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「それはわかっておる!送れたとしても5000ほどの兵だろうな…」
そのように氏康とその首脳陣が悩んでいると新たな情報が入ってきた。
「伝令!上杉本隊から再度数人規模の逃走部隊が出ました!今度は将の格好をしたものもいれば普通の兵だけの部隊もあります!」
めんどくさいことになった。と氏康は頭を抱える。すぐに援軍に行きたいが、ここで憲政達を取り逃がすと後々の禍根や下野の方での再起などめんどくさい事がいくつもでき、逃さないためにここに残ると河越城への援軍が不可能になるのだ。
「殿、ここは御子息にお任せいたしましょう綱成もいる事ですし最新の装備も揃っております。それに、ここで奴らを逃して野盗化される方が厄介です。」
多目が進言してくる。
「いえ、ここは河越城を助けに行くべきかと。河越城が落ちれば我々の退路は断たれてしまいます。そうなれば本土である伊豆まではあっという間になります。」
今度は笠原が進言をしてきた。
ここでどうするかを決めなければならない。氏康は一度目を瞑ると深呼吸をして考えをまとめた。
「上野の完全掌握を先にする。返す刀で抑えの兵以外の全てを河越城の援軍に向かわせるのだ!」
「「ははっ!!」」
〜〜〜
明智光秀 里見義堯 三井虎高
「伝令!現在殿は精密射撃を左翼に行うために準備しております!右翼側への援護を鉄砲隊にはお願いしたいとの事です!それと左翼側は精密射撃終了後元々の作戦のように右翼側に向かって一点突破からの包囲を敢行するようにと!」
「了解した!」
「精密射撃終了後は旗を上げるとのことでしたのでお見逃しなく!」
左翼は先ほどから膠着状態で進展がなかった。ちょうど進言しようとした時にこちらに報告が来て光秀は流石氏政様だと感動していた。
「鉄砲隊のうち後方にいるものは先に右翼へと向かっていけ!バレないように背を屈めながら向かうのだ!」
「我らも突撃の準備をするのだ!長槍隊は合図があれば槍を捨てて刀で突撃できるように準備しておけ!」
数瞬にも1刻にも感じられたような時間の後狙いすました砲撃が始まった。
ダンッ! ダンッ! ダンッ!
近くで土煙が舞い鉄球が落ちてくる恐怖は筆舌し難いものがある。しかし、我々は知っている、この砲撃を行なっているのは我らが精鋭の伊豆軍団によるものだと。我々は知っている、味方の実力を。彼らは湧き出てくる本能からの恐怖を理性と胆力で押し込めて合図の時を待つ。
敵はまさかくるとは思っていなかった砲撃にボーッとなると同時に悲鳴を上げ始めた。彼らの指揮官が声を高らかにもう大丈夫だと伝えていたのを支えに果敢に攻めかかっていた彼らもその言葉が信じられなくなりパニックを起こしていた。その姿を見て北条軍は自分達を落ち着けていた。
「氏政様からの合図が来たぞ!!!!突撃せよ!!!!」
虎高の威勢が大きい声によって兵達は鼓舞され反対側の味方のところに向かって突撃を開始する。左翼側にいた騎馬隊は砲撃によって一掃、もしくは大幅に後退している。こちらには詰めて来られなかったこの隙を逃さずに突撃される前にこちらから包囲しに相手の背後を突く。彼らは砲撃の恐怖と突撃されたという事実によってさらに混乱を深めていった。
特に何もせずとも包囲は完成して、残りの部隊で包囲している部隊を守りながら包囲した敵を殲滅していく。殲滅には高台から打ち下ろす鉄砲隊が大活躍をしていた。今回は敵の数も多いため投降などを許す余地は無かった。ある程度数が削いで来れたら少しずつ兵を右翼側に向けていき押し戻していく。
包囲が終わった兵から右翼側の陣に向かわせ、元々右翼にいた兵を左翼や後方に送る。こうすることで怪我をした兵士を下がらせて陣の穴を埋めるのだ。




