320 北条大包囲網 本章 5対上杉
320 北条大包囲網 本章 5対上杉
1556年 8月 明智光秀
ドォン ドォン ドォン
普段聞かないような砲撃音の近さに煩わしく思いながら声を張り上げつつ指示を出していると寄せ手側から攻め立ててきた上杉軍に対する半兵衛殿の策が始まったようだ。
ゴロゴロゴロゴロ
「なるほどな。原始的だがいい策だ。」
半兵衛殿は廃材予定の丸太や木材を使い壁側から転がしているようだ。昔から使われる策だが、昔から使われると言うことは効果的と言う事だ。実際に何人も巻き込まれて押し戻されている、丸太を避けようとして隊列も乱れて阿鼻叫喚という形だ。
「投げつけよ!」
その上で足軽達に油壺を投げさせ火矢を射かけている。山の上から投げつけているため勢いがつきツボ自体の威力も上がっており拡散力も高い。火矢によってあちこちに火がつき始めると進軍の足が緩みさらに近づいて来れなくなる。
「投槍隊!攻撃開始!」
この戦ではあまり使われていない短槍や敵から奪った武器を投槍隊が纏めて投げ始める。丸太や火を避けようとして集まっている集団に向けて投げ始める。盾で防ごうにも、急坂のため盾を持ってくる数が少なく幾つもの武器を通してしまいどんどん被害が広がっていく。
「あちらは任せておいても良さそうだな。」
「報告!木下隊、真田隊が砲撃の影響もあり敵を押し返しております!」
「そのまま敵が下がるまで撃ち続けよ!」
既に下の出島と出島間の通路は既に鉄球だらけで陣地として使うことは難しいだろう。だが、守り切ることはできる。それで十分だ。
「敵が下がった後に敵の出方を伺うように伝えよ!」
伝令をした後に四半刻もせずに大砲が止んだ。木下隊、真田隊ともに相手の様子を見て喜ぶでもなく厳重に警戒をしている。
「さらに攻め進める様子はありません。どうされますか?」
「敵が陣地に戻るようならそのまま見逃せ。そしてできる限り休息を取らせよ。夜中に仕掛けるぞ。」
「「はっ!」」
「風魔は敵を探ってきてくれ。休息を取るのか、そのまま領土まで引くのか。それとも再度攻めてくるのか。とにかく情報が欲しい。頼むぞ。」
影に向かって声をかけるとスッと人の雰囲気がなくなって消えていく。警戒は緩めず少し息を吐き落ち着く。
立ちっぱなしだった事に気づき床几に腰を下ろすと半兵衛がこちらに歩いてくるのが見えた。
「半兵衛殿、お疲れ様にございまする。こちらから見ている限りだと大分上手くいったようで。」
半兵衛がにこやかな笑みを浮かべながら近づいてくる。
「ええ、とても満足できました。」




