315 北条大包囲網 序章 足利 三好
315北条大包囲網 序章 足利 三好
1555年 12月 足利義輝
今年も1年が終わりかけ、肌寒くなってしまった外で義輝は木刀を無心で振っていた。幕臣達に第二の三好となっていると言われ、北条を抑えつけるために上杉に頼み関東をまとめて貰おうとしている。そして、その後に上洛を画策していたがその成果が出るのはいつかは全くわからない。
実虎の支援のために幕臣達の薦めるままに書状を送ったが東北勢力や武田など皆が何かしら足利のために動いてくれている。近畿では皆が自分たちのためと三好との対決を無視して好き勝手にする。久々に気分が良かった。
関東管領である実虎が関東を半分ほど抑えて北条、武田、伊達、最上などを率いて上洛すれば必ず三好に勝てる。それだけの勢力が集まれば、近畿にいる六角や朝倉、浅井、織田なども力を合わせて三好を本州から追い出し、強い足利が戻ってくるはずだ。昨日も、その件を話して幕臣達とは笑い合った。
「見ていろよ、三好め。武家の棟梁が何たるかを教えてやる!」
足利は日課の素振りを最後の一太刀で終えると汗を拭いながら邸へと戻って行った。
1555年 12月 三好長慶
「そうか、今日も足利は何もできずに不満を溜めているのか。愉快愉快、良い年越しを過ごせそうじゃのう。」
弟達と円座になりながら今年の慰労会をひっそりと行っていた。三好実休はそれを見て苦笑いをしていた。
「兄者はその話が好きじゃのう。先から同じことを言うておるわ。」
既に長慶は杯を重ねていた。普段は滅多に酒に溺れない長慶ではあったが1年間の終わりを実感し、家族とひっそり過ごすこの時間は唯一気が休まるようで杯が進んでいた。
「なに、足利は北条を第二の三好と見て上杉で押さえつけようとしている。しかし、三好も北条も押さえつけるのが上手くいっておらぬ。これほど痛快なことはない。それに奴らは押さえつけている北条からお情けで貰った酒等で年末を過ごしておるのだ。片腹痛かろうて。」
長慶が馬鹿にしたような言い方で笑う。
「お情け?どう言う事にございまするか?兄者。」
もう一人の弟、十河一存が長慶へと聞く。
「分からぬか?北条は幕府に献上品等を渡しながらも全くもって幕府を足利を重視しておらぬ。だから言うことは聞かないし、足利も不快に思う。ただ、北条に非がないように周りに見せるために朝廷へと献上品を持っていくついでに幕府にも献上しているだけよ。」
「なんと!あの量をついでと言うのですか…」
三好にも友好の印として幾つか献上品が渡されていたが、その量だけでも一国の領主が気軽に出せる量ではないと驚いていたのに、それ以上の物を幕府に献上している北条の財力に十河一存は恐れ慄いていた。




