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氏政が江戸城に到着した頃には兵も出揃っており後は河越に向かうだけとなっていた。江戸城に集まった氏政軍は元々の4000に加え房総からの援軍3000の計7000だ。
「光秀、ここからはお前に指揮を任せる。」
「はっ!では、軍を3つに分けまする、1つは幸隆殿が率いる2000部隊長として工藤政豊殿を もう一つが虎高殿が率いる2000部隊長として酒井敏房殿と原胤清殿を そして、援軍としてきた房総衆を里見義堯殿が、その下に息子の義弘殿もつけまする。」
呼ばれた者たちが声をそろえて気合を入れる。
「風魔衆に命じて氏康様と可能であれば綱成殿に明日の朝に戦闘を開始すると伝えよ。まずは氏康様と綱成殿で相手の意表を突くのだ。そして相手が慌てふためくところを我らが横槍で立ち直れなくする。」
「はっ!」
里見義堯と三井虎高 真田幸隆に工藤政豊 それに明智光秀そうそうたるメンツが揃ったな。
「まずは三井虎高殿には上杉軍を引き裂いて頂きます。相手は万の兵とは言え我々の戦力を考えれば十分な打撃が与えられると思いまする。幸隆殿にはその補佐を。そして里見殿には殿の護衛をしていただきます。
皆様には上杉に集中して頂きたいですが万が一の事がございまする、古河公方勢にはご注意を。相手が現れた場合、里見殿達に多く配備されている鉄砲衆を運用し遅滞戦術を行いながら狙撃の得意な者達を私が率いて古河公方を狙います。
その間に氏康様と協力して虎高殿には上杉軍を壊滅に追いやってください。幸隆殿には古河公方勢力への反撃の援護をして頂きたい。細かいところは幸隆殿に任せまする。」
「よし、では目指すは河越!関東の覇者は誰かを民に!奴らに!示すのだ!!!!いざ!決戦の地へ!」
「「「うおおおおおお!!!!!!」」」
虎高の隊を先頭に幸隆を右翼側面、我らが左翼側面に付き河越へ向けて出発した。
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氏康が氏政からの戦前の最後の伝令を受け取った頃には既に夜が更けていた。
「つまり、氏政らは朝駆けをすると言うのだな?」
「はっ!その通りに御座いまする。そして、氏政様は氏康様に先に戦を始めて頂きたいと考えておりました。」
「あい、わかった。綱成の奴に知らせる時間は無いだろうが奴ならば合わせるはずだ。よし!全軍に通達!夜襲ぞ!敵に悟られぬように静かに用意をするように徹底させろ!多目は全体の指揮を取れ!諸将らは配置された部隊の元に向かうのだ!この一戦が関東の主を決めることになるぞ!狙うは上杉両軍の首のみよ!関東諸連合なぞ所詮は烏合の衆だ!」
氏康が号令をかけると慌ただしく兵が動き始める。しかし、常日頃から訓練されてきた彼らはその気配を限りなく殺し敵に察知されないように戦闘態勢を整えていく。
鉄砲衆が前面後方に、銅板を仕込んだ盾だけを持つ盾持ちが前面前方へ。その左側面後方にいつでも突っ込めるように騎馬隊が右側面後方に歩兵が そして彼らの後ろに槍隊を設置し、またその後ろに本隊が位置する。最後に本隊の周りに印字隊や弓隊などの遠距離攻撃を行う部隊が揃っている。
彼らが動き出すのはもう直ぐそこに迫っていた。
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氏政達の軍が揃う少し前に動き始めるものがいた。
「皆のものに知らせよ、関東の棟梁たる古河公方が憎き敵 北条を関東平野から追い出す時が来たと。」
配下達が散っていき軍の用意をし始める。彼らは農民兵を率いるのだがその動きは従来のものよりも大幅に速かった。というのも、古河公方 足利晴氏が前々から労役として農民を城下もしくはその周辺に固めていたのだ。道を整備させたり川の整備をさせたりなど。
しかも、変な奴らが入り込まないように村毎に集めさせ村長などのまとめ役に不審な奴がいないかを確認させる徹底ぶりだ。古河公方勢力は 古河公方 小田氏 佐竹氏 結城氏 などが集まる予定だ。
「我らは尊き血を引く関東の棟梁ぞ、負けぬ…負けるわけにはいかぬのだ…!」
史実よりも冷静かつ怨念の篭った思考は古河公方 足利晴氏をより成長させ、また狡猾にさせていた。この変化がどの様な結果を起こすのかはもう直ぐそこに迫っていた。




