325 北条大包囲網 本章 10
325 北条大包囲網 本章 10
1557年 3月 里見義堯
「お久しぶりにございまする。明智殿。」
義堯は昨年に国内の掃除を終えてから武田に対して睨みを利かせつつ自分がいなくなっても問題ない様に引き継ぎを終えていた。
その後を伊豆から応援でやってきた綱成に任せ、義堯は補充の兵と物資を持って三国峠へとやってきていた。
「大分激戦の様だったのですな。ここに来るまでにも戦の後が酷く残っておりました。」
実際三国峠に設置されていた砦付近の木や草は全て戦火によって荒地に変わっており、大砲を撃った後には鉄球が残っていたり、大きな穴が空いていてまるで大規模な野戦が行われたかの様になっていた。
「若いもの達が頑張ってくれたお陰で大分楽をさせて貰っておりまする。」
光秀の案内に合わせて陣幕へと向かう。その間に補充兵達を現地の指揮官達のもとへ向かわせて怪我人や不足している箇所と入れ替え交代していく。負傷者は交代して国に下がるもの達が護衛をして上野まで戻る予定だ。
「明智殿がそこまで仰るとは皆頑張っているのですな。」
「ええ、真田昌綱、木下秀吉、そして竹中半兵衛、全員優秀ですな。これからの北条を殿と共に作り上げていくのでしょう。我々と彼らでこの戦乱の世を終わらせなければ。」
光秀が手をグッと握りしめている。
「そうですな。我々の老後は戦とは関係ない世になっている筈ですな。そのためにもまずは上杉を抑え込みましょうぞ。」
光秀が座るのに合わせて、義堯も床几に座り込む。
「現状の説明をお願いしまする。」
「はっ!我々は現在上杉軍に対して防戦一方という形です。ただ、被害を最小限に抑えながら上杉軍を抑えるという役割は十分に果たせております。それも長く続く訳では無かったので皆様の救援が間に合い、なんとか継続戦闘ができそうという形になっておりまする。」
「うむ、よく持ち堪えられておる。大砲等の虎の子も使っている、激戦だったのが見て取れる。」
光秀が義堯からの称賛を畏って受け取る。
「ありがとうございまする。しかし、腑に落ちない点が幾つか多いのです。本気で攻めてはいるのでしょうが、どこか様子見というか、観察されている様な感じがしまする。」
「ほう、ならば此度の戦は上杉にとって本格的な攻めではないと?」
「そこまでは言いませぬが、幕府からの要請で出兵したにしては川中島での戦いの様に上杉当主が出てきていないのがなんとも…」
「分かった。その疑念点は念頭において行動に移る。」




