、今は“いた”だから。受験と残り少ない部活に専念したいって言ったら快く受け入れてくれたよ」

 ま、向こうはいろいろ妥協案を示してきたけど受験だからっておしきったけどな。こういうとき全国有数の進学校って便利。

 ちーちゃんは俺の話を聞いてあきれた顔をしてため息をついた。

 その後、どうも俺が読んだのは最初だけだったらしく白戸から「くまっち~、これは全巻読んでこそだ!!もうな、親友がむかつくんだ、親友が!!」と強引に押し付けられ、読みきった。

 なるほど、確かにこの親友はちょっと面倒くさいな。俺だったら義理でも付き合わないかも。ちーちゃんは主人公がタイプらしいけど、俺はメガネの子が好きだな。ああいう理路整然としてるけど、ちゃんとかわいいタイプのほうが楽しい。

 主人公はちょっといい子すぎて、あれを理想にするちーちゃんは変な女にだまされそうで心配だ。

 本を返すついでに白戸にちーちゃんと同じ質問をしてみた。なぜか「俺、くまっちきらい!!」と泣かれた。俺がいったいなにをしたというのだ。


4月某日

 副寮長として1年生の大和田を選んだ。2年の清水によると、1年のなかでは生徒会に入れたやつ並に面白いのだという。確かに一見きまじめだが、話すとひょうひょうとしていて柔軟なやつだ。

 清水の面白い基準はひょうきんという意味ではない。味のあるということだ。頭がいいやつには不自由しないここの生徒のなかでは大事な要素である。

 寮長や生徒会ってのは、優等生だと務まらない。これは自分が青木寮長と一緒に仕事をして改めてそう思った。白石寮長の自分が楽しみたいからという横暴とも等しい強引さも青木寮長のようなバインダーチョップのような必殺技は俺にはないけど、あっさりだとか融通無碍というわれる自分の性格ならまあ、なんとかなるだろう。

 生徒会と寮はうまく連携していかないと、もろもろのイベントができない。今後もちーちゃんを助けてやっていきたいと思っている。

 今日は大和田と一緒に作った寮の裏地図の案を持って、交流合宿の打ち合わせだ。大和田はだいぶ寮の仕事になれたけど、生徒会の1年はどうなんだろう。というか特に2人のうち1人、仕事と両立できるのか?まあ、ちーちゃんだから大丈夫か。

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