318北条大包囲網 本章 3 対上杉
318北条大包囲網 本章 3 対上杉
1556年 8月 明智光秀
「上杉軍の攻勢が始まりました!」
物見櫓からの報告が各所に配置されている兵達の伝言によりすぐさま陣幕内へと伝わる。切羽詰まった様子でもなく大きくはっきりとした声だ。
「次報!上杉軍は下出島へと侵攻しています!その数3000と2000!一点突破の構えです!」
更にもたらされた情報によって初動対応が決まった。
「よし、出島側には政綱を指揮官として防衛陣を引け!弓隊と鉄砲隊をいつものように上手く使えと伝えよ!」
声を張り上げしっかりと聞き取れるように指示を出し自身も陣幕から出て高い出島の中でも一つ高台になっている位置から戦況を伺う。
側には氏政様から鍛えるようにと言われた竹中半兵衛が控えている。細身でまだまだあどけなさが残るがどこか鋭い雰囲気を感じる。
氏政様が自分に預けた理由はそこだろう。私、勘助殿、幸隆殿、政豊殿に続く新時代の軍師を育てるといったところか。
「既に何度か小競り合いは起きておりなれてきたところだろうが、今回はどこか雰囲気が違う。半兵衛殿も何か思うところがあれば直ぐに報告せよ。軍学校でも教えられたと思うが、かもしれないを減らすのが我々の仕事だ。もしもの可能性をできる限り予測して対応を頭の中に考える。これは攻めでも守りでも変わらぬ。良いな。」
「はっ!」
この男ならば要らぬ事かも知れぬが実践と机上では違う。上杉を材料に鍛え上げて見せる。
「木下隊から報告!敵は大きな盾を持ち、損害覚悟で突っ込んできているとのことです!」
「次報!弓矢や鉄砲による牽制は続けつつも投石に切り替えて敵への有効打が増えた模様!また、前線部隊を長槍に変え敵へと攻撃を開始しました!」
「よし、こちらからの指示は無しだ。」
木下隊は現場判断が限りなくうまい。その場その場での工夫や失敗した時の切り返しが秀逸だ。安心して任せられる。
「真田隊から報告!こちらの敵も大盾を持っている模様!遠距離での攻撃を全て火矢に切り替えて敵の盾を燃やすようにしているとのことです!また、後方から油壺を持って投げさせているようです。」
「うむ、油壺は木下隊にも流してやるように伝えるのだ。」
「承知いたしました!」
真田も真田で本人の武力以外で頭も使える貴重な将だ。父親譲りの頭に生まれ持った武人としての強さ。この男もこの男で将来が楽しみだ。




